世界をめぐる、銀白の翼
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第四章 RE:BIRTH
蓋 開かれるとき
心が軋む
押し込めていたものが、溢れ出す。
(止めてくれ)
タガが外れ、それが胸から広がって全身の末端にまで染み渡る。
重い
暗い
辛い
(出て・・・来ないでくれッ・・・!)
「それ」に向かって
手を伸ばす
掴む
だけど、「蓋」は様々なモノにほどけて行って、手の中から消えてしまった。
脳が知覚する。
目の前の状況と、そこから導き出される、結果を
心が、悲鳴を上げる。
耐えられない 絶対に嫌だ 逃げ出したい
俺は
今
なんで
声が聞こえる。
でもそれどころじゃない。
抑えられない。
自分は何処かに行ってしまった。
見えない できない
あの自分じゃなきゃダメだ。
あれが完成形だったんだ。
あれが憧れの形だったんだ。
あれがなくちゃ、俺は何もできない
震えるだけの、哀れな人間。
そんなのは嫌だ。
だから組み上げたのに。
外して、そのまま消されてしまった。
あんな密度の物、もう二度と組み上げられるものか。
もう、戻れない。
嗚呼・・・・
だけど
今は
そんなことより・・・・・・
「死にたく・・・・ないッッ・・・・・!!怖いんだ・・・・・!!!!」
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弾けたように倒れた蒔風が、上空の赤銅を見上げて震える。
Χブレードが振られ、蒔風の足元に横一文字の切り目が出来た。
だが蒔風は何もできず、地面にその後が出来てからあわてはじめた。
「く、来るなッッ!!」
「・・・・・面白き、者よな」
その蒔風を見て、赤銅が短く呟く。
そして、翼刀に視線を戻した。
もう興味はないとでもいうように。
赤銅は翼刀と再び交戦、焦土を作り出す。
「しゅ、舜君!!大丈夫!?」
「だ・・・ダメだ・・・・動かない・・・・・」
蒔風の首が、震えながら向く。
その顔は半笑いで、どうすればいいのかわからないという表情で。
「え?」
「身体が・・・・心が・・・・!!ビビッて・・・・動かないんだ・・・・」
自分の体を抱え、地面に座り込む蒔風はカタカタと震えていた。
噴き出してきた恐怖。
自分の命を脅かす存在に、全身全霊が警告音を上げている。
――逃げろ――
忘れていた感覚が、よみがえってくる。
押し込み、蓋をしていた、自分が。
理解し、恐怖することもなかったものが。
「俺は・・・・・もう戦えない・・・・・!!」
そして、蒔風は言う。
「「蒔風舜」は・・・・・死んだ・・・・・」
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クラウドと一刀は、木の上にいた。
倒れた蒔風は心配だが、彼が倒れたならば、今この状況をどうにかするのは自分たちしかいない。
そう考え、二人は戦う翼刀と赤銅を追ってきているのだ、が・・・・・
「入り込む余地なんかないぞ・・・・・・」
「弱体化された状態であの戦い・・・・赤銅の翼人はどこまで・・・・・」
別次元。
それが目の前の状況だ。
自分たちが万全なら、まだ余地はあったかもしれない。
だが力を吸われた状態で、しかもここから先は翼刀の干渉を受けるのだ。
勝てるわけもない。
「・・・・・止める・・・か?」
「止めない。俺も同じ考えだし」
が、クラウドは剣を担ぎ上げていたし、一刀も流星剣を取り上げていた。
この二人は、この戦いを止めるつもりだ。
無理かもしれないどころか、まず無理な話だ。
だが、行かねばなるまい。
そして、最初の一歩を踏み出そうとしたところで、上空の二人に動きがあった。
ガッッ、ドォン!!
「グァッ!?」
「・・・・・・・」
翼刀が無数の刃をまき散らしながら、大地に叩き落とされていた。
その落下地点に向かって、赤銅もまた、膝を下に向けて落下していた。
落下地点から上空の赤銅に刃が飛ぶが、それはすべて空中停止し、塵になって消滅していく。
ズ、ゴガンッッ!!
重い音。
翼刀の倒れていた場所はさらに深いクレーターになって窪んだ。
「・・・・・・む?」
だが直撃を食らいながらも、その足首を翼刀は掴んでおり、思い切り振り上げて投げた。
そこから着地する赤銅だが、自身の体の調子を確かめるかのように掌を見て、腕を曲げる。
「そうか・・・・其の方、先の戦にて疲労、溜まっておるのな?」
「・・・だ・・・からなんだ・・・・・」
その言葉にゲホッ、と息を吐きながら、翼刀がゴキゴキと肩を回して立ち上がる。
それに対して
「吾が体も、永久の眠りより覚め、まだ真なる力、無く」
「全力じゃないってか?お互いに」
「肯定せり。故に、吾も、其の方も、体を休むる要有りとす」
「休め・・・・だと?」
赤銅の提案。
しかし、その真意は読めず
その言葉に、翼刀は反発し
「俺は休みたくない・・・・・あんたと戦ってると楽なんだ!!辛いことを思い出さなくて済む・・・・闘かッ(ドゴッ)ガフッ・・・」
しかし、赤銅に胴を打たれ、ぐったりと気絶する。
「其の方には、成すべきことが在ろうて。吾が願いを、果たさんが為に」
その体を、赤銅が抱えて上空へ
それを追って、クラウドと一刀が飛び上がっていく。
が、クラウドは空中で雁字搦めにされてから錐揉みで地面に激突。
一刀は力場の大砲のようなものに叩きつけられ、クレーターを作ってその中心に埋まった。
「クラウドさん!!一刀くん!!」
「グぉ・・・お・・・・」
「ゲはっ・・・ガハッガハッ!!・・・・」
その場にはやてとリィンフォースが駆け寄るが、二人は満身創痍。
立ち上がろうとするが、その手足は地面をはうばかり。
呻き声だけで、応答も何もありはしない状態だ。
「夜天乃書・・・・・真なる姿なる也?」
「なに?」
「・・・・気になす事無し。其の方に関わり無き事」
地上の様子を見て赤銅が呟く。
それに反応するリィンフォースだが、それには答えない。
赤銅が、天に手をかざす。
すると、その場に巨大な雲が浮遊してやってきた。
「あれは・・・・・」
その雲は、積乱雲のような形。
大きさにして、高さ十キロはあろうか。
その雲が、晴れていく。
風でもなく
彼女の力場ででもなく
それはその雲の中から、巨大なモノが出てきたことによるものだ。
「ッ・・・・!! なんだ・・・・あれは・・・・」
「都市?・・・・・いや、要塞、か?」
空中都市や浮遊要塞
人によって表現は違うだろうが、それはそういった類の物だった。
空を行く、巨大な物質。
上方は都市のようになっており、下方は尖った岩がむき出しの状態。
その中層に当たる場所には、リング状に岩が均されている。
あまりにも巨大な、要塞都市。
それが、宙に浮いている。
「な・・・・」
「あれが・・・赤銅の翼の戦力!?」
翼刀を抱えた赤銅は、それに向かって飛んでいく。
点ほどにも見えなくなったそれに、一同は唖然とするばかりである。
「あれは・・・・なんなんだ・・・・!!」
「・・・・天空要塞」
ハクオロの言葉に、リィンフォースが答える。
「あれは・・・・超巨大天空要塞ラピュタ・・・・」
その巨大な物体が、バチバチという音と共に姿を消していく。
光学迷彩か、赤銅の力かは分からないが、途方もないものだということだけは明らかである。
「どうする・・・・?」
「・・・・翼人の三人もこれや・・・いまは・・・引くしかあらへん」
はやてが、最終決断を下す。
翼人三人のうち、二人は重傷、一人は戦意喪失。
他のメンバーも、戦える状態なのはごくわずか。
「・・・・帰ろう」
一同、帰還
しかし、残された傷跡はあまりに大きい。
to be continued
後書き
機関の兵器たちは、すべてこの赤銅に対抗すべく作られました。
恐ろしい切れ味の刀
世界四剣を破壊すべく作られた(結局かなわず)
超威力の銃
物量でいけばいいのか(作ったはいいが、人数的な問題でアウト)
死人兵士
渡航能力者を弄るうちに獲得。のちに資金獲得のために売り出す。
模造兵士
渡航能力者の戦闘訓練人形。これも資金の為に売り出される。
ガイアメモリ、G4システム
上記の銃では無理だった理論を再構築して押し上げたもの。
超能力兵士(多那砂 此乃道)
赤銅の持つ「念動力」に対抗したもの
また、この機関はおおまかに「先祖からの課題を成し遂げる者」と「あとから入ってきた者」の二つに分かれます。
つまり、あの場にいたのは全員ではないということです。
機関としては壊滅しましたが、まだ残党はいるわけですよ。
実は
この機関への資金援助しているのが「財団X」だったということも考えた(死人(ネヴァー)だし、超能力(クオークス)だし)のですが、設定あったところで話に出てこないのでカットしました。
でもどこかで出てくるかも。また数章後くらいに。思い出したように。
さて、赤銅の翼の特性「怒り」と「Χブレード」によって、蒔風の「蓋」が外されてしまいました。
元々の蒔風は怖がりの人間です。
まず戦いに身を投じる人間ではありません。
だからそれが嫌で「蓋」を構築して、理想の自分になりました。
自覚したうえでの自己催眠に近い感じです。
「蓋」の構築は高校生の時にして、完成した物です。
それに少しずつ手を加え(パッチ当てる感じ)、今の状態にしたので、もう作ることはできません。
その完成に至るまでに、好奇心で至ってしまったのが「死の理解」
だから蓋を外されれば、当然こうなるわけでして。
天空要塞ラピュタ。
ジブリ映画のやつの木がない奴だと思えばいいです。
ただデカイ。
最初からこれは考えてました。
大きさの対比の感覚としては・・・・・
人間:聖王のゆりかご=聖王のゆりかご:ラピュタ
みたいな感じで。
デカス・ギル
一体、赤銅は何処に消えたのか。
そもそも、破壊を振りまくことをやめられるのか?
恐怖を感じ、戦えなくなってしまった蒔風はどうなるか・・・・・
立ち上がれ!!銀白の翼!!
そして、気になるあいつは!?
次回、束の間の休息?
ではまた次回
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