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レーヴァティン

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第十四話 森を進みその十四

「それからだな」
「それまではお酒はないです」
 それも物理的にだ、今回の冒険に余分なものは持って来ていないのだ。勿論酒も然りである。
「残念ですが」
「確かに残縁だな」
「はい、しかし」
「仕方ないな」
「そうです」
 そうなるというのだ。
「生きる為にはです」
「余分な荷物もな」
「持って行けません」
「そうだよな、それこそ水を酒に変えるとかな」
 久志は笑ってこんなことも言った。
「そういう術がないとな」
「お酒は飲めません」
 そうした状況だというのだ。
「そこは我慢して下さい」
「そうだよな、ただな」
「ただ?」
「こうした術あるだろ」
 水を酒に変える様な術はというのだ。
「この世界には」
「はい、錬金術ですね」
 順一は微笑んで久志に答えた。
「それは」
「やっぱりあるのか」
「錬金術の極意です」
「そういう別のものに変える技術はか」
「はい、例えば水をワインに」 
 順一はさらに言った。
「そして石等を金に」
「そうして変えるんだよな」
「ある物質を分子や原子のレベルから変えれば」
 そうすればというのだ。
「お水もお酒になり」
「石も金にか」
「なります」
「それがまさに錬金術の奥義か」
「この世界でも同じです」
 このことはというのだ。
「そしてそれはこの世界では」
「現実にあるんだな」
「私達の世界でもその域に辿り着いた方がおられたとか」
「確かそれって」
「俺も知ってるぜ」
 久志だけでなく智も話に入って来た。
「サン=ジェルマン伯爵か?」
「カリオストロ伯爵もじゃないのか?」
「そんな人達はだよな」
「そうしたことが出来たんだよな」
「そう言われています、特にサン=ジェルマン伯爵は」
 この謎の人物はというのだ。
「不老不死とも言われていますし」
「タイムマシーンに乗ってたんだよな」
 智がこの謎の伯爵について順一に尋ねた。
「そう聞いたぜ、俺」
「時空を自由に行き来出来るですね」
「そうしたことも出来たんだよな」
「そうも言われていますね」
「だよな、本当かどうか知らないけれどな」
「チャーチルに会ったという話もあります」
 ルイ十五世の頃の人物であるがだ、少なくとも歴史においてはその時代のフランスにいたとされている。 
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