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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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372部分:第三十話 典韋、曹操に試されるのことその四


第三十話 典韋、曹操に試されるのことその四

 その少女が来てだ。一行に声をかけてきたのだ。
「皆さんとても召し上がられていますね」
「むっ、貴殿は」
「誰なのだ?」
「はい、典韋といいます」
 少女はにこりと笑って関羽と張飛の言葉に答えた。
「このお店の料理人です」
「ではこの料理は貴殿がか」
「作ったのだ」
「はい、そうです」
 その通りだという典韋だった。
「皆さん私が作ったお料理をとても美味しそうに沢山召し上がられてますよね」
「だって美味いからな」
「その通りだ」 
 それでだという馬超と趙雲だった。
「これじゃあ幾らでも食えるよな」
「うむ、メンマもな」
「堪能させてもらっているわ」
「はい、とても美味しいです」
 黄忠と孔明も話す。
「御礼を言わせてもらうわ」
「有り難うございます」
「いえ、御礼を申し上げるのはこっちです」
 だが典韋は笑顔でこう話すのだった。
「私の料理をここまで美味しく召し上がってもらって。それで」
「それで?」
「今度は何なのかな」
 劉備と馬岱が言う。するとであった。
 一同にだ。あるものを出してきたのだ。
「お饅頭?」
「そうね」
 神楽とミナがそれを見てすぐに言った。
「これは頼んでないけれど」
「どうして」
「私からの皆さんへの御馳走です」
 満面の笑顔で話す典韋だった。
「どうぞ召し上がって下さい」
「凄い太っ腹なのだ」
 張飛は典韋のその饅頭を前にして彼女もまた満面の笑顔になった。
「それじゃあ遠慮なく頂くのだ」
「はい、皆さんもどうぞ」
 こう話してだった。彼女達は皆その饅頭を食べはじめた。その味は。
「美味いな」
「そうだな」
「コクのある味だけれどあっさりしていてな」
「凄く食べやすいのだ」
「これ何かな」
 一同はそれぞれ言う。
「そうね。牛でも豚でも羊でもないわね」
「何のお肉でしょうか」
「はい、それはですね」
 典韋がにこりと笑って話す。
「頭に『に』が付く生き物です」
「に!?」
「日本語ね」
 神楽とミナがそれに気付いたのだった。
「とりあえずそれはいいとして」
「何の生き物かしら」
「それはですね」
 何故かここで典韋はその両手の指を禍々しく曲げて前にやってきた。両手は胸の前の位置だ。肘は曲げてあまり強く前には出していない。
 そして顔を不気味な笑みにさせてだ。さらに言うのであった。
「四文字で」
「ええと、四文字?」
「四文字で頭に『に』というと」
「まさか・・・・・・」
 劉備に関羽、孔明の顔が真っ青になる。
「それって。出したらいけないんじゃ」
「そうだ、食べるのはかなりな」
「そういう話はありますけれど」
「はい、鶏です」
 フェイントだった。
「鶏なんです」
「お、おい。それか」
「それだったの」
「全く」
 馬超に馬岱、それに黄忠はほっと胸を撫で下ろした。
 
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