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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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280部分:第二十三話 楓、思い出すのことその十一


第二十三話 楓、思い出すのことその十一

「まあとにかく。あの連中を倒せばそれで北や西の馬に乗ってる連中は全部あたい達の配下になるわけだな」
「そうね。合わせて百二十万」
 顔良はここで顔を微笑まさせた。
「兵士も手に入るし。これで国力がさらにあがるわね」
「まず国力あってのことですわ」
 袁紹もそれを言う。こうしたことはわかっているのだ。
「五つの州で千五百万、それにその百二十万でしてよ」
「兵士は三十万ですよね」
「それだけは充分養えますよね」
「三十万以上いけますわね」
 袁紹はそれ以上だと言った。
「ただ。無理はできませんから異民族の兵も合わせて三十万ですわ」
「民を駆り出さない、ですね」
「ですから」
「華琳はこのことで困っているようですけれど」
「曹操さんのところは異民族いませんからね」
「それで民から兵を集めるには限度がありますからね」
 兵を集めるのも大変だった。そういうことだった。
 袁紹が異民族を集めるのにはだ。そうした理由があったのである。
「この西への遠征が成功したら幽州の統治権も朝廷から貰えますし」
「本当に頑張りましょう」
「ええ、必ず勝ちますわ」
 こう話しながら西に向かうのだった。今袁紹の大軍が西に向かっていた。
 そしてその本拠地である鄴ではだ。今二人の美女が話をしていた。
「それで藍玉殿、今来た人材は」
「ええ、黒檀殿。もう会ったわ」
 眼鏡をかけていて切れ長の黒い知的な目に緑の長い髪を上で束ねた美女が奥二重の緑がかった青い目に白く流麗な、絵を思わせる顔のブロンドの髪の美女の言葉に応えていた。
 眼鏡の美女は胸が目立ちスリットのある黒いチャイナドレスである。ブロンドの美女は天女を思わせるふわりとした服を着ている。どちらも胸がかなり大きい。
「それでね」
「どうしたの。採用?」
「ええ、採用よ」
 眼鏡の美女はにこりと笑って答えた。
「そうさせてもらったわ」
「そう、それでまたなのね」
「ええ、またよ」
 眼鏡の美女蔡文姫はこう甄姫に答えた。
「あの世界から来た人達よ」
「最近続くわね」
 甄姫はそれを聞いて静かに述べた。
「それもかなり」
「そうね。ただ」
「腕は立つ」
 甄姫はまた言った。
「そういうことね」
「そうよ。それは見事なものだから」
「いいとするべきね」
「これで西方を制圧できるし」
 蔡文姫の顔は知的な笑みを浮かべている。
「それに力仕事もできるし」
「ええ。灌漑も田畑を耕すのも街造りもね」
「だからいいのよ。それでね」
「そうね。ただ」
「ただ?」
「この世界にこれだけ来ているというのは不思議ね」
 甄姫が今言うのはこのことだった。
「麗羽様は強い人材が加わるからいいって仰るけれど」
「そうね。それに」
「宮中のことね」
「私は気付けば匈奴のところに送られていたわ」
 蔡文姫の顔がすぐに険しくなる。
「何者かに眠らされてね。大将軍に御会いする時に」
「そして私達が匈奴を服属させた時にここに戻って来れたわね」
「このことはよかったわ」
 蔡文姫はこのことは確かによかったとした。
「けれど。それでもね」
「問題は誰が貴女を匈奴まで送ったかね」
「普通に考えれば宦官達だけれど」
「十常侍」
 甄姫はこの名前を出した。
「彼女達かしら」
「そう考えるのが普通ね。けれど」
「けれど?」
「彼女達ではない気があするのよ」
 蔡文姫はこう述べたのだった。
「どうもね」
「じゃあ一体誰だというの?」
 甄姫は彼女のその言葉に問い返した。
 
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