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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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170部分:第十五話 黄忠、思わぬ仕事をするのことその七


第十五話 黄忠、思わぬ仕事をするのことその七

「策姉様と権姉様もいるし」
「どうも姉二人の教育に問題があるみたいだな」
「そうみたいですね」
 馬岱が関羽の言葉に応えて言う。
「甘やかしているな」
「その張昭さん達に任せた方がいいと思います」
「勝手なこと言わないでよ。あんな怖いの二人にいつも傍にいられたらたまったものじゃないわ」
 孫尚香はそのことは全力で嫌がった。
「もうね。口煩いったらありゃしないんだから。シャオは野原とかで虎とかパンダと一緒にいたりする方がずっと好きなのよ」
「野生児なんですね」
「何か鈴々と似てるのだ」
 孔明と張飛がこう思った時だった。その時だ。
 上で目が光った。そうしてだ。
「!?」
「あれは」
 烏が来た。そして孫尚香がまだその手に持ってみせていた髪飾りを取って行った。それはまさに一瞬のことだった。
「えっ、何よいきなり!」
「烏かよ」
「うっかりしてたらね」
 馬超と馬岱がその烏を見て言う。
「光るもの好きだからな、烏は」
「どうする?捕まえる?」
「何なら扇放つわよ」
「ママハハに行ってもらいますか?」
 舞とナコルルが名乗りを挙げる。
「今なら間に合うけれど」
「どうしますか?」
 こう申し出たその時だった。不意にだ。
 烏が飛んで来たその建物の二階からだった。不意に何かが飛んだ。そうしてだ。
「外した!?」
 関羽が思ったその瞬間にだ。弓矢が烏を掠めてだ。それで気絶させたのである。
 急所を掠められて気絶した烏はそのまま落ちた。髪飾りは彼が持ったまま孫尚香の手に落ちた。孫尚香はそれで髪飾りを取り戻したのである。
 それを手に持ってだ。彼女は笑顔になった。だが烏はすぐに意識を取り戻し飛び去ってしまった。
「ちょっと、謝りなさいよ!」
「それは無茶よ」
 馬岱が文句を言う彼女に言う。
「幾ら何でもね」
「何でよ」
「烏に人間の言葉がわかる筈ないじゃない」
「ナコルルのママハハはわかってるじゃない」
「一緒にしないの、ママハハと」
 こう孫尚香に返すのだった。だが何人かは気付いていた。
「今のは」
「ああ、そうだな」
「わざと掠めたわね」
「それで烏を殺さずに」
 ナコルルの言葉にキングも舞も香澄も真剣な顔で応える。
「あんな弓の腕を持っている人は」
「まずいないね」
「神技ってところね」
「はい、本当に」
「愛紗、あれは」
「そうだな」
 関羽はその窓を見ながら張飛の言葉に頷いていた。二人も真剣な顔だ。
「相当な手繰れだな」
「あそこまでやれる奴はそうはいないのだ」
「天下に五人いるかどうかだな」
「そこまでの腕だよな」
 趙雲と馬超もその窓を見ていた。
「あそこまでの弓の腕はな」
「その域だよな」
 彼女達にはわかることだった。そこまでのものだった。
 だがとりあえず今は落ち着くことが必要だった。一行は孫尚香が見つけてきた店に入ってである。それで昼食を採るのだった。
「美味しかったですね」
「はい、本当に」
「そうでしょ?だってシャオが見つけたお店なんだもん」
 その孫尚香が明るい笑顔で孔明とナコルルに話していた。
「美味しくない筈がないわ」
「直感でわかったんですか?」
「それは」
「ああ、匂いでわかったのよ」
 それでだというのだ。
 
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