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星河の覇皇

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第六十三部第二章 円卓その五

「それでいいのだ」
「後は得手に向かえばいいだけですか」
「愚直という言葉は悪い言葉ではない」
 決して、というのだ。
「人はまず心だ」
「だから無能な働き者でもですか」
「いいのだ、無論無能な怠け者もだ」
 彼等にしてもというのだ。
「まだいい、腐った輩や異常者は論外だ」
「能力があろうともですね」
「そうした輩は不要だ」
 ギルフォードははっきりと言い切った。
「癌細胞は無能な働き者よりも遥かに有害だからな」
「無能な味方よりもですね」
「無能はその分野で無能なだけだからな」
 それに過ぎないことを熟知している言葉だった、ギルフォードはあくまで冷静でありそれで今も話すのである。
 そして側近達にだ、彼は言い切った。
「そのファイルには癌細胞はいない」
「一人もですね」
「それこそ」
「癌細胞は決して入れない」
 例え何があろうともというのだ。
「何があろうともな」
「癌細胞は、ですね」
「つまり小悪党」
「腐った輩は」
「気質は資質を上回る」
 まずは心、そういうことだった。
「多少の性格の悪さなら構わないわ」
「性格が悪いことと腐っていることはですね」
「また違いますか」
「腐っている輩はどうにもならないからな」
 性格が悪い輩ともだ、腐った輩は違うというのだ。
「売国奴にもなりかねないからな、例えばだ」
「例えば?」
「例えばといいますと」
「他者を貶めたければその相手の下半身を狙えばいい」
 ギルフォードは無表情のまま淡々とした調子で述べた。
「そうすれば相手の評判は確実に落ちる」
「それた例え嘘でもですね」
「事実でなかったとしても」
「嘘とイメージは違う」
「下半身の評判はイメージですね」
「それが残るのですね」
「例え嘘であろうともな」
 話を聞いた者の頭の中にだ、その者の下半身の評判がイメージとしてインプットされる。そしてそれがそのまま評価の下落になるというのだ。
「そうなる、だからこの工作は効果がある」
「嘘であろうとも効果がある」
「事実であることがわかってもですね」
「そうだ、しかしだ」
 ここでギルフォードの言葉が変わった、その言葉はというと。
「この工作をする輩は信用してはならない」
「絶対にですね」
「そうした輩はですね」
「例え何があろうとも」
「信用してはいけないのですね」
「傍に置くことも友人に持つこともだ、絶対にだ」
 してはならないというのだ。
「離れておくべきだ、何故ならこれは最低下劣な行為だから」
「人間として、ですね」
「こうした行為は」
「こうしたことをする輩は何でもする」
 そこまで腐っているというのだ。 
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