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英雄伝説~灰の軌跡~

作者:sorano
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外伝~メンフィル・エレボニア戦争の和解調印式~ 第1話

12月9日、同日:9:00――――



七耀歴1204年――――師走。メンフィル帝国の依頼を請けたリベール王国にてメンフィル・エレボニア戦争の和解調印式が始まった。



西の大国、エレボニア帝国からはアルフィン皇女とまだ、公式の交渉の場に参加した事がないアルフィン皇女の補佐役としてリベール王国の王都グランセルに存在するエレボニア帝国の大使館に務めているエレボニア帝国の大使―――ダヴィル・クライナッハ男爵――――



異世界の大国、メンフィル帝国からは現メンフィル皇帝にしてリウイの息子であるシルヴァン・マーシルン皇帝とシルヴァンの側室の一人にしてシルヴァンを守護する親衛隊を率いている3人の将軍―――”皇帝三軍将”の一人―――”魔道軍将”セシリア・シルン――――



調印式が行われる中立国であるリベール王国からはアリシア女王に加えてクローディア王太女――――



かつて”百日戦役”の仲裁もした事がある遊撃士協会からはグランセル支部の受付エルナン―――



そして七耀教会からはグランセル大聖堂を取り仕切るカラント大司教――――



様々な勢力からの代表者達が集まる会議室をリベール王室親衛隊隊長ユリア・シュバルツ准佐率いる親衛隊とリベールの英雄――――”剣聖”カシウス・ブライト准将自らが警護している中、アルフィン皇女はシルヴァンとの和解交渉に挑もうとしていた。





~グランセル城・会議室~



「―――これよりメンフィル・エレボニア戦争の和解交渉並びに和解調印式を始めさせて頂きます。議事進行は僭越ながら私、クローディア・フォン・アウスレーゼが行わせていただきます。会議は一度休憩を挟んで、約4時間を予定しております。ただし進行次第では多少の延長はありえますのでよろしくご了承ください。それと―――会議に際して2名のオブサーバーに参加してもらっています。遊撃士、シェラザード・ハーヴェイ並びにアネラス・エルフィード。遊撃士協会と言う中立的立場から本会議の安全を保障してもらうため、参加を要請しました。」

「遊撃士協会ロレント支部所属シェラザード・ハーヴェイです。以後お見知りおきを。」

「え、えっと、同じく遊撃士協会ボース支部所属アネラス・エルフィードです。本日はよろしくお願いします!」

クローディア姫に紹介された銀髪の女遊撃士―――シェラザード・ハーヴェイと女剣士の遊撃士―――アネラス・エルフィードはそれぞれ軽く会釈をして名乗った。

「おお……御二方とも2年前このリベールの地にて起こった”異変”の解決に貢献した遊撃士の方達でないですか。これは心強い。特にシェラザード殿はオリヴァルト殿下やクローディア王太女殿下と共にかの”白き翼”で浮遊都市に乗り込んだと聞き及んでおります。」

「え………では貴女がオリヴァルトお兄様のお話にあったお兄様と”運命の赤い糸で結ばれた女性”ですか?」

シェラザード達が自己紹介を終えるとダヴィル大使は安堵の表情で二人を見つめ、ダヴィル大使の話を聞いて一瞬呆けたアルフィン皇女は興味ありげな様子でシェラザードを見つめ、アルフィン皇女の発言を聞いたその場にいる全員は冷や汗をかいて脱力した。

「………あのスチャラカお―――いえ、オリヴァルト皇子殿下が皇女殿下にどのような話をしたかわかりませんが、2年前にオリヴァルト殿下がお忍びでリベールを旅行していた際知り合い、その後様々な奇妙な縁によってオリヴァルト殿下達と共に”リベールの異変”解決の為に浮遊都市に乗り込んだ事は事実です。(祖国の存亡がかかっているのにその場にいる全員が脱力するような発言ができるなんて、あのスチャラカ皇子の妹だけはあるわね………)」

「ア、アハハ………」

(というか実際の所はどうなのか、私やエステルちゃん達も本気で気になっているんだよねぇ。)

アルフィン皇女の問いかけに対してシェラザードは疲れた表情で答え、クローディア姫とアネラスはそれぞれ苦笑していた。

「―――リベールの”英雄”と王室親衛隊に加えてペテレーネの愛弟子でもある”嵐の銀閃”とリィンと同じ”八葉一刀流”の剣士にして”剣仙”の孫娘か。会議の安全保障のメンバーとして文句のない顔触れだな。”激動の時代”である今この時に和解調印式の為だけにこれほどの人材を集められるとはさすがは”不戦条約”を提唱したリベールと言った所か。」

「……恐縮です。―――それではシルヴァン陛下、メンフィル帝国がエレボニア帝国に要求する和解条件の提示をお願いします。」

シルヴァンの賛辞に対して謙遜した様子で答えたアリシア女王はシルヴァンに続きを促した。

「―――了解した。セシリア、”和解条約書”を全員に渡してくれ。」

「かしこまりました、陛下。」

シルヴァンに視線を向けられた瞳の色と同じ緑の髪を腰まで届く長髪と落ち着いた美貌を持つ女性―――セシリアは頷いた後鞄の中から取り出した書類をアルフィン皇女達に配り、アルフィン皇女達は配られた書類に目を通し始めた。



「………………なっ!?」

「そ、そんな…………」

「これは…………」

書類の内容に目を通したダヴィル大使は声を上げて驚き、アルフィン皇女は表情を青褪めさせ、アリシア女王は真剣な表情をした。





『メンフィル・エレボニア戦争の和解条約』





1、貴族連合軍の”主宰”であるカイエン公爵並びに貴族連合軍の”裏の協力者”――――結社”身喰らう蛇”の第二柱―――”蒼の深淵”ヴィータ・クロチルダの身柄をメンフィル帝国に引き渡す事



2、アルフィン・ライゼ・アルノール皇女はメンフィル帝国が指定する人物に嫁ぐ事



3、クロイツェン州全土とラマール州全土、残りの”四大名門”の本拠地、そしてノルティア州とサザーラント州からはメンフィル帝国が指定する領地の統治権、”ザクセン鉄鉱山”の所有権をメンフィル帝国に贈与する事



4、メンフィル帝国に贈与した元エレボニア帝国領地に住んでいる貴族達は”アルゼイド子爵家”のような貴族連合軍に加担していない貴族以外は全てメンフィル帝国への帰属を許さない。よって贈与された元エレボニア帝国領内に引き続き住むのであればメンフィル帝国は爵位を剥奪して”平民”に落とし、貴族としての”爵位”を維持し続けたい場合はエレボニア帝国が引き取り、エレボニア帝国領内に住まわせる事



5、エレボニア帝国内戦の終結方法をメンフィル帝国に委任する事。また、リィン・シュバルツァーに適した”騎神”を見つけた際はリィン・シュバルツァーに贈与する事を認める事



6、”百日戦役”の”真実”―――――”ハーメルの惨劇”を世界中に公表する事





なお、第一、二、三、六条の実行までの猶予期間はエレボニア帝国内戦終結から1ヵ月以内とする。万が一、内戦終結から1ヵ月以内に行わなければメンフィル帝国は強制執行をする





「こ、この条約は……!?」

「予想はしていましたが………この条約を全て実行すれば、エレボニア帝国は内戦が終結しても再び混乱に陥る事になるでしょうね………」

条約内容を読み終えたカラント大司教が驚いている中エルナンは重々しい様子を纏って推測を口にし

「何だ、この滅茶苦茶な内容の条約は!?―――シルヴァン皇帝陛下!確かに今回の貴国との戦争に対する全面的な非は我が国にありますが、幾ら何でも理不尽すぎではございませんか!?」

「”中立の立場”としても言わせて頂きますが………―――シルヴァン陛下。この条約内容のどこが”和解条約”なのですか?この条約内容ではエレボニア帝国がメンフィル帝国に隷属したも同然の内容と思われるのですが。」

ダヴィル大使は厳しい表情で声を上げた後シルヴァンに反論し、ダヴィル大使に続くようにアリシア女王は厳しい表情でシルヴァンに指摘した。

「フッ、”理不尽”?先に言っておくが、これでも父上達の口添えによって相当”譲歩”し、この条約内容になったのだが?」

「それに確かに条約内容でエレボニアの領地をメンフィルに贈与する内容がありますが、”エレボニア帝国自身の統治権並びに治安維持権”は要求しておりませんから、”隷属したも同然の内容”という女王陛下のお言葉は間違っていますわ。」

二人の指摘に対してシルヴァンは不敵な笑みを浮かべて答え、セシリアは静かな表情で答えた。

「”譲歩”して、この条約内容ですか………」

「メンフィル帝国はそれ程までにエレボニア帝国の”ユミル襲撃”の件に対して、怒りを抱いていると言う事ですか……」

二人の答えを聞いたエルナンとカラント大司教はそれぞれ重々しい様子を纏って答えた。



「……クローディア、議事進行を続けてください。」

「あ……はい。――――シルヴァン陛下、まずは貴国が提示した和解条約について第一条から順番に説明して頂いてもよろしいでしょうか?」

アリシア女王に続きを促されたクローディア姫は頷いた後シルヴァンに問いかけた。

「ああ。まず第一条についてだが……今回の戦争勃発の原因の一端は言うまでもなく貴族連合軍が担っている。よって、貴族連合軍の総責任者―――”主宰”であるカイエン公爵にも当然責任を取ってもらう必要がある。」

「…………………」

「そ、それは………その、シルヴァン陛下。メンフィル帝国に引き渡された公爵閣下はどうなるのでしょうか……?」

シルヴァンの説明を聞き、自分も戦争勃発の原因の一端を担っている事を理解していたアルフィン皇女が表情を青褪めさせて身体を震わせている中ダヴィル大使はある事が気になり、シルヴァンに訊ねた。

「当然”処刑”です。なお、”蒼の深淵”については利用価値がある為、メンフィル帝国に忠誠を誓うのであれば、処刑を取りやめ、ある程度の自由を認めて償いの機会を与える事は考えております。」

「……七耀教会として質問があります。何故”蛇の使徒”には償いの機会を与え、カイエン公爵については償いの機会を与えないのですか?片方には償いの機会を与え、もう片方には償いの機会すら与えないとは罪人の扱いとしてあまりにも不公平ではないでしょうか?」

セシリアの説明を聞いてある事が気になったカラント大司教はシルヴァン達に訊ねた。



「”蛇の使徒”の件はあくまで”メンフィル帝国に忠誠を誓った場合のみ”だ。メンフィルに隷属する意志がないのであれば、カイエン公共々処刑する。それにカイエン公はエレボニア皇家―――いや、エレボニア帝国に対して反乱を起こした”首謀者”にして我が国との戦争勃発を回避する意志を見せなかった”戦犯”。そのような愚か者はメンフィルは当然だが、エレボニアでも”極刑”の判決が下されて当然の存在なのだから、償いの機会を与える余地もない。我が国との戦争はともかく、内戦に巻き込まれたエレボニアの民達の中から多くの犠牲者が出ているのだからな。」

「それは…………」

しかしシルヴァンの正論に対する反論を持ち合わせていないカラント大司教は複雑そうな表情で黙り込み、その場は一瞬静寂に包まれた。

「………アルフィン皇女殿下。第一条について質問や反論、条件緩和の嘆願等はございますでしょうか?」

「……特にありません。第一条についてはエレボニア帝国としても異存はございません。」

「殿下、本当によろしいのですか?第一条をそのまま呑めば、”カイエン公爵家”を完全に敵に回してしまう事になりますぞ……?例え現当主である公爵閣下をメンフィルに引き渡したとしても、跡継ぎであるナーシェン卿が父君を生贄にした皇女殿下―――いえ、”アルノール皇家”を許さず、内戦が終結しても再び内戦が勃発する原因を作ってしまう可能性が出てくると思われるのですが……」

クローディア姫の問いかけに頷いたアルフィン皇女にダヴィル大使は心配そうな表情で問いかけ

「それは………」

「―――その心配は無用だ。」

ダヴィル大使の忠告を聞いたアルフィン皇女が複雑そうな表情をしているとシルヴァンが横から口をはさんだ。

「え………それはどういう事でしょうか?」

「カイエン公爵の息子、ナーシェン・カイエンなら昨日行われた”オルディス制圧作戦”にて我が軍に討ち取られ、戦死している。」

「!!オルディスまで既に落ちていたのか………」

「何ですと!?」

「そ、そんな……!?それじゃあオルディスまでメンフィル帝国に占領されていたのですか……!?」

シルヴァンの口から語られた驚愕の事実にカシウスは目を見開いた後厳しい表情で呟き、ダヴィル大使は驚きの声を上げ、アルフィン皇女は表情を青褪めさせた。



「……シルヴァン陛下、一体どういう事ですか?貴国は12月6日に我が国にエレボニア帝国との和解調印等を依頼しました。なのに、和解の依頼をして以降エレボニア帝国の侵略を続けるなんて、貴国の依頼と行動は矛盾していますが。」

その時アリシア女王は厳しい表情でシルヴァンに問いかけ

「確かに和解の依頼はしたが、”和解調印式までエレボニア帝国の侵略を中止する”とは貴国に依頼をした父上――――リウイ・マーシルン大使は一言も口にしていないはずだが?」

「なっ!?お言葉ですがシルヴァン陛下の仰っている事はただの屁理屈です!そもそも手柄をあげ、”褒美”としてエレボニア帝国との和解を望んだリィン・シュバルツァーさんの意志も無視しているではありませんか!」

シルヴァンの答えを聞いたクローディア姫は驚いた後怒りの表情で反論した。

「リィン・シュバルツァー自身、例えメンフィルがエレボニアとの和解をするにしても”オルディス制圧作戦”を中止する事はできないと先に伝えてその事に了承している所か、”オルディス制圧作戦”にも自ら参加し、彼が率いる小部隊が先程話にあったナーシェン・カイエンを討ち取るという手柄をあげている。」

「そ、そんな………」

「………………」

「……………あの。確かカイエン公にはナーシェン卿の他にもご息女が二人いらっしゃいましたが、その方達はどうなったのでしょうか……?」

シルヴァンの説明を聞いたクローディア姫は悲痛そうな表情をし、アリシア女王は重々しい様子を纏って黙り込み、複雑そうな表情で黙り込んでいたアルフィン皇女はシルヴァンにある事を訊ねた。

「カイエン公の娘達――――ユーディット・カイエン嬢は妹のキュア・カイエン嬢と共に”オルディス制圧作戦”の際、投降を申し出た事に加えて、オルディス襲撃を知った援軍の貴族連合軍の降伏の貢献をした為、現在は見張り兼護衛の兵付きでオルディス内を自由に動き回っている。」

「なっ!?カ、カイエン公のご息女であるユーディット嬢が貴族連合軍をメンフィル軍に降伏させたという事は真ですか!?」

「ああ。ユーディット嬢の主張によると貴族連合軍の主宰―――カイエン公爵の爵位並びに当主の座は”カイエン公爵家”が既に剥奪し、現在はユーディット嬢が”カイエン公爵家当主代理”を名乗っている。」

「なお、”カイエン公爵家”の次期当主はキュア・カイエン嬢の為、彼女がカイエン公爵家の当主として相応しい者に成長するまでの間はユーディット嬢がカイエン公爵家の当主代理を務めるとの事です。また、既に御二方からも既に父君である”カイエン元公爵”がメンフィルに引き渡され、処刑される話を伝えた際、”父の処罰についてはメンフィル帝国の判断に従います”と言質を取っています。」

「なあっ!?」

「ええっ!?」

「まさかカイエン公のご息女が父親を当主の座から引きずり下ろすとは………」

「例えどんな深い理由があり、その行動が世間体で考えれば正しいとしても子が親の地位を簒奪し、更には親が処刑される事を受け入れるとは、悲しい話ですな……」

シルヴァンとセシリアの話を聞いたダヴィル大使とアルフィン皇女が驚いている中エルナンは信じられない表情で呟き、カラント大司教は重々しい様子を纏って呟いた。



「先程セシリアが口にしたように既にカイエン公爵家の当主代理と次期当主も貴族連合軍の”主宰”であるカイエン元公爵がメンフィルに引き渡され、処刑される事にも同意しているのだから、ダヴィル大使の心配も無用であろう?」

「そ、それは…………」

「………………貴重なお話を教えて頂き、ありがとうございます。」

シルヴァンに問いかけられたダヴィル大使が言葉を濁している中アルフィン皇女は複雑そうな表情で会釈をした。

「シルヴァン陛下。先程カイエン公のご息女達はメンフィル帝国の捕虜になったにも関わらず、自由に動き回っていると仰いましたが……まさかお二人共―――いえ、”カイエン公爵家”は貴国に帰属する為お二人を自由にさせているのでしょうか?」

「フッ、その件についてはそちらの想像に任せる。―――最も今回のユーディット嬢の行動を考えれば、”カイエン公爵家”の存続の為に動いているとしか思えないがな。」

アリシア女王の質問に対してシルヴァンは静かな笑みを浮かべて答えを誤魔化し

「!ま、まさかそのユーディットさんという方は……!」

「………内戦とメンフィル帝国との戦争の件でエレボニア帝国にカイエン公爵家に対して責任が追及され、その責任によってカイエン公爵家の爵位が剥奪される事を予測し、カイエン公爵家の存続の為に祖国であるエレボニア帝国を捨て、メンフィル帝国に帰属する為にメンフィル帝国に従順な態度を取っているのでしょうね……」

「た、確かに貴族連合軍が敗北すれば”カイエン公爵家”にも責任が追及され、最悪爵位剥奪もありえるかもしれないが、だからと言ってまだ推測の段階で”四大名門”の一角がエレボニアを捨てて他国に帰属するなんて………」

「………………ちなみにオルディス制圧作戦では貴族連合軍はどれ程の被害を受けたのでしょうか?」

シルヴァンの推測を聞いてある事を察したクローディア姫は信じられない表情をし、アリシア女王とダヴィル大使の話を聞いて複雑そうな表情で黙り込んでいたアルフィン皇女はシルヴァンに問いかけた。



「オルディスの防衛部隊並びにオーレリア将軍率いる精鋭部隊合わせて約5000の兵達が討ち取られている。」

「勿論オーレリア将軍自身もオルディス制圧作戦時に戦死していますわ。」

「なっ!?あの”領邦軍の英雄”の一人として称えられていたオーレリア将軍までメンフィルに討ち取られていたのですか!?」

シルヴァンとセシリアの口から語られた更なる驚愕の事実に驚いたダヴィル大使は信じられない表情で訊ね

「ああ。」

「旗艦である”パンダグリュエル”と”総参謀”に続いて、”黄金の羅刹”まで失った貴族連合軍は戦力面でも大打撃を受けたでしょうね………」

「空の女神(エイドス)よ、此度の戦によって御身の元に向かう多くの魂達にどうか救いを……」

ダヴィル大使の質問にシルヴァンが肯定するとエルナンは真剣な表情で答え、カラント大司教はその場で祈りを捧げた。

「さてと。色々と話が削がされたがエレボニア側は第一条に関しては反論はないと判断していいのだな?」

「………はい。王太女殿下、続きをお願いします。」

「……わかりました。では続いて第二条について、詳細な説明をお願いします、シルヴァン陛下。」

シルヴァンの問いかけに対するアルフィン皇女の返事を確認したクローディア姫はシルヴァンに続きを促した。




 
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