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歌集「春雪花」

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 手をかざし

  届かぬ星を

   つかめども

 虚しや風の

   吹きて去りなむ



 梅雨の晴れ間に見えし満点の星…手を伸ばせば届くような気がして手を翳す…。

 何か掴めるような…そんな気がして手を握っても、何を掴める訳もない…。

 彼の心を欲し…彼と共に在りたいと願う…。

 そんな叶わぬ夢のように…ただ虚しく風が吹いて行くだけであった…。



 侘びぬれて

  日も絶へだへに

   来ぬ人を

 待ちてや黄昏る

      幽愁の月



 恋しくて…今すぐにでも会いたくて…会えぬと知りつつ願ってしまい…。

 過ぎ去る日々を無為に見送る虚しさに…ただ一人黄昏るだけ…。


 仰げば空から月が見下ろす…あぁ、月も一人なんだと思い、この悲しみを分かつように…あの月へと吐露した…。



 
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