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世界をめぐる、銀白の翼

作者:BTOKIJIN
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第四章 RE:BIRTH
  少女、脅威



少女の拳が、壁を破壊する。
少女の踏み込みが、地面に亀裂を入れる。


動き一つ一つが、空を切る。




明らかに素人ではない。





おそらくはこのバリアがなくとも手こずるだろう。
そして、それがある以上は手こずる以上に、きつかった。





「!・・・!、!」

「ふっ、ほ、せッ!!」


無言で恐ろしい突きを繰り出してくる少女を、蒔風が最小限の動きで回避していく。

最小限、と言っても紙一重すぎると勢いに巻き込まれてしまうから見た目は必要以上に回避しているように見える。



無論、その少女の首にも住人と同じような首輪がついているが、この状況で取れるはずがない。



(くっ・・・・あっちの相手は素人。武器があれば、すぐに誰か一人でもこっちに来てくれる!!)





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蒔風の考えは正しい。



現に今まで手こずっていたのが嘘のように、バタバタと刀を持った住人が倒れて行っていた。
首輪は取れないものの、簡単に昏倒される住人達は、面白いように地面を埋め尽くしていった。



残るは、あのレーザーを放つ銃を持った十人ほどだ。
正直、もう相手になどならならなかった。




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バチィッ!!という鋭い音がして、蒔風の手のひらが弾かれた。

少女の拳を受けたのだが、触れた瞬間に弾き飛ばされたのだ。




一回受けるだけで、身体が大きく仰け反っていく。

そこにさらなるラッシュを叩き込む少女の攻撃を、それでも姿勢を無理やり戻しながら受け続ける蒔風。



「つ!!おぁっ!?ウグォッ!!!!」


少女の攻撃に、とうとう蹴りが加えられてきた。

右回り蹴りに、蒔風の左わき腹がミシリ、と軋みを上げ、一気にその体が吹き飛んだ。


地面を一回はね、そこで体制を整え両手両足で着地、下に顔を向けながら踏ん張り、地面を滑る。



その勢いを殺しきった蒔風が顔を上げると、その顎に少女のアッパーが思い切り振られてきた。

顎の下に両掌を添え、それを受ける蒔風が、身体ごと縦回転して威力を殺す。


そこで少し宙に浮く蒔風に、少女の攻撃が止めど無く打ちこまれていく。
その威力は手足で弾いているにもかかわらず、蒔風の体がなかなか地面につかないほどだ。


鞭でも振っているような音が続き、ふとそこで、蒔風の腹に少女の脚がスッ、と当てられた。



「ッ!まず」


ドンッッ!!!



最初に受けたノーインチパンチ、それの蹴りが、蒔風の腹部にクリーンヒットした。
その蹴りの衝撃はその体を突き抜け、宙を奔り、その方向15メートル先にあった民家を打ち砕く。


しかし、少女の脚に引っ掛かる蒔風の体が、まるで霧でのあるかのようにユラリと消えた。
幻影だ。


少女は無感情に加え無表情だ。
だが、困惑はしているようで蹴りのその体勢のままで左右を見る。

一体どこにいるのか、と



その疑問に、蒔風の声が応えた。



「下だよ」



その声に気付いた時には、少女は下から蒔風に抱えあげられていた。
そしてそのままの勢いで、蒔風は少女を抱えたままその通りを一直線に飛んで行った。

蒔風がいたのは、蹴り上げられっぱなしの少女の脚の下だ。
そこからその片足ごと抱えあげられた彼女は、ドカドカと蒔風の背中を叩くがしかし、この体勢では威力はない。


このままでは、どこかの壁に叩きつけられる。
そう思ったのか、少女は蒔風の右脇腹に拳を当てた。


「は、踏み込みのできないこの体勢で、そんな拳が撃てっかよ!!」

ボゴォッッ!!!



そう叫んだ蒔風だが、直後にその認識を改めた。
なぜならその少女は、踏み込まずとも腕の力のみでそれを放ってきたのだから。


とはいえ、それの威力は大したことはない。
だが近距離とはいえ真横からの衝撃だ。直進する蒔風の体勢を崩すには十分だった。


少女を放し、地面を転がる蒔風は受け身を取って(あくまでこの攻撃での)傷は一つもない。



一方少女はそのままの勢いで投げ出され、全く方向を変えることなく吹っ飛び、民家に突っ込みそれを倒壊させる。



「っ~~!!」


頭をさすりながら立ち上がる蒔風。

しかし、少しの間もおかずに民家の中からは少女が立ち上がって蒔風へと突進してきていた。


「舜さん!!」



それを見て、エリオが少女へ向かっていく。

少女も迎え撃つつもりだ。
否、おそらくはエリオを轢き倒してそのまま蒔風へと向かうつもりなのだろう。



「エリオぉ!!」



そのエリオを援護しようと、蒔風が身体を横に向け、両掌を迎え合わせて上下に構えた。
その腕を突きだし、身体を横に向けてその間に雷旺を走らせる。

瞬時、エリオは理解してストラーダを振った。


蒔風のその両掌の間をストラーダが通過し、その電撃を纏ってブースターに火をつけた。
そのまま真正面に突き出されたストラーダが、少女に向かって突進する!!


「一点雷貫!!雷 旺 一 閃!!!」



ガゴォッッッ!!!!




凄まじく硬そうなそんな音がして、エリオと少女が土煙に消える。

直後に風が吹いて、それが消えたその場所には、ストラーダの先端、面の部分を上下から挟みこんで止めている少女がいた。

下から膝で、上からは肘で。
ガッツリ挟み込まれたそれは、少女の脚を地面にめり込ませ、後退させて止まっていた。



が、この槍は雷槍。
蒔風が与えたエネルギーは、突進力ではない。




バンッッッ!!!




弾くような音と光がストラーダから発せられた。

爆ぜる、弾ける。
それが雷旺の真骨頂。

少女の体はその衝撃に弾かれ後退、地面をズザッ、と滑って着地する。



そこに



《rider jump》



仮面ライダーキックホッパーが、凄まじい跳躍量で少女の真上に飛来した。


「!?」


反応する少女だが、すでに攻撃態勢は整っている。
キックホッパーが宙で一回転し、右足を突き出して少女に向かってキックを放つ。


「!!!ッッ」

「フンッ!!」



それに対し、少女は後ろ回し蹴りで迎え撃ち、キックホッパーの蹴りと激突させる。

綺麗にぶつかり合った、両者の右足。



そして、キックホッパーがベルトのホッパーゼクターのレバーを戻す。

《rider kick》

直後、タオキン粒子が右足に集結し、圧倒的な爆発力で、少女の体を地面に向けて押しつぶしていった。
ゴゴゥ!!という凄まじい音で地面を揺らし、少女がその威力から逃げようと地面を転がって受け身を取った。


が、転がった先にはもう一人のホッパーがいた。


「ライダーパンチ!!」

《rider panch》



彼女の顔面に向かって、一直線につき放たれる拳。

少女がとっさに両腕でそれを受けるが、さすがに無茶だろう。


一回、二回転撥ね、少女の体が地面を転がり、立ち上がろうとして膝がガクリと落ちた。



「流石に限界が来たようだな」


獄、圧、惺、旺、混、絶


蒔風が円を描くように両腕を降ろしていき、エネルギーをためていく。
そして片手に三つ、合わせて六つのエネルギーを握りしめ、少女のど真ん中に向かってその双拳をぶちかました。


六風波爆(ろっぷうはばく)!!!」



両手刀が両肩に

両掌底が左右の脇腹に

そして両拳が連続で叩き込まれ、彼女の中でエネルギーが渦巻いて吹き飛ばした。



その勢いの派手なこと。

少女は背中から六つのエネルギーを光として吐きだし、ぐるぐると風車のように回転しながら通りをぶち抜き、家々を破壊し、街の中心にある噴水にぶつかってやっと止まった。



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蒔風が矢車の肩に寄りかかりながら、みんなでその場に行くと、破壊された噴水はプシュー、と水を噴き出して傾いていた。

辺りは当然水浸し。
確かここは昼間に来たまつりの会場だったはずだが、到底同じ場所には見えない。


その噴水の瓦礫の中から、少女の体が出てきていた。

おそらくはここにぶち込まれたのちに這い出ようとして力尽きたのだろう。
あれだけの物を食らってまだ立とうとすることができる、というのは恐ろしい。




「終わった・・・・か?」

「でもこの街から出られませんよ?」

「それは後だー・・・・もうヤダ疲れた・・・・」




矢車、キャロ、蒔風と声を発していく。



しかし




「やーっぱダメかァ」




そんな声がして、一人の男が現れた。

一同が一斉にその声に振り向き、その顔に反応したのは矢車だった。


「お前・・・・爆発場所にいた・・・・」

「おお、仮面ライダーか?あの刀集団とのやり取りはすごかったねぇ」



その男は、蒔風の爆発場所を調べに来ていた男だった。


コイツが目の前に来ている、ということは他の人間も来ているのか。
彼の周辺には刀を持った者、銃を持った者が二人ずつ付いているが、ほかの人間の気配はしない。



「ん?ああほかの奴らは処分したよ。てんで使いもんにならないんで」



処分



男はそういった。

おそらく、深読みするべくもなくその通りなのだろう。




「お前・・・・」

「翼人に、仮面ライダーに、魔導師か。面白い組み合わせだな・・・・「EARTH」か?」

「・・・・・」





無言
蒔風たちは答えない。

しかし男はそれを肯定ととったのか、左腕の上腕半分を覆うコンソールをタタンッ、といじった。



「引き払った後にこんな上質な奴らが来て、しかもそれが初めてのお客様なんだってんだから笑える」



ゴゴン!!




そんな音がして、地面が揺れる。

しかし、男は特に驚くこともなく、さらに言葉を続けて行った。



「ここでお前ら捕まえればさ、俺の手柄になるんだよな?そいつぁさらに面白い話だ!!!」



ズゴォ!!



「あの野郎に、一泡吹かせられるってわけだ!!」





男が興奮気味に叫んだ。

直後、巨大な何かがさっきまで戦っていた通りあたりから出現し、その大きな影が蒔風たちを覆う。





小さく舌打ちをする蒔風
行くぞ、と声をかける矢車に、応える影山
後ろに手を回し、ムゥ、と唸って不快感を表すジーク
キャロをかばうようにストラーダを横に構えるエリオ





終わらない

終わらない



この街を覆う、狂気の技術は




まだ底など見せてはいなかった。






to be continued
 
 

 
後書き

と、言うわけで少女決着!!

それと同時に、この街のボス出現。

そしてその職員たちも「処分」されてしまい、すでにこの男一人なのですが・・・・・




ここから先は次回で。
次回は、この街での決着、ですかね?




また次回で!!

 
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