| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

世界をめぐる、銀白の翼

作者:BTOKIJIN
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第二章 Lost Heros
  VS薄緑決着


「ゼァァアァァァああああああ!!!」



ゴン!!バッガァッ!!!!



「メリッ・・・ッて・・・・・ゲ・・・フ・・・・・ァ」


「もう無駄だよ。こうなったら・・・僕は倒せない」



理樹が猛然と攻めてくる。

それはそうだろう。彼は彼のできる内で最硬の防具であり、最強の武器を手に入れた。



しかも相手は満身創痍。
いまこそ攻め時だ。この男を倒し、すべてを終わらせる。


今はそれだけを考えればいい。
「戦闘」は彼の本性からすればあまり向いたものではないのだが、そうも言っていられない。


彼は温厚な性格だ。殴るや蹴るなどの行為を好ましいと思ったことはない。
しかし、この相手だけは許しておくべきではない。

何か理由があるならば、聞かせてもらう。


しかし、相手が話さないのならば、無理やり聞き出すまで・・・・・!!!




無論、その相手に対して蒔風が何もしていないということはない。
当然様々な手段を試していた。




絶対防御、という単語から、彼はかつて学園都市第一位に放った攻撃を試してみる。



獄炎弾




それが理樹の元へと一気に向かい、触れるか触れないかの位置で膨れ上がって飲み込んだ。
その火焔自体にはダメージを食らわずとも、周囲の酸素はなくなるはずだ。

前に第一位とやりあったときもそれで倒した。



しかし、この場合はまた別だ。



理樹はすでにいったんバリアを張って定着させている。
動き回るならその都度バリアを動かさなければならないため、ほかのバリアを展開させるほどの余裕はない。

が、立ち止まったとするならば、ほかのバリアを張るだけの余裕はある。


ゆえに、理樹は立ち止まってそれを受け、炎にのまれてからドーム状のバリアを一気に自分から膨れるように展開していった。


そのバリアに獄炎が内側から押しのけられてかき消された。




これは効かない。






では、固有結界はどうか?



しかし、これは蒔風が考えているうちにやめた。



この固有結界は「法則」を弄る。
だから「バリアを張る」という行動をとってもその通りになるとは限らない。

その動きが蒔風のためになるか、理樹のためになるか、それとも両者にとって有利不利になるかはわからないが、兎に角あのバリアは張れないだろう。


しかし、この固有結界にはある欠点があった。



「行動」にしか反応しないのだ。
つまり、発動した瞬間に動きを止めて突っ立っていれば何も「法則」は働かない。


これは術者である蒔風しか知らないことだ。
すべての法則が狂うあの世界ではあるものの、「動かない」ということに対しては、何も作用しないのだ。


あのバリアはもう張られてしまったものだし、そのままいるなら余計な行動はいらない。
あれほどの硬度ならば三十秒間バリアを張り直さなくとも耐えきるだろうし、消し去ることもできない。そう言った「一瞬で終わらせる」ということはできないのだ。


つまり、理樹としては発動した瞬間に動かなければいいのだ。


この固有結界のことは彼も知っている。

ここまでの詳細は知らなくとも、自分の思い通りにならない、というのは知っているはず。
ならば下手に動くのは危険とみて、動かないだろう。



それでは意味がない。
体力を消耗するだけだ。

試すにしても、まだあとでになる。

これは効かない。






あれを破壊しうる方法としては、十五天帝による一撃粉砕だが全部そろっていない今ではそれも出来ない。

そもそも中心になるべき獅子天麟がないのだ。
天馬があるから呼び寄せることも可能なのでそれをしてもいいが、それでは飛んでくる剣を追ってクラウドが来るかもしれない。


これはできない。




雷旺砲、絶光尖と防がれた今、こういった能力系は一切効かないだろう。




これは意味がない。




そもそも、雷旺砲は両手でないと放てない。
片手では拡散してしまい、本来の三分の一程度の威力しか出ないのだ。





そう考え、いきついた先はただ一つだった。







「うん・・・・やっぱり捨てるしかないみたいだな」





「? いったいどういう・・・・・」



何やら気楽な声で、蒔風が首をゴキゴキと鳴らす。

いったい何をするというのか。


流石に理樹も身構えた。
この男はどんなことをしてくるかわからない。











「見せてやるよ、理樹」





蒔風が翼を開く。





「死の恐怖無き男の」





そしてそれが鋭利になって。






(未来)を見据えぬ戦い方を」








蒔風が加速開翼してその場から消えた。







「!? 高速移動・・・・!!!」




視認できないほどの高速移動。
そこから放たれる攻撃はなるほど、確かに強力だ。


だが今のコンディションではとてもではないが理樹のバリアを破ることなどできない。


そう考え、理樹は蒔風が攻撃してくるのを待った。


あの体ではそう長くは移動し続けられないはずだ。

すぐに限界は来る。



その瞬間に叩き潰してやるのだ。




蒔風の移動で踏み込められた土が少しだけ、そしてところどころ宙に弾ける。





バッ・・・・ザっ・・・・・




しかし、音を確認できても、それは蒔風にとってはもう五秒も前のことだ。
ゆえに聞くだけで理樹は視線を逸らすことをしない。


ただ真っ直ぐ顔を向け、視界はどこともなく焦点を合わさずに空間を見ていた。








(どうくるのか、受けてからの反撃か・・・・・よく見ていやがる。よくぞここまで強くなったものだ)



グ・・・・ギチギチギチ・・・・・・



(だが・・・そのバリアには決定的な欠点がある。そこさえ改善されれば本当に手出しできなかったが)



メキメキメキメキ、ブシュ・・・・バキン!




(最初から組み込むらなともかく、その硬度ではそんなことは簡単にできまい・・・・・・!!!!)





直後、蒔風が理樹の目の前に現れ、左腕を思い切り振るって真っ直ぐに、正拳突きを放ってきた。



それに対して理樹が瞬時に身構え、反撃に転じようとする。

しかし、その一瞬後に理樹の視界は真っ赤に染まって潰された。








------------------------------------------------------------




さて、これだけではわからないので、諸君には別の視点から見てもらおう。


蒔風が加速開翼でそのスピードをどんどんあげていく。
そうして姿を現して、「左腕」で拳を放ってきたのだ。

もう満足に動くことのないような、その腕をだ。

そもそも、攻撃の際に姿を現す必要などない。
加速開翼したままで何撃も入れればいいのに、なぜ?



その答えが、理樹の視界をつぶしたものにある。





加速開翼でのスピードはかなりのものだ。




そして、蒔風はそこから身体を止め、姿を現して左拳を放った。

しかし、よく見てみるとその拳は理樹に命中していない。
見えもしない理樹のバリア。その十センチほど前で、その拳は止まっていた。


だが、その腕はしっかりと伸びきっており、ただ単に寸止めしたようでもない。



そう、それでいい。
彼の目的は最初からそれだ。




超加速から一気に脱して放った腕。
そんなことをすればどんなことになってしまうのか。




簡単だ。答え合わせをしよう。



その左腕の皮はすべて反動でめくれあがって剥げ、筋肉繊維は裂かれて弾きだす。


それと同時にその腕に詰まっていた血液がすべて前へと、ペンキの缶を放り投げたかのようにぶちまけられた。



理樹には一切かからない。
しかし、そのバリアはすべて真っ赤に染まって中からは見えなくなってしまった。


これでは反撃も何もない。
しかも、こんないきなりのことに理樹はパニックになった。



無理もない。
戦闘経験の豊富ではない彼の目の前で、腕の皮がまるで解剖実験のようにべろりとはがれていき、筋肉がむき出しになって血を噴き出してきたのだから。

しかも、視界を一瞬で奪われて咄嗟に理樹はバリアを解除してしまった。




その瞬間。




「旋脚」

「な!?ゴフ!?グガアアアアアアアアアアアアア!!!!」




蒔風が足を振りまわし、何回もの回転蹴りを放ってきた。
その一撃をくらい、理樹が吐血するものの、その後の攻撃はすべてバリアで受けていた。


が、その猛攻は止まらない。
もはや落ち着かせてバリアを張らせることなどさせないように。



「突!!」

「うぐッ・・・・」


「「天」へと集わん!!」

「う・・・おおわあああ!!!!」



更には「天」を理樹に向かって突き出し、バリアに阻まれた瞬間に現在所有する分だけの剣をバラバラに出して、全方向から理樹を突き刺すように突っ込ませた。

無論、無茶である。
本来合体形態の中心剣である「天馬」だからできることを、この男は強引にほかの剣で発動させているのだ。

当然、その無理は余計に左腕を傷つけ、負担は鼻血となって噴出してくる。




それをなんとかバリアで防ぐ理樹だが、そちらに意識が言って蒔風の右拳が腹にめり込む。

更に喉の奥から血がこみ上げ、バリアが緩んで剣が突き刺さり全身に激痛が走った。

だが、それでもまだ倒れない。
理樹が地面を思い切り踏み込んでバックステップで距離を取る。

その理樹に向かって蒔風が獄炎砲を放って追撃。


「ハッ・・・ハッ・・・クッ、こんなもの・・・・ああああああああああああ!!!」




が、身体に剣が突き刺さり、しかも今の状況からの心の状態児ではまともにバリアなど張れるはずもなく、その砲撃は理樹を撃ち落とした。




地面を転がる理樹。
その耳に自分のすぐ目の前に足が置かれる音が聞こえ、立ち上がって攻撃する。

しかし、その攻撃を足で蒔風は防いで、その体を独楽のように回転させた。


ビチャリと、理樹の顔面に血がブチ撒けられ、その視界が奪われた。




それをこすって落とす理樹だが、次の瞬間には拳が見え、その時点で理樹の意識は消失した。





------------------------------------------------------------






「はぁ・・・・はぁ・・・・・左腕一本ぶっ壊して理樹・・・か・・・・・・・」



蒔風が息を荒くして理樹のカードを見る。



「もし・・・あの鎧にお前が前にやっていた「流れるバリア」を施していたら、あの戦法は成り立たなかった・・・・」



そう、理樹はその攻撃を「受ける」だけではなく、「流す」という事まで可能にしたバリアをし少しだが展開していた。


「だが・・・・それだけの硬度のモノでそれを実行のにはまだ経験不足だったな・・・・・」




蒔風が空間からバイクを出し、そこに収納されているものの中から包帯を取り出して左腕を吊る。

処置はしたが、この左腕は当分先まで使えないだろう。




しかし、彼はなにも後悔はしない。




また一人、仲間を屠って蒔風舜は、次の獲物を探しに行く。










to be continued
 
 

 
後書き

最初にあらすじ入れてみました!!!


理樹
「あんな・・・腕を捨てるなんて・・・・・!!!」


千切れてないまでも、再起不能でしょうね!!



理樹の敗因はズバリ経験不足でしたね。
まあ本編でも言いましたが仕方ないですけど。


理樹の切り札と、その破り方に関してはこう考えていました!!


満足しました!!




理樹
「次回、ライダー、最後の抵抗」

ではまた次回!





リスト残り


長門有希
クラウド・ストライフ
海東大樹
野上良太郎
モモタロス
ウラタロス
リュウタロス
ジーク
デネブ
乾巧
剣崎一真
左翔太郎
フェイト・T・ハラオウン
シグナム
ヴィータ
リィンフォースⅡ

 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧