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世界をめぐる、銀白の翼

作者:BTOKIJIN
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第四章 RE:BIRTH
  蘇る 赤銅



地形の変化した戦地。
そこから二キロほど離れた場所に、ある男がいた。


その男の足元には、何やら陣が敷かれていた。
魔法陣とも、はたまた円形のマップとも取れるようなものだ。


その図が、円形の中でボコボコと二次元上で変化して形を変える。
遠くではこの変化が、同じように起こっていた。というか、あちらが変わっているからこちらに反映されているのか。


そして、その図の上に、三つの点が。
それぞれには「Cloud Strife」「Kazuto Hongo」「Konomiti Tanasa」と人名がふられており、その位置を表していた。




「ああ、そうだそこだな。周りの大地ごと捩じって叩きつけちまえ」


指示を飛ばす男が、言葉を発する。
眼は閉じている。

だが、その閉じている瞼の裏には、位置関係だけではなく、その行動などの細かい情報も入ってきていた。



「出てきた?漆黒の方は魔法を使ってくるな。弾き飛ばせ。蒼青はたぶん隙をついて遠距離攻撃だろうから、うっすい膜でも張っとけ」

『オケー。あ、膜に引っ掛かった』

「じゃ、お返ししましょう」

『うーい』



『だゥっ!!?』

『くっ・・・・どこにいる!?』




攻略したはずの相手に、手玉に取られる二人。
その理由であるもう一人の相手が、全く見つからない。




「見つからないよなぁ・・・ククッ」

『笑ってないでよ。次は?』

「お、えっとな・・・・・・」



男の足元のマップが、また形を変える。

一人の人間を支点とした、その周囲の探索魔術。
性能は、見てのとおりである。




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森から飛び出してきた蒔風。
それをなのはが抱えあげ、ランサーが相手をはばむように立つ。

シグナム、カブトの二人も立ちはだかり、鉄翼刀を止めようと走って行った。




「紫電!!」

《1、2、3》

「ライダー・・・・」



槍薙巳(つなみ)



剣から世界の歪みが放たれて、波状攻撃がカブトとシグナムに襲い掛かる。
その攻撃に、カブトがライダーキックを中断、ハイパーゼクターを腰に装着し、ハイパーフォームになってそこから新たにキックを放った。


ハイパーライダーキックは見たままの歪みを携え、その波状攻撃とぶつかり合った。
どこからかはわからないがバチガチと弾けるやら硬いやらの音をまき散らして、両者の力は拮抗して止まってしまう。


そこから、さらに

「ハイパー・・・」

ギュルッ!!

「スクリューキック!!!」

ギャヴッッ!!!



カブトが身体を回転させ、その波状攻撃を一気に押し返した。
回転キックとなったハイパーキックが、それを霧散させる。


しかし、カブトは地面に着地するやいなやひざから崩れてしまい、迫ってきた翼刀に蹴り飛ばされた。



「天道!!」

「油断するなシグナム!そいつ・・・・意識あるぞ!!!」

「なに!?」



連結刃が舞い、翼刀を全方位から包むように襲い掛かっていく。

それを翼刀は剣を振るい、一振りで一本だけ刃を飛ばして弾き、押し返す。
その動きもまた舞いのようであり、円舞だった。


連結刃が弾かれ、シグナムがもう一度放つためにいったんレヴァンティンを戻す。


そして両者とも同じ構えを取った。
肘を引き、剣を突き出す構え。


「フンッッ!!」

「シャァッッ!!」


そして、同時に放った。
連結刃と、連続刃。


それが真正面からぶつかりあって


ガッギャッギャッッギャッギャッギャッギャッギャォッッ!!!



連続刃が連結刃の刃を、次々に弾いてシグナムに迫って行った。
しかし、シグナムもそうなることはわかっていたようである。

確かに、連結刃の刃は弾かれたらそれまでだが、相手の連続刃はいくらでも来るのだ。


だから、シグナムは連結刃が弾かれ、地面に墜ちそうになったところで、腕を振った。


ビュャオッ!!!という張りつめた音がして、落ちかけた連結刃が息を吹き返す。
縦に波打った連結刃が、翼刀に向かって迫り、その肩口を斬り裂いた。


それと同時に、翼刀の連続刃もシグナムの肩を貫き、地面に倒れ伏せさせる。


肩に穴が開くシグナムだが、肩を押さえながらもしてやったりと口が笑っていた。

「ぐッ・・・・だが、こちらも利き腕はもらったぞ!!」

「流石は本人だ・・・・・発展力が違う・・・・」


ヴァルクヴェインを左手に持ち替え、右肩を少し上げてみる翼刀。
動きはするようだが、痛みに顔をしかめる。


「洗脳が溶けてるって・・・どういうこと!?」

「それは変わらない。ブチのめして、O・HA・NA・SI して、目ェ覚まさせるだけだ。お前向きだろ?」

「なるほど!!・・・ってどういうこと?」

「さぁな」

「あとでオハナシね」

「本家の怖さに全俺が泣いた」



なのはの言葉に返し、その会話で「参ったね」と笑う蒔風。
砲撃が襲い掛かり、それを翼刀が蹴り飛ばして進撃する。



「おい、お前がいった方がいいんじゃないか?」

「ん?」


なのはを送り出し、腰を落としてしまう蒔風に、ランサーが問いかけた。

相手の力は、翼人に匹敵する。
優位性というのもあるのだろうが、それを差し引いても強者だ。

援護くらいに入った方がいいのではないか。
ランサーは言う。


しかし



「・・・・だめだな」

「?」

「俺じゃぁ役不足だ。あ、役不足の使い方って違うんだっけ?」

「知らねぇ。で、役不足ってどういうこった」

「アイツを元の道に戻せるのは、俺じゃない。鍵はある。だけど、俺には無理だ」

「鍵?」

「綺堂唯子」

「なる。だがお前さんじゃ無理ってのは」

「どうやらあいつの踏み込んだ領域は、オレじゃもう届かないってこった。それに」

「それに?」



ガォッッ、ズゴウッッ!!!



「なのはは、弱くない。俺よかよっぽど、適任さ」





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封印自体に異常はなし
面がむき出しになっているが、問題はない。


封印も強めたから、今までどおりには解けないはず。


これで解けるなら


「もう、打つ手なしじゃな」





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「・・・とでも思ってるんでしょうが、残念ですね」

ガシャ

「出来ました。さて、スイッチオン。翼刀、はじめなさい」




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「ウォおオオオオオオ!!!!」

「な、なに!?」


「くっそ!!全員上方防御だ!!降ってくるぞ!!」




翼刀の咆哮。
空に向かって突きあげられるヴァルクヴェイン。

その先から刃が一斉に射出されて行き、拡散。
傘のように広がった刃群は、一瞬中で止まってから、雨のように降り注いできた。





蒔風はエリオを引き寄せ、その体を庇うように覆いかぶさる。
その二人を足元に、ランサーがゲイボルグを振り回して雨を叩き落とした。


シグナムの元には起き上がったカブトがクロックアップし、刃をクナイガンで弾き落とした。


なのはは自前で魔法陣のバリアを展開、その刃を防ぐ。








そこから離れた、はやてや唯子の倒れる一帯。

皆の意識もまばらだが戻り、はやてに肩を資して立つ唯子が空を見上げるが、なおも展開される「林山」のバリアで守られた。







そのころ、クラウドたちは


「ダぁああ!!」

「オァッ!!」

「ゼァあ!!!」



ドゴゥッ!!ドン!!バァッン!!!




刃が降ってくることなど意識していないようで、それでいて一本も当たることなく戦闘を続行していた。

「雨」と入ったが、実際にこの刃はそんなに振ってはいない。
傘のように拡散して、そこから落ちてきただけなのだ。

だから、最初の一回だけ回避すればそれはもう大丈夫・・・・だが。







剣を振るい、押しきり、弾かれても徒手空拳で追い込んでいく。
ここまで来て、すでにクラウドや一刀は策をめぐらせて攻めることをやめていた。


つまりは、ゴリ押しである。
どうせ読まれるのであれば、対処できないほどの猛攻を叩きつけるのみ!!


「凶、斬りッッ!!」

「ウわっ!?」

ゴィン、ガァン、ギャァン!!!



「青龍ッ!!」

「ッッオ!?」

「逆鱗陣!!!」

ギャゴゴゴゴゴゴォァッ!!



クラウドの三連重撃が力場を押し込んで火花を散らし、一刀の偃月刀による回転剣舞が男と交差して、反対側に抜けていく。

その勢いに、反動で弾かれよろける相手に、クラウドと一刀が全く同じ剣を握りしめて、その切っ先を突き出して突っ込んでいった!!



「「ブレイ・・・バァッ!!!」」



二本の大剣による、一点突破突進。
よろけた体制からも、男は何とかしてそれを力場で受け止めるが、ジリジリと押し込まれている刃に汗を垂らす。



(ど、どうする!?)

『最初に突っ走りすぎたんだよ!!燃料切れだろ!?』

(だ、だって!!)

『はぁ・・・・しゃーない、じゃああれだ』

(あれは奥の手じゃ・・・・)

『今が奥の手を使うシーンだと思うけど?』

(わ、わかったよぉ!!)



口に出す余裕もないのか、頭の中で会話すませる男。
それが終わった瞬間、動いた。


「ハァッッ!!」

ギャッッ

体勢を整え、そのせいか力場が消える。
二つの刃が、男に迫る。


「ぬンッッ!!」

ガチィッッ!!



そして、男の気合いと共に、その二つの刃がまとめて拳で挟みこまれ、止まった。



「「なに!?」」



驚愕するクラウドと一刀。
その手に持つ剣が弾きあげられ


「オォお!!ダラァッ、フンッ、ハッ、セヤァッッ!!」


その胴体に男の拳と脚が叩き込まれ、地面に倒れる。



「クッ・・・こいつ・・・・」

「近接も・・・!?」

「まったくもう・・・思いこまないでよ。超能力戦士が打たれ弱いとか、徒手空拳が出来ないとかさ。ゲームのステ振りじゃないんだから」

「ち・・・・」

「じゃあ・・・これで・・・・」


止めを刺そうとする男。
しかし、その動きが止まった。



ズッッ!!!
瞬間、周囲にばらまかれていた刃が、効力を発揮したからである。





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「おグっ!?」


刃から発せられたその力に蒔風が呻き




「ぐッ・・・ァ・・・!!」

力の抑圧に、クラウドは立ち上がることが出来ず




「カハッ・・・ゥグ!!」

一刀の手から剣が落ち、それが消えて四肢が痺れる






翼刀の射出した刃一本一本から歪みが出、それが彼らの力に干渉して抑え込む。

そして、その力は大元のヴァルクヴェインへと向かい、さらに一つの機材に流れてゆく。



「翼刀一人の渡航力では、この歪みは正せません。しかし、かれは翼人三人の力を、こちらに流すことができます」

ジャコ

「そして、これで増幅させることにより、より確実に」


カチッ


「成功につながります」


ドンッッッ!!!




漆黒、銀白、蒼青、の三色が束ねられ、渦を巻いて封印面に突きささる。

封印とは、解かれてはいけないものである。
しかも、これは世界に干渉するレベルでの封印。


その衝動に空が震えて、大地がうなる。




「ついにこの時が来たんだねぇ」

男は地面に倒れる二人を目に、感慨深そうに言う。



『うちの組織最大の目標だからな』

その言葉に、別の男が通信で答え



「やりましたよ・・・・我らの終着。ここに成就せり!!」

レジェスが歓喜の声を上げ



「・・・・・・・・」

翼刀が、一言も発さずにその光を見た。






直後






パゥンッッッ!!!






歪みが正され、封印が解ける。

最悪の翼
破壊の翼人


かつて11の世界を消し去った兵器




「此処は・・・・何処ぞ・・・・・?」




赤銅の翼人が、目を覚ました。





to be continued
 
 

 
後書き

超能力戦士の名前が地味に出てきた回でした。
ちなみに名前は「多那砂 此之道」です。


そして結局復活するという。
封印の翼人は「赤銅」!!

ワー、ダレダッタカナー


というバレバレですよね



何を書けばいいのかわかりませんので、とりあえずこの辺で。


次回、赤銅の実力
ではまた次回

 
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