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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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132部分:第十二話 劉備、先祖伝来の宝剣を手放すのことその五


第十二話 劉備、先祖伝来の宝剣を手放すのことその五

 その前に夜になった。夜は野宿だった。
 四人で焚き火を囲んで捕まえた魚を焼きながら話をしている。劉備は三人を驚いた顔で見ながらそのうえで魚を食べつつ言うのだった。
「皆さん凄いですね」
「凄いか?」
「わい等がかいな」
「だってさっき」
 彼女が見たものを見ての言葉だった。
「気を使われましたね」
「それか」
「ああ、そのことかいな」
 二人もまた魚を食べつつ応える。見れば結構な数の魚達が木に突き刺されそのうえで焚き火で焼かれている。それを食べているのだ。
「あれは俺達の技だ」
「空手やねんや」
「空手?」
「私達の時代の格闘技、いえ武道ね」
 ユリが話した。
「それなのよ」
「格闘っていうと」
「つまり戦う為の技だ」
 リョウは劉備に簡単に説明した。
「それだな」
「それじゃあ皆さんは武人ですか」
「いや、武人ではない」
「それはちょっとちゃうんや」
 リョウとロバートが劉備の今の言葉に答える。
「それとは別にだ」
「また別の。格闘家とか武道家いうてな」
「そういう人達なんですか」
「ああ、俺達の空手は極限流空手という」
「創始者は私達のお父さんなのよ」
 ユリはこのことを話した。
「もうね。私達よりも強くて」
「厄介な親父だ」
「自分の正体ばれてへんって思ってたりするしな」
 ここで三人はそれぞれ話した。
「蕎麦打ちしたら止まらないし」
「天狗のお面好きだしな」
「そもそも何時まで現役やねんやろな」
「何か凄いお父さんなんですね」
 劉備にもこのことはわかった。
「その人って」
「ああ、ひょっとしたら親父もこの世界にいるかも知れない」
「その時は注意してね」
「結構以上に困った人やからな」
 多少うんざりした顔で話す三人だった。
「しかも気を使うのもな」
「私達よりずっと凄いのよ」
「ほんまにな」
「気ですか」
 劉備はここでそれも思い出した。
「さっき皆さんがお魚を捕まえる時に使ったあれですよね」
「そうだ、それだ」
 リョウはまさにそれだと話した。
「さっき俺達は水面にいる魚に拳から気を放ってそれで水面に出して捕まえていたな」
「はい」
「あれが気なんや。他にも色々な技に気を込めて使ってるで」 
 ロバートはこう話す。
「それで戦ったりするんや」
「成程」
「かなり強い技やで」
 また話すロバートだった。
「これで熊でも倒せるしね」
「熊もですか」
「俺達の武器はそれだ」
 リョウがまた話した。
「これで戦っているという訳だ」
「それじゃあ私のこれと同じですね」
 劉備はここで自分の腰にあるその剣を見るのだった。見れば大きさといい形といい装飾といい実に見事なものである。只の剣でないことは一目瞭然だ。
 
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