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転生とらぶる

作者:青竹
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ペルソナ3
  1769話

「えっと、これ……どうする?」
「いや、どうするって言われても……何でこの塔の中にある宝箱に現金が入ってるのよ」

 2500円……正確には1000円札が2枚に、500円硬貨が1枚。
 それを手にゆかりに尋ねるが、そのゆかりから返ってきたのはそんな言葉だった。
 塔の中がダンジョンになっており、そのダンジョンの中にあった宝箱を開けたら、そこに現金が入っていたのだから、戸惑ったような声を出すのも当然だろう。
 もし宝箱の中に入ってるのが……そうだな、せめて薬草だったり、毒消し草だったりすれば、まだ理解出来た。
 いや、普通に草が入っていても、それが何なのか俺には分からないだろうけど。
 あるいは、棍棒とかそういうストレートなものでもいい。
 だが……まさか、現金とは。
 そう考え、ふと嫌な事を思いつく。

「なぁ、この塔って元々は月光館学園だったんだよな?」
「え? ええ。そうだけ……ど……」

 ゆかりも、俺が何を言いたいのか理解したのだろう。
 頬が軽く引き攣っているのが分かる。

「つまり、このお金は学校のお金って事?」
「どうだろうな。可能性は……まぁ、皆無じゃないと思う。この金は俺が預かっておくから、もし明日学校で金が盗まれたって話が出てきたら教えてくれ。そうしたらこっそり返しておくから」

 もしかして生徒が学校に忘れていった財布から手に入れた金なのか、それとも職員室の金庫とかに保管されていた金だったりするのか。
 ともあれ、もしこれで俺が金を持っていった事で何らかの騒ぎになったとしたら、色々と困る。
 それに備えておく必要はあるだろう。

「……いっそ置いていったら?」
「いや、この塔の中で入手した金がどういう扱いなのか、知っておいた方がいい。今回はそこまで高額じゃないが、この先100万単位で出てくる可能性もないとは言い切れない。そうなった時に騒動になったりしたら、ちょっと不味いだろ?」
「アクセルの場合、お金には困ってないんだから、そこまで心配する必要はないと思うんだけど」

 少し呆れたように告げるゆかりだったが、金というのはあって困る事はない。
 それに不良を使って宝石の類を売るという、色々と後ろ暗いところを探られるような方法も使わなくてもいいようになる。
 まぁ、不良の方はポートアイランド駅の裏側にいる奴等から一目置かれている荒垣と知り合いになった事もあって、そこまで面倒じゃなくなった感じはするが。

「金はあればあっただけいいんだよ。何をするにも金が必要なんだし。……ゆかりだって、金策は考える必要があるぞ?」

 そう告げ、俺の視線が向けられたのはゆかりの背負っている矢筒。
 矢というのは、基本的に消耗品だ。
 いや、あのスライムもどきに使った矢は鏃が特におかしくなかったので回収したが、それは偶然の結果に等しい。
 実際にはこれから戦っていけば、鏃が欠けたり矢が折れたりといった具合に色々と不具合が出てくる可能性も十分にある。
 そうなれば当然のように矢を補充しなければならないのだが、まさか弓道部からそれを持ってくるような真似をする訳にもいかないだろう。
 そうなると個人で矢を用意する必要が出てくる。

「そうなんだけど……どこで買うかってのも問題になってくるわね」

 毎回のように同じ店で矢を買い続けていれば、当然のように疑いをもたれるだろう。
 そもそも、普通なら個人で矢をそんなに大量に買ったりはしないのだろうし。
 この塔に毎日のように挑んでいれば、どうしてもその辺りの問題は出てくる。
 もっとも、その件については一応の解決策はある。

「俺が転移魔法でゆかりをどこか別の矢を売ってる店に連れていくのが最善だろうな」

 転移魔法があれば、それこそ大抵の距離は殆ど考えなくてもいい。

「え? いいの?」
「ああ。ゆかりには矢を壊す事を前提で弓を使って貰って、早く実践に慣れて貰う必要があるからな」

 幸い、この世界では魔法を使っても魔力の消費量は決して多くない。
 それこそ、日本全国色々な場所に転移で移動出来るだろう。
 ……こうして魔力の消費量が少ないってのは、恐らくこの世界には魔法があるからこそだろうな。
 実際、あのスライムもどきも氷の魔法っぽいのを使ってたし。

「とにかく、ゆかりに必要なのは1にも2にも実戦経験だ。筋は悪くないんだから、後は実践を積めば、慣れてくるだろ」
「私、筋がいいの?」
「まぁ、多分」
「多分って……何よ、それ」

 若干不満そうな様子を見せるゆかりだったが、そもそも俺は弓を使わない。
 弓を使うメンバーといえば、精霊の卵を構成しているエルフ達くらいか。
 それだけに、弓についてゆかりのセンスがあるのかどうかというのは分からない。
 ただ、さっきスライムもどきに矢を射った時、これはいけると……そう思ったのは間違いのない事実だ。

「明確な理由がある訳じゃないからな。ただ、大丈夫だと……そう思っただけだ」
「一応聞くけど、それって褒められてるのよね?」
「ああ。少なくても、エルフ達に負けないだけの弓のセンスはあると思うぞ」
「へぇ……うん? え? ちょ、ちょっと待って! エルフ!? 今、エルフって言った!?」

 何故か俺の言葉に妙なところで食いつくゆかり。

「うん? ああ、エルフ。正確には普通のエルフにダークエルフ、ハイエルフと色々そろってるぞ。ファンタジー系の世界と繋がった時、俺達の国に興味を持ったらしくてな。その後、色々とあって元の世界から俺達の国に所属する事になったんだ。……まぁ、諸事情あってその世界とはもう行き来出来なくなったんだが」

 門世界は、色々な意味で特殊な世界だった。
 また、ちょっと笑って話せないような出来事も色々とあったが、それでも得た物も多い。

「うわ、本当にエルフとかいる世界があるんだ」
「俺が他の世界から来たって話をした時には半信半疑だった癖に、今回は随分とあっさり信じるんだな」
「まぁ、これだけ色々とアクセルの常識外れのところを見るとね」

 何だかんだで、ゆかりにとっては非常識な光景を見せつけてきたしな。
 ましてや、つい最近までは普通の暮らしをしていた一般人が、スライムもどきとかに遭遇したり、この妙な現象の中でだけ存在する塔とか、その塔の中には宝箱があったりとか……そう考えれば、考えが多少変わってもおかしくはないか。

「ホワイトスターと自由に行き来出来るようになったら、エルフを紹介してやるよ」
「本当に?」
「ああ。……それより、これからどうするかだな。あの十字路から左側には宝箱が1つ。そうなると、残ってるのは右側か真っ直ぐに行くか……どうする?」

 その言葉にゆかりは少し考え、口を開く。

「どうせ何の手掛かりもないんだし、アクセルが怪しいと思った方に行けばいいんじゃない? どこに何があるのかを知っておけば、次にここに来る時も迷わなくてもいいし。……まぁ、次にここに来た時に、また宝箱があるかどうかは微妙だけど」
「そもそも、この宝箱は誰が置いたのかってのも、また微妙なところだよな」

 この現象の中だけに存在する妙な塔。
 その塔の中に何故か置かれている宝箱。
 更に宝箱の中には、何故かこの世界で使える現金。
 ……これで色々と怪しむなって方が無理だと思うんだが。

「その辺も後々しっかりと確認したいわね。……それより、ほら。早く行くわよ。いつまでもこの塔の中にいられるかどうかは分からないんだし」

 微妙にやる気になったゆかりに引っ張られ、俺は宝箱のあった場所を後にする。
 妙にやる気になってるように見えるけど、何かあったのか?
 もしかして、エルフがゆかりのやる気に火を点けた、とか?
 理由はともあれ、ゆかりがやる気になってくれたのは俺にとっても悪い事じゃない。
 そのままゆかりと共に塔の中を歩き、やがて先程の十字路に戻ってくる。

「で、どっちに行く?」
「そう言われてもな。結局最終的には両方に行くんだろ? なら、どっちでも……いや、その前にお客さんだ」
「え? あのスライムもどき?」
「どうだろうな」

 一応敵が襲ってきてもすぐに対処出来るよう、ゲイ・ボルクを構えてゆかりの前に出る。
 そうして床を何かが這いずる音と共に姿を現したのは……

「やっぱりお前……か?」

 スライムのような身体に、2本の手、そして仮面。
 これだけの要素を考えれば、あのスライムもどきと同じだったのが……俺がこれまで2回戦ってきたスライムもどきとは、明確に違う場所もあった。
 俺がこれまで2度戦ったスライムもどきは、仮面を付けているといっても顔全体を覆い隠すような青い仮面を被っていた。
 だが、今回姿を現したスラムもどきは、人間で言えば目の周辺だけを覆うような、そんな仮面を付けていたのだ。
 仮面舞踏会とか、そういうのでよく使われそうな仮面。
 色も、これまで俺が戦ってきたスライムもどきは青だったのに対して、このスライムもどきは赤の仮面だ。

「微妙に違うわね」

 ゆかりも、先程戦ったスライムもどきとの違いに気が付いたのか、そう呟く。
 実際問題、自分が襲われて命の危機に陥った事もあるような存在だ。
 それに気が付かないという方が無理なのだろう。

「ともあれ、色違いでもやるべき事は変わらない。いや、寧ろゆかりが戦闘経験を積むと考えれば、願ってもない事だ。ゆかり、お前は俺が守るから、安心して攻撃しろ」
「っ!? ……ば、馬鹿じゃない!? っていうか、馬鹿じゃない!」

 何故か急に苛立ち混じりな様子を見せたゆかりだが、何か妙な事を言ったか?
 何かあると同じ内容を2回繰り返すのも、ある意味ゆかりの癖なのかもしれないな。
 ともあれ、ゆかりは怒りで顔を赤くしながら、矢を弓を番え……射る。
 そうして飛んでいった矢は、スライムもどきとは全く別の方向に飛んでいき、壁にぶつかって床に落ちた。

「おい、外すなよ」
「あんたが言う!? 外させたのはアクセルが原因でしょ!」
「は? 俺が? ……とにかく、俺はスライムもどきの足を止めるから、ゆかりはもう一回弓で攻撃してくれ」
「分かってるわよ!」

 何故俺が怒鳴られる必要があるんだ?
 その事に疑問を抱きながらも、ゆかりの前でスライムもどきの行方を遮る。
 一瞬何かを躊躇するかのように動きを止めたスライムもどきだったが、次の瞬間にはこちらに向かって炎の玉を放ってくる。

「ちっ、こっちは炎か。けどな!」

 この程度の小さな炎で、俺をどうにか出来る筈がないだろ。
 そんな思いと共にゲイ・ボルクを振るう。
 するとこっちに向かってきた火の玉は、あっさりと霧散した。
 幾らこのスライムもどきが魔法を使えるとしても、威力はそこまで高くはない。
 それこそ、ゲイ・ボルクという宝具があれば、容易にそれを破壊する事は出来る。
 ……そもそも、このゲイ・ボルク。普通のRPGとかなら終盤に入手する武器だったりする事が多いんだよな。
 場合によっては、ラスボスの後で入手出来る隠し武器だったりもする。
 そんな武器に、それこそスライムもどきが……この塔の中でも一番最初に出てくるような敵が使う魔法で、どうにか出来る筈もない。

「ゆかり!」

 その言葉と共に、背後のゆかりから矢が射られ、真っ直ぐにスライムもどきに向かっていく。
 先程とは違って、壁にぶつかるような事はなく、あっさりとその身体に突き刺さる。

「ギャア! ア……ギ!」

 悲鳴を上げたスライムもどきは、再び火の玉をこっちに向かって放ってくる。
 だが、当然のようにその火の玉は俺が振るうゲイ・ボルクによって霧散する。
 アギとか言ってたな。それが今の火の玉を飛ばしてくる魔法の名前か?
 ああ、そう言えば吹雪を放ってきたスライムもどきは、青い仮面をしていたな。
 このスライムもどきは赤い仮面をしているから、火を使ってくる……って可能性もあるのか。
 だとすれば、このスライムもどきは被っている仮面の色によって攻撃してくる属性が分かるのかもしれない。
 そんなに分かりやすいのかどうかは分からないが、それでもこっちにとっては指針の1つになる可能性は十分にあった。
 ともあれ、放たれた矢は真っ直ぐにスライムもどきに突き刺さり……やがてその身体は消えていく。
 身体を構成しているスライム状の場所だけではなく、仮面までもが消えていくってのは、一体どうなってるんだろうな。
 ともあれ、理由は分からないがスライムもどきを倒したという事は間違いない。

「よくやったな、ゆかり。……その調子で、次からもどんどん敵を見つけたら倒していくぞ」

 この世界に、いわゆるレベルシステムのようなものがあるのかどうかは分からない。
 だがそれでも、熟練度という意味では戦闘を経験していけば、そのうち嫌でも上がっていくのは間違いなかった。

「ふ、ふん。私が本気になれば、ざっとこんなものなんだから。それより、行くわよ」

 そう告げ、ゆかりは照れくささから頬を赤くしながらも前に向かって歩みを進めるのだった。 
 

 
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1389 
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