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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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105部分:第十話 張飛、また馬超と会うのことその四


第十話 張飛、また馬超と会うのことその四

「まあ楽しい世界なのは確かだな」
「凄く似合うんだから」
 馬岱の言葉は続く。
「武芸と食べるだけじゃないのよ」
「鈴々はどっちも負けないのだ」
 張飛はその馬超の横で言う。
「さあ、お饅頭食い尽くすのだ」
「さて、残るは後三人!」
 武闘大会の時と同じ解説者だった。
「さて、誰が勝つでしょうか!」
「何っ、あたし達だけじゃないのか」
「誰なのだ!」
「僕だよ」
 いたのは一人の女の子だった。
「僕がいるから」
「むっ、誰だ?」
「御前誰なのだ?」
 二人も相手を見た。
「気付いたらもう一人いるけれどよ」
「この展開は予想していなかったのだ」
「っていうかお決まりじゃないの?」
 また観客席から馬岱が言う。少し冷めた目だ。
「こういう展開って」
「さて、最後だけれど」
 ピンクの縮れた髪の毛を上で左右に角の様にしている。顔は明るくはっきりとしたものだ。淡いピンクの半ズボンと上着がよく似合っている。腕のところと腰や肩を覆う護りは紫色だ。その女の子である。
「頑張るぞーーーー」
「こいつ、手強いのだ」
「尋常な奴じゃないな」
 張飛も馬超もそれは嫌になる程わかっていた。彼女を強い目で見据えている。
「けれど負けないのだ」
「饅頭はあたしも好物だしな」
「さっきの麻婆豆腐もよかったけれど」
 その少女は余裕であった。
「このお饅頭も美味しそうだよね」
「それでは勝負」
 司会者がここで言う。
「はじめ!」
「よしなのだ!」
「食うぞ!」
 こうして最後の戦いがはじまった。三人は早速皿の上にうず高く積まれたその饅頭を勢いよく食べて行く。だがその中でまずは。
「うっ・・・・・・」
「おおーーーーーっと馬超選手!」
 司会者は馬超の動きが止まったのを見逃さなかった。
「ここで動きを止めた!」
「そろそろ限界だ・・・・・・」
 青い顔になっていた。そして今まで食べたものが走馬灯の様に湧き起こる。
「駄目だ、しかし」
 踏ん張ろうとする。だがどうしても身体が動かない。
 荒れ果てた戦場を彷徨う自分が見えた。そうして。
 そのままゆっくりと前に崩れ落ちた。それが最期だった。
「翠が遂に倒れたのだ」
 こう言う張飛も顔が青い。
「そして鈴々もそろそろ」
「おい、あれはもう無理だろ」
「兄さんでもそう思うんだ」
「ああ、絶対に無理だな」
 黒いテコンドーの服の茶色がかった黒髪をやや立たせた明るい精悍な顔の若者が青っぽいテコンドーの服の女性的な流麗な顔の若者に応えていた。
「あそこまではな」
「食べられないんだ」
「ちょっとな。それでジェイフン」
「うん、ドンファン兄さん」
「これからどうするんだ?」
 こう弟に尋ねるのである。
「これからな。どうするんだ?」
「そうだね。ここにいても仕方ないし」
「ああ」
「擁州は兄さんは絶対に駄目だよね」
「何で親父が若い姿のままでいたんだよ」 
 ドンファンは怒った様な顔でなって言った。
「しかもチャンさんやチョイさんもな」
「それにジョンさんもね」
「ジョンさんまでいるんだぞ、だったらな」
「だから駄目だね」
「ああ、他の場所に行くぞ」
 それでこう言うのであった。
 
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