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世界をめぐる、銀白の翼

作者:BTOKIJIN
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第二章 Lost Heros
  訪問者・襲撃者



《ワールド!!!》

「ふぅ・・・ハァッ!!・・・・ったたた!?イデデデデデ!!!ったぁ~~~~・・・・・・ダメかぁ~。がっくり」



廃棄都市の一角、柱と床と天井しかないようなそのビルに、蒔風が手の平からワールドメモリを抜き、ため息をつく。



左腕はいまだ治っていない。
包帯に巻かれ肩から吊っているものの、それをはがせばそこには人体模型のようにむき出しになった腕がある。

ワールドメモリで回復能力を持つ者の力を引き出して治そうとしていたのだが、痛みが走るだけで治らないのだ。
ほかの傷は治ったし、体力もそこそこ戻った。戦闘に支障はないだろう。


だが、この左腕だけは無理だった。




呪いか怨嗟か




腕のおぞましい外観とその痛みはまるで蒔風を許さないと言っているかのように感じた。



「残りリストは・・・・実力者ばかりか・・・・・とりあえず・・・・・」



そうして、時計を見、リストを確認して蒔風が瓦礫から立ち上がって街を見る。
廃棄されたビルの一角を越え、その先に見えるのは風車が町中に並ぶエコの街。






蒔風は風都に足を運び入れた。








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二台のバイクが街の通りを走っていく。
買い物の帰りなのか、そのバイクにはビニールに包まれた食材が積まれていた。



「早く戻らねぇとな」

「ああ・・・特に乾、お前は狙われているんだからな」

「へいへい」



その二台に乗っているのはそれぞれ照井竜、乾巧だ。


向かう先は、かもめビリヤード一階の「鳴海探偵事務所」
生き残ったライダーたちが集まっている場所だ。


「そういやお前の嫁さんは知ってんのか?このことよ」

「襲撃事件は終わったと言ってある。巻き込むわけにはいかないからな」

「ふーん」


バイクに乗りながら、信号で停車するたびに二人が会話を交わしていく。


「だがそろそろごまかしも効かないだろう。所長はあれでなかなか勘が鋭い」

「わりぃな。そろそろ出ていくからよ」

「いや、それは構わないが・・・」




「ったく・・・真理のやろぉ、「危ないから逃げていようよ」とか言いやがって・・・そのせいで俺は一度もあいつと戦ってねぇんだぞ」

「確か知っているんだったな?園田は」

「ああ、蒔風を問い詰めた時、俺はあの場にいて・・・・その提案を受けた時にアイツもいたからな。北郷がやられて怖くなっちまったんだろ」




「それは仕方ないことだろう」

「まあ気持ちは分からなくねぇけどよ・・・正直鬱陶しい」

「今はどうしてるんだ?」

「啓太郎ん家にいる。ここにいることまではわからねぇさ」




そうして大通りから路地に入り、回る風車を横目にバイク二台はかもめビリヤード前にバイクを止める。


現在生き残ったライダー、つまりここに詰めいているのは

ファイズである乾巧。
ブレイドである剣崎一真。
電王である野上良太郎。
ディエンドである海東大樹。
Wの半身である左翔太郎。

そして狙われてはいないが事情は知っている照井竜だ。




ライダーたちのバイクは地下、リボルギャリー格納庫に収納されている。
目の前においておいてはここにいますというようなものだ。

だから彼らも前にいったんバイクを止め、買ってきたものを運び入れようとした。







と、その瞬間






ドオン!!!ギィィィィィ・・・・ガォォオオオオン・・・・・・







地下から重々しい爆発音と、いくつもののエンジン音が響く。
そして離れた位置にある格納庫出口から飛び出してきたリボルギャリーの走行音が轟いてきた。


「ハァ!?んだよ蒔風のやろうかなんかが来てやがんのか!?」

「追うぞ乾!!格納庫出口は遠い・・・間に合わなくなるぞ!!!」



バイクから降りかけていた二人が、買い物袋をその場に放置してエンジンを再度吹かせ、後輪を流して方向転換、リボルギャリーの出口へと向かった。









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時間は少し戻って。





リボルギャリー格納庫には現在、剣崎・良太郎・海東・翔太郎の四人がおり、翔太郎と剣崎はバイクのチェック、海東と良太郎はありあわせのもので料理を作っていた。


「まさかこの僕が誰かに料理を振るう時が来るなんてね」

「非常事態ですし・・・あの二人が出来るとは思えませんし」

「君何気にひどいね」



時間は11時ごろ。
ちょうどいい頃合いなので昼食を作ろうとし、やる気を見せた剣崎と翔太郎を押しのけてこの二人が作っているのだ。

そうしていざ冷蔵庫を見ると、今この昼食分を作ったらもう食材がなくなる、という事態になった。



そして夜に出るのは危険、外食もダメということで、今の内に照井と巧が買い出しに行っているのだ。



「それにしても僕らが来ていなかったらどうしてたんでしょう?」

「その時は刑事さんが作ってたんじゃないかい?ま、探偵君もできないわけじゃないみたいだけど」



ちなみにこの二人はつい一時間前にここに来た。

海東は前に共闘したことのあった電王のメンバーと合流し、その良太郎はちょうどほかのライダーたちのいるここに顔を出しに来るつもりだったので、ついでについてきた、という経緯だ。



「誰かと組むのは性に合わないんだけど・・・どうにもそう言ってられなくてね」

「五代さん・・・でしたっけ。押し戻されてしまった方は」

「ああ。しかも翼人の力でゲートが強めに閉じられてしまってね。また会いに行くのは難しそうなんだ」



「ってことはやっぱ俺らでやるしかないってことだろ?」

「今度こそ、救って見せる。また何もできなかったなんて、俺は嫌だからな」



「翔太郎、剣崎さん」




「まあ、その話もいいけどよ・・・・・」

「とにかく今は飯食おう!!」




ガゴォン・・・・・・




と、そこでリボルギャリーの前にある大きな扉が開く。

その扉は巨大な体躯を誇るリボルギャリーが出ていくための物なのだが、それがゆっくりと開かれていった。



「あ、照井さんたち帰って来たみたいだ」



そういって、良太郎がその大きな扉に近づいていく



たしかに、今ここにブルースペイダーにハードボイルダーと二台のバイクはあるし、実際に照井や巧のバイクもここに置く。
だから良太郎の取った行動は正しいと言えば正しいのだろう。正面からでなく、この通路から帰ってきたと考えるのは妥当だ。


だが、翔太郎はそこから来るのが照井達ではないことに気づいていた。








なぜならばあちら側、リボルギャリー用のこの通路の外側からは、この扉を開くことはできないはずだからである。








「離れろ野上ィ!!!!《ジョーカー!!》」

「え?」




バァンッ!!!




直後、ジョーカーへと変身した翔太郎が良太郎の肩を掴んで引き下げ、開いて来た扉の隙間から出てきた拳を両手で受けて弾いた。




「ウガッ!?」


「翔太郎!?」

「下がれ翔太郎!!!おおおおおお!!!」


《タックル》



ヴォオオオオオオオオオン!!!!!




ゴガッ!!!





ジョーカーが転がって扉から出てくるであろう相手に向き合っていると、背後からすでに変身を終えた剣崎の叫びと共に、スペード4「タックルボア」のカードを専用バイク「ブルースペイダー」にラウズ、更にはスペード9「マッハジャガー」までをも読み取らせ、その相手、蒔風の身体を掻っ攫って地上までの通路を一気に駆け抜けて行った。


そしてさらに、ジョーカーがリボルギャリ―内部に入りその後を追って走り出した。





後に残ったのは床に倒れた良太郎と、それを受け止めた海東だけだ。





「まさか・・・こんな風にいきなり来るなんてね・・・・」

「あの人が来るのはいつだって突然だよ・・・・それよりも・・・・」





ガチャ





「僕らも追おう。二人だけじゃ無理だ」

そう言って、良太郎が扉を開ける。
その向こうは時の砂漠。デンライナーが、発車音を鳴らしてやってきていた。










to be continued
 
 

 
後書き

ブルースペイダーにはカードの効果を付属させる装置ありましたけど、考えてみると「タックルボア」は使ってないんですよね。
使ったのは「マッハジャガー」と「サンダーディアー」のみ。

でも本編で一回も成功しなかった「タックルボア」が活躍できたからいいよね!!!



ではまた次回!!!




リスト残り


長門有希
クラウド・ストライフ
海東大樹
野上良太郎
モモタロス
ウラタロス
リュウタロス
ジーク
デネブ
乾巧
剣崎一真
左翔太郎
フェイト・T・ハラオウン
シグナム
ヴィータ
リィンフォースⅡ




コンディション

左腕使用不可。


体力はバイクに押しのかされながらもいまだ健在。
体力値:98%
ただし度重なる戦闘で耐久力は低下している 
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