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世界をめぐる、銀白の翼

作者:BTOKIJIN
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第四章 RE:BIRTH
  遊・園・地ッ!



朝、「EARTH」にある蒔風の部屋


そこに迫る人影。



部屋の鍵を合鍵(非公認)で開き


少しだけ部屋の中を見渡して




そして蒔風の寝ている寝室に忍び込み・・・・


「舜君!!!なんで海にもお祭りにも私を誘ってくれなかったのーーーーーー!!??」



なのはがそう叫んで飛び掛かってきた。



これまで蒔風はその二か所に遊びには行っていたが、どちらもなのはは用事があったようなので声はかけていなかったのだ。

それに彼女ならば仕事をヴィータやフェイトあたりに丸投げしてでもついてきそうだったし。



まあ、はやてやスバルあたりからでも聴いたのだろう。
蒔風がそんな楽しいところに行っていたと知って、こうしてなのははやってきたのだ。

彼女も夜遅くに尋ねるのは失礼と思ったのかそれはやめ、こうして朝一で来たのだが・・・・・




ドォッッ!!!



そんな轟音と共に、蒔風の部屋の扉が外の廊下に吹き飛んで、その後になのはが転がり出てきた。

ちなみにさっきの轟音の正体は、投げつけられた目覚まし時計である。
それが扉に当たって吹き飛ばし、さらになのはが避難するように転がり出てきたのだ。



「わ、忘れてたの・・・・舜君、朝はすごい弱いから騒いだりすると・・・・」

「朝っぱらからなんですかァ・・・・・?(キリキリキリ・・・・・)」

「きゃーーーーー!!!」



なのは、これより30分の逃避行を開始する。





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「どっかいきたい?」

「うん!」



ズズ、と味噌汁をすすりながら蒔風が目の前のなのはに聞く。
今二人は食堂のテーブルに向かい合わせで座っており、朝食をとっていた。


ちなみに逃避行の方は最終的に、青龍たちがわりとマジになって止めたので、何とか大事にならなくて済んだらしい。



・・・・崩壊した壁は今、彼らが修復している。




閑話休題

話題は戻る



「まあそりゃ、俺だって遊びに行くのはやぶさかではないけど・・・・」

「じゃあ!」

「でもそう何度も行くと大変だし、何より書類がなぁ・・・」

「私と書類、どっちが大事なの!?」

「書類」



即答だった。
普段は嫌がるものの、やはりやらねばならないということは解っているのでそこは書類を選ぶ蒔風。

というか何より鬼の管理者が怖い。


まあいざという時はもちろん「仲間」である彼女を選ぶのだろうが



「ひどい!!私今までずっとあなたに・・・・あ~んなこともこ~んなことも!!」

「そんな劇的なドラマを繰り広げるようなことはし て な い だ ろ」

「あっ、イタイイタイ!頭掴まないで!!」

「それともお前の言う「あんなことこんなこと」ってのは朝っぱらから低血圧者たたき起こして存分にイラつかせることを言うんですかねェ?」

「舜君怖いよ!?はっ、これがこなたちゃんの言ってた「好きな子ほどイジめたい」っていう!?」


「こなた~カモーン」


「私にも標的が向いた!?」




梅干しの種を口の中で転がしながらなのはに説教し、こなたのドタマに軽くげんこつを落として蒔風が部屋から出ていく。



「まったく・・・俺だってできれば遊んでいたいけど、そう簡単じゃなかったり・・・・」












「え?いいですよ?最近何もないですし」

「いいんかいっっ!!!!」



「EARTH」局長室でそんな話をすると、アリスの返答はまさかまさかの「OK」だった。

蒔風がふと後ろを振り返ると、少し開いた扉の隙間からなのはとこなたとヴィヴィオが「グッ!」と拳を握っていた。



「見てんな!!」

「「「(バフォ)にゃーーー!!!」」」



その三人に蒔風がクッションを投げつけ、逃げろー!と三人が走っていく。

そんな三人に蒔風がハァ・・・とため息をつき



「じゃあ・・・ここにでも行きますかねぇ」




机の引き出しから、何枚かのチケットを取り出した。






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「ゆーーーーー!!」

「えーーーーん!!」

「ちーーーーー!!!」




うおー!とそう叫ぶのはヴィヴィオ、イリヤ、インデックスの三人。

今回ここにきているのは当然ながらまず蒔風。それになのは、ヴィヴィオ

イリヤの付き添いで士郎、セイバー、凛、アーチャー、桜

インデックスの付き添いで上条当麻である。

その少し後ろにはクラウドとティファがバイクで来ていた。




「な、なんでこんな大人数に・・・・・」

「チケットたくさんあんだもんよ。誘える人数は多い方が楽しいっしょ?」

「そうだけど~(うぅ~)」



てっきりヴィヴィオと自分と蒔風の三人で行けるものと思っていたなのはががっくりしていた。
まさかこんなに人数呼ばれるとは・・・・


「急に決まったことにしてはやっぱ人数集まってんな」

「どうするの?みんなで回るには大変だよ?」



ふむ、と考える蒔風にフェイトがヒョコ、と顔を出して聞く。

そのフェイトにうん、とうなずき、じゃあ各自自由行動で大丈夫かー?ときき、九分九厘の賛成をもらったのでそのようにした。
ちなみに反対意見は上条、士郎の


「「一緒に回ってください!!!(食費的な問題で)」」


だった。


が、ダメ。
ここは民主主義


とはいってもあまりに哀れだったので蒔風からお小遣いが出た。
多分足りないだろうけど。




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この遊園地は敷地が広い。

テーマパークの場所もあれば、少し進むとキャンプ場のような場所もあるのだ。


これだけ詰め込んで経営とか大丈夫なのかと言われそうだが、結構儲かっているらしい。







「先輩先輩!!これ!これやってみましょうよ!!」


士郎と回っていた桜が、ゲームセンターのような場所で一台の機械を指さしてぴょんぴょん跳ねていた。
その機械のタイトルは「占いマッスィ~ン☆」という怪しさ爆発のネーミングだった。



が、女子というのは往々にしてこういうのに惹かれがちであり、桜もその例外ではなかった。


「相性判別占い?」

「そうです!!やりましょうやりましょう!!」

「え?でもあっちのメリーゴーラウンドとか・・・・」

「やれ」

「はい」


一瞬桜の足元から黒いカーテンのようなものが見えたので即座に従う。

ヤダ・・・・女って怖い


その二人を見てセイバーが面白そうですねと眺めていると、イリヤが話しかけて行った。

「セイバーはいいの?シロウとの相性判断」

「私とシロウの間には信頼という絆が出来上がっていますし、私の鞘を宿しているんですから、相性もばっちりです。いまさらそんな箱にこもって測る必要もないですよ」

「ふ~ん」

「貴女はいいんですか?」

「私だって士郎の姉で妹よ?そんなもん今更・・・・」


「「ねぇ~?」」


フフン、と鼻を自慢げに鳴らして、無い胸を張るセイバーとイリヤ。
あ、無いとか言ってすみません。



そのふたりの話を聞いて、桜がグッ、と止まるが、それでも機械にコインを入れてデータを打ち込む。



「名前は・・・・」

「「衛宮士郎」と「衛宮桜」」

「なんで!?「間桐桜」だろ!?」


「生年月日は」

「知ってますよ(ピッピッピッ)」

「打つの速ッ!?」



「体重、身長、年齢・・・・」

「(ピピピピピピピピピピピピ!)」

「なんでそんな迷いなく打ち込めんだ!?しかも全部正確だし!!」



「ん、最後の質問?」


《自分たちがうまくいくと・・・・思いますか?》


「聞いちゃった!?それを測るための機械なのに、むしろそっちが聞くのかよ!?」

「YES YES YES!!」

「そして迷い無き桜さんに脱帽だぜ」



(ピロリロリン)

《検索結果が出ました!》



「お」

「あ」


《二人は良き先輩後輩でいられるでしょう!》


「まあ無難な・・・」


《逆に言えば先輩後輩以上にはなれないでしょう!!でも、人生きっといいことあるよ!!》


「ダメ出ししてきやがった!?なんだこれ!?」

「う、うえーん!」

「そして桜はガチ泣き!?」


そうして二人が垂れ幕から出てくる。

グズンと涙をふく桜をみて、セイバーは「あんな機械に桜の良さなどわからないんですよ」と慰めていた。

しかし、凛は


「・・・・・プー、クスクス」


吹いた。


それを聞いた瞬間に桜も「うがぁ!」と涙を吹っ切り、機械を指さして凛に叫んだ。


「じゃ、じゃあ姉さんもやってみてくださいよ!!」

「えー?私は士郎の師だし?いまさら測る必要もないってゆーか・・・・」

「・・・・ぁはっ、そーですよねー。姉さんじゃ触った瞬間に爆発させるだけですもんねーwwwww」


「士郎!!やるわよ!!」

「なんでさーーーー!!?」




・・・・・・・・ボンッッ!




「ゲェッフ!?爆発した!爆発した!?」

「もーなんなのよこの機械はーーー!!」




その後、その機会はアーチャーが何とかして修理したそうだ。
二時間くらい掛かったが





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ジェットコースターは、並ぶ


それはどこの遊園地でも同じなようで、このコースターも例外ではなかった。




その列の中に、クラウドとティファが並んでいた。


ティファとしてはこうしているのは本当に久方ぶりなので、クラウドと遊べて楽しいようだが、そのクラウドはというと・・・・


「ん・・・・・あそこで直滑降・・・グワッ、と回って・・・・」


コースターの写真を眺めて予習していた。

何を隠そうこのクラウド、こういうのが苦手だったりするのだ。



戦闘や移動の際ならもっと激しい動きをしたこともある。
だがそれは自分の意志だし、自分でハンドルを握っているから大丈夫なのだ。


ジェットコースターとかでのあの「内臓が浮き上がる感じ」がダメらしい。




だからこうしてコースターがどの順でどうなるのかを頭に入れ、楽しむための予習をしていたのだが・・・・


「室内コースター・・・・だと!?」


そう、二人が並んでいるのは巨大なドームの中を走るジェットコースター、つまりは室内コースターだ。

だからクラウドはそこら辺のパンフレットを見て必死になって予測していた。


これでは最後までどんな行き方をするかわからない。

前にシューティングコースターというゲームはやったことがあるが、おそらくあれ以上だろう・・・・



と、そこで後ろからクイクイ、と服を引っ張られた。



振り返ると、そこにはインデックスがいて、一緒に上条も列に並んでいるではないか。

今まで気づかなかったが、彼らも並んでいたのだ。



「緊張してるの?」

「あ、ああ・・・・ちょっとな・・・」

「だったらいいこと教えられるかも」


「何!?」



インデックスの言葉に、クラウドがわりとマジな目になって肩を掴む。

はたから見れば危ない人である。



「教えてくれ。コースターの形か?今からこの列を抜け出す方法か?」

「「人」って掌に書いて飲むと落ち着くらしいんだよ♪」



プラシーボ効果狙いだった。

が、その言葉にクラウドがそれだ!!!という顔をして、猛烈な勢いで掌に「人」と書いては飲みこみ書いては飲みこみを始めたではないか。



しかし時は遅かった。
そうし始めて五分くらいで


「次のお客様はこちらへどうぞ~」



案内のお姉さんにコースターへと連れられて行った。

しかも一番前。


「・・・・・・・!?」

「やったぁ!わくわくするねクラウド!!」

「そ、そうだなティファ・・・・」

「このコースター、落下個所が25か所もあるんだって!!」

「そ、そそそ、そうなのかティファ」

「しかもその内側の角度、90度よりも全部小さいんだって!!」

「そうなの!?」

「しかも時速は50を下回らないって・・・・どこに行くのクラウドッ!!(ガシッ!)」

「ト、トイレだ!!そうだ!!こんなものに乗ったら大変なことに・・・」

「長い列だからって最初に行ったでしょ?」

「ぅ・・・・」



ガコン、ゴンゴンゴンゴンゴン・・・・・



「ウォァァァアアアアアアアアアアアアああああアアアアアアア・・・・・・・・・・・!!」

「キャーーーーーーーーー!!♪」



「あぁぁぁあああああッッ!!・・・・・・・・・・」




と、ここでクラウドの声が途切れて静かになる。


「クラウド?クラウドーーーーーーー!!!」



白目、泡吹き、ぐったり



彼ほどこの三拍子の合わない男はいまい。


そしてその三拍子が見事にそろっていた。





パシャパシャ




降りた後、ティファに介抱されるその珍しい彼を、上条がケータイで激写していた。

インデックスなんかは木の枝でつついていた。




五分後、目覚めたクラウドは記憶がすっ飛んでいたらしいが、ティファの斜め四十五度チョップで目覚めたらしい。
よかったよかった。


よかったのか?



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「イヤだ!!行きたくない!!」

「なーんーでー?」



蒔風が叫ぶ、なのはが引っ張る。



そこは特に人の並びが激しいところではない。
しかし、彼にとっては鬼門もいいところだ。



「舜君、幽霊もお化けも大丈夫でしょ!?」

「ああ!墓場でも夜の病院でも行ってやるし、そんなもん出てきたら殴って追い返してやる!!だけどお化け屋敷とかはダメなんだ!!作り物って駄目なんだ!!ビックリ系はマジで心臓に悪いから!!」



そう、お化け屋敷である。タイトルは「走馬灯への誘い」
ガチである。



なのはとしては「きゃー!」とか行って蒔風に抱き着こうとでも考えていたのだろうが、当の蒔風の方がガチで怖がっている。
というか嫌がっている。



が、ヂャキンと背中からレイジングハートを構えられては蒔風ももう何も言えない。

と、いうかこの先の恐怖より、目先の恐怖の方が大きかったらしい。



ヴィヴィオと一緒に、なのはと蒔風がその扉を開く。






「くっそぅ・・・こういうビックリ系は苦手なんだよぉ」

「どこから来るかわからないと身構えちゃうんだっけ?」

「ああ・・・・しかも俺、こういう小っちゃい恐怖にはめっぽう弱いからさぁ・・・」


ビクビクと身構えながらも、先へと進む蒔風。

と、道の脇に井戸を発見。
そのあからさまな置物に、蒔風もなにが来るかわかったようで、少し表情に余裕が出てきた。


「これあれだろ?井戸の中からいきなり人が飛び出してくるやつだ。はは、わかっちまえば・・・・・」


(井戸の手前の地面からドバッ!!)《ギぇェェェエエえええええ!!!》

「うぎゃアアアアアアアああアアアアアアア!!??」



その余裕の儚いことと言ったら。


余裕ぶって近づいた蒔風の足元からゾンビが飛び出してきて、蒔風の心臓が跳ね上がった。

そしてズザザザザザザ!!と後ずさり、なのはのもとへと帰っていく。


「いいい、行こう!!こんなのとっとと終わらせるんだ!!」

「「はーい」」



自分の身体をなのはで隠すようにして先に進む蒔風。

ビクビクする蒔風になのははとてつもなく満足だったが、ここはお化け屋敷、そうおとなしく終わるわけもない。



突如としてバーーーン!!という大きな音がして扉が閉まり、蒔風がビックリしてなのはの腕をつかむ。
が、そのあとは幽霊らしいのがユラユラ出てきただけだったので、何とかそれ以上はパニくらない蒔風。



(本当にビックリさせられるのが苦手なんだね・・・・・)


その蒔風を見てなのはは少しかわいそうに見えたが、そんな理性は二秒で消し飛ぶこのシチュエーション。
蒔風がしがみついてて、なのはがハァハァしてます。


と、そこでヴィヴィオがコテッ、とこけてしまった。
足元も暗いし、まあそれは珍しくはない。

そのヴィヴィオに蒔風が「大丈夫か?」と手をさし延ばす。
その手を普通にヴィヴィオがとって、よろけながら立ち上がった。


「おいおい、よろけてんぞ大丈夫か?」

「うん・・・えっと・・・暗くて見えないの」

「ん?ああ、おばけ屋敷だからな」

「そうじゃないの」

「? どういうことだ?」


「私の・・・私の・・・・」

クルッ!!



( ●Д●)
「私の目玉が落っこちちゃったんだーーーー!!!(両手を差出し、掌の上の目玉を見せながら)」

「ギャアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」




いきなり叫び、しかも両手に左右の目玉らしきものを乗せたヴィヴィオが蒔風に迫る。
しかもその目の合った場所には暗い穴があり、そこに目玉が入っていたのかと思わせた。


それを見た蒔風はダッシュしてその場から逃走を始める。
しかし今この部屋は密室で、いまだにホログラムの幽霊によるお披露目が続いていた。


逃げられない



振り返るとそこには「ア゛~~~~!!」と叫びながら走ってくるヴィヴィオ。


「開けて開けて開けて開けてかけたテサセダシツカラステッ・・・・・・・(カクッ)」


そこで蒔風が静かになって地面に座り込んだ。
真っ白に燃え尽きていた。



「ヴィヴィオ、そのおもちゃどこにあったの?」

「お化け屋敷の前の売店ー♪」


と、目から黒い丸のシールを取って、目玉の模型をポケットに押し込みながらヴィヴィオがキャッキャと答えた。

なのははというと、その話をしながら蒔風に抱き着き、座り込み、撫でまわして堪能してから肩を抱えて一緒に出口へと向かった。



一番の敵はヴィヴィオだったという件




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クラウドがお返しだと言わんばかりに高速・・・・否、猛烈な勢い、略して猛速でコーヒーカップを回してティファの目を回しているころ。


「悔しくなんかない悔しくなんかない悔しくなんかないからな!!!」



そう叫びながら、蒔風がキャンプ場でカレーを作っていた。
玉ねぎ、ニンジン、鶏肉と、スタンダードなカレーである。



焼き、ルーを煮込み、灰汁を取り



「わーーー、舜君って料理出来たんだ!」

「まあカレーだけですけどね!!」


バラバラバラ!!



そう言いながらもスパイスをどんどん入れていく蒔風
カレー、というか辛味に関しては壮絶なこだわりを見せる蒔風

というか入れる量多くないか?蒔風

最終的に食べれる人いるのか?蒔風!!



ボチャン



今何か真っ赤なから揚げが投入された気もするが、大丈夫なのだろうか?




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30分後






「おごォォォォォォオオオオ・・・・・・」

「ひぃぁ・・・・・・」

「ッ!っ!!!!・・・・ッッ!!」

「(ビクンビクン!!)」



真っ赤な唐揚げ「地獄唐揚げ459号」投入のカレーを食べ、皆の意識が吹き飛んだ。

カレーの色も赤茶けた赤銅色になっている。



蒔風はというと、その場から逃げだしていた。



だってそりゃそうだろう。

作り終わって「ふぅ~」となって、みんなが「いただきま~す!」となって口に頬張った瞬間に



「ガァァァアアアアアアアアあああ!!」とか言いながらのたうちまわったのだから。
ちなみに上記の叫びはヴィヴィオのものである。

彼女でこれなのだから、他の者の叫びは断丸魔のものどころではなかっただろう。


蒔風は直後にダッシュして逃げた。


「何故か」とかの意識はなく、何となくここにいてはまずいと思ったのだ。




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その数分後



遊園地のベンチに疲れ切った蒔風とクラウドがぐったりと座り込んでいた。


蒔風は後ろに頭を上げ、上を向くようにして「アがー」と
クラウドは腿に肘を乗せて、うつぶせのように


そして同時に「ハァー」と吐きだし、重い溜息をついた。




「・・・・いい天気だな・・・」

「そーだなー・・・・」

「今日は疲れた・・・・・」

「ああ・・・・・・」

「このまま帰らない?・・・・」

「いや、それはさすがに駄目だろう・・・・」




「・・・・・・」

「・・・・・・」





・・・・・・・





「・・・・・なぁ」

「なんだ」

「何か言うたびにさ」

「ああ」

「「オレの」ってつけると何かエロくねぇ?」



・・・・・・・・・



「たとえばバスターソード」

「・・・・俺のバスターソードで・・・・」


「・・・・・プッ」

「プフッ!」


「オレの十五天帝がお前を貫く!!」

「フハッ!」


「オレのフェンリルが突っ走るぜぇ・・・・」

「タハッ!!」



「ギンガを貫く伝説の刃!」

「ちょ、やめろそれギンガマンwwww」

「しかも具体性ありすぎwwww」




「その妄言(幻想)をブチ殺す!!」




ゴン、ゴン!!




そんなくだらない会話をしている二人に、上条のゲンコツがお見舞いされた。


どうやらあの激辛から何とかして回復し、二人を探してきてこんな会話を聞いたのだろう。
まあそりゃ殴りたくなる。



頭から「シュー・・・」と煙を上げ、二人の翼人がぐったりとする。



そうさ・・・

きっと・・・・



疲れてたんだよ・・・・・




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「んぁ~~~~!!みんないるかー?」



そう言って、蒔風が遊園地の出口で点呼をかける。


みんな疲れているものの、なにはともあれ今日は楽しかったようでみんなの顔には笑顔がある。

特になのはは満足したようである。



まあクラウドと蒔風の疲労感は言うまでもないが。




「やあみなさん!僕の遊園地はどうでしたか?」


そこに一人の少年が現れて、蒔風に挨拶してきた。
蒔風はその少年を知っていた。


「お前・・・・」

「ギルガメッシュ!?」


そこには少年姿のギルガメッシュがいた。

話に聞くと彼はこの遊園地のオーナーで、大抵のアトラクションは彼の考案らしい。




なるほど
彼には「黄金律」という生まれながらの特性があり、絶対に金には困らないということが約束されている。


これだけ無茶な遊園地を経営しても破綻しないというのは、そんな奇跡ともいえる力のうちだからである。



と、そんなギルガメッシュが蒔風やクラウドに意気揚々と自慢してきた。



「いやぁ、あのジェットコースターすごいでしょ!あれだけのものを室内のものにしたのは大変でしたよ~」

「おばけ屋敷もすごかったでしょ!!一緒に行く人にアイテム渡して「驚かせちゃおう!」っていうのは最高だったでしょ?」


「「お前が犯人かー!」」


ドリュッ!



その言葉を聞いて、蒔風とクラウドのコークスクリューが小ギルを吹っ飛ばした。

スポーン、と



「「俺たちの休日ぅ~~~!!」」



翼人が二人泣く



休日に 遊びに行こうと 連れ出され
 疲れるばかりの 遊園地かな
                字余り






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「・・・・変な通信?」

「はい、とある街からなんですけど・・・・」

「どんなだ?」


「それが・・・受信はしたんですけど、三秒後には切れてしまったんですよ。その後連絡してみても何事もなかったように返事されましたし・・・・」


「じゃあ何もなかったんだろ?間違え通報かいたずらだろーよ」

「でも気になるっていうか・・・」



「だったら、あそこに回せばいーだろ」

「あそこですか?」




「「EARTH」に、な。街から音声から、データ全部送っとけ。あそこなら俺たちにわからん何かを掴むかもしれんしな」




こうして、また「EARTH」に一つの事件が持ち込まれる。




物語は、始まる。





to be continued
 
 

 
後書き

ああ、クラウドはどうしたああなった。
ジェットコースターに弱いのはオリジナル設定です。



蒔風
「どうやら次回から事件が始まるようですな」


そうなります。
次回はそこの説明と、調査に向かおうというところになりますね。



蒔風
「次回、俺にとってはひっさびさの事件になーる!」


ではまた次回

 
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