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レーヴァティン

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第十三話 狩人その十二

「手掛かりとは言えないかも知れませんが」
「何か見付かったか?」
「この家から森を北に進みますと」
 そうすればというのだ。
「開けた場所があります」
「森の中にか?」
「沼がありまして」
「沼か」
「そこに行かれたことは」
「いや、沼があるとかな」 
 初耳という顔でだ、智は答えた。
「はじめて知ったぜ」
「そうでしたか」
「そこに行ってみるか」
 久志はその目を鋭くさせて言った。
「沼にな」
「地図には載っていませんか」
「ああ、この森のことはあるけれどな」
 久志はあの地図を取り出して開いた、そこには彼等が今いる森はあった。だがそれでもだった。 
 沼はなくてだ、こう言った。
「そんなに深い場所か?」
「はい、森の奥深くです」
「だから載ってないか」
 地図にというのだ。
「そうなんだな」
「そうかも知れないですね」
 順一も久志のその言葉を否定しなかった。
「空から見ても森の奥深くも深く、最深部なので」
「最深部か」
「そう言っていい場所でした」
「じゃあそこに行けばな」
「森の奥深くなので」
「如何にも、だよな」 
 ドラゴンが出そうなというのだ。
「じゃあ行ってみればな」
「ひょっとしたらな」 
 智も笑って応えた。
「いるかも知れないな」
「だよな、それじゃあな」
「行くか」
「そうするか」
 久志のこの言葉が全てを決めた、こうしてだった。
 三人は順一の案内を受けてそうして森の奥深くに向かった。その沼のところまで。


第十三話   完


              2017・4・8 
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