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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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136部分:第十二話 劉備、先祖伝来の宝剣を手放すのことその九


第十二話 劉備、先祖伝来の宝剣を手放すのことその九

「だからな。是非な」
「受け取ってくれや」
「そうなんですか」
「そうよ。お茶も劉備さんのお母さんが飲んでくれたら喜んでくれるわ」
 ユリも温かい笑顔になっている。
「だからね」
「それじゃあ」
 三人全員に言われてだ。劉備も受け取ったのだった。
 そしてだ。四人で街の門のところに行ってだ。そこでそれぞれ別れるのだった。
「それじゃあな」
「またどっかで会おな」
 まずはリョウとロバートが別れの言葉を述べた。
「何かまた会う気がするけれどな」
「縁があったらまたな」
「それじゃあね」
 ユリは明るい顔であった。
「縁があったらまた会いましょう」
「はい、それじゃあ」
 劉備もにこりと笑って三人に応える。
「また御会いしましょう」
「さてと、これからだな」
「道場開く場所探すか」
「とりあえず南に行く?」
 三人は彼等の話をはじめた。
「南の方にね」
「そうだな。北は草原ばかりらしいしな」
「街なんか碌にないって聞いてるで」
「あっ、北は駄目です」
 劉備の方からも言ってきた。
「北は匈奴や烏丸がいますから。行かない方がいいです」
「匈奴っていったら」
「遊牧民族よね」
 リョウとユリは学校で習った知識を思い出して述べた。
「それでこの国の敵だったよな」
「そうよね」
「万里の長城の向こうにいる連中やな」
 ロバートは長城をその言葉に出した。
「えらい強い奴等らしいな」
「最近は何か袁紹さんが服従させて大人しくしているらしいですけれど」
「それでも行かない方がいいか」
「そういうことやな」
「はい、長城から北は行かない方がいいです」
 劉備もそれは言うのだった。
「絶対に」
「わかった。それじゃあな」
「やっぱり南やな」
「そうね」
 ここでそれぞれ言う三人だった。そうしてだった。
 三人と劉備は笑顔で別れた。その時手を振り合いだ。
「また会おうな」
「縁があったらな」
「その時にね」
「はい、さようなら」
 四人はそのまま別れた。そして劉備は自分の家に帰った。その質素な家で貧しい身なりながら不思議な気品を持っている初老の女に一部始終を話す。
 そのうえで黄金茶を手渡す。ところがだった。
「桃香ーーーーーーーーーーーーっ!!」
「どうしたの、お母さん」
「この馬鹿娘!」
 こう言って怒鳴るのだった。
「あの剣は我が家に伝わる家宝なのですよ!」
「それは知ってるけれど」
「それを騙されて手放すとはこの馬鹿娘!」
「えっ!?」
「覚悟しなさい!」
 信じられない、猿の如き速さで娘に駆け寄りだ。そのうえで彼女の首襟を掴んでダッシュする。そうしてそのまま家を出て家の傍の小川のところまで来て。
 
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