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星河の覇皇

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第六十三部第三章 気付いている者といない者その二十五

「そしてそれを成功させ」
「エウロパを発展させるのですね」
「復興はそのはじまりです」
 即ち序曲に過ぎないというのだ。
「それからです」
「発展していき」
「必ずです」
 発展するというのだ。
「これまでより遥かに豊かなエウロパにするでしょう」
「遥かにですね」
「これまでのエウロパは次第にですが」
 金は冷静に己の意見を述べ続ける。
「行き詰まりつつありました」
「領土問題、人口問題とですね」
「居住可能な星が少ないので」
 エウロパの技術ではだ。
「ですから」
「次第にですね」
「そうです、ですからサハラにも侵攻しましたが」
「それも撤収することになりましたね」
 エウロパ戦役の結果だ、悪化する戦局により総督府を維持出来なくなり移住者ごとエウロパ本土に戻ったのだ。
「そしてそれにより」
「さらに行き詰まりました」
 エウロパはというのだ。
「ですから」
「その行き詰まりを打破する道こそが」
「新天地です」
 それだというのだ。
「ですから」
「その新天地を手に入れて」
「はい、発展します」
 そうなるというのだ。
「絶対に」
「そして豊かになり」
「国力も蓄え」
 そして、とだ。金は話していく。
「強大な敵としてです」
「我々と対立し続けますね」
「そうなるかと、連合にとってエウロパは敵です」
「敵は本来はいない方がいいですね」
「しかし時としては違い」
「連合にとっては」
「必要です」
 金の言葉はシビアだった。
「エウロパはあって欲しいです」
「ではエウロパは」
「はい、発展してです」
 そのうえでだとだ、金は今飲んでいる紅茶を口にしつつモハマドに答えた。
「我々の統合も助けてくれます」
「敵として」
「私はエウロパは嫌いです」
 連合の者としてこのことは絶対だった、連合は何かにつけエウロパを悪だと定義し続けてきているが故にだ。
「しかしです」
「敵として必要であることも」
「わかっているつもりです、ですから」
「あの国の発展は望ましいですが」
「無論彼等が発展するのなら」
「我々もですね」
「発展すべきですしそれが最高の対抗手段です」
 そのエウロパに対するというのだ。 
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