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NARUTO~サイドストーリー~

作者:月下美人
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SIDE:A
  第十三話

 
前書き
 調子が良かったので投稿。
 それとご都合一丁入ります。 

 


「そんなこともあったわねぇ~」


「もう半年も前の話になるのか」


 ヒナタの家にお邪魔している俺たちは昔話に花を咲かせていた。丁度今から半年前のヒナタと俺がお見合いした日の話をしていたのだ。


 ヒナタのご両親であるヒアシさんとミオさんが懐かしそうに目を細める。過去のヒナタが話題に出て、当の本人は顔を真っ赤にして俯いているけれど、本当にこういうところは昔と変わんないな。


 ずずっと熱いお茶を啜ったヒアシさんが湯飲みを置いた。


「本当にハルトくんには感謝している。ヒナタを救ってくれたばかりか、宗家と分家の仲がここまで回復したのも全ては君のおかげだ。今だからこそ思うよ。宗家が分家に強いた運命は悪しき風習だったのだと」


 改めて、本当にありがとう。そう改まって頭を下げるヒアシさんに習いミオさんも一緒になって低頭した。


「そんな、頭を上げてください! あれは俺が勝手にやったことなんですから。それに、結構生意気なことも言いましたし」


 ぶっちゃけ、自分自身のためにやったようなものだし。感謝されるようなことじゃないと思うよマジで。


「いいや。あれがハルトくんの本心だったからこそ、皆の心に届き長老をも解き伏すことができたのだろう」


 ヒナタの婚約者ということで分家の人などに挨拶回りをしていた時、ヒアシさんの双子の弟であるヒザシさんとも顔を合わせることとなった。見分けがつかないほど瓜二つの姿だったが、ヒザシさんは頭に必ず額当てを巻いていたため区別はついた。彼には一人息子がいて、名をネジという。


 そのネジの存在を知り、彼の額に布が撒いてあるのを見て、俺はようやく原作にあった宗家と分家の溝を思い出したのだ。分家には全員額に呪印が刻まれている。この呪印は死亡すると血継限界の『白眼』を封じ込める仕組みになっているのだ。


 しかし、それとは別に分家が宗家に逆らえないように、特殊な印を組むと呪印を持つ者の脳神経を破壊して苦痛を与えることができる。もちろん殺すのも容易だ。そのため、分家は宗家の都合のいい駒のように扱われ、時には宗家の身代わりとして死ぬのを余儀なくされることもある。


 もしやと思ってヒアシさんに「分家の方々って皆、額を覆ってますけど何でですか?」と聞いたとき、この世界でも呪印が存在し、宗家と分家との間に分厚い壁があることを知ったのだった


 今思えばちょっとした正義感があったかもしれない。それ以上にヒナタの婚約者として日向の宗家に歓迎され、ヒアシさんじきじきに稽古をしてもらい段々と日向家と仲良くなってきている身としては、宗家と分家のギクシャクした間柄っていうのが気になって仕方なかった。


 ヒアシさんも日向の溝を気にしているようだったから、彼に俺個人の思いをぶつけた。同じ日向の人間なんだから仲良くしようと。分家も宗家もない、日向っていう一つの家なのだからと。部外者であるのを良いことに言いたい放題。


 俺自身、青臭い言葉を吐いているという自覚はあったし、長年の溝がこれしきのことで埋まるとは思っていなかった。しかし、なにがどう転んだのか、宗家と分家の溝を埋めてもっと仲良くしようよと語っていたら、段々自分自身ノッてきてしまい、いつしかどこの修造だと言いたくなるくらい熱い言葉を吐いていたのだった。


 ヒアシさんは諦観の姿勢で首を振っても――。


『諦めんなよ、諦めんなよ! どうしてそこでやめるんだ、そこで!! もう少し頑張ってみろよ! ダメダメダメ、諦めたら! 諦めたらそこで終わるんだよ!』


 大分失礼なことを言ったと思う。


 しかし、いつしかこの熱意がヒアシさんに伝わったようで、俺が何かを言うたびに段々と前向きな考えに変わっていったのだ。


 そして、勢いに乗った俺は他の宗家の人にも「この熱い思いよ届けッ!」とばかりに熱血トークをぶちかましていく。多分、皆見ようとしないだけで問題意識はあったのだと思う。しかし、俺の――いや、修造の情熱が問題を直視する勇気を与え、いつしか多くの宗家の人が一体となってこの問題を解決し、分家も宗家もない新たな日向に生まれ変わるのだと心を一つにした。


 もうこの時の俺はうずまきハルトという少年ではなく、修造だったと思う。間違いなく、俺が修造だった。それを象徴するものとして【日向家改革計画】に反対する人物の中で発言権のある人とのやり取りを紹介しようと思う。


 宗家だけが生まれ変わるんじゃダメだ。分家も新たに生まれ変わらなくてはいけないんだ! そう感じた俺は分家の方にも突撃。ヒザシさんや分家のトップに【日向家改革計画】なるものを説明し、新たに生まれ変わろうと胸の中に灯した炎をそのまま言葉に乗せて伝えた。


 宗家と分家とでは若干温度差があり、これまでの扱いからか分家の大多数が宗家の人間を恨んでいる。それを知った俺はこのままじゃ伝わらない、変えられないと感じ、ある策に出た。


 俺の熱い思いが伝わり【日向家改革計画】に賛成する宗家の人間を集め、反対派の人たちを説き伏せに行ったのだ。分家の人にもこの時のやり取りを見てもらいたいと思い、ヒザシさんを初めとして分家のトップの人たちを何人か招いた。宗家の人たちが心変わりすることに半信半疑のヒザシさんたちだったが、日向家改革計に賛成する人の中に実の兄のヒアシさんの姿を見ると、驚愕の表情を浮かべていたのを良く覚えている。


 そして、反対派の人たちとの口論が始まるのだが――。


『宗家も分家もない! 同じ日向の人間じゃないか! 彼らはあんたらの便利な道具でもなければ奴隷でもないんだぞ!』


『ふん、小童風情が。他所の人間が顔を出すでない。これは日向の問題よ』


『ヒナタと婚約している以上俺も関係者だ! いいかジジイ、家族ってのは史上最強の味方なんだ! 分家がいないと宗家が残れないってんなら、いっそのこと滅んじまえ!』


『……なに?』


『血継限界を守るため? 血を守るため? たしかにそれも大事だろうさ。だけどな、だからといって人を切り捨てていい理由にはならねぇんだよ! なんだよ、宗家って。なんだよ分家って。なんだよ日向って! くだらねぇ御託並べて言い訳してる暇があったら手を取り合えよ! 協力して明日を生きろよ! それが出来ねえなら清清しく滅んじまえよッ!!』


『このっ、小童が……っ! たかだが十も生きておらん小僧風情が頭に乗るでないわっ!』


『頭に乗ってんのはテメェらだろうがっ! いいか! 百回叩くと壊れる壁があったとする。でもみんな何回叩けば壊れるかわからないから、九十数回まで来ていても途中であきらめてしまう。あんたが次に叩く1回で、壁は打ち破れるかもしれないんだよ! 諦めんなよ! 諦めんなよっ! みんなでさ、新しい日向を作っていこうよ! 宗家を守るために切り捨てられる分家とかそんな殺伐とした関係じゃなくてさ、互いに手を取り合う強い絆で結ばれた一つの家族になろうよ! 笑い合える未来を築いていこうよっ!』


 絶好調な熱いトークにいつしか反対派の人も一人、一人と前言を撤回し【日向家改革計画】に賛同してくれた。そして、ついにあの頑固で頑なに認めなかった長老も溜息混じりに頷いたのだ。


 その様子を分家は信じられないものを見る目で眺めていた。本当に自分たちの関係が変わると思ってもみなかったのだろう。


 その日を境に、日向家は生まれ変わった。今でも便宜上宗家、分家と分かれてはいるが格差はもうない。ヒアシさんも時々ヒザシさんと仲良くお酒を飲んでいるようで、大抵その日は機嫌がいいし。呪印もネジ世代で廃止するようだ。


 ちなみにこれを切っ掛けに日向家の皆さんから正式に「若」と呼ばれるようになりました。あと、こっちは本当に何故なのか知らないけれど、気合パワーを完全に扱えるようになった。なんだ、修造か? 修造だからか!?


 まあ、この気合パワーに関してはまた今度説明しよう。話せば長くなるし。


「それにしても、あの時のハルトくんはまるで別人のようだったな」


「本当よね。背中に炎が見えた気がしたもの」


 当事のことを振り返ってそのような感想を言うヒアシ夫妻。そりゃ、あの時の俺には修三が憑依していたに違いないからな。


「よし、久しぶりに稽古をつけてあげよう」


 ヒアシさんの言葉に頷き修練場へ向かうとそこでは既に誰かが使用しているようで、中から威勢の良い声が聞こえてきた。


 戸を開いて中を見てみると、そこにはヒアシさんとそっくりな人と髪の長い男の子が組み手を行っている。


「抜き足が遅いっ!」


「はいっ」


 ヒアシさんの弟、ヒザシさんとその息子のネジだ。丁度稽古をしているようだな。


 ヒザシさんは入室してきた俺たちに気がつくと稽古を一旦中止し、四十五度の角度で丁寧にお辞儀してきた。


「これは兄上にヒナタ様、ハナビ様。若様に汐音様、九尾殿まで。……お久しゅうございます、若様」


「お久しぶりです。元気でしたか?」


「はい。若様のおかげで毎日壮健に過ごせております」


 馬鹿丁寧に頭を下げてくるヒザシさん。大の大人がいちいち頭を下げなくてもとは思うが、日向の闇を取っ払った俺に恩義を感じているらしく、いつまで経っても態度を改めないからもう諦めた。


 タオルで汗を拭いている二つ年下の男の子――ネジに声を掛ける。ネジとは稽古で日向家に通っていた時に知り合い、親しくさせてもらっている。


「ようネジ。調子はどうだい?」


「上々、といったところだな。だが、まだまだだ」


 クールに笑う少年。そういえばネジってアカデミー時代、結構モテてたって聞いたなぁ。


「そういえばハルト。君も今年からヒナタ様と同じくアカデミーに通っているのだろう? どうだ、アカデミーは」


「楽しいよ。あまり皆と接する機会や時間もなかったからな」


「そうか。まあハルトなら問題ないだろう。早くここまで上がってこい」


「応よっ」


 その信頼はどこから来ているのか一度聞いてみたい。


 ネシはリーと同期だったため、一足先にアカデミーに入学している。向こうでは先輩だな。早く追いついて来いと言うネジに頷き返した。


 さて、ヒアシさんと久々の稽古だ。ネジとヒザシはどうやら俺たちの組み手を見学するようで離れた位置に移動した。日向たちはとっくに壁際に移動し観戦モードだ。


 距離を取り向かい合う。ヒアシさんとは何度も組み手を交わしたから、互いに実力をよく知っている。しかし俺はガイ師匠にも師事しているからこちらの成長っぷりを知らないだろう。だからといって油断できる相手じゃないけどな!


「じゃあ、行きますよっ」


「うむ、来なさい」


 白眼の状態で構えを取るヒアシさん。俺は半身の姿勢で腰を落とし後ろ足に重心を掛け、左手の掌を前方に、右手の掌を上にした状態で引いた構え。空手で言うところの後屈立ち手刀構えに似た姿勢だ。


 ――よしっ! 先手必勝だ!


 重心移動と足首の捻りだけで移動する独特の歩法でヒアシさんとの間合いを計る。ヒアシさんを中心に半円を描くように移動しながら徐々にスピードを上げていった。摩擦で木の板に薄っすらと熱を帯びていくが、特殊な木材なため燃えることは無い。


 チャクラを練りこみながら、緩急をつけて移動する独特の移動術。


「あれって、ハルトさんが考えた歩法ですよね?」


「う、うん。いつ見ても不思議だね……。普通に見たらちょっと距離感が分かり辛いだけなのに――」


「白眼で見るとたちまち分からなくなる。確かに不思議ですね」


 姉妹のやり取りが聞こえる。ヒナタたちの言う通り、この移動術は白眼対策で考え付いたものだ。白眼の使い手の多くは視界に映る相手のチャクラに意識を集中する傾向がある。それに気がついた俺はこの歩法を編み出した。チャクラを常に練りながら緩急をつけて高速移動することで、目の錯覚を利用して距離感を狂わせるといったものだ。


「むっ……」


 やはりヒアシさんもチャクラの識別に意識を向ける派のようだ。若干距離感を掴みかねているな。


 その僅かな隙を突く!


「我流体術、押し一手!」


 背後に回りこんだ俺は至近距離から掌底を放つ。咄嗟に反応したのは流石だが、受け流そうとするは悪手だぜ!


「ぬんっ!」


「むぅっ!?」


 掌から膨大な量のチャクラを一気に放出。爆発的に生み出されたチャクラの本流は数メートル大の手形の衝撃波として顕現する。


 掌底そのものは受け流せてもこのチャクラで構成された攻撃は避けられない。ヒアシさんは辛うじて両手を交差させたが、巨大な掌底に吹き飛ばされ壁と板ばさみに合う。


「くぅっ……はぁっ!」


 裂帛の気合とともにチャクラの掌底の圧力から逃れるヒアシさん。体からチャクラを放出して衝撃を緩和させたか。


「今度はこちらから行くぞ!」


 両手を前後に開き屈み込むような低い姿勢の構えを取る。それを見た外野――ヒザシさんとネジ親子が驚愕の声を上げた。


「あれは、八卦六十四掌!?」


「まさか、組み手でそのような奥義を!?」


 八卦六十四掌か。その技は以前ヒアシさんから見せてもらったことがある。


 六十四掌とあるとおり、六十四の点穴を突くことでそれらを閉ざす技だ。技を受けた者は経絡系のエネルギーの流れを遮断され、チャクラを練ることは勿論立つことさえままならない。忍はチャクラがあってこそ本領を発揮できる。その力の源を断つという忍殺しの技だ。


 しかし、それには点穴を突き正確にチャクラを流し込む必要がある。点穴までチャクラを流し込めなければ意味が無い! 受けて立とうじゃないか!


「ぉぉぉぉおおおおおおおっ! き・あ・い――だああああァァァァァ~~~~っ!!」


 チャクラとともに気合パワーを練り上げる。そして正面から受けきってみせるという意思表示として、防御姿勢を取ってみせる。全身の筋肉と関節を締めることで体を一つの鋼に変え、内股になることで金的を防ぎバランスを取る。空手の三戦(さんちん)立ちだ。


「柔拳法奥義・八卦六十四掌!」


 来た! 繰り出される高速の突き。白眼で見抜いた点穴へ寸分も狂い無く貫手を放ってくる!


「二掌! 四掌! 八掌!」


 左胸部に二本指の貫手、続いて右前腕に一本指の貫手、右鎖骨上部に三本指の貫手!


 練り上げた気合パワーを体中に防護膜のように張り、その上で狙っている部位にチャクラを集中させる!


「十六掌! 三十二掌!」


 どんな攻撃にもリズムというものが存在する。そのリズムを覚えれば、手数の多い技でも攻撃に合わせて対抗手段を講じることがことが出来る。ヒアシさんのリズムはこれまでの稽古ですでに体が覚えている。だから、これらの攻撃に合わせてピンポイントにその場所をチャクラで防護することも可能にするのだ!


「六十四掌!」


 最後の貫手が胸部に突き刺さる。ヒナタたちの息を呑む声が聞こえた。離れたところで白眼で組み手を観戦していたネジたちも絶句している。


 ヒアシさんも感じる手応えに眉を跳ね上げた。


「ば、馬鹿な……。確かに兄上は若様の点穴を全て突いた。なのに、なぜ――」


「ハルトの点穴が閉じていないんだ!?」


 そう、まともに食らえば点穴が閉じ、チャクラが練れなくなるはずの技。六十四手からなる日向流の奥義、八卦六十四掌。それをまともに全て食らった俺ではあるが、いまだ点穴は閉じておらず、チャクラも問題なく練れる状態だ。


 大技を出した後というのは隙が出来やすい。それはヒアシさんでも同じこと!


 僅かな一瞬の硬直を見逃さず、すかさず反撃に出る。全身の筋肉と関節を緩め、内股を解き、三戦立ちの姿勢からスムーズに拳を打ち出すために構えを若干変える!


「破ァァッ――――!」


 我流体術・剛体三戦突き(ごうたいさんちんづき)――!


 筋肉を緩めた一瞬の脱力を突きの速度に変え、接触すると同時に再び全身の筋肉を締める。さらにはチャクラを足裏から爆発的に放出することで推進力を生み出し、ダメ押しに気合パワーを注入した拳が技後硬直で避けきれないヒアシさんの右胸部に突き刺さる。


「八卦掌・回天!」


 これは……全身からチャクラを放出させて俺の拳の勢いを殺すつもりか!


 本来は日向宗家のみに伝わる秘技で、全身のチャクラ穴からチャクラを放出できる者のみが習得可能な技。白眼で見切った敵の攻撃を全身から放出したチャクラで受け止め、そのままその場で全身を高速で横回転させて弾き飛ばす。


 ただの突きなら弾き飛ばされるだろう。しかし、この剛体三戦突きはただの突きではない。接触時に弛緩した状態から全身の筋力を一瞬で締めることで体を一つの鉄塊と化し、さらにはチャクラ放出による推進力も加え、気合パワーも込めているのだ。チャクラを放出した程度で防ぎきれるはずがない!


 その高い防御性から『絶対防御』とも言われている回天を真っ向からねじ伏せる! 弾丸のごとく吹き飛ばされたヒアシさんは一度も地面に落ちることなく、そのまま壁に激突した――って、やりすぎた!


 空中で回転したヒアシさんは壁に着地する。よかった、思いっきり振り抜いちゃったから。


「……まさか回天を破るとは。久しく見ない間に強くなったなハルトくん」


 地面に降りたヒアシさんからそのようなお言葉を頂いた。観戦していたヒザシさんとネジがやってくる。


「まさか兄上を下すとは……。若様の強さは類を見ないですね。流石は【木の葉の小さな英雄】です」


「当主様の攻撃を正確に防ぐなんて、一体どうやったんだ?」


 六十四掌を防いだことが気になるらしいネジ。特に教えても問題ない。ていうか、誰もが考え付きそうなものだけど。


「ん? どうやったって、塞がれる点穴をチャクラでガードしただけだけど。ほら、点穴にチャクラを通せければ問題ないんだし」


「いや、しかしお前は白眼を持ってないだろう。それなのにどうして点穴のある場所を見抜けるんだ?」


 あれ? ネジってこう見えて天然なのか?


「そりゃお前、狙われてる場所を見れば分かるだろ。見えなくても向こうはそこを狙ってるんだから。あとは向こうの攻撃が当たる寸前でガードすれば言いだけの話だよ」


 いたって簡単なことです。そう言うと何故かヒアシさんたちに呆れたような目を向けられた。解せぬ。


「……ミナトが言っていたのはこういうことか。確かにこれは規格外だな」


「私も少し分かった気がします」


「くっ、ハルトの背はまだ遠いか……」


「ほっほっほっ。仮にも妾の主じゃぞ? このくらい出来て当然よな」


 よく分からないが、なにか頷き合っているヒアシさんとヒザシさん。ネジは何やら一人悔しそうにしているけど。


 そんな三人を他所にクーちゃんは誇らしげに胸を張っていた。ぼよんと揺れる二つの山にハナビが恨めしそうにクーちゃんの胸を睨み、ヒナタは自分の胸と比較して一人落ち込んでいる。


「いいなぁ狐さん。私もあれほどとは言わないから、もう少し大きかったら……」


「むぅ……っ! ふん、所詮胸なんて脂肪の塊です。別に『大きいから肩が凝っちゃいます』なんて言ってみたくないですから」


 そんなことを考えていたのかハナビよ。ていうか、キミまだ二歳だよね?


 その後はヒナタやハナビ、ネジとも軽く組み手を行い、久しぶりに日向家で汗を流したのだった。

 
 

 
後書き
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