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世界をめぐる、銀白の翼

作者:BTOKIJIN
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第三章 X《クロス》
  覚悟



「なに、これ・・・・・」

モニターに映ったそれを見て、観鈴がそう呟いた。


モニターにあるのは、ある衛星写真。
森がサクラに浸食され、見るも美しい桜の森が出来上がってしまっているのだ。


その隣には、何倍速かは知らないがそうなっていく映像も流れている。


こんな出鱈目な力は、一つしかない。
と、いうか数名はこの力を目の当たりにしているのだから、わからないはずがない。



「ブロッサムアンデット・・・・」

「間違いねぇな。あんとき見たのと同じだ」



観鈴の推測に、隣に立った士が肯定する。


あからさまなものだった。

これはもはや見つけてくれというようなもの・・・というか言っているのだろう。




これは誘いだ。




「だが・・・」

「行くしかない・・・ですよね?」




そう、行くしかない。
彼らに選択肢など、ありはしなかった。




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「ここです、この地点。上空写真ではわかりませんが、ここに横穴・・・崖の中腹あたりに、洞窟があります」

「その中に、アンデット、石版、そして彼女らが捉えられていると思う」




アースの地下訓練場




そこで訓練をしていた全員に、一刀が説明をしていた。
手がかりがあった、と。


「じゃあ・・・すぐにでも!!」

「こっちの準備が整っていないうちは無理。出発は、明日」


「明日・・・・」

「と、言うわけでいきなりだけど、連れていける人間をここで振るわせてもらうよ」

「!」



一刀の宣告。
だが、当然だろう。ことは一刻を争うかもしれないのだ。

悠長になどしていられない。



「まず・・・仮面ライダーの方たちは・・・」

「俺ァ絶対に行くぜ。文句は言わせねぇ」

「文句はないよ。全員に来てもらいたい」


モモタロスの言葉に、一刀が首肯してそう言った。

彼らは戦力としては申し分ない。
一刀としては、彼らには中級アンデットの対処を頼みたいのだ。


無論、上級アンデットとの戦闘に参加してもらえれば心強いのだが、相手の中級がどれだけいるかわからないのでは、安易に上級の相手をしてくれとは言えない。

翼人は上級にあたる。それはもう決定事項なので、彼らにはまずそちらの相手をしてもらいたいのだ。



同じ理由でサーヴァントたちにも声がかかった。

セイバー、アーチャー、ランサー、ライダー、バーサーカー
そしてマスターである士郎、凛、桜もである。

キャスターは家庭がどうのこうのと結局来なかったし、そのキャスターの許可なしにはアサシンはあの場から動けない。

ギルガメッシュに至っては居場所すら知れなかった。




そして・・・・


「ハクオロさん、あなたには来てもらいたい」

「わかった」

「じゃあ俺たちもついて・・・」

「いや、オボロたちはだめだ」

「・・・・なに?」



ハクオロが呼ばれ、それに対してオボロも意気込んでいたが、ハクオロがダメだ、と来ることを許可しなかった。


曰く、|国(トゥスクル)の方があまりにも危険だからというのだ。

一国の主が飛び出すということは、それだけでも大変なこと。
今こうしてここに居揃っているのも、実は大変なことなのだ。

それなのに全員が戦闘に参加しては、どうしようもない。
国を回すということは、そんなに甘くない。

「今回私が赴くのはわがままだ。この状況で、さらにお前たちまで國から離すわけにはいかない」

「ハクオロさん一人抜いた以上、そっちから抜く余裕はないはずです。宮殿の修繕もまだ終わっていないでしょう?」

「う・・・ぐ・・・だがな・・・」


オボロも頭では分かっている。しかしそうはいってもすんなりとは呑み込めないのだ。

みすみすと仲間が奪われ、そしてそれに奪還にも向かえないのはあまりにも悔しすぎる。


だが


「オボロ」

「・・・・兄者」


反論しようとするオボロを、ハクオロが制した。
その言葉には、絶対の信頼がある。


「私の留守を、お前に任せたい。アルルゥと共に、帰ってくるからな」

「・・・・兄者が言うなら仕方ねぇ・・・今回は引いてやるからな!」

「ツンデレ乙。じゃあつぎは・・・」

「おい!!今なんか聞き捨てならねェ言葉が・・・・・!!」



そういうオボロを華麗にスルーし、一刀がエルルゥにも声をかける。
今回の戦いはおそらく大きなものになる。どうしても医療班が必要なのだ。


その言葉に、手を握ってきてまで感謝するエルルゥ。



次には・・・・


「上条。お前にも来てらいたい」

「俺でいいのかよ?」

「そ。相手のアンデットにもし、永続する能力を持った奴・・毒とかな?そういう「奴」の攻撃を食らった人のを助ける側に向かってもらいたい。要は医療班だ。戦闘員じゃない。」

「わかった」

「絶対に外とか出んなよ?お前はあくまでサポートなんだからな!?」

「わかった。殴ればいいんだろ?」

「こいつだめだ。わかってねぇ」




そんな上条を何とか言いなだめ、納得させる一刀。

かなり疲れた顔をしている。


そして、残ったのは・・・・


「圭一たちは・・・・」

「解ってるさ」

「・・・・ごめんな」




悟った、というよりも、最初からこうなることがわかったような顔をして、圭一が一刀に言った。


実をいうと、この一日にも満たない訓練などには意味はないのだ。

彼らが納得するための時間。ただそれだけ。
連れて行くメンバーは最初からすでに決まっており、そこに彼らは載っていなかった。



「わかってたさ。俺らじゃどうにもならない。俺たちの力は、そんなに強くない」

「うん・・・アンデットに勝てるなんて、そこまで強い力、私たちにはないもん」

「ですので、皆さんに任せますわ。ぜーったいに梨花と羽入さんを助けてくるんですのよ!!」



圭一、レナ、沙都子と順番に一刀に声をかけ、頼んだと言って肩を叩いていく。




重い




無論、彼も元の世界では一国の主だった。
人の命の重さは嫌というほど知っているし、実際に戦では他国、自国共に民を失っていた。

戦場にも立ち、そこから目を逸らさなかった。



しかし、それは失う、ということを自覚し、肝に銘じ、覚悟するということ。


こちらの場合は、失わず、必ず全員で戻る。誰も失わない。もちろん最初からずっとその思いは変わっていない。

だが、今はその気持ちを心に秘めながらも、さらにほかの者のその願いも背負う。



自分の覚悟だけではないのだ。
他の誰かの覚悟をも背負うということ。



それは一体どれだけの重量があるのだろうか。




そして、自分の知る限り最も多くの願いを背負い、戦い続けてきた「彼」はこれだけの重圧を背負っていたのか、と。





「・・・・ったいに」

「え?」

「絶対に・・・助けて見せるさ」




今ならわかる。
「彼」がなぜああも「世界最強」と言っていたのか。


つまりは、そういっていなければ自信が保てないからだ。




焚き付けろ。
魂を燃え上がらせろ。


身体を動かせ。
信じ続けろ。




そしてそれを胸にしながら達成した時、彼は「彼」に追い付けるのだ。





「なんたって、俺は世界最優だからな」




だから言う。
最強はあいつのモノ。だったらオレは最優だ。






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夜が明ける。




瞬風のドックへと向かう、廊下の途中にある準備室。




そこで四人の翼人が、自身の正装といえる服に袖を通す。



「準備は?」

理樹が扉の脇に寄りかかり


「オーケーだ」

一刀が長椅子にどっしりと座って膝に肘を付け


「大丈夫」

観鈴がパタンとロッカーを締め


「行くぞ」

クラウドが黒いコートをバサリと羽織ってドアを開けて外に出る。





もう、準備はできた。







さあ、殴り込みだ。






あのクソ野郎共をぶっちめてやろうぜ。





to be continued
 
 

 
後書き

翼人、一刀の覚悟でした。
そして出陣。


蒔風が世界最強

だったらこっちは世界最優だ、と。

たぶんこの先で他の翼人も言っていくと思います。




上条さんはあくまで医療班にしました。
瞬風から出しません

だから戦闘シーンもありません。

いつもお前の戦闘シーンがあると思うなよ!!
ぜってー抜けださせないからなぁ!!!


ちなみに私は上条さん大好きです。
でもなんか・・・彼まで入るとめんどくさくなりそうなので。


ただえさえ仮面ライダーとかサーヴァントたちが「周りで戦っている人たち」になりそうなのに!!
最悪なのはたちもそうなりそう・・・・


あ、でも電王とフォワード陣は少し絡ませるかも。




そろそろ最終決戦へと行きますよ!!!


次回、突入!!!
ではまた次回!!


 
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