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Fate プリズマクロエ お兄ちゃん強奪計画

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エルキドゥ降臨


 何人かに抱きかかえられて、這うようにしてアンジェリカが作った工房に来たギルガメッシュ。
 後は涙の再会でもさせられて「すご~い」「たのしー」「再会して泣いちゃうフレンズなんだね」みたいに補完されるだけであった。
 額にMかWがひっくり返った表示が出ているので「ベ、ベジータてめえ?」「そうだ、サイヤ人の王子である俺が下っ端の兵士であるお前にry」みたいな独白とかしながらバビディ?の手下になって、観客席の人間とかギャリック砲で惨殺したりするのかも知れない。

「名前だけではなく、故人の遺物があれば助かるし間違いも起こらない。写真や絵でもあればイメージもしやすくなる」
 アンジェリカの言葉に従って「エルキドゥ」の名が付いた神を拘束する鎖を出す。宝物庫から当時の絵も出して、イメージの助けもして願うギルガメッシュ。
 この場合の間違いとは、同姓同名の別人が呼び出されてしまう間違いであって「持って行かれたーー!」みたいな間違いでも、ホムンクルスがひっくり返って魔法陣の中に出現して、赤い賢者の石とか食べるまで人型に成れない間違いではない。
「人形に呼び出して定着させるので、何かが欠落してしまう。感情、知能、記憶、(えにし)が薄ければ欠落も多くなるだろう、それは理解してほしい」
 それでも構わないと言って、友人との再会を願い、故人が好きだった物やワインをお供えに差し出し、対価を求められるならと、黄金や財宝の数々も差し出し、クロエとアンジェリカに与えた。この時点で財宝の骨董価値を加えると、二人の財産はエーデルフェルトを越えた。
「金と宝石の匂いがするっ!」
 どうやったのか鉱物の匂いを嗅ぎ取って、凜が口から出ていた霊体やエクトプラズムをツルッと吸い込んで工房に登場して騒ぎ出した。
「何これっ? これ何なのっ、ものすごい財宝っ?」
 牛丼屋で支払い用の千円を準備してテーブルに置いておくと、パート店員で発達障害のババアが喚き出すように、金目の物を見て他人の財産でも喚き始めた凜。
「凜、静かにして、今ギルガメッシュのオジサンの友達、人形に呼び出してる所だから。ご機嫌損ねたり失敗させたら、宝物庫から宝具が飛んで来て穴だらけにされるわよ。これあげるから静かにして」
 クロエはアンジェリカの儀式に注目したまま、先程貰っていたバビロニアの銀貨を数枚ポケットから凜に渡した。
「何? これだけ? ケチケチしないでもっと頂戴よ」
 歪な形で、砂型に銀を流し込んで鉄の型で刻印を刻んだだけの、冶金技術も低く、価値も低そうな100円玉モドキを渡されて不満を漏らす凜。
「それね、古代バビロニアの銀貨だから、骨董屋さんか、博物館にでも持ち込んだら高く売れるわよ。何千年か前だし、ebayにでも出品したら一枚で億単位だと思うわ、金か銀は関係無し」
 凜はそう聞くと、すっ飛んで行ってメイド部屋にある自分のパソコンに憑りついて、写真を撮って海外のオークションのアカウントを取ってまず1枚出品した。刻印にあるギルガッメッシュ王本人の指紋付きである。

「fsdighghtrgil;hjefihal;hdguis2qp今は亡きエルキドゥ、我が人形に魂と記憶を宿せ」
 ギルガメッシュやロードエルメロイなど、静かに見守る人間だけになり、願われた通りの人物が降臨した。
「ここは? どこ? 僕……」
「ワシやっ、覚えとるか? ギルガメッシュや」
「ギルガメッシュ?」
 どうやら記憶障害で出現したようで、エルキドゥにはギル様の記憶も余りなかった。忘れようとしたのかも知れない。
「故人の記憶は失われたようだ。数千年も前の記憶、転生も繰り返されたのでしょう、私程度の術者では置き換えられなかった、申し訳ない」
「構まへんっ! 記憶ぐらいどないでもなるっ、ワシはこいつがおってくれたらそれでええねんっ」
 何度も何度も泣きながら感謝し、クロエにもアンジェリカにも十分な謝礼をする。「自分の背の高さまで黄金を積む」のは、白人に捕らえられたインカの王以来の出来事になった。
「お嬢ちゃんらには、身を守る宝具もやるわ、これ首から下げといたら間違いないから」
 回復のアミュレットだか身代わりの宝具と、自分で主人を守る短剣を渡され、二人には換金が不可能なぐらいの宝具も与えられた。
 これでクロエの財産は、イリヤが持っている子供のお小遣いや切嗣の弾薬量を超え、エルメロイ家の財産もはるかに超えた。
 人間的なヒエラルキーでも、クロエ>クロエの手下のアンジェリカ>ギルガメッシュ>ロード・エルメロイ>それ以下、が確定した。
「足りんかったり、取られたらまたオッチャンに言うんやで、お嬢ちゃん」
 ギルガメッシュまでクロエにアンリマユされて、一瞬でエヌマエリシュされてしまった。
 王は財宝と持ち主を守る不死の兵を置いて、アンジェリカとクロエを主人として登録した。
「ルヴィア、ちょっと預かっててね」
「え? ええ……」
(クロエ、恐ろしい子……)

「良かったわね、オジサン。アンジェリカもお疲れさま。今日はもう無理だろうけど、明日ならアレクサンダー大王も呼び出せる?」
「なぬ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っ!」
 今度はこの世界のロード・エルメロイの顎が外れ、目玉が射出されて爆発した。
「いや、私なら今からでも構わないが?」
 まだ魔力残量があるアンジェリカが快諾して、人形も残っていたので呼び出そうとしたが、クロエに止められて耳打ちされた。
(ここで、お兄ちゃんに「魔力注入してもらえないとできません」って言うのよ)
(そ、そうだったのか)
「こ、これ以上するには、シローに魔力注入して貰ってからじゃないと出来ないんだからねっ、べ、別にアンタの為じゃないんだからねっ」
 クロエには色々吹き込まれているらしく、ツンデレ言語でオネダリしたアンジェリカ。
「シッ、シロー君はどこにおるんや?」
 先程補完済みで、アイオニオンヘタイロイへの参加まで許された方と違い、まだ主君からのお言葉を賜っていない方のエルメロイ卿は、士郎の居場所を探した。
「お兄ちゃん達ならアタシの家でカレー作ってるわよ」
「探してくるっ」
 すっ飛んで出て行って、衛宮家を訪ねようとするエルメロイ卿をエルメロイ卿が止めた。
「まあ待ちいな、他人のガイジンが行っても殴り込みや思われるで。ワシもな、このお嬢ちゃんに異世界のカードの方で大将(アレクサンダー)に合わして貰ろてん、道中に言うたらお前発狂するから帰るまで待ったんやけど、ギルガメッシュが先に…」
「何で先に言わんねん? ワシらの一番大事な事や無いかいっ」
 既に泣いているエルメロイに、死後ならアイオニオンヘタイロイに参加を許可してもらえること、今回の指令は「この中の誰かと一緒になれ」と言われて、ルヴィアが立候補して婚約予定なのを伝えた。
「ワシも直接聞かしてもらうまで待てんっ」
 エルメロイの言葉を聞かず飛び出していくエルメロイ。
「アタシも行ってみるわ、アンジェリカも来る? オジサンとお友達はお幸せに。お姉さんかお兄さんか分からないけど」
「うん、お嬢ちゃん、ありがとうな」

 衛宮家
 既に壊れた目をしてガクガク震えている一成が到着し、雀花とミミもキラキラした目で一成と士郎を見て、何故か貴腐人の姉も来ていた。
 大河は野菜とカレー肉を買って来て正座待機、持って来た炊飯器も保温。
 ナナキは「クロエに呼ばれたからイリヤの家に行って来る」と言うと姉にガッシリ頭を掴まれ「衛宮君の家に行く、だと?」と目を光らせて口から蒸気を吐いた姉にそのまま憑依され、「ウケケケケケ」とか笑いながら自分達の夕ご飯のおかずをタッパーに詰めて(父親おかず無し)保護者面をして「お夕飯時だから衛宮君にお弁当作って来たの~」と言って無理やり付いて来た。
 嶽間沢親子は酒と土産物を持って、珍しく普通に参加していた。
 もう麻薬カレーにアンリマユされているママ、セラ、リズも正座待機。桜も汚染済み、泣きながら寝ていた切嗣も「いい匂いだね」とか言いながら降りて来た。
 この後クロエと士郎二人にカレー堕ちさせられ、アンリマユされてしまう予定の人物は、2回目の一成、大河、桜。麻薬カレーは「はぢめて」の桜人形、アンジェリカ、切嗣、バゼット二人、ロードエルメロイ二人、雀花、ミミ、ナナキ、ナナキの姉、嶽間沢親子、綺糺、ギルガメッシュ、エルキドゥ、カナダ人夫妻、凜、ルヴィア、オーギュスト、などであった。
 尚、今回は子供用カレーが用意されていないので、美遊とイリヤもタヒぬ。

「シロー君はおりますか? ちょっとアンジェリカさんに「魔力注入」して欲しいんや、もう何でもするから頼む」
 呼び鈴を押して即土下座依頼。エルメロイの家名でも何でも差し出すつもりでいるので、士郎がアンジェリカに魔力注入すると「優秀な魔術師の生徒を養子にして家名を継がせる」予定だったのも覆してシロー・エルメロイになるのまで可能になった。
「は~い、いらっしゃ~い、お兄ちゃんは台所よ」
 目がイっちゃってる士郎二人なので、別の子供とか家族が入ると「「今イイ所だから邪魔しないでくれ」」と言われて、雀花と姉が創作意欲を刺激されまくって狂うセリフが聞けるが、二人ともクロエにはアンリマユされているので入場可能。
「また異世界に行ったら、異世界のアレクサンダーさん呼び出してあげるわ」
「なんやて~~~~~~~~~~~~~~~~~~っ!」
 もう一回メダマドコーのAAになったエルメロイも連れ、幼女戦記みたいな目が光った悪魔の笑顔で家に入るクロエだった。
「雀花とお姉ちゃんとミミも来て」
「「「へ~い」」」
 居間の三人を呼び出すと、この面子の好物は分かったので一緒に台所前に並んだ。
 イリヤと美遊は行方不明になっていた間の事も、士郎が二人いる理由も、魔法少女をやらされていたのも吊るし上げられて人民裁判に掛けられ、何もかも白状させられていたので、新たな相方ジュリアン様の存在も白状した。
 特にバレると魔女ガエルになったりするペナルティは無いので美遊も喋らされ、血が繋がっていない兄との、決して結ばれることのない悲恋を語るに語り落ちていた。
 そしてエルメロイ卿二人は台所の入り口で即土下座依頼した。クロエは雀花の姉の携帯を取って即座に録音開始。
「「頼んます、どうかアンジェリカちゃんに魔力注入して下さい。もう何でもしますから」」
「「すいません、今、イイ所なんで、邪魔しないでくれませんか? ハァハァ」」
 ちなみにイイ所とは、病んだ笑顔で肉や野菜をお湯で煮込んで灰汁を取っていたり、カレー粉を投入するのにグラム単位まで計量して、隠し味とかもタヒ人の人数を腹積もりしながら用意している所である。
「「「ヒイイイイイッ!」」」
 雀花と姉狂喜乱舞、メモして一語一句間違えることなく記録して、表情とか言い回しも漫画化。姉はクロエが携帯で録音したのを反芻。ミミは真っ赤になる程度で反応が薄かったが、妄想を膨らませまくって、その日のうちに異世界士郎二人と一成、ジュリアンの恋愛物を一本書き上げた。
「クッ、異世界の自分との恋愛物とは意表を突かれたわ、その上一成さんとの三角関係、ジュリアンさんとの四角関係っ、クロエ先生、勉強になりましたぁ」
((頼んます、どうかアンジェリカちゃんに魔力注入して下さい。もう何でもしますから。 すいません、今、イイ所なんで、邪魔しないでくれませんか? ハァハァ))
 雀花の姉は一つ上のステージにいる人なので、他人の家なのにそれを聞きながらトイレに入った。
「このアンジェリカの所、一成君かジュリアン君に変わんないかなあ? 家で加工しよ」
 ノートを出してイキナリ壁ドン?しながら、その場で序盤とプロットを書き始めるミミ。
「題、今イイ所なんで、邪魔しないでくれませんか? 俺はごく普通のどこにでもいる料理好きの男子高校生。でも俺には異世界に同じオレが? 料理を目指して同じ夢を語れるオレがいたんだ。そして親友の一成と、異世界にはジュリアンって一成の代わりになる人物が…… ああっ、私にお兄さんの入れ替わりとか、感情の起伏や恋愛の縺れまで描き切れるのかしら? ええいっ、ままよっ」
 とりあえず三人全員腐っていた。

「お兄ちゃん達、まあそう言わないで」
「「ああ、クロエか、クロエなら仕方ないな」」
「んん、弱みを握ってる妹設定で、肝心な時には邪魔されてしまう二人か、イイとこ掴んでるよ、クロエ先生っ」
 雀花から目を細めてサムアップされ、何故かクロエだけが先生と呼ばれていた。
 実際の士郎が掴まれている弱みは、すぐ下着姿で布団に入って来て一緒に寝るクロエを見て我慢できず、キスしてしまったり、下着をずらして中身を見る所を携帯で録画されてニヨニヨされ「ママとセラとイリヤには内緒なんでしょ~、パパとリズならお祝いしてくれるかな~?」と言う弱みを握られて、一緒に入浴サービスもしてくれる従妹?には頭が上がらない士郎。
 異世界士郎は美遊救出から桜救出まで、何から何まで世話になっているので普通に頭が上がらなかった。
「アンジェリカがギルガメッシュオジサンの友達も人形に呼び出したんだけど、もう魔力切れらしいのよ~。ここは一つ、お兄ちゃんがアンジェリカに「魔力注入」してあげるしかないわよねえ、う~ふ~ふ~」
 黒いドラ*モンは黒い笑顔で笑った。兄の童貞卒業を自分でやると犯罪年齢で、セラとママに兄が殺害されてしまうので、アンジェリカ人形と桜人形を使って、兄の下半身の欲望も全面バックアップであった。
 士郎としても、美遊からのドロップキックやフライングクロスチョップが無ければ、もうとっくにアンジェリカと結ばれて、お風呂でドッキリではなく普通に一緒に入浴して自然に床入りできていたが、鬼のような妹に邪魔され続けていた。
「小さいギル君には異世界でもお世話になったから、先に願いを叶えてあげたんだけど、ロードエルメロイとアレクサンダー大王って、第四次聖杯戦争の戦友なんだって」
 まだ向かいの客全員には顔合わせしていないが、イリヤとクロエが世話になった人物、それもカレー堕ちさせられる人物が多そうなので、士郎二人もニヤリと笑った。
「「いいですよ、カレーで注入しますか? それとも」」
 まだ顔しか見ていないこの世界の士郎は、金髪の綺麗な人、ぐらいの認識しかなかったが、異世界士郎は、綺糺に助けられなかったら命を落としていた傷を与えられて妹を誘拐され、聖杯で妹を送り出すときも邪魔され、牢に送り込まれたし、帰って来た美遊救出にも抵抗した人物だったので、黒い感情をタップリとぶつけてやろうとも思え、アンジェリカの言葉通り「この体で一生支払います」を実行させる気もあった。
「ちょっと待って下さいね」
 野菜と肉の灰汁を抜いて、ブイヨンだか出汁が出たお湯は交換しない派の士郎は、この世界の士郎が粉を投入するのを見守ってからエプロンを外した。
 これからもカレー鍋と勝負の士郎は、戦友を見送った。
「じゃあ~、うちのお兄ちゃんは後で桜人形使わせてあげるわ」
 桜本人は異世界士郎の嫁になる決心をしたようだが、カレーを口に入れられるとどうなるか分からない。
「ねえ、雀花、雀花のお姉ちゃん、ミミ、ちょっと美遊を押さえててくれる?」
「「「アイアイサー」」」
 好物を頂いたので従順な三人、勿論他にもクロエの「鍵を開ける能力」でアンリマユされてしまう人物もいた。
 
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