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世界をめぐる、銀白の翼

作者:BTOKIJIN
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第二章 Lost Heros
  銀白VS空我


なぜだなぜだなぜだ。



何故 貴方が 此処に いる。





あなたは免れた。
この世界に巻き込まれなかった。

こんな悲劇に付き合う必要なんてなかった。




自分の世界で、やっと手に入れた平和な世界で、好きなところを巡る旅ができたというのに。


あなたには自分のできないことができ、そして世界を回ってもらいたかったのに。




なぜだ、なぜ・・・・・なぜだ!!






「なぜ・・・・来てしまったんだ・・・・五代さん・・・・・・!!!!」







蒔風が悔しさと悲壮感を織り交ぜた、何とも言えない表情を作って五代を睨みつかせる。



蒔風には解っている。
なぜ彼がここまでやってきて、目の前に立っているのか。

それを知っているからこそ、それを否定したかった。
だから問いた。なぜ来たんだと。

出来ればここにいるということすら否定したかった。





彼はこの世界に関して全くの無関係だというのに。
解っているのに否定したい。それを蒔風はこれほど思ったことはなかった。






「なんで・・・来たんですか・・・五代さん!!!!」

「蒔風さんが罪もない人を襲い、次々と消していると聞いたからです」

「それでも・・・無関係のあなたは来る必要はなかった!!」

「それは、できない」




そうして、五代が腰に手を当て、アークルを出現させる。
その隣で、それにならって両腕を開いてアークルを出すユウスケ。



「俺は嫌なんです。誰かの笑顔が、一方的な暴力で失われるのが!!!」

「みんなの笑顔を守る・・・そのために俺たちは来た!!」


「あなたに見せる、最後の変身」

「見せてやる・・・守る者の強さを!!!」



カチッ、と
ポーズをとってアークル横のスイッチを入れて蒔風へと走ってくる二人。



蒔風は左から来たユウスケのフックを腕でガードし、五代の前蹴りを右腕で止めた。



「うぐっ・・・」



蒔風が右肩の痛みにうめくが、二人はさらに攻撃を繰り出していく。
するとどうだろうか。


攻撃したその四肢から次々と黒い装甲が纏われて変貌していき、最後に顔をマスクが覆ってその目が赤く光る。



「「ハァっ!!!」」




ドムッ!!!




そうして、変身を終えた二人はそれぞれ右と左のストレートを放って蒔風を後退させる。
そこに立つのは、仮面ライダークウガ。その究極の姿だった。



「アルティメット・・・クウガ・・・・・!!!!」




全ライダーをして。



その最高スペックを誇る仮面ライダー。




空我





その泉枯れ果てようとも、胸に残ったその思い。


伝説を乗り越え塗り替えて、漆黒の甲冑を携えて





すべてをゼロにほどの還す力を持つ者。





一人で充分だった英雄が、今ここに二人立つ。





(こっちは右肩、右腿、左掌を負傷して、さらに剣だって全部ある状態じゃない・・・こんな状況でどうしろって・・・・!!!!??)






ドオッ!!!!



と、蒔風が思考を走らせているとその体が突如として炎に包まれる。
その熱に蒔風が転がるが、そうしていると蒔風の手のひらに炎が集まってそれがボシュ、と掻き消えて行った。


「やっぱり効きませんね」

「だったら・・・・直接倒すしかない・・・・」








------------------------------------------------------------



「・・・・これで・・・・全部ですね」

「うむ。これでクラウド殿は召喚獣がいなくなったはずだの」




「皆ひどいよ・・・バハムートなんだよ!?零式だよ!?追いかけられてた間、僕がどれだけ怖かったか!!」

「ダー!騒ぐなや!!んなこと言ったら獅子の旦那と朱雀さんはどーなんだっての!」




どこかの廃工場。
そこでバハムート零式、リヴァイアサン、フェニックスが消え去って、五人が集まっていた。




彼らは合流し、なんとかしてクラウドの召喚獣を撃破していた。




だが、驚異の大元が消えたわけではない。
いまだ理樹とクラウドは彼らを追っているし、そうある以上は彼らは蒔風の元に戻れない。




「そろそろ獅子と朱雀と入れ替わらぬとな」

「次の合流ポイントは・・・・」





「みんないるか?どうにもおかしなことになった!!」


「・・・・どうしました?」



と、そこで獅子が合流してきた。
今彼はクラウドに追われていたはずなのだが・・・・


「クラウド殿が消えた!!追って来ていない!!」

「なに?」




クラウドがいなくなった。
それは彼らにしてみれば負担の少なくなったと喜ぶべきことなのかもしれない。




だが、追われることに何かと慣れてしまった白虎が、嫌な考えに達した。




「ねえ・・・もしかして」

『誰か・・・・誰か救援に来て下さい!!!これは・・このままでは・・・・!!!!あああああああああああああああああああああ!!』





ドォン!!!!





そこで全員の頭に響く助けを求める朱雀の声、爆発音。
そして空を見上げると、炎が膨れて爆発が起こっていた。



「なにが・・・!!」





麒麟が目を凝らし、その爆発の中心を見る。
すると、その中から炎に包まれた人がらの朱雀が力なく落ちていき、工場を走るパイプを何本もへし折って地面に落下した。



「朱雀!!!」

「まさか・・・・!!!」




彼らが朱雀の落ちた地点に走る。



そこは一つのクレーターのなっていて、そこから人間の手が力なく伸びていた。
そしてその体が光り、一本の剣になって沈黙した。



「な・・・」


「お前たちがいると厄介だから・・・・確実に潰していくことにする」

「そして・・・舜の力を削ぐ」




朱雀の落ちた際に焼かれたのか、チリチリと熱を発する地面から剣となってしまった彼を引き抜いた彼らの後ろに、クラウドと理樹が降り立つ。

彼らは、全てを追う事をやめたのだ。
どれを追っても蒔風の元に戻ることはない。だったら全てを倒してしまった方がいい。


蒔風の十五天帝の数がそれだけで半分近く減るのだから。


「これは・・・・かなりまずいと・・・・考えてよいのでしょうね・・・・」

「ったりまえですよ・・・」



「覚悟しろ。ここでお前たちは終わらせる」


「怯むな!!天剣の意地、見せてやれ!!」

「一歩も引くな・・・我ら七獣。推して参るッッ!!!」





青龍以下、一人掛けた七獣六名が己の剣を握って二人の翼人に挑みかかる。



勝機などない。
ただ、少しでもこの二人を削れればそれで彼らとしては十分だった。








------------------------------------------------------------




蒔風がその胸板を殴りつける。

しかし、彼の身体は全く下がらず、仁王立ちして顔面を殴り飛ばした。




蒔風が転がりながらも立ち上がり、もう一方にハイキックを入れる。

しかし、その首が少し勢いに押されて曲がるだけで、全く効かない。足を掴まれ、投げ飛ばされる。





「ガッ・・・は・・・勘弁してくれよ・・・ここまで規格外だとおにーさん泣いちゃうって・・・・・」




地面にうつぶせになりながら、上体を起こして二体のクウガを睨みつける蒔風。



そこから一気に撥ね起きて、両拳でのラッシュを浴びせかける。
それに対応して腕でガードする二人に、そこからの反撃を受け流していく蒔風。


と、蒔風のケンカキックにさすがに押しのけられたクウガが少し後退した。

が、攻撃したのなら無論隙ができる。
そこに攻撃してきたもう一体のクウガの拳を頭を倒して、首すれすれで回避し、その腕をつかみんで背中を向ける。


そこから背負い投げでもしようとしたのか、蒔風が腰を入れて腕を引く。
しかし、その体がガクッ、と止まり、逆にその腕を掴まれて蒔風の身体がブン回されて地面に向かって投げとばされた。




ブチッ・・・という音が聞こえた。




そして地面を抉りながら蒔風が地面に命中する。



背中を打ち、その衝撃に目をこれ以上ないほどに見開きながら二、三回撥ねて地面を滑り転がる。



一方、蒔風が蹴り押した方――五代だ――のクウガが、ユウスケであるクウガを見た。

その手に握られているのは、蒔風の左腕。



ぶらりとそこにある腕の持ち主は、今この少し先で転がっている。




「小野寺君」

「このまま、叩き潰しましょう。絶対に許しておけませんから」




五代がユウスケに声をかけるが、ユウスケにはそっけなく反応してからなおも蒔風に歩み進む。

その赤い目の輪郭は、徐々に黒い闇に侵食され始めていた。








to be continued
 
 

 
後書き

クウガ強すぎる・・・・
どうやって倒すのか。

朱雀
「そしてまさかの私の敗退」


一度真人にのされて、そこから何とかして復活したら今度は翼人に。
これはもう復活できないよね?


朱雀
「ですねー。まあ、剣の状態なら大丈夫ですけど。槍の状態にはなれませんが」



あっちもこっちも死闘状態。


蒔風の左腕もま~た飛びましたし。


朱雀
「とりあえず「アレ」を使えば腕は大丈夫でしょうけどね」


でも勝てるかどうか・・・・
まあ勝たせないといけないんですが・・・・

卑怯に行くぜッ!!


朱雀
「次回、VSクウガ×2パートⅡ。そして・・・」


ではまた次回





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