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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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223部分:第十九話 劉備、張三姉妹を見るのことその九


第十九話 劉備、張三姉妹を見るのことその九

「太平要術の書があるけれど」
「あれ、凄い力があるしね」
「そうね」
「ただ」
「どうにもね」
 バイスとマチュアはここでは二人だけでひそひそと話をした。三人に聞こえないようにしてそのうえでだ。
「この三人は売れたいという気持ちは強いけれど」
「野心はないし」
「穏やかな性格だしね」
「邪気もないわ」
 少なくとも人間としては悪人ではないことを見抜いていたのだ。
 そうしてだ。二人は話を止めてそのうえでまた三人に話す。
「そういうことでね」
「いいわね、それで」
「三人共」
「うん、いいよ」
 張角がにこりと笑って答えた。
「それでね」
「ええ、じゃあ」
「それでね」
「あとだけれど」
 張角は頷いた二人にさらに言ってきた。
「二人共晩御飯は食べたの?」
「晩御飯?」
「それ?」
「ええ、それ食べたの?」
 こう問うたのである。
「それはどうしたの?」
「ええ、それはね」
「もう食べたわ」
 すぐに答えたのであった。
「だから気にしないで」
「貴女達も食べなさい」
「うん、わかったわ」
 張角は二人の言葉に納得してにこりと笑って頷いた。
「それじゃあ」
「じゃあ何食べる?」
「何処に行こうかしら」
 張宝と張梁もここで話にまた加わる。
「ラーメンがいいわよね」
「そうね。点心も」
「お姉ちゃん天津飯がいいなあ」
 張角が言うのはそれだった。
「それがいいかなあ」
「まあとにかくお店に言ってね」
「それで決めましょう」
「そうね、そうしよう」
 張角は妹二人の言葉ににこりと笑って応えた。そうしてだった。
「それじゃあ何処かのお店にね」
「行ってそれで」
「三人で楽しくね」
 三人はいつも一緒だった。それが変わることはない。しかしその裏では。
 また闇の中でだ。話をしている者達がいた。まずは一人が言った。
「北だが」
「はい、いよいよですね」
「烏丸だけでいいのだな」
 こう相手に問うていた。
「それだけで」
「はい、今はそれでいいです」
「そうなのか」
「烏丸だけで」
「今は少しずつでもいいのです」
 声は楽しげに笑っていた。
「少しずつ集めるだけで」
「戦を起こさせてそれで集める」
「怨嗟もまた」
「戦というものは我々の目的に非常に重要なもの」
 こう言って笑いもしていた。
「ですから」
「それだけではありませんね」
 女の声もしてきた。
「私が宮中に入った理由は」
「そうです、何進には気付かれていませんか」
「全く」
 女の声は楽しげに笑っていた。そのうえで言っていた。
「気付かれていないわ」
「そうですか。それは何よりです」
「ただ曹操や袁紹には嫌われているわね」
「まだ面識がないというのに」
「それでもか」
「あの二人は所詮宦官の孫に妾腹」
 二人が気にしていることを楽しげに言ってみせた。
 
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