| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

224部分:第十九話 劉備、張三姉妹を見るのことその十


第十九話 劉備、張三姉妹を見るのことその十

「私の様な完璧な血筋は持っていないわ」
「そして血筋だけでなく」
「力もまた」
「ええ、持っていないわ」
 今漢に大きな勢力を築いている二人をもこう評していた。
「私程にはね」
「この世界の袁紹は思ったより有能だがな」
「袁術もそうみたいだな」
「そうね、確かに」
「ゲーニッツが言っていたね」
 一人の名前も出て来た。
「この世界に無能な者は少ない」
「確かにそう」
「むしろその方が好都合かも知れませんね」
 ここでまた声が言った。
「有能である方が」
「無能ならば何なく消える」
「しかし有能ならばあがく」
「だからこそ」
「はい、それだけ我等の糧を与えてくれます」
 だからだというのであった。
「ですから」
「そういう考えもあるか」
 考える声も出て来た。
「それも」
「そうね、それもね」
「あるよね」
 他の声もそれに頷いたのだった。
「それじゃあここは朧に任せて」
「北は」
「それで左慈は」
 この名前も出て来た。
「今は一体」
「御安心下さい。万事順調に進めていますよ」 
 一人の声がこう返したのだった。
「ミヅキさんでしたね」
「ああ、あいつだ」
「彼女も今は左慈と一緒だったわね」
「北で上手くやっておられます」
「そうか、ならいい」
「そういうことならね」
「そうです。左慈なら問題ありません」
 また言われるのだった。
「ですから」
「烏丸は小手調べ」
「今はあの三姉妹に仕込ませている」
「そして次は」
「洛陽」
 都の話もここで出て来た。
「洛陽はどうか」
「任せてもらうわ」
 あの女の声がここでまたした。
「何進は今では私を腹心だと思っているわ」
「絶対の信頼を得たのですね」
「そうよ。そしてあの宦官連中は」
「ああ、何の問題もありません」
 一人の男の声がそれはいいとした。
「あれはどうとでもなります」
「そうなのね」
「所詮は宮中に巣食う鼠に過ぎません」
 宦官達についてはこう言うだけであった。
「ですから」
「わかったわ。じゃあそれでね」
「それで御願いします。そして」
「そして?」
「今度は何だ?」
「まだあるのかしら」
「この世界の英傑達も来ている戦士達も」
 不意に話の対象を変えたのだった。
「最後には全員消えてもらいましょう」
「ええ、そうね」
「それはな」
「然るべき時に」
 これは他の声達も頷いたのだった。
「しておくか」
「そういうことね」
「さて」
 話をここでまとめてだった。
「ではまた会い」
「そして駒を置いておくか」
「今はね」
 闇の中での話だった。それが行われているのであった。それは何かしら得体の知れない邪悪さも含んでそこに強く存在していた。


第十九話   完


                  2010・6・15
 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧