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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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303部分:第二十五話 公孫賛、同行を願い出るのことその七


第二十五話 公孫賛、同行を願い出るのことその七

「殺したのだ?」
「死にはしなかった」
 八神も答えた。
「オロチの血が騒いでだ」
「おいおい、またそりゃ物騒だな」
 馬超も今の言葉に眉を顰めさせる。
「そんなのが潜んでるのかよ」
「それじゃあ何時それが出て来るかわからないの?」
 馬岱はこれまで話を聞くだけだった。だがここではじめて八神に問うのだった。
「八神さんのそのオロチの血って」
「安心しろ。俺はオロチではない」
 八神自身それは必死に否定した。
「しかしだ」
「しかしって言われても」
 まだ難しい顔になっている馬岱だった。
「何かあったらその時は」
「安心して。少なくとも今はそれではないわ」
 神楽が槍を構えそうになる馬岱を制した。
「オロチの血が影響するのはオロチ一族が傍にいる時だから」
「オロチ一族。話に聞いているけれど」
 黄忠はここでも草薙の話を思い出して考える目になっていた。
「この世に。よからぬ存在なのね」
「最初はそうではなかったわ。けれど」
 神楽の言葉だ。
「それでも今はね」
「そうした存在なんですか」
「そうよ。私達はオロチを封じる為にいるのよ」
 神楽はまた劉備にも話した。
「そう、アンブロジアを四つの宝珠を持つ如来達が封じていて」
「アンブロジアもなのだ」
 張飛も話をした。
「ナコルルが言っていたあれなのだ」
「そうよ。そして常世は四神と巫女が封じている。それと同じで」
「オロチは貴殿達がか」
「ええ。私の神楽家と草薙家、そして八神家」
「その時は姓が違っていた」
 関羽に述べる神楽に続いて八神が述べた。
「今の俺も本来はその名前らしいな」
「それに戻るつもりはないのね」
「ない」
 八神ははっきりと答えた。
「俺の名前は八神庵だ。それ以外の何でもない」
「けれどそれは」
「関係ない」
 今度も一言だった。
「俺はオロチもネスツもどうでもいい。ただ、だ」
「草薙ね」
「あいつを殺す。それだけだ」
 あくまでそれだけだというのだった。
「この世界にも来ているならそれでもだ」
「そうするのね」
「俺はその為だけに生きている」
 こうまで言い切るのだった。
「だからだ」
「貴方のその青い炎は貴方自身を焼くわ」
 神楽の忠告だった。
「それでもなのね」
「それでもだ。それではな」
 八神は一歩足を前に出した。虎も起き上がり前に出ようとする。しかしだった。
 八神はその虎に顔を向けてだ。そして告げた。
「いい」
「虎に対して言ったのね」
「御前は御前の居場所にいろ。ここがそうなのならな」
 馬岱の言葉をよそに話すのだった。
「別れる。いいな」
 虎に告げてだった。それで世界を離れるのだった。
 そのうえでだ。劉備達とも離れる。背中を向けているがそこには三日月があった。
 三日月を見てだ。劉備はここでも言った。
「草薙さんの太陽と違うのね」
「そうよ。草薙は太陽よね」
 また神楽が話す。
「けれど八神はね」
「月なんですか」
「草薙家は日輪、八神家は三日月」
 この二つの違いがそのまま両者の違いだった。
 
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