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英雄伝説~灰の軌跡~

作者:sorano
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第20話

~パンダグリュエル・パーティーホール~



「うふふ、改めてようこそ、メンフィル帝国軍所属戦艦”パンダグリュエル”へ。」

部屋に入って来たオリヴァルト皇子達を見回したレンは小悪魔な笑みを浮かべて答え

「ハハ、”メンフィル帝国軍所属”、か。その口ぶりだとやっぱりメンフィル帝国は貴族連合軍から奪った”パンダグリュエル”をエレボニア帝国に返還するつもりはないようだね?」

レンの言葉を聞いたオリヴァルト皇子は疲れた表情でレンに問いかけた。

「クスクス、オリビエお兄さんったら何を寝ぼけた事を言っているのかしら?和解したとはいえ、”勝者”が”敗者”に戦争で手に入れた”戦利品”を返すなんて常識的に考えてありえないでしょう?」

「しょ、”勝者”に”敗者”って………」

「……間違いなく”勝者はメンフィル帝国”で、”敗者はエレボニア帝国”って意味でしょうね。」

「ま、貴族連合軍―――いやエレボニア帝国は今回のメンフィル帝国との戦争でケルディック、バリアハートに続いて”パンダグリュエル”まで奪われちまったからな……今回の戦争に関係ない勢力からするとどう考えてもエレボニア帝国はメンフィル帝国に敗戦したとしか見られねぇな……」

「………………」

レンの指摘を聞いてある事を察したエリオットが不安そうな表情をしている中サラは厳しい表情で呟き、トヴァルは疲れた表情で溜息を吐き、マキアスは複雑そうな表情で黙り込んでいた。

「うふふ、そこに一つ付け加えておくわ。――――ラマール州の公都にして”カイエン公爵家”の本拠地でもあるオルディスもメンフィル帝国軍が既に占領したわよ?」

「な―――――」

「ええっ!?」

「まさかオルディスまで既にメンフィル帝国軍に占領されていたなんて………」

「ほええええええ~~~っ!?それじゃあ、カイエン公もメンフィル軍に捕まったか殺されたの~!?」

レンの説明を聞いたクレア大尉は絶句し、トワは驚き、ジョルジュは不安そうな表情で呟き、ミリアムは混乱した様子でレンに訊ねた。



「残念ながらオルディスにカイエン公はいなかったわ。――――その代わりにカイエン公の息子にして”カイエン公爵家”の跡取りであるナーシェン・カイエンと”黄金の羅刹”オーレリア・ルグィン将軍がいたけど。」

「!まさか……オーレリア将軍閣下やナーシェン卿の身にも何かあったのですか……!?」

レンの話を聞いてある事を察したラウラは信じられない表情でレンに訊ね

「ええ。昨日(さくじつ)12月8日に行った”オルディス制圧作戦”にてナーシェン・カイエンもそうだけどオーレリア将軍を含めたオルディスを防衛した領邦軍は全員”戦死”したわ。」

「き、昨日にオルディスがメンフィル帝国軍に占領されたなんて……!?」

「ナーシェン卿に加えてあのオーレリア将軍閣下まで戦死するなんて………」

「………………オーレリアを討った人物はやはりメンフィル帝国軍の名のある将ですか?」

昨日にオルディスまでメンフィル帝国に占領された事にアリサが信じられない表情をしている中ラウラは呆然とし、重々しい様子を纏って目を伏せてオーレリア将軍に対する黙祷をしたアルゼイド子爵は静かな表情でレンに訊ねた。

「いいえ、”黄金の羅刹”を含めたオルディスを防衛していた貴族連合軍の大半はメンフィル帝国が開発した”新兵器”によってレン達メンフィル帝国軍に一矢を報いる事すらできず遺体どころか塵も残さず操縦していた機甲兵や戦車ごと”消滅”――――戦死したわよ?」

「”消滅”…………」

「しかも”戦車や機甲兵ごと”となると、間違いなくガレリア要塞を消滅させたクロスベルの新兵器のような兵器が使われたのでしょうね………」

「!まさかとは思いますがメンフィル帝国は”クロスベル独立国”と同盟を結んだのですか……!?」

レンの説明を聞いたガイウスは呆けた表情で呟き、シャロンの推測を聞いてある事を察したクレア大尉は信じられない表情でレンに訊ねた。



「うふふ、”クロスベル独立国とは同盟を結んでいない”わよ。ちなみにオーレリア将軍達を消滅させた新兵器は魔術の合成儀式によって誕生した究極の”合成魔獣(キメラ)”よ。」

「”合成魔獣(キメラ)”ですって!?まさかメンフィルは合成魔獣(キメラ)を量産して兵器活用しているの!?」

「そ、そんな……幾ら魔物とは言え、命を弄ぶその技術は人が決して手を出してはいけない”禁忌”の一つですよ!?」

レンの答えを聞いたセリーヌとエマはそれぞれ血相を変えて声をあげ

「クスクス、確かにゼムリア大陸では”禁忌”の技術だろうけどレン達メンフィル帝国の本国がある世界――――――――”ディル=リフィーナ”では”禁忌”でない所か、強力な戦力を生み出す技術として世界各国でも使われている技術なのよ♪”娼館”の時と同じで、これも”異世界の文化の違い”よ♪」

「”異世界の文化の違い”……確かにゼムリア大陸では禁じられた行為を異世界では禁じられていない事も、”異世界の文化の違い”になるな…………」

「以前の話を聞いた時も疑問を感じたが、異世界って一体どれだけ非常識で物騒な世界なんだ……?」

レンの指摘を聞いたガイウスは複雑そうな表情で考え込みながら呟き、マキアスは疲れた表情で溜息を吐いた。

「うふふ、”雑談”はこのくらいにして、そろそろ”本題”である今回の戦争の結末についての説明をしてあげるから、好きな席に座ってね。」

オリヴァルト皇子達の様子を小悪魔な笑みを浮かべて見つめていたレンはオリヴァルト皇子達に席に座るように促した。その後オリヴァルト皇子達はそれぞれ席についた。



「さてと。通信でも口にしたように今回の戦争―――メンフィル・エレボニア戦争は両帝国間の戦争を手柄をたてる事で”和解へと持っていこうとしていたある人物”の活躍によって、両帝国は和解調印も行って、めでたく和解したわ。当然オリビエお兄さん達は和解へと持っていこうとした人物や”エレボニア帝国の代表者であるユーゲント皇帝が貴族連合軍に幽閉されているのに、何故両帝国が和解調印できた”のかが気になっているわよね?」

「……ああ。まず和解へと持っていこうと人物は一体何者なのか教えて欲しい。」

レンの問いかけに頷いたオリヴァルト皇子は真剣な表情でレンに訊ねた。

「うふふ、何者もなにもその人物は”オリビエお兄さんどころかⅦ組のみんなも知っているし、会った事もある人物”よ。」

「ええっ!?ぼ、僕達”Ⅶ組”も知っていて、会った事もある人物……!?」

「一体誰だ……?少なくても今までの”特別実習”でメンフィル帝国の関係者と関わった事はないはずだが……」

レンの話を聞き、それぞれが驚いている中エリオットは声を上げ、マキアスは困惑の表情で考え込んでいた。

「クスクス、その人物とは………――――ユミル領主の息子、リィン・シュバルツァーお兄さんよ。」

「な――――――」

「何ですって!?」

「ユ、ユミル領主の息子って確か私達がバリアハートで戦った………!」

「ええっ!?何故メンフィル軍に所属しているリィンさんは両帝国の戦争を和解へと持っていこうとされたのですか……!?」

驚愕の事実を知ったオリヴァルト皇子は絶句し、サラ教官は信じられない表情で声を上げ、アリサはバリアハートでのリィン達との戦いとリィンの顔を思い出して驚きの声を上げ、エマは信じられない表情でレンに訊ねた。そしてレンはリィンが両帝国の戦争を和解へと持っていこうとした理由を説明した。



「ユミルの件で従軍義務を特別に免除されていたリィン殿が今回の戦争に参加して、手柄をあげて両帝国の戦争を和解へと導こうとした全ての理由は、ユーゲント陛下達に対して罪悪感を感じているご両親――――シュバルツァー男爵夫妻の為だったのですか…………」

「………………」

「クソッ!それじゃああの時俺達がリィンが戦争に参加した本当の理由を知っていたら、俺達も”パンダグリュエル制圧作戦”に参加してルーファス卿を生かして捕える事もできたじゃねぇか……!」

「さすがにそれは無理だったと思いますけど……」

「そもそも”敵”であるわたし達に戦争に参加した理由を話してくれるなんて、ありえない。」

「第一彼自身は下っ端の軍人なんだから、彼がメンフィル軍の上層部に頼んで”敵国”のあたし達をメンフィル軍が計画している作戦に参加させるなんて不可能よ。」

「……まさか(くだん)の人物が、よりにもよってアタシとエマが”導く”事は絶望的と思われていた”起動者(ライザー)”だったなんてね………と言う事は”総参謀”を討ったのもリィンなのかしら?」

理由を知ったラウラは複雑そうな表情で呟き、アルゼイド子爵は重々しい様子を纏って黙り込み、悔しそうな表情で声を上げたトヴァルの推測にマキアスが複雑そうな表情で指摘している中フィーとサラはそれぞれ呆れた表情で指摘し、セリーヌは疲れた表情で呟いた後ある事に気づいてレンに訊ねた。

「ええ。”パンダグリュエル制圧作戦”でも”バリアハート制圧作戦”でアルバレア公を討った時のように、リィンお兄さんが今までの人生で結んだ”絆”――――仲間達の力を借りてリィンお兄さん自らの手で”総参謀”ルーファス・アルバレアを討ったのよ♪」

「つまりリィン様は両帝国の戦争を和解へと導いた”英雄”にして、ユーシス様にとってはご家族の”仇”でもあると言う事にもなりますわね……」

「そ、それは………」

「シャロンッ!」

レンの説明を聞いて重々しい様子を纏って呟いたシャロンの言葉を聞いたトワが不安そうな表情をしている中アリサは声を上げてシャロンを睨んだ。



「ユーシスは彼がルーファスさん達を討った人物である事を知っているのだろうか………?」

「――――勿論知っているわよ。」

ガイウスがふと呟いた疑問に対してレンは小悪魔な笑みを浮かべて答えた。

「”知っている”って……まさかユーシス君にリィンさんがユーシス君の家族を討った”仇”である事を教えたのですか………!?」

レンの答えを聞いてオリヴァルト皇子達と共に血相を変えたジョルジュは信じられない表情でレンに訊ねた。

「ええ。アルバレア公やルーファス・アルバレアを討った人物がリィンお兄さんである事やリィンお兄さんが戦争に参加した理由も全てレンが説明してあげたわよ。」

「……リィン君がルーファス君達を討った”仇”である事を知ったユーシス君はやはり、リィン君に対して憎んでいる様子などを見せたのだろうか……?」

「うふふ、憎んでいる所かリィンお兄さんに感謝している事を伝えて欲しいって言っていたわ。」

「ええっ!?リィンさんはユーシスの家族を殺したのに、どうしてユーシスはリィンさんに感謝しているんですか……!?」

オリヴァルト皇子の質問に答えたレンの答えを聞いたエリオットは信じられない表情でレンに訊ねた。

「あら、今回の戦争勃発の”元凶”がユーシスお兄さんの父親であるアルバレア公である事を考えたら、”エレボニア帝国自体が滅亡する危機に陥った原因や内戦に加担し、エレボニア帝国の民達を苦しめ続けているのは自分の家族”なのだからエレボニア帝国の滅亡を阻止し、これ以上内戦に加担しないように殺す事で内戦への加担を阻止してくれたリィンお兄さんに感謝してもおかしくはないわよ?確かユーシスお兄さんは”Ⅶ組”のみんな同様、”貴族派”と”革新派”が争うエレボニア帝国を何とかしたいと思っていたのでしょう?」

「それは……………」

「………確かにエレボニア帝国を大切に思い、”貴族の義務”を人一倍守ろうとしていたユーシスなら感謝をしていてもおかしくないが、父親であるアルバレア公に加えて心から慕っていたルーファスさんまで殺された事に対しては内心複雑な思いを抱えているだろうな………」

「……………」

レンの推測を聞いたラウラやガイウス、マキアスはそれぞれ複雑そうな表情でユーシスを思い浮かべていた。



「クスクス、手柄の件で思い出したけど、”バリアハート制圧作戦”の時Ⅶ組のみんなはユーシスお兄さんを助ける為に”バリアハート制圧作戦”に乱入して、リィンお兄さん達に撃退されたでしょう?あの件もリィンお兄さん達L小隊の手柄でもあるから、そう言う意味ではⅦ組のみんなも今回の戦争を和解へと導く事に貢献した事になるわね♪」

「へ………」

「ぼ、僕達が撃退された事が両帝国の戦争を和解へと導く事に貢献したって……」

「……それはどういう意味でしょうか?」

レンの指摘を聞いたエリオットとマキアスが呆けている中クレア大尉は真剣な表情でレンに訊ね

「あら。リィンお兄さん達L小隊はエレボニア帝国の武人の中で5本の指に入ると言われている武人――――”光の剣匠”に”鉄血宰相”が見出した様々な優れた能力を持つ人物達―――”鉄血の子供達(アイアンブリード)”、結社”身喰らう蛇”の”執行者”の一人―――”死線のクルーガー”、そして”ゼムリア二大猟兵団”の片翼である”西風の旅団”の団長、”猟兵王”ルトガー・クラウゼルの娘―――”西風の妖精(シルフィード)に史上最年少でA級を獲得したエレボニア帝国の遊撃士の中でもトップクラスの元遊撃士――――”紫電(エクレール)のバレスタイン”とエレボニア帝国と戦争をしているレン達メンフィル帝国からすれば、”手柄首”となる人物達を纏めて撃退したのだから、Ⅶ組のみんなを撃退した事も手柄になって当然でしょう?」

「そ、それって……」

「………なるほどね。”ラインフォルトグループ”のメイドはメンフィルが敵対している”結社所属”、他は”エレボニア帝国所属”になるから、メンフィルと敵対している勢力の幹部や相当な使い手達は結社やエレボニアと敵対しているメンフィルにとっては”手柄首”になるわね。」

「セリーヌッ!」

レンの説明を聞いてある事に気づいたトワは不安そうな表情をし、セリーヌの推測を聞いたエマは声を上げた。



「そういう事♪そしてレンが”アルゼイド家”の宝剣を返しに行った時にリィンお兄さん達L小隊が撃退した人物達の中で”光の剣匠”以外に”手柄首”となる人達を正確に把握したって訳♪」

「それじゃあレン皇女殿下直々に”ガランシャール”を返還しに来てくれた本当の目的は………」

「”光の剣匠”以外の”手柄首”となるボク達を把握する為だったようだね~。」

メンフィル皇女であるレン自ら”ガランシャール”を返還しに来た真の理由を悟ったジョルジュは複雑そうな表情をし、ミリアムは真剣な表情でレンを見つめて呟いた。

「うふふ、勿論”ガランシャール”の返還も”アルゼイド家”を訊ねた”本当の目的”の一つよ?まあそのお陰でリィンお兄さんを含めたL小隊は”バリアハート制圧作戦”ではアルバレア公爵夫妻の殺害に加えて複数の”手柄首”も混じった”メンフィル帝国と戦争をしているエレボニア帝国所属の勢力”を撃退したという手柄を上げる事ができて、その手柄もエレボニアとメンフィルの和解を望む為に必要なリィンお兄さんの手柄の一つになったのだから、Ⅶ組のみんなも今回の戦争終結に貢献したから結果オーライでしょう?」

「………つまり私達がリィン様が両帝国の戦争を和解させる為に必要な”踏み台”になったお陰で、今回の戦争を和解という形で終結させる事ができたという訳ですか……」

「シャロンッ!」

レンの話を聞いて静かな表情で呟いたシャロンの言葉を聞いたアリサは声を上げてシャロンを睨んでいる中その他の者達はそれぞれ複雑そうな表情で黙り込んでいた。



「ハハ、ユーシス君の為に彼らをバリアハートの戦いに乱入させたが、手柄を狙っていたリィン君にとっては”鴨が葱を背負って来る”ような出来事だったのか。そしてその出来事のお陰で今回の戦争を和解という形で終結できたのだから、私達はリィン君に感謝するべきだね………」

「殿下………」

疲れた表情で肩を落とした様子のオリヴァルト皇子をアルゼイド子爵は辛そうな表情で見つめ

「うふふ、リィンお兄さんに感謝するのは戦争終結の件は当然だけどアルフィン皇女の件も感謝すべきだと思うわよ?」

「へ………」

「ど、どうしてそこでアルフィン皇女殿下の名前が挙がるのですか………?」

レンの指摘を聞いたエリオットが呆けている中マキアスは困惑の表情でレンに訊ねた。

「あら、Ⅶ組のみんながレグラムでレンに訊ねた質問内容の一つにアルフィン皇女の処遇の件があって、その件に関してもレンは最後の質問の時にちゃんと答えてあげたでしょう?――――――”メンフィル・エレボニア戦争を和解へと持って行く為にこの戦争に参戦している人が政略結婚をするアルフィン皇女の嫁ぎ相手の最有力候補”である事を。」



その口ぶりだとアルフィンへの処罰はメンフィル帝国の皇族や政府、或いは軍や貴族関係の誰かと政略結婚させる事に傾いているのかい?



ええ。―――”帝国の至宝”と称えられているアルフィン皇女の責任の取り方が思ったよりも軽くなりそうで安心したでしょう?



うふふ、実はメンフィル軍の中で今回の戦争―――メンフィル・エレボニア戦争を和解へと持って行く為にこの戦争に参戦している人がいるのよ。



ちなみにその人はさっきの話にあったアルフィン皇女の嫁ぎ相手の最有力候補よ♪



「あ………ッ!」

「確かにその話もしていたな………」

「と言う事は私達がバリアハートで戦ったリィン殿がアルフィン皇女殿下のお相手の最有力候補なのですか……!?」

レグラムでのレンが答えた自分達の質問の内容を思い出したアリサは声を上げ、ガイウスは静かな表情で呟き、ラウラは信じられない表情でレンに訊ねた。

「最有力候補どころか”リィンお兄さんとアルフィン皇女が結婚する事は和解条約の一部にあって、既にその条約内容も含まれた和解条約書への調印も終えたから”リィンお兄さんとアルフィン皇女は両帝国が正式に認めた婚約関係よ?」

「!!」

「ええっ!?それじゃあ本当にリィンさんがアルフィン皇女殿下のお相手になったのですか……!?」

「それ以前に”リィンと皇女殿下は両帝国が正式に認めた婚約関係”や”リィンと皇女殿下の結婚が和解条約の一部にあって、既にその条約内容も含まれた和解条約書への調印も終えた”と言っていったが、それは一体どういう意味だ!?」

レンの答えを聞いたその場にいる人物達がそれぞれ血相を変えている中オリヴァルト皇子は目を見開き、エマとトヴァルはそれぞれ驚きの表情でレンに訊ねた。

「うふふ、次は既に”和解条約が終えた件”について説明してあげるわね。――――その前にデスクに置いてある紙を表にして内容を読んでもらえるかしら?」

「デスクに置いてある紙………?――――あ。」

「確かに紙が一枚あるね。」

レンの指示を聞いたトワは不思議そうな表情で首を傾げたがすぐに自分達が座っている目の前にあるデスクにそれぞれ裏返しにされてある紙がある事に気づくと呆けた声を出し、フィーは静かな表情で呟いた。そしてオリヴァルト皇子達は紙を裏返しにして内容を読み始めた。

「な――――――」

「こ、これは………!?」

内容を読み始めたオリヴァルト皇子は絶句し、クレア大尉は表情を青褪めさせて身体を震わせていた。







『メンフィル・エレボニア戦争和解条約書』





1、貴族連合軍の”主宰”であるカイエン公爵並びに貴族連合軍の”裏の協力者”――――結社”身喰らう蛇”の第二柱―――”蒼の深淵”ヴィータ・クロチルダの身柄をメンフィル帝国に引き渡す事





2、アルフィン・ライゼ・アルノール皇女はメンフィル帝国が指定する人物――――リィン・シュバルツァーに嫁ぐ事





3、ラマール州全土と貴族連合軍に加担していない貴族達が治めている領地を除いたクロイツェン州全土、ノルティア州からはメンフィル帝国が指定する領地の統治権、”ザクセン鉄鉱山”の所有権をメンフィル帝国に贈与する事





4、メンフィル帝国に贈与した元エレボニア帝国領地に住んでいる貴族達は”アルゼイド子爵家”のような貴族連合軍に加担していない貴族以外は全てメンフィル帝国への帰属を許さない。よって贈与された元エレボニア帝国領内に引き続き住むのであればメンフィル帝国は爵位を剥奪して”平民”に落とし、貴族としての”爵位”を維持し続けたい場合はエレボニア帝国が引き取り、エレボニア帝国領内に住まわせる事 ※緩和条件あり 緩和条件内容、『貴族連合軍に加担していた”四大名門”を除いたエレボニア貴族のメンフィル帝国への帰属の不許可を条件付きの許可(条件、爵位を一段階下げる。)』





5、エレボニア帝国内戦の終結方法をメンフィル帝国に委任する事。また、リィン・シュバルツァーに適した”騎神”を見つけた際はリィン・シュバルツァーに贈与する事を認める事 ※緩和条件あり 緩和条件内容、特務部隊はトールズ士官学院特科クラス”Ⅶ組”が特務部隊の指揮下に入る事に対しての拒否権の行使を認める事並びに”Ⅶ組”が特務部隊の指揮下に入る事を了承した際は特務部隊は”Ⅶ組”の意見も聞き、その意見が有用な内容ならば取り入る事。また、”Ⅶ組”が特務部隊の指揮下に入る事に対して拒否権を発動した際メンフィル帝国は”Ⅶ組”に”軍資金”として7億ミラを贈与する





6、”百日戦役”の”真実”―――――”ハーメルの惨劇”を世界中に公表する事





なお、第一、二、三、六条の実行までの猶予期間はエレボニア帝国内戦終結から1ヵ月以内とする。万が一、内戦終結から1ヵ月以内に行わなければメンフィル帝国は強制執行をする







和解条約調印者   





      メンフィル帝国代表、メンフィル帝国皇帝シルヴァン・マーシルン



      エレボニア帝国代表、エレボニア帝国皇帝ユーゲント・ライゼ・アルノールⅢ世名代エレボニア帝国皇女アルフィン・ライゼ・アルノール



      リベール王国代表、リベール王国女王アリシア・フォン・アウスレーゼⅡ世

      

      遊撃士協会代表、遊撃士協会本部長名代グランセル支部受付エルナン

       

      七耀教会代表、七耀教会教皇名代グランセル大聖堂責任者大司教カラント

 




 
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