| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

世界をめぐる、銀白の翼

作者:BTOKIJIN
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第四章 RE:BIRTH
  漆黒と闇



部屋だ。
石造りの部屋。

そこで寝ていた翼刀の双眸が開かれる。
視界が開かれ、天井が目に飛び込んでくる。


まどろむ意識は徐々にはっきりとして、起き上がった脳が四肢に伝令を飛ばし始める。


むくり、と上半身を起こし
拭うようにして手を顔に当てる。


「ッ・・・・・・」



覚醒した意識が、彼の脳裏に記憶を思い出させる。


考えるだけで、身体が軋む。
嗚咽感が止まらない。

フラフラと、部屋から出る。
どういうことなのか知らないが、照明もないくせにこの通路は明るい。

進む。

コツ、コツ、と
石畳を踏む音だけが聞こえる。




------------------------------------------------------------




ゴ、オゥッ!!


空気を引き裂いて飛来してくる豪槍。
それを回避する一刀が、片手に剣を溜めて一気に投げ放っていく。

が、その剣は「虚無」に触れそうになった瞬間砕け、バラバラと地上に鉄の雨を降らせていく。



「チッ・・・・・」

「・・・・・・・!!!」



バボゥ!!

大気を掻き立てる轟音を鳴らし、槍が一刀の身体に向かって薙がれた。
右からのその一撃をプリズムビッカーで受け止め、エクスカリバーを薙ぎつける一刀。

初っ端からの宝具解放だ。
黄金の光が、「虚無」に襲い掛かる。

しかし、相手は黄金の剣に向かって槍を投げつけることでそれを「打ち払った」



「何ッ!?」



エクスカリバーは輝きをやめ、ただの剣となって振りぬかれる。
宝具発動分で距離を詰めていたのだ。それがなくなれば、ただの空振りである。


「・・・・・・」


そしてそこから、さらに生み出した槍を投げつける「虚無」
一刀はそれに対して鉄扇を出して受け、流し、そのまま前進する。

近づいたところでフリスビーのように鉄扇を投げつけ、更に両手に青龍偃月刀と蛇矛を構えて突進する。


「虚無」は鉄扇を避け、さらに接近してきた一刀を、それぞれ両手に槍を出すことで、彼の刃を止める。
だが、それで止まる一刀ではない。


「蒼 青 開 剣!!」

ギャバァッッ!!という金属が始めるような音がして、大きく開かれた蒼青の翼の内から無数の武器が飛び出してきた。

それらはひとつ残らず「虚無」に向けられており、間違いなく串刺しにするはずだった。


「はぁ!?」


素っ頓狂な声を出す一刀。
「虚無」はそれすらをも冷めた目をして見つめており、身体を抜けさせたのだ。

腕、脚、胴を捻り、その剣群の隙間を抜ける。
無論、どうしても隙間がないときは二本の槍を少しだけずらして流す。

コンマ一秒にも満たない反応速度。



互いの槍と剣が絡まり、戦況が一瞬膠着する。
が、「虚無」の口がガバリと開かれ、そこに黄色い閃光のようなエネルギーが凝縮されていき――――


「チクショウが・・・・・!!!」



それが、爆ぜる。



------------------------------------------------------------



バゴウッッ!!!


「グぉ!!・・・・ッオォ!! 舐めるなぁアアアアアアア!!!」

「わわ、きゃあァーーーーーーーーー!!」



家の壁を突き破り、室内に押し込まれたクラウド。
押し込むのは当然ながら、「闇」。

クラウドの剣を文字通り腕で受け止め、首根っこを押さえつけて民家に突っ込んだのだ。


が、そこでクラウドが気合を吐き出す。
その腕を掴んで捻りあげ、バガンバガンと床や壁に叩きつけたのである。


窪んでゆく壁に、一撃で砕けてなくなる壁。
その衝撃に、痛みからでなくいきなりの反撃ゆえに驚いた悲鳴を上げる「闇」。


そして窓を突き破り、「闇」が道路に投げ飛ばされて地面を転がる。
だがすぐに起き上がり、パンパンと膝を払う。

ガラリと家から出てきたクラウドは、自分の剣を見ながら「闇」を視界に入れる。




最初

先手必勝と斬りかかって行ったクラウドの刃は、確かに当たった。
だが、それは「闇」の全身を覆う黒煙で阻まれ、火花を散らして止まったのだ。


そこからは今まで描写されたとおりである。


(あの黒煙は鎧か・・・・・)

現に、今のところ「闇」には損傷らしいものは一切ない。
さっきの悲鳴も、ジェットコースターで叫ぶようなものだ。


だが、それなら


「その鎧、吹き飛ばさせてもらう!!!」


ファースト剣を逆手に構え、さっきの片刃剣は左手にして背中に回すよう持つ。
そして、疾走。


「闇」は向かってくるクラウドに対して視線をそらさず、近づくたびにニヤついていた。


逆手に構えるファースト剣を回転して斬りつけるクラウド。
その剣を掌で受け止め、握り、剣ごとクラウドを持ち上げて後ろに投げる「闇」。

だが、頭上を通過するときにクラウドの片刃剣が「闇」の肩を捕えてそれをキャンセルさせる。


肩に衝撃が走り、「闇」の手から剣が、つまりはクラウドが落ちる。着地点は「闇」の脇。
その着地と共に「闇」の背後にはファースト剣が壁のように突き立てられて、退路を封殺された。



そこから片手剣を「闇」に打ち付ける。
無論、胴にも黒煙は覆われている。刃が火花を散らす。

だが、そこに向かって二本目の剣を、片刃剣の上に叩きつけた!


バゴンッ!!という壮絶な音がして、煙が揺れる。
いくら鎧と言っても、それだけの衝撃なら後方にふっとびそうなものだが、それでも「闇」は少しひるんだくらいだ。

しかし、クラウドはまだ終わってない。


その二刀を手放し、しかし落ちないように脚で蹴る。
蹴ったそのまま空中反転し、更に二刀を「闇」の両肩口に振り下ろした。
また放す。

そして、喉元に向かって最後の一刀を突き立てた。


現在「闇」の身体には、ファーストを含め剣全六本が密着している。
その状態から、クラウドが拳を固く握りしめて、その目に魔洸の光が灯される。


「アァッッ!!!」


ゴッ、バキッ!!


「そ、そんな・・・・」

「ゼァアッッ!!!」

ズッ、パァンッッッ!!!


蒼い魔洸を全身から迸らせ、それを一点に集めてクラウドの拳が「闇」の黒煙を破った。

剛拳は煙鎧を打ち破り、「闇」の腹部に重々しいダメージを与えている。



拳を突き出したままで、「闇」の吹き飛んだ先を見る。
大木の幹に衝突した彼女の体が、その後メキメキと倒れてきた巨木での土煙に見えなくなる。


「・・・・・・」


クラウドの一撃は入った。それは紛れもない事実だ。
しかし


「ぐゥッ!?」

クラウドが手首を押さえて呻く。

今彼の右手は「力の抜けたパー」を出している形だ。
見ると、その手首からは血が流れており、うまく力が入っていないことを表している。


「鎧の断面に切断効果・・・・か・・・・やられたな・・・・ッ!!!」



相手の能力を推し量るクラウド
剣を拾って身に着けるが、そこに大きな塊が飛んで来た。

飛んできたのは、巨木を輪切りにした物。
飛んできたのは、土煙の中から。


それを転がって回避するクラウド。
だが、背後に気配を感じてちらりと振り返った彼は驚愕と共に戦慄する。

背後の民家から子どもを抱えた父親と母親が飛び出してきた。それぞれ一人ずつ。
母親は乳児を、父親は小学生ぐらいの子を。


幸いにも一つ目は当たらなかったようだが――――



その状況を見、クラウドが顔を前に戻す。
さらに飛来する木塊は総数四つ。

冷や汗が吹きだす。
顔一面にシャワーを浴びた感じだ。



「ウォオオッッ!!!」


クラウドは剣を左手で構える。拾えた剣は二つだけ。
片刃剣一つ、両刃剣一つ。

クラウドは剣を振るい、一つ目を斬り捨てた。
だが左手では思い切り振るだけでやっと斬れるくらいだ。あと三つも持たない。

木が固いのではない。
投げ放ってくる「闇」の強力がゆえに。


そこからクラウドは二つ目に向けて剣を突き出した。

剣を木のど真ん中につきだし、串刺しにする。
そしてそれをハンマーのように振って三つ目を叩き落とした。


その振動に手がしびれ、剣が落ちる。
両腕、瞬間的に使用不可。


だが、撃ち落とすだけなら腕でなくてもいい。

四つ目の木塊は、見事な回転高回し蹴りからの打ち降ろしで叩き落とした。
地面に打ち付けられた木塊が、打たれて砕けて欠片になる。



「早く逃げろ!!!」


両刃剣を素早く取り出して構え、クラウドが背後の家族に叫びかけて避難させる。




その直後に、「闇」を覆う土煙が晴れた。
ヴォン!!と振るわれる、巨木の幹によって。


「な!?」

「ちまちま投げるの・・・・や、やめます。ごめん・・・なさい」

そして、間髪入れずに投擲。
凄まじい勢いで飛来する巨木はまるで巨大弓(バリスタ)だ。


謝るくらいならやめろと言いたいが、彼女が謝るのは攻撃手段を変えることに対してで、攻撃をすることにではない。



この状態なら、クラウドは回避してもいい。
むしろそうするべきだろう。


しかし、さっきの状況が頭をよぎる。

この街にはまだ人がいる。
その状況で回避したら、もしかしたら―――――!!!



クラウドは巨木を睨み付ける。
左手のしびれはすでに取れている。


脚を振り上げ、一回転。
ハイキックをするように回転してから、両刃剣を巨木に叩きつけて行こうとする。


そして、爆発がその場を覆った。




------------------------------------------------------------




クラウドを覆う爆煙。
それを眺めて、「闇」はワタワタし始めた。


(も、もしかして、殺し、ちゃった?あ、あのきれいなつ、翼、もぎ取ろうとしてたのにな・・・・)



決して彼の命を考慮してのことではない。
あくまで、自らのため。



だが、その煙が晴れることでその杞憂は終わった。
代わりに、怒りがわいてくる。



「なんですか・・・あなたたち・・・・」



爆煙の向こう。
そこにいたのは、クラウドだけではなかった。


そこにいたのは――――


「だらしないなぁ、もう」

「リュウタロス。この場合クラウドを責めるより、翼人を追い詰めるその力の方に驚愕するべきでは?」

「そうそう!セイバーさんの言う通りですって!」

「っしゃぁ!行くぜ!!」


仮面ライダー電王ガンフォーム、セイバー、龍騎、アギトである。

更には空を見上げると、そこにはフリードに跨ったキャロに、その後ろに乗る愛紗までいた。




「お前ら・・・・・」

「クラウドさんは下がっていてください!!」

「こやつは我々が。のちの戦いのため、力を温存していただきたい!!」


「だが」

「この人数相手に、戦いたいと思うか?」

「・・・・勘弁願いたいな」


その言葉にクラウドは頷く。
確かに、この人数は自分でも手こずるだろう。

つまり、彼らは「闇」に対して今の自分より負け劣ることはあるまい。


「任せた」



短くそう言い残し、クラウドがその場から消える。
キャロの展開した転送魔法で、近くの陣にまで戻ったのだ。



「ご主人様の方にも数名が向かっているはすだな」

「今回、相手が翼人ならそれを相手にするのも翼人じゃないと対応できないしなぁ」

「いままでは主戦力はあの人たちが潰してきたからね~」

「だったら、今度は俺たちが!!」


「行くぞ赤銅の「闇」よ。我らの剣、その身に受けてみよ」


一同の中から、セイバーが一歩踏み出て見えない切っ先を「闇」に向ける。



その反応は、見て分かるもの。



煙が噴き出す。
その奥の眼光が、それだけで殺すことができるかのようにギラつく。
踏み出してきた一歩が、地面を陥没させる。


ヌルリとした奇妙な殺気が、彼らの背筋を舐めてくる。


「わ、わたし・・・こういうの・・・きらいです・・・・」


ドモりながらも、拳は堅い。
弱々しい言葉だが、それは言葉だけ。様子はあまりにも重々しい。



「しんで、ください」




「闇」が迫る。
立ち向かうは、それを払いし一団である。



to be continued
 
 

 
後書き

やっと出てきたよ翼刀!!
でも迷ってますね。

でも迷っているのも辛いわけですから、多分相手がなんであろうとも目に入った瞬間、カチコミに行くんでしょうね。
あれ?なんてバーサーカー?


そして一刀、「虚無」に苦戦。
手数は多いものの、相手にそれはすべて薙ぎ払われる。
てか複製のとはいえエクスカリバー受け止めるとかおかしい
自分で書いて、あとから冷静になって、こいつら思ったよりヤバいとか思ってます



そしてクラウドはまだ避難しきれていない地区での戦闘。
まだここはラピュタよか遠いのでしょうがないと言えばしょうがないですけど。

多分、もう避難は済まされると思うのでクラウドはタイミングが悪かったとしか言えません。



さて、次回は!?

アリス
「ラピュタ本体との戦闘ですね。あれもどうにかしないとですから」

つまり、巨大戦力投入!!

アリス
「デンライナー、ゼロライナー、キャッスルドラン、飛行能力持ちメンバー・・・・あれ?ほとんど仮面ライダー勢?」


時空管理局が来ませんからね。
多分MOVIE大戦みたいな感じになるかと。


さて問題。
クラウドの増援に来たメンバーの共通点は?


ではまた次回
 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧