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星河の覇皇

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第六十三部第三章 気付いている者といない者その三十

「その様に思われています」
「それがです」
「わからないのですね」
「どうにもです」
「確かに。あの方は」
「女性からも人気が。いえ」
 ここで金は自分の言葉を訂正させてこう言った。
「むしろ女性からの方が」
「人気がありますね」
「アイドル的な人気がありますね」
「魅力にも満ちた方です」
 カリスマと言っていいまでにだ。
「教養もありますし武道もされていて」
「剣道でしたね」
「剣道は五段とか」
「中々以上ですね」
 五段になると、というのだ。
「それだけになると」
「私は剣道のことはよく知りませんが」
 モハマドはこの前置きから金に答えた。
「しかしです」
「五段はですね」
「初段から十段まであり」
 その中での五段ならというのだ。
「やはり中々のものかと」
「そう思われますね」
「はい、ですから」
 それで、というのだ。
「立派だと思います」
「私もそう思います、文武両道の方です」
 ただそれでも八条にも苦手なものはある、彼は自分がしないことは出来ないからだとよく周囲に話している。
「ですから」
「女性からの人気は絶大ですね」
「ですから」
「相手の方がいない筈がないですね」
「あの方ならその気になればそれこそ」
「すぐにでも、ですね」
「相手の方が見付かると思います」
 つまり巡り会えるというのだ、生涯の伴侶に。
「そう思えるのですが」
「しかしご自身はです」
「もてないと思われているのですね」
「左様です」
 そうだというのだ、八条は。
「今も尚」
「中々難しいですね」
「全くですね、しかし」
「しかしですか」
「あの方も何時かは、内相もですが」
「結婚をですね」
 金はモハマドの今の言葉に強い声で応えた。
「そして家庭を持つことを」
「それも幸せな家庭をです」
「政略結婚なぞではなく」
「結婚は人と人がするものです」
 モハマドは連合の考えを述べた。
「そしてその次に家と家との付き合いが出来る」
「それが結婚ですね」
「あくまで第一は個人と個人のものです」
「そうであるが故にですね」
「はい、結婚をすればです」
「幸せにならなければならない」
「私の様に」
 ここでモハマドは楽しげな、そして充実している笑みを浮かべた。そのうえで金に対してこうしたことを言ったのだった。
「なって下さい」
「そういえば総務は」
「はい、この前末の娘が家に彼氏を連れて来まして」
「確か高校生でしたね、末の娘さんは」
「一年生になりました」
 その娘がとだ、モハマドは楽しげな笑顔で語るのだった。 
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