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世界をめぐる、銀白の翼

作者:BTOKIJIN
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第四章 RE:BIRTH
  小さな始まり


某月某日




蒔風の部屋






「うひぇ~、書類めんどい」

「とか言いながらも午前中に終わらせられる勢いじゃないですか」



いつも通りの風景。
あと三十分で午前も終わろうとするそのころに、自分のデスクに向かって、蒔風が書類仕事をしていた。


なんだか遊びほうけてばかりに見られる「EARTH」だが、これでも様々な世界に顔が効くこともあって、連日さまざまな質問や書類が送られてきている。

彼がいなくなっている間にかなり数が減ってはいたものの、それでもまだ「多い」というカテゴリーに含まれる量である。




蒔風は特に書類仕事が苦手なわけではない。
そもそもここにあるのは「報告書にまとめる」という物ではなく「内容を読んで、それに対する返答やサインする」だけなのだから、本人としては読書してるのと同じ感じなのだ。

報告書(レポート)をまとめるようなのもたまにあるが、三日に一回あればいい方だし、この仕事も嘆くほどの物ではなくなってきた、とは本人の談。



そうしていると書類の山もだんだんと小さくなっていき、ついに最後の一枚にサインをして終了した。



「あ~~、終わった」

「ご苦労様です」



ん~~!と腕を上に伸ばし、身体を伸ばす蒔風にアリスがお茶を出す。
と、そこでデスクの上にお茶を置くと、そこにはまだ一枚の書類が置いてあった。


それを怪訝そうに見るアリスだが、その視線に気づいたのか蒔風がその内容に関して説明する。



「あー、それな?小っちゃい通報があったらしいんだよ」

「小っちゃい通報?」



蒔風が言うには、というか書類にあるには



時空管理局に、一本の通報があったらしいのだ。
それは三秒しかないような、短いものだったらしい。


なにせオペレーターがそれに出て、どうしましたかと問いかけても何も返答はなく、そのままプツリと切れてしまったらしい。



そんな通報だ、おかしいと思わないわけがない。

連絡先を特定してみると、そこはある街の市役所の電話だった。
ゆえにすぐ、折り返しの電話をしたらしい。


が、今度はあっさりと電話に職員だろう男が出て受け答えしたそうだ。



そこに二言、三言交わし、結局は間違え電話だったということで、小さな笑い話になるような話なのだが・・・



「その三秒の無言電話な?こんなものが聞こえてきたんだ」



そういって、蒔風がコンソールを叩いてその音声を再生する。


《(ピッ)はい、こちら時空管理局緊急通報センターです》

《・・・・・・・・・・・・・・》

《どうしま・・・・・(プツン)切れちまったよ・・・・》




「・・・・えーと?」

「たったこれだけ。だけど、この空白の部分、音声解析してみると・・・・」



《・・・・・・・・・・・・・・》




「まだわかりません」

「じゃあ・・・」



《・・・・・・~~~・・・・・》



「? 今何か・・・」

「最高にまで上げたものが、これ」



《・・・・ゎぁぁ・・・・・・》





「あ」

「ひっじょーに小さいけどね。しかもただ騒いでるだけかもしれないってくらいの声さ」

「まああれだけじゃ・・・・大声出してるようにしか聞こえませんしね」

「そ、近くの公園で子供が大声で騒いでるのか運動会でもしてるのか、って声だろ?」

「時空管理局は?どんな見解なんですか?」

「普通に日常生活内の音だと判断したらしいよ?まあ俺もそう思うし」


本当に何でもない音なんだろう、くらいに考える蒔風がさらに言うには



「あっこさんとしてはもう話を一回つけちまったのに、また顔は出しにくいんだとさ」とのこと




時空管理局は巨大な組織である。
巨大であるがゆえに、人々の注目も多い。


こうして一つの小さな事柄でも、言葉を返せばどう叩かれるかわからないほどに。



そうでなくともただでさえ時空管理局は、数年前に上層部の隠蔽などが騒がれていたのだから、どんな小さないざこざも起こしたくないらしい。




「ま、その点オレら「EARTH」はそんなこともないしね」

「「EARTH」の方が強いという意味では強大なんですけねぇ・・・・」

「言っちまえば「EARTH」って俺の友達集団だし」

「あー、確かに」


「時空管理局って組織のこともわかってるさ。決してあっちも利用しようって算段じゃない。こうして助けあってくのも友達ってもんさ」



三提督のじっちゃんばっちゃんに心労掛けさせたくないしね~



と、そんなことを言いながら、その街の名前、地図を出す蒔風。




「と、言うわけでこればっかりは現地入りして見に行くしかないのよ」

「じゃあ誰かに頼みますか?」

「いいよ。俺も暇だし、何人か連れていくことにするさ」

「なにかあったら・・・・」

「ないない(笑) 下手すると小旅行で終わっちゃうかもしれないし」



そう言いながら「EARTH」内に残っている人間を探しに行く蒔風。
本当に適当に済ます気らしい。


ああ心配しながらも、実はアリスもほとんど同意見である。

あの程度の声なら、「EARTH」の中でだって何度も聞いてるし、街ならあってもおかしくない。



むしろあれだけの音声でいちいち動き出す人間の方が奇異だろう。



しかし「EARTH」の身としては任された懸案だし、そのままほったらかし、適当に済ますのは蒔風の心情的にすっきりしないから一応見に行く、ということらしい。




「EARTH」という組織は、一般にその存在は認知されているものの、実際のところよく知られていない組織だ。
一応治安機関、という認識はされているようだが。


我々からしてみれば、政府の組織とかでよく聞く名前やどんなことをしているかはぼんやりと分かっているが、その内容を本当に知っているかと言えばそうではない、という感覚だ。
時空管理局のように「時空世界の警察」みたいなわかりやすい実例がないのだ。


だから結構自由に動けるし、当の本人も言ってるように実際には「蒔風舜の友達集団」といってもおかしくない。


世界の管理者支援の組織とは、危ういようなバランスの上に成り立っているのだ。




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「んじゃ、行ってくるな」

「はい、気を付けてくださいね」



翌日、「EARTH」の門の前で、蒔風が数人を連れてその街に向かう車に乗り込んでいた。



メンバーはまず蒔風
後はその時「EARTH」ビル内にいて、都合のついた数名だ。


矢車想、影山瞬、エリオ・モンディアル、キャロ・ル・ルシエと小竜フリード


その五人と一匹で街に向かうらしい。




「兄貴から誘いがあったときはうれしかったぜ・・・・」

「大兄貴、俺たちに任せてくれ・・・」

「えっと・・・宜しくお願いしますね、舜さん!!」

「おねがいしまーす」

「キュックル~♪」



いつも通りの服装の矢車と影山

蒔風と一緒に行けるのがうれしいらしいエリオと、エリオに付き添いのキャロ。
その肩ら辺にはフリードがパタパタと飛んで、白い羽が二枚ほど落ちた。



なんだか蒔風寄りの人間っぽいのは気のせいである。


まあ食堂に入った瞬間に地獄兄弟の二人は蒔風が何かあると気づき話しかけてきたし、それに気づいてエリオもキャロと一緒に飛びついてきた。
なんだかんだで蒔風はおにーさんだった。



約二名は明らかに蒔風より年上だが


「気にするな・・・あくまで魂の問題さ・・・・」


らしいです







街まではかなりある。



車を三人で交代して運転し、目的地に向かう一同。


今は、そこがどんな場所かという楽しみしか、胸になかった。


疑惑など、一欠片もありはしない。




to be continued

 
 

 
後書き

こういう説明文っぽいのかいてるのたのしい。
なぜだろう、ギャグ回よりも筆が進む進む


と、言うわけで小さなきっかけからの始まりでした。



まああんな音で動く奴なんていませんよ、ホント

「EARTH」、よっぽど暇なのか



やべぇすごく「EARTH」で働きたい!!
その分、一回でメチャクチャ疲れそうだけど・・・・


エリオ君とキャロは蒔風のこと結構慕ってますからね。
こういう機会が全然なかったからうれしいのでしょう。



蒔風
「まあこれから行くわけだが・・・・なぜ羽根がある?」


え?フリードのこと?


蒔風
「そう」


そんなことは知ってる
いまさら何を言ってるのだお前は


蒔風
「コイツ・・・」


と、言うわけであれは敢えてで~す!
どういうわけかは、まあ多分あっさりわかるかと。



蒔風
「次回、街に到着」


ではまた次回

 
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