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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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267部分:第二十二話 ガルフォード、見てはいけないものを見るのことその十一


第二十二話 ガルフォード、見てはいけないものを見るのことその十一

「あんた達の世界の日本だってあるけれど」
「おお、そうなのか」
 それを聞いてだった。応えたのは双角だった。
「確か倭だったな」
「そうよ、倭ね」
 まさにその国だというのだ。
「あそこのこともよくわからないし南蛮が南の方にあるし」
「南蛮!?」
「っていうと南の辺境の?」
「そうよ。そこもかなり変わった風俗らしいけれど」
 こう話すのだった。
「けれど。ガルフォードが言うみたいなそこまで変態なのはいないわよ」
「そうなのか。じゃあ何なんだ?」
「夢、じゃないの?」
 荀彧はこうガルフォードに返した。
「やっぱりね」
「それか?やっぱり」
「じゃあその妖怪二匹が今この許昌にいるっていうの?しかもあんた程の腕の持ち主の枕元に二人もいたなんてことがあるの?」
「それは」
「そっちの方が怖いわよ」
 荀彧はあくまで現実的な視野から話していた。
「どんな妖怪よ、本当に」
「だから俺もよくわからないんだけれどな」
「誰にも気付かれずにあんたの部屋まで忍び込んで」
 荀彧はさらに話す。
「そして誰にも気付かれずに消えたの?これだけいる一騎当千の連中をかわして」
「有り得ないっすね」
「そうだな」
 暁丸とジャックも言う。
「そこまで考えるとっす」
「どんな怪物だ」
「だからよ。有り得ないのよ」
 荀彧はまたこう言った。
「そこまで非常識な怪物がいるなんてね」
「外見も能力も」
 ロイも言う。
「有り得ないな」
「兵達も常時城壁や門で見回っているし」
「曹操軍四天王もいる」
「じゃあやっぱり」
 コスターとゴチャックは荀彧のその言葉に頷いた。
「普通に入るのは」
「相当な強さでも」
「っていうかよ。そんなのギース=ハワードだって無理だな」
「そうよね。忍者でもね」
 ロディもレニイもそれは有り得ないとした。
「ないな」
「絶対に不可能ね」
「しかもガルフォードは忍の者」
「その感性は眠っていようと研ぎ澄まされている」
 半蔵と影二はほぼ証言だった。
「それに気付かれることなくして枕元に立つとは」
「魔神であろうと無理なこと」
「魔神までってことは人間じゃ絶対に無視だな」
 ビッグ=ボンバーダーは酒をかっくらいながら応えた。
「じゃあ荀彧の軍師さんの言う通りだな」
「今はフランコが見回りだったわよね」
 荀彧はここでこう話した。
「確か」
「それと斬鉄だな」
「それだな」
「他の面々は山賊退治やら治水や都市の整備に行ってるけれど」
 他の国から来た戦士達も何かと仕事をしているのだ。戦場だけでなく様々な内政の場面にも曹操や荀彧の指揮の下で動いているのである。
「それでもあの二人の見回りで気付かれない人間なんていないわよ」
「そうだよな。じゃあ俺が見たのはやっぱり夢か」
「きっとそうよ。疲れているのではなくて?」
 荀彧はガルフォードを本気で気遣っていた。
「覇王丸程じゃないけれどあんたも立派な心の持ち主なんだから無理をしたら駄目よ」
「そこで覇王丸が出るのかよ」
「まあね。それはね」
 それについてはいささかバツが悪そうに返す荀彧だった。
「それでもよ。あんたも思うところがあってあえて故郷を出たのよね」
「ああ、そうさ」
「それで犬達まで助けて密航までして忍者になって正義の為に戦う」
 それこそがガルフォードだった。
「そうそうできることじゃないから」
「だから無理するなっていうのか」
「少なくとも休める時には休みなさい」
 やはりガルフォードを気遣っていた。
 
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