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転生とらぶる

作者:青竹
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ペルソナ3
  1770話

 十字路の中で、まだ行ってないのは右と真っ直ぐ。
 左側には宝箱があったので、何となく右側にも宝箱があるのではないかと思ったのだが……

「まさか、本当にあるとは思わなかったな」
「……そうね」

 目の前にある宝箱を見て、思わずといった様子で呟いた俺の言葉に、ゆかりが同意するように頷く。
 既に宝箱が1個あったんだから、他にも宝箱があってもおかしな事はない。
 それは分かっているんだが……それでもやっぱり、この塔の中に宝箱があるという事に、どこか違和感があった。

「まぁ、ある以上はしょうがない。今回も俺が開けるけど構わないよな?」
「え、ええ。お願い。一応私は後ろの方に下がってるから」

 そう告げ、もし宝箱が爆発したりしても被害が出ない程度に距離を取る。
 ……いやまぁもし宝箱が爆発しても、俺なら無傷だけど。
 そんな風に考えながら、宝箱を開ける。
 さて、今度は幾ら入ってるんだ? 出来れば1万円くらいは入っていて欲しいんだが……そんな俺の希望は、宝箱を開けた瞬間、ある意味で叶い、ある意味で叶わなかった。
 宝箱の中に入っていたのは、1つの宝石。
 もっともかなり小さな宝石だったが。
 だが、宝石である以上は多少の価値はあるのが当然であり……それ以上に違和感があったのは、宝石から魔力を感じたからだ。
 凛の使う魔術は宝石を使った魔術であり、どこかそれに近い……それでいて決定的に違う何かを感じた。
 似て非なるもの。
 それがどこから来るのかは、この宝石を見ただけでは分からない。
 ここに凛がいれば、魔術的な解析で色々と分かるのかもしれないが、生憎と俺にその手の能力は使えない。

「となると、実際に使ってみるしかないんだが……」

 恐らく、本当に恐らくだが、この宝石は凛の宝石魔術とは違い、誰でも使えるようになっている魔術……いや、魔法的な効果を持つ宝石なんだと思う。
 勿論魔力を感じるからそう思っているだけで、実際には魔法的な効果が何もなく、何らかの魔力を持った宝石にすぎないという可能性もある。

「ねぇ、アクセルどうだったの? ……それ、宝石?」

 宝箱を開けても、俺が特に何も被害を受けていないのを確認したのか、ゆかりはそっと俺の方に近づいてくる。
 そして俺が持っている物を見て、驚きの声を上げる。

「ああ、宝石だ。ただし、魔力を持っている以上、ただの宝石って訳じゃないと思う。多分……何の確証もないけど、この宝石を媒介にして魔法の効果があるというのが俺の予想だ」
「魔法? その宝石を使えば、魔法を使えるの!?」

 ゆかりは驚きの声を上げ、俺の手にある宝石を物欲しそうにじっと見つめる。
 こういう異常な事態に巻き込まれはしたが、やはり魔法というのはゆかりにとっても色々と思うところがあるのだろう。
 普通なら当然か?
 ましてや、ゆかりの場合は魔法を使えるのであれば実益にもなるのだから。

「そうだな、取りあえずどうやって使うのかというのも分からないし、この宝石の中にどんな魔法の効果があるのかも分からない。そうなると、実際に使ってみた方がいいと思うんだが」

 使い方が分からないのに使ってみるというのは、どこか違和感のある言い分にも聞こえる。
 だが、この手の類の物であれば、大体どういう風に使えばいいのかというのは、何となく想像が出来ていた。
 ネギま世界でマジックアイテムとかは結構見て、触って、使って……としたのだから、そのおかげか。

「使うって、誰に?」
「まぁ、無難に考えればあのスライムもどきに対してだろうな」

 幸いにもと言うべきか、スライムもどきは基本的にかなり弱い。
 それこそ、素人のゆかりであっても、本気になれば1人で殺せるくらいには。
 ……まぁ、それはゆかりが弓という遠距離からの攻撃手段をもっているからこその話なんだろうが、それでも向こうが弱いのに変わりはないのだ。

「ふーん。ま、いいけど」

 ゆかりもそちらの意見については異論がないのか、俺の言葉に特に異議を唱えない。
 自分が使ってみたいというのはあったみたいだったが。
 なら、次にあのスライムもどきが現れたら、使ってみるとしよう。
 もっとも、次に出てくる敵もスライムもどきとは限らないのだが。

「さて、残るのはあの十字路を真っ直ぐに進んだ方か。……また宝箱があると思うか?」
「どうかしらね。出来ればあって欲しいとは思うけど。……アクセルが持ってるような宝石、他にももっと欲しいし」

 宝石が欲しいというのは、女であれば当然の感想かもしれない。
 だが、この場合宝石を欲しがるのは、女としてではなく戦闘をする者として、またはこの塔を攻略する者として……というのが正しい。
 その辺、結構微妙なところだと言ってもいいだろう。

「まぁ、残ってる場所に何があるのかは分からないけど、上に続く階段とかはあって欲しいよな」
「そりゃあね。もし階段がなければ、ここでどうしろってのよ」

 不服そうに告げるゆかりだったが、この塔の中がどのような構造になっているのか分からない以上、その辺りの心配というのはしておいた方がいい。
 この不可思議な光景を見れば、実際にはこの塔が外見通りの内部構造となっているとは、限らないのだから。
 空間的に拡張されていても、おかしくはない。
 そんな風に考えながら、十字路に戻って直進する。
 やがて視線の先に見えてきたのは、ホールのような場所。
 そのホールに足を踏み入れようとして、その足を止める。

「アクセル? どうしたの?」
「見ろ。新しい敵だ」

 ホールの奥の方に視線を向けながら告げると、ゆかりはそちらに視線を向ける。
 そこにいたのは、今まで遭遇した2種類のスライムもどきとは全く違う敵だった。
 スライムもどきは、被っている仮面が顔全体を覆っているような奴と、目だけを覆っている奴だった。
 そういう意味では、2種類のスライムもどきではあったが、同時にスライムもどきは結局のところスライムもどきでしかない。
 だが、今視線の先にいるのは、明らかにそんなスライムもどきとは違っていた。
 木の根のような……そんな身体に、火の魔法、アギを使ったスライムもどきと同じような目だけを隠す仮面を身につけ、王冠のような物を被っている、そんな敵。
 ただし、見た感じ身体は木の根のような感じではあるのだが、その身体を構成しているのはスライムもどきの身体と同じようなものに見える。
 同じような構成物質でありながら、スライム……液体のような身体をしているスライムもどきと、きちんと固体として存在している王冠。

「どう思う?」
「どう思うって言われても……そもそも、こんな訳の分からない現象の中にいるのよ? それこそ、このくらいの事は普通にあってもおかしくないと思わない?」
「……まぁ、そうだな」

 最初はそれなりにパニクっていたのに、順応早いな。

「それより、あの目だけを隠す仮面を付けているって事は、アギだっけ? あの火の魔法を使ってくるんじゃない?」
「その可能性は、あるか。実際にはどういう能力を持っているのか実際に戦ってみるまでは分からないけど。……取りあえず、これを使ってみる」

 そう告げ、手にしたのはさっき宝箱から手に入れた宝石だ。
 何らかの魔法が封じ込められているのは確実な以上、それを試せる相手が出てきてくれたというのはありがたい。

「分かった。私は弓で援護するように準備してるから」
「任せる。……まぁ、ここにいる程度の敵が俺にどうこう出来るとは……ああ、そう言えば」

 ふと、思いつく。こいつらを倒しても、俺の撃墜数が上がらない以上、こいつらは生命体という訳ではない。
 だが戦ってみた感じではロボットとかそっち系にも見えない。
 つまり、どちらとも言うことは出来ないような存在であり……そんな相手に、俺のスキルは通用するのか、不思議に思ったのだ。

「アクセル?」
「いや、この宝石以外にもちょっと試してみたい事が出来た」
「え? ちょっと、大丈夫なんでしょうね?」
「どうだろうな。まぁ、あの木の根の王冠がスライムもどきと同程度の強さだとすれば、普通に俺を攻撃してもダメージを与える事は出来ないだろうから、心配するな」
「べ、別に、心配なんかしてないわよ!」
「ツンデレか」
「デレてない!」

 顔を赤くし、木の根の王冠に聞こえないように小声で叫ぶといった器用な真似をするゆかりに笑みを浮かべ、気配遮断のスキルを発動させる。
 監視カメラのように、何かレンズや機械といった物を通せば効果がなくなるスキルだが、生身の相手であれば……

「え? あれ、ちょっとアクセル? どこに行ったの?」

 いきなり俺の姿を認識出来なくなったゆかりが、慌てたようにそう告げ、周囲を見回す。
 そんなゆかりの前で、俺は気配遮断のスキルを解除する。
 そのゆかりは、俺の姿を見て安堵し……やがて目を釣り上げて不満そうに文句を言う。

「ちょっと、いきなりどうしたのよ?」
「別に俺は何もしていないし、どこにも行っていない。ずっとここにいたぞ」
「え? だって……」
「つまり、俺にはそういうスキルが使えるんだよ」
「……はぁ、もうアクセルに何を言っても無駄なような気がしてきたわ」

 呆れたように呟くゆかりだったが、これでも色々と苦労はしてきてるんだけどな。

「とにかく、このスキルは基本的に生き物には効果があるが、レンズとか機械とかを通すと効果はなくなる。……で、あの生き物ともロボットとも思えない木の根の王冠には、どうなると思う?」
「それは……分からないけど、ちょっと卑怯すぎない?」
「そうか? まぁ、一見すると凄いように見えても、色々と弱点はあるんだよ。敵に攻撃すると、即座に効果がなくなるとかな」

 もっとも、それは逆に言えば敵に攻撃をする寸前までは絶対に見つからないという事を意味しているのだが。
 他にも鬼眼とか、試してみたいスキルは色々とあるんだが。

「ともあれ、これから気配遮断を使ってあの木の根の王冠に近づいて、それから宝石を使ってみる。一応大丈夫だとは思うけど、何があってもすぐに対処出来るようにしておけ」
「ちょっ、ちょっと! 対処出来るようにって……矢がアクセルに当たったらどうするのよ!」
「心配するな。何か魔法的な効果があるのならまだしも、物理的な攻撃だと銃でも爆弾でも俺には無意味だからな」
「……あんた、本当に何者なのよ?」
「シャドウミラー所属の、アクセル・アルマーだよ」
「それはもう知ってるわ。そうじゃなくて、何で銃とかが効果ないのって事。何、もしかしてシャドウミラーってのに所属すれば、銃は無力化出来たりする訳?」

 ジト眼を向けながらゆかりがそう告げてくるが……

「まぁ、あながち間違ってはいない」

 俺はそう答える。
 実際問題、シャドウミラーの実働班の面々であればエヴァとの訓練で生身でもかなりの強さを得る。……嫌でも、得る。
 それこそ、銃を手にした相手と敵対しても、どうにでもなる可能性は十分に高い。
 勿論俺のように銃弾が当たっても効果がないのではなく、魔力による障壁で銃弾を防いだり、瞬動や虚空瞬動を使って銃を持っている敵に狙いを定めさせないといった感じでの対処方法になるが。
 ああ、でもエヴァなら俺と同じく人間じゃないし、銃弾が当たっても意味はないか?

「はぁ、もういいわ。アクセルの話を聞くだけで疲れてくる。ほら、さっさと行ってきなさい」

 そう告げるゆかりの視線には今までよりも更に強い呆れが混ざっていたが……まぁ、ついこの前まで普通の一般人だったゆかりにとっては、仕方がないんだろう。

「分かった。まぁ、あの木の根の王冠……毎回木の根の王冠とスライムもどきとか言うのはちょっと面倒だな。この現象の中で出てくる奴を……そうだな、取りあえず黒いし影とでも呼んでおくか」

 本来なら影という意味でシャドウとでも呼ぼうかと思ったんだが、シャドウミラーの俺がああいう奴をシャドウと呼ぶのは色々と不味いだろうと、取りあえず影という事にしておいた。
 それに、シャドウミラーの主力PTもシャドウだし。
 後でこの世界がホワイトスターと繋がったら、色々と面倒な事になりかねないという問題もある。

「そうね。統一した呼び名はあった方がいいと思うわ」

 ゆかりも頷き、以後ああいう奴等を総称して影と呼ぶ事に決まった。
 そうして俺は気配遮断を使い、影に向かって歩き出す。
 再び俺の存在を感じ取れなくなったゆかりだったが、既に気配遮断のスキルについては教えてある為、今度は動揺する事はない。
 そんなゆかりを背に、影に向かって近づいていく。
 だが、影は数mの位置まで近づいても、俺の存在に気が付く様子はない。
 どうやら、気配遮断は影に対しても効果があるようだな。
 そう安堵し……宝石を発動させるという意思を込めながら、影に向かって投げつける。
 その行為が攻撃と判断されたのか、気配遮断は解除され、影は俺の存在に気が付き、戦闘態勢を取ろうとするが……そこに宝石がぶつかり、白い光を周囲に輝かせるのだった。 
 

 
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1389 
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