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星河の覇皇

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第六十三部第二章 円卓その四

「しかしだ」
「小悪党はですか」
「何もなりませんか」
「心の底から腐った輩はどうにもならない」
 それこそ全く、というのだ。
「己のことしか考えず周囲に害毒を撒き散らすだけの輩はな」
「無能な働き者よりもですか」
「遥かに有害であるというのですね」
「適材適所も通じないからこそ」
「それ故に」
「悪意しかない輩は能力は関係ない」
 最早、というのだ。
「己しか考えない小悪党はな」
「何とかと鋏は使い様といいますが」
 ここで側近の一人がこの例えを出した。
「しかしそれはですか」
「そうだ、どうにもならない」
 悪意ある小悪党はというのだ。
「国家を蝕み腐らせる」
「エウロパもですか」
「この国も」
「腐らせてですか」
「復興も発展もなのですね」
「妨げる、無能な軍人も有能な官僚、聖職者、起業家であったりするがだ」
 無能な働き者は他の分野では違うことをまた言うギルフォードだった。彼は適材適所も頭の中に常に入れているのだ。
 そしてだ、それと共になのだ。
「小悪党はだ」
「何の役にも立たず」
「有害でしかない」
「だからですか」
「排除するしかありませんか」
「ネットで悪意ある罵倒しかしない連中を見るのだ」
 この時代でも存在している、自分達の盲信している正義とやらを盲信し他者への攻撃や工作しかしない連中がだ。
 そして、ギルフォードはこうした連中に対してこそ最大限の軽蔑を以てそのうえで側近達に対して語るのだ。
「あの連中が役に立つか」
「何かしらのですね」
「エウロパにとって」
「私は思わない」
 全く、という口調であった。
「そうした連中は何かの理由を無理につけてもだ」
「排除したい」
「そう仰いますか」
「さもないと国家の癌になる」
 文字通り癌細胞になるというのだ、国家の。
「癌細胞は放ってはおけない」
「やがて身体中に移転し」
「その命に影響を及ぼしますね」
「腐っていく」
 身体、そして国家がというのだ。
「だからだ、無能な働き者までは許せてもだ」
「小悪党はですか」
「もっと言えば腐った果実だ」
 ギルフォードは彼等をこうも表現した。
「腐った果実はいらない」
「ただ害を為すだけの輩は」
「例えばだ、能力がなくともだ」
「はい」
「他の分野で能力があるものだ、しかもやる気があるのならな」
 この場合は愛国心、国家に対して働こうとするのならだ。 
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