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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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378部分:第三十話 典韋、曹操に試されるのことその十


第三十話 典韋、曹操に試されるのことその十

「美味しい、あのお店の味がそのまま」
「そうね」
「確かに美味しいけれど」
 荀彧は少し辛口の顔になる。
「曹操様のものと比べると」
「凄く美味しいのだ!」
「うむ、そうだな」
 張飛と趙雲が笑顔になっている。
「鶏肉が美味しいのだ」
「メンマもな」
「それに麻婆豆腐も」
 孔明も満面の笑顔である。
「この味、やっぱりいいですよね」
「そうだな。本当にな」
「そうよね」
 関羽と劉備も満足している。しかしだ。
 荀彧はまた言った。
「やっぱりこの勝負は」
「いいえ、私の負けよ」
 ここでこう言う曹操だった。
「今回の勝負はね」
「えっ、負けって!?」
「負け!?」
「どうしてですか!?」
「今回の宴会は劉備殿や関羽をもてなす為のものだったのよ」
 曹操が言うのはこのことだった。
「けれど私は自己満足で料理をしたわ。けれど典韋は」
「私なんですか」
「そう。貴女は劉備殿達のことを考えて料理をしたわ。お客人をもてなす為にね」
「だからなんですか」
「そうよ、私の負けよ」
 こう言う曹操だった。しかしである。
 今度は劉備が言うのだった。
「それも違うんじゃないですか?」
「違うというの?」
「だって曹操さんも私達をもてなす為に作ってくれましたよね」
「そのつもりだったけれど」
「だったら同じです」
 にこりと笑って話す劉備だった。
「それに」
「それに?」
「料理に勝ち負けなんてありません」
 これが劉備の考えだった。
「ですから」
「そうなの。そうね」
 それを聞いてだった。微笑む曹操だった。
「私もまだまだ未熟ね。それはそうと典韋」
「はい」
「見事よ」
 こう言ったところであった。いきなりだ。
「そ、曹操様!」
「どうしたの?」
「牛が!食材の牛が!」
 その牛がだ。宴会の場に飛び込んで来たのだ。
「牛!?」
「おいおい、暴れ牛だな!」
 へヴィDとロイが言う。
「じゃあ俺が止めるか」
「いや、俺が!」
「こういうときにローレンスがいればな」
 今言ったのはフランコである。
「面白いんだがな」
「ここは私が行く」
「いや、客人の手をわずらわせてはならない」
 関羽は夏侯惇が制する。
「ここは私がだ」
「というか誰でもいいから早く行った方がいいですよ」
 孔明が正論を言う。
「さもないと牛さんは」
「ここは僕が!」
 許緒が出ようとしたその時だった。典韋がだ。
 自分の前に突っ込んで来る牛の角を掴んでだった。
「てえええええええええええええいいっ!!」
 思い切り上に放り投げた。牛はそのまま天高く上げられそして。地に叩き付けられたのだった。
 
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