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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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152部分:第十四話 袁紹、お宝を探すのことその一


第十四話 袁紹、お宝を探すのことその一

               第十四話  袁紹、お宝を探すのこと
「夏侯淵様、曹操様ですが」
「どうした?」
 夏侯淵は廊下で兵士の言葉に応えていた。
「何かあったのか?」
「官渡におられる曹操様ですが」
「うむ」
「刺客に襲われました」
「何っ!?」
 それを聞いてすぐに目の色を変える。表情こそは変えなかったが。
「それで御無事か」
「はい、夏侯惇様達もおられましたし」
「そうだな。姉者や夏瞬達がいたな」
 夏侯淵はすぐにその目の色を元に戻して述べた。
「それに袁紹殿の兵達も一緒だったな」
「それに他の世界から来た方々やズィーガー様の援軍もありましたので」
「御無事か」
「はい、主だった方々は皆御無事です」
「そうか。亡くなった者達には丁重にな」
 夏侯淵はそのことへの気配りも忘れていなかった。
「それはな」
「はい、わかりました」
「御苦労。それならばよい」
「いえ、まだあります」
 ところがだった。兵士はまだ言うのだった。
「曹操様はもう少し官渡におられるそうです」
「というとだ」
「はい、袁紹様がどうやら」
「やれやれ、やはりか」
 夏侯淵はそれを聞いてだ。困った顔で溜息を出した。
「やはりそうなったのか」
「おわかりなのですか」
「わかるさ。私は華琳様が御幼少の時から常に御傍にいたのだ」
「はい」
「あの方は子供の頃よく袁紹殿と一緒におられた」
 幼い頃の二人の交流である。
「何しろお互いにな。おありだったから」
「ですね」
 夏侯淵も兵士もわかっていたがあえて言わなかった。二人が何故幼い頃孤独だったのかはもう言うまでもないことであったからである。
「だからよく一緒におられたのだが」
「その時からですか」
「袁紹殿は宝探しがお好きでな」
 このことを話すのである。
「そしてだ。華琳様も御一緒されてだ」
「では宝探しが」
「お好きなのだ。姉者も私もな。宝探しはいつもだった」
「そういうことがあったのですか」
「おかげで何かと大騒動に巻き込まれた」
 夏侯淵のその落ち着いた美貌に優しい笑みも宿った。
「宦官の家の庭に入ったりな。そういえば花嫁泥棒もしたな」
「そうしたこともですか」
「華琳様が仰ってな。我等四人と袁紹殿でな」
「色々とされていたのですね」
「袁紹殿は今もお好きだということか。しかし」
「しかし?」
「まさかここでそうなるとはな」
 今度は苦笑いであった。うっすらとではあったがそれは顔に出ていた。
「あの方々も変わらないな」
「それでその間ですが」
「わかっている」
 すぐに真面目な顔に戻った。
「あの者達だな」
「既にこちらに来ていますが」
「少し話がしたい。私から行かせてもらう」
「それでは」
 こうしてであった。彼女の方からそちらに行ってだ。そのうえで話をするのだった。そこにいたのは数人の屈強な男達だった。
「ああ、夏侯淵さんかよ」
「少し話がしたいと思っていてな」
「いいか?」
 こうそれぞれ夏侯淵に対して言うのだった。見ればどれもかなり大柄である。
 
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