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魔法の調味料

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第三章

「わかった」
「香辛料のことが」
「調べてな」
「随分早くわかりましたね」
「そう思うな」
「はい」
 実際にとだ、リベリオは答えた。
「昔っていいますから」
「昔といっても色々だけれどな」
「何千年も前とかですよね」
「ああ、それこそ何千年も昔はな」
 それこそというのだ。
「その香辛料は地域によっては凄まじく高価だった」
「そんなにですか」
「皇帝や裕福な貴族しか料理に使えない」
「そんなものだったんですか」
「そうだった、じゃあ今からな」
 エルチェはリベリオに言った。
「皆に賄いを作るが」
「その賄いにですか」
「その香辛料を使う」
 そうするというのだ。
「それもふんだんにな」
「あれっ、賄いにふんだんに使うって」
 そう言われてだ、リベリオは首を傾げさせてだった。エルチェに問い返した。
「安いんですか」
「今はな」
「そうなんですか」
「昔は違ったが」
 今は、というのだ。
「もうかなり安い」
「何ですか、それって」
 リベリオ以外の従業員の一人が言った。
「香辛料っていいますが」
「後で話す、とにかくな」
「賄いをですね」
「食ってくれ」
 こう言うのだった。
「いいな」
「わかりました」
 従業員達も頷いてだ、そしてだった。
 彼等はエルチェが出したその賄いを食べた、それは一見すると普通の賄いで実際に食べてみてもであった。
「あれっ、美味しいですけれど」
「普段の美味しさですよ」
「特に何の変わりもない」
「こう言っては何ですが」
「塩と胡椒で下ごしらえしてソースを使った」
「お店の残りものとかの」
「そうだ、胡椒だ」
 エルチェはこの香辛料、それこそ子供でも知っているそれの名前を出した。
「胡椒なんだよ」
「ということは」
 リベリオは店で残った牛肉と野菜を炒めたものを食べつつ言った、当然この炒めものにも胡椒が使われている。
「その香辛料は」
「ああ、調べていったら」
「胡椒だったんですか」
「エウロパが地球にあった頃胡椒は高かっただろ」
「はい、あちらじゃ」
「あそこは昔から何もなかったからな」
 エルチェも連合の人間でエウロパは嫌いだ、その為普通にエウロパへの嫌悪が言葉として出ている。この前ネットでエウロパのモンサルヴァート上級大将が元帥になったという記事を読んだ。 
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