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世界をめぐる、銀白の翼

作者:BTOKIJIN
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第四章 RE:BIRTH
  街の終わり・情報集め



事件の翌日。

といっても正確には事件のあった晩に帰り、日が昇ってから再びやってきたのだが。





街に入った「EARTH」は、即座に調査を進めた。





蒔風たちの捕まっていた地下牢
街を囲うポールと、街の外で発見されたバリアの起動装置
男の死体、そして住人達
回路は焼けてしまったが、男の使用していたコンソールも調べている。





だが、そこから見つかったのは兵器そのものだけであり、機関に関するデータは何一つ残っていなかった。






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「この建物、見てみろ」

「どうしたの?」

「外面はしっかりとしてるが、外だけ。それじゃブロック詰んでるのと変わらん」



「この刀・・・・」

「星、触るなよ。素人が振ってなんでも斬る剣だ。達人級のお前じゃ、持った時点で斬撃が飛びそうで怖い」

「まさかそんな・・・・」

「あるんだよ」




「へぇ、これはすごい銃だね。一発が決め技クラスの威力を持ってるよ」

「当たったら一巻の終わりってことか・・・・」




手に入るのは、武器の情報のみ。
決して機関に関するものはなかった。


そして、一番目立つ「兵器」の処理に、蒔風が向かった。




「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・キツイな」



その巨人を見上げるのは、蒔風、エリオ、矢車の三人。


巨人はあの時からショートでも起こしたのか、ピクリとも動くことなく停止していた。






男曰く、これはすでに死体だ。
これからはどうあっても救えない。


悲しい哉「救えるものは根こそぎ救う」ということは、救えない者は救えないのだ。




だから、彼らはこれを処理するしかない。

このままでは腐ってしまうし、そうなってはこの地域に伝染病やらが流行ってしまう。


蒔風が「火」を居合で構えて巨人の支点になっている部分を見る。


腰のあたりの一点。
そこを崩せば、この巨人は倒れるだろう。


タンッ、と軽く跳躍して、右手でその部分に抜刀する。



「すまん」



そう一言短くいって、蒔風が切り抜く。
その部分に在った人は、見覚えのある顔。


蒔風が抜き、刀が当たろうとする、瞬間



(がはは!大丈夫だ!)



「ッ・・・・・・」


そんな声が聞こえ、蒔風が辛そうな顔をする。

そして、巨人が倒れた。
バラバラと一人一人に分かれ、地面を埋め尽くしていった。


そこから蒔風は無言だった。



土惺で地面を掘り、そこに一人一人を埋めて、木の板を立てて墓にする。




「大丈夫?・・・・何言ってんだよ・・・・・」





必要なものを持ち帰り、街は閉鎖。
もうこの街を訪れる者はいない。





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「アリス、どうだ?」

「ええ・・・・これは間違いなく翼人を抑えるための装置です」




「EARTH」の一室で、アリスが蒔風を抑え込んでいたブレスレットを調べていた。

この世界に、彼女ほど翼人に精通した者はいないだろう。


と、言っても彼女とて決して専門家ではない。
管理者ゆえに多少の知識を持ち合わせているだけだ。


「だからこれ以上のことは解らないですね・・・・」

「そうか・・・だったら他をあたってみるか」

「他、ですか?あの少女はまだ無理だと思いますが・・・・・」



街で救助されたあの少女は、今「EARTH」の保護に入っている。



あのあと時空管理局から「身柄を寄越せ」と明らかに高慢ちきな、ストーリーに出せば必ずアンチが出てきそうなお偉いさんが言ってきたが


「知るか」


の一言で蒔風がぶった切った。

あっちとしては最初の通報を聞いたのは自分たちだから、と言うらしいが今更である。


蒔風はさらに「協力する気がないのでしたらお引き取りください。なお、通報を受けたオペレーターが何らかの処分を下されたら、そちらの方にそれなりの損害が出るであろうことをここに明言しておきますね?」と言って重圧もかけておいた。
これであの人たちが憂さ晴らしで何かされることもあるまい。


時空管理局とて一枚岩ではない。
善意ある者に預けても、どこで悪意ある者に掻っ攫われるかわからないのだ。



「信頼してないわけじゃないんだけどね」とは、蒔風の談。



ちなみにこの話をしていた時、蒔風の後ろにはやてがいたのだが、しっかりとガッツポーズをとっていた。
このタヌキめ。






「あの子のことじゃない」


と、ここで話題を戻し、蒔風がアリスの返答にこたえる。
彼の頭には、何人かの心当たりがありそうだった。




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「翼人、ですか?」

「そそ、夜天の書を作った人。前に話したやん?」



そこでまず蒔風が話を聞いたのは、夜天の書の管理人格・リィンフォースだ。

確かに結構前、蒔風は彼女から翼人の話を聞いた。



「ええ、確かに夜天の書の製造者には赤色(せきしょく)の翼人がいましたね。ですが、私が知っているのはそこまでです」

「わからない?」

「すみません・・・・・夜天の書もその後何者かによって改悪されてしまったので、そこより過去の記憶が・・・・」

「あ、すまんすまん。そっか~」




そういって、蒔風がリィンフォースと別の話題を二言三言話し、次の心当たりに向かった。






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「翼人のことじゃと?」

蒔風が次に向かったのは、観測者「卑弥呼」のもとだ。
筋肉ムキムキのそっち系おじさんだが、決して悪い人ではない。


「そうじゃの。確かに知っておるぞい」

「どんな話かな?」

「前に話したのとそう変わらんよ。凶悪な翼人がおって、儂らがそれを封印した。それ以上のことはないのう」

「うぅ~む・・・・・その時翼人の力を抑え込んだりとかは、しなかった?」

「したくてもできなんだ。じゃから儂らは死力を尽くしてあ奴を抑え込み、封印したんじゃからな。その生き残りも、儂一人じゃ」


よほど昔のことなのだろう。
遠い目をして語る卑弥呼には、いつもにはない哀愁が漂っていた。


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翌日

蒔風は第三の心当たりの話を聞きに、雛見沢を訪れていた。

その相手は、古手羽入
千年の昔に、この地に流れてくる途中翼人に出会ったという少女だ。


「あぅ?翼人ですか?」

何かの罰ゲームか。
メイド服でこれからキムチの丸呑みを敢行しようとしていた羽入に、蒔風が話を聞きに行った。


「これですか?いやはや、部活で負けてしまったので・・・・」

「ってか、今日は圭一たちはいないのな」

「あぅ。受験勉強で大変らしいのですよ」


ちなみに、今蒔風と羽入がいるのは学校の校庭だ(メイド服はそのまま)

教室では梨花と沙都子が羽入を待っている。
次のゲームのために、大いに仕込みをしているのだろう。


「そうですね・・・・僕たちはある世界を追われ、追放された一族なのです」

「ああ、その角でか」

「う、ズバッと言いますですね・・・・」

「いやぁ」

「ま、その途中で僕らは力尽きようとしていました。なにぶん、放り出されるなど初めてでしたので右も左もわからなかったのですよ」

「ほうほう」

「そこで、一筋の光が僕たちを導いたのです」

「光?」


羽入が言うには、翼人を直接見たわけではないらしい。
ただ、そこには羽根が舞っていたので「ああ、翼人が助けてくれたんだ」と思っていたらしい。


「まあ、そんなことできんのは翼人くらいだけどね」

「だから僕も大したことを知っているわけではないのですよ」

「そっか~・・・・すまんな、急にやってきて」

「いえいえ。その代わり、今度シュークリームくださいです」

「ああ、今日のことを忘れられるような飛び切りの物をな」

「?」

教室に帰る羽入。

十分後、ギニャーーーーー!!という悲鳴が聞こえてきて、蒔風が敬礼してから帰って行った。



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「ダーメだ。翼人つながりからは情報なないなぁ・・・・」


食堂でグテッ、とする蒔風だが、ほかのメンバーも大体そんな感じだ。

この事件を担当しているのはあの町に言ったメンバーと、ほか数人だ。
「EARTH」全体が動き出すほどにはまだなっていない。


と、そこにはやてがやってきて「となりいい?」と聞いてきたのでジェスチャーで「どーぞ」と勧める。


「なあ、やっぱり時空管理局とやった方がいいんとちゃう?」

「やだ。あのおやじさんが出てくるだろ」

「あー、まああのおっちゃんはなぁ・・・・・」


二人が少女を引き渡せと言ってきた男を思い出し、嫌な顔をする。
あんな人もまだいるのか、と思ってしまう。


「まあその分「EARTH」だったら自由にできるからうちらも気分いいわ」

「建前とか気にしなくていいからな。あと、無茶だけはさせないし」

「うちはいいんよ?」

「お前のそういうところがだめだっての」

たらこスパゲッティをクルクルとまわしながら、蒔風がのそのそと答える。
それにたいしてはやても「まあそうやねー」と呑気に応える。

「・・・・「兵器」っちゅー面から、今シグナムとアギトが調べを回してくれとる。昨日もスカリエッティのところに聞きに行ったばかりや」

「交換条件出されなかったか?」

「いや、何も知らないからそんな話にもならんかったって」

「スカリエッティが知らない、か」

「他にもフェイトちゃんとかティアナが過去に捕まえた犯罪者とか調べたんやけど、全然や」


「そっかー・・・・ん?」

「どしたん?」

「そうひえはさ、もはて」

「食べながらしゃべらんの」

「あい(ゴクン)・・・・彼女に話は聞いたか?」

「彼女?」



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「やあ初めましてかな?マグネスさん」

「初めまして、蒔風さん。私のことはルネッサでいいですよ」

「りょーかい」



翌日、蒔風が訪れたのはルネッサ・マグネスの執務官補佐室。

直通した隣の部屋では、ティアナが他の事件の書類を読んでいる。



「いきなりの訪問すんません。そっちも事件があるというのに・・・・」

「そちらもそうなのですから、お互い様ですよ」



そんな簡単な自己紹介と会話をし、早速本題に入っていく。





「え、トレヴィアのことですか?」

「うん。考古学者だったんでしょ?しかもイクスを発見するだけの優秀な。そして、J・S事件にからもうともしていた。そっからなんか出てこないかなって」

「そうですね・・・・でもわたしはトレヴィアの仕事のことは、何も知らないんですよ」


まあ、それはそうだろう。
戦争孤児だった彼女がトレヴィアに拾われたのが子どもの頃。

十代後半にはすでにトレヴィアと別れ、管理局で働いていたらしいから、彼の仕事に関する内容は知らなくても無理はない。


だが


「むかし、彼と一緒に住んでいた場所なら、多分・・・・」

「どこ!?」

「内戦の絶えない次元世界、オルセアです。出来れば私も行ければいいのですが・・・・」

「いやいや、地図さえくれればそれでいいさ」


そういって、小さな端末で地図のデータや、諸々の必要な情報を受け取る蒔風。
よしよし、と笑顔の蒔風だが、その蒔風にルネッサが警告をしておく。


「オルセアは時空管理局の干渉を拒む地域です。いわば非加盟世界。十分気を付けてください」

「わかった」


自分も間に合えばあとから行く、と最後に言ってくれたルネッサと別れ、蒔風が部屋を出て行った。
一瞬だけ静かになって、少しだけ心配するルネッサ。


「ふぅ・・・・何事もなければいいのですが・・・・」

PiPi

「ん?どうしました?イクス」

『えっと・・・来週学校で、授業参観という物が・・・』






バンッッ!!

「ランスター執務官!!!とっとと捕まえに行きますよこのゴミ野郎を!!」

「え?ちょ、ルネ!?」

「今日中に捕まえてさっさと仕事終わらせましょう!!」

「ま、まって?まだ情報がまとまってな「ここです!!」ナンデワカルノ!?」

「カン!!」




さあ、授業参観まであと三日。
ルネッサ・マグナスの戦いが始まった。





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情報は得た。
と、言うかこれにすがるしかない。


蒔風が準備し、翌日には出かけていく。



目的地は次元世界オルセア。

内戦が今でも続く、無法地帯のど真ん中である。





to be continued
 
 

 
後書き

手がかりさがし、聞き込みじゃァ!!
足で探すのが一番でっせ!!

翼人関連からの情報は得られなかったが、兵器という面から簡単に来ました。
と、言うかこれが情報になるかまだ確定していないのですが、いちるの望みをかけてですね。





あと、何気にイクスはルネッサの元で暮らしてます。
あの後どう収拾つけたのか不思議だ・・・・・



次回、オルセアにゴー!

ではまた次回
 
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