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ソードアート・オンライン handle a system

作者:ハマT
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OS編ep1オーグマー

 
前書き
今回から全三話でオーディナルスケール編開始です。投稿は毎週土曜日。楽しみにしていてください。 

 
今でも時々夢に見ることがある。あの城で出会った一人の少女の事を。皆の前で歌い続けた一人の少女。あの少女と最後に話したのはいつだったんだろう?


その日リュウヤは菊岡に呼ばれとある場所に来ていた。
「やっと来てくれたねリュウヤ君」
「いきなりこんなところに呼び出さないで下さいよ・・スグ達誤魔化すの大変だったんですよ」
「それはすまない・・お、君も使っているんだねオーグマー」
菊岡がリュウヤの顔につけている機械を指差す。
ーーAR型情報端末オーグマー。最近世間ではこのオーグマーが人気を博している。リュウヤの通う生還者学校の生徒にも無料配布されておりリュウヤも使用している。
「オーディナルスケールというゲームを知っているかね?」
オーディナルスケール。オーグマーで遊ぶことができるARMMOだ。プレイすることでランキングが上昇しそれに応じて色々なクーポンやサービスを受けることができる。
「一応俺もやってるからある程度は知ってるさ」
「ある程度・・ね」
菊岡もオーグマーを起動してリュウヤのランクを見てみる。そこに表示されているのは137という数字。
「一応どころか結構やっているんだね」
「それよりそれがどうしたんだ?」
「ああ、実は最近変な事件が起きているんだ」
「変な事件?」
「オーディナルスケールのサービス開始から五日目、ある一人のプレイヤーが体調不良で病院で検査を受けた。その結果ある記憶が抜け落ちていた。また似たような案件が他に五件ほど報告されている」
「ある記憶?なんの記憶だ?」
「アインクラッド」
その言葉にリュウヤは反応を示す。4000人もの死亡者を出した最悪のテロ事件。その事件の舞台となったのがアインクラッドだ。
「そのプレイヤーは全員アインクラッドで生きたという記憶を全て失っている。更に彼らは全員オーディナルスケールをプレイ中に体調不良を訴えている」
「………偶然じゃないな」
「僕もその考えに至ってねリュウヤ君。君に頼みたいだ。オーディナルスケール、そしてユナの調査を」
「ユナ?」
オーディナルスケールのイメージキャラクターで世界初のARアイドル、ユナ。余りにも自然な表情も受け答えから本物の人間が演じているのではないかと噂されている。
「リュウヤ君も知っているだろ?彼女のデータは実に興味深いだから・・」
「分かっています」

四月六日
リュウヤは一人である場所に来ていた。近くにバイクを止めると広場を一望することができるテラスへと向かう。広場を見ると多くの人が集まっている。
この日の午後八時半頃突然オーディナルスケールのイベントバトルの場所が告知された。近くに用事があったリュウヤもその場所に来ていた。
「40人くらいか……少し多いな」
たった三十分の間に40人もの人が集まったということはそれほどオーディナルスケールのプレイヤー人数が増えていると言うことだ。
「そろそろか………オーディナルスケール起動!!」
リュウヤの声に合わせて白を基準としたジャージは真っ黒なロングコートへと変化する。オーグマーの周辺機器であるタッチペンもリュウヤの好む細い片手剣へと変化する。そして時刻が九時を示した瞬間辺りが次々と変化を始める。車は木箱等の置物に、建物は何処か異世界のような形に変化する。一通りの変化が終わると10分という時間が表示されボスが現れる。
「?!イルファング・ザ・コボルトロード?!」
現れたのはアインクラッド第一層のボスモンスター、イルファング・ザ・コボルトロードだ。更にリュウヤの近くにドローンが飛んでいき一人の少女が具現化する。
ーーARアイドルのユナだ。ユナがオーディナルスケールの戦いに現れると戦いに参加しているプレイヤーにボーナスが与えられる。
「さーてみんな行くよ。戦闘開始」
その言葉と同時に歌い始めるユナ。それと同時にプレイヤーとボスが戦闘を開始した。
「お久しぶりですリュウヤさん俺は重村教授から指示を受けてきたエイジです」
リュウヤに声をかけてきたのは一人の青年だ。
「・・・お前もしかしてノーチラスか?」
「すみませんその名前はやめてください今はエイジとなのっていますので」
ーーノーチラス。かつてリュウヤが所属していたギルド血盟騎士団に所属していたSAO生還者の一人だ。とある理由から前線での戦いで何度もピンチに陥りそれを毎回リュウヤに助けられていた。
「敬語はやめてくれよお前の方が年上なんだし」
「いえあなたには何度も助けられましたから・・それよりどうですか?」
エイジに言われて戦闘を見るのプレイヤーとボスが戦闘を繰り広げている。ボスの攻撃は全てかつて戦ったときと全く同じパターンだ。
「良くできているなお前が攻略に参加したのって確か・・」
「三十五層からです。あのボスのデータを何処から持ってきたかはまたのちほど・・まずはアイツを倒して下さい」
「重村教授の指示か?」
「いえただもう一度見てみたいのです・・鬼神や女神、紅白の剣士と呼ばれたあなたの力を」
「分かったよ」
そう言うとテラスから飛び降りてボスに向かうリュウヤ。ボスもそれに気づきリュウヤを攻撃する。それを横にとんでかわしボスに攻撃する。攻撃されたボスはスグに凪ぎ払いで攻撃するがそこにリュウヤの姿はない。皆が上を見るとそこにリュウヤはいた。凪ぎ払いをかわした後辺りの障害物や壁を使って空高くまで飛び上がっていた。その姿を見た瞬間武器を投げ捨てるボス。そして背中から野太刀を引き抜く。一方のリュウヤは2階近くにあるワイヤーを掴み一回転しボスに突撃する。ボスの野太刀とリュウヤの剣がぶつかり合う。轟音が鳴り響き閃光がひた走る。全てが晴れるとリュウヤの目の前でボスが四散した。
「ス、スゲェ!!」
「マジかよ!!俺あんなの見たことねぇぞ!!」
戦闘を終えると参加していたプレイヤーがリュウヤに称賛の声を上げる。
「お取り込み中ごめんね今日一番頑張った人にボーナスを上げるね今日のMVPは君だよ」
称賛を浴びるリュウヤに近づいてきたユナはその頬にキスをする。
「じゃまたねー」
ユナが消えると同時に辺りも元の風景に戻る。それと同時にリュウヤのランキングも更新され順位が45に上がる。
「お疲れさまですリュウヤさんさて重村教授からの指示ですが・・」
「それについては俺が話すぞ」
リュウヤとエイジの話に入ってきたのは赤い髪をした大柄な男だった。
「空野さん来ていたんですか?」
「教授の指示でな・・んでお前がリュウヤか?」
「ああ」
「俺は空野優雅、オーディナルスケールじゃあジェネシスって名乗ってる。それで教授からの指示だがしばらくはSAO生還者を探れだとよ」

四月十六日
「ランク・・・4?!」
「一体何してたのよ・・」
この日リュウヤはキリト達と学校帰りにカフェによっていた。そこではあるゲームをクリアするとケーキ無料クーポンを貰えるのでオーグマーを起動した瞬間皆がリュウヤのランクをみて絶句していた。重村教授の計画に参加してから何度もイベントバトルに参加していたリュウヤはランキングを4まであげていた。ちなみにエイジは2、ジェネシスは3だ。
「まぁ適当にオーディナルスケールをやってただけだ」
「適当にって・・そんな理由でそこまでランキング上がらないわよ!!」
「そんなことよりさっさとゲームクリアしてケーキ食おうぜ」

その後ゲームをクリアしケーキを食べたリュウヤ達は近くにあるショッピングモールに来ていた。
「キリトお前オーグマーに慣れろよな」
「そんなこと言っても何かなぁ・・・」
巷で流行っているオーグマーだがリュウヤの予想道理キリトはあまり乗り気ではなかった。
「ユイといつでも会えるからいいじゃねぇか」
「にぃの言う通りですよパパ」
「確かにそうだけども・・・リュウヤ?」
話しているとリュウヤが突然立ち止まる。リュウヤが見ているのは液晶に表示されたユナだった。
「どうしたんです?」
「・・いや何でもない」
(・・ユナ・・始めて見たときから感じるこの違和感はなんだ?)
かつてデビューしたばかりのユナを見た時から何故かユナにある違和感を感じていた。最もその違和感の正体は本人にもわかっていないが。
「そういえばユナのファーストライブの話聞いてますか?」
「ファーストライブ・・ああ、生還者学校の生徒全員が無料招待されたやつだろ」
「何でそんなことするだろうね」
「本当、ライブに行くことが何の授業になるんだか」
「まぁまぁ良いじゃないですか」
「そーいやシリカってユナの大ファンだったよな」
「確かにあんた直葉とカラオケで熱唱してたしね。ほら皆にも聞かせてやりなさい」
そういってリズがオーグマーを操作してユナの曲を流し始める。それに合わせてシリカが歌い始める。しばらく歌うと周りから拍手が飛び交う。それで我に返ったシリカはスグにリュウヤ達の所に走ってくる。
「そーだキリトさんもユナのライブに行きましょうよ!!」
「まぁ・・・気が向いたらな・・」
「そういえばあの噂って本当なんですかね?」
「噂・・ああ、オーディナルスケールのイベントバトルで旧アインクラッドのボスモンスターが現れるってだろ?」
「それそれ、場所も直前まで隠されてるから足のない私達には参加できないのよね」
「ふーん足があればいいのね」
アスナのその言葉を聞いた瞬間にその場から逃げ出そうとするキリト。そのキリトにクラインからメッセージが届く。そのキリトの肩を掴むアスナ。
「キリトくん」
最早キリトに逃げ道はなかった。

「・・ハイわかりました教授・・」
キリト達と別れた後リュウヤは重村教授と連絡を取っていた。今日行われるイベントバトルについてだ。元々リュウヤは今日のイベントバトルに参加するつもりはなかったが重村教授から参加するようにと指示がきた。指示がきた以上は仕方がない。まだ今回の調査の核心にたどり着いていないため教授を含めた三人の信頼を得ることが必要である。リュウヤはバイクに乗ると今回のイベントバトルの場所に向かった。

キリトはアスナをバイクにのせ少し前に発表されたイベントバトルの場所に向かっていた。あの後キリトのバイクに乗れるのは一人だけと言うことになりジャンケンの結果アスナが参加することとなった。近くまできたキリトは路肩にバイクを止めヘルメットをのけ目的地に向け走り出す。目的の広場には既に40人位の人が集まっていた。
「場所が告知されたのって確か三十分前だよね」
「それだけプレイヤーが増えたってことだろ」
「お、キリトにアスナじゃねぇか」
声のする方向を見るとクライン率いるギルド風林火山のメンバーがいた。どうやら彼らもこのイベントバトルに参加するつもりのようだ。
「なんだクラインお前も参加するのか?」
「へへ、まぁな・・よし皆アスナにいいとこ見せろよ!!」
「ごめん遅くなっちゃった」
声のした方を見るとそこにはアンナがいた。彼女はかつてラフコフ一員だったが討伐戦や死銃事件を得て現在はクラインと婚約しており今年の九月に結婚式を挙げる予定だ。
「そろそろだな」
時計を見ると開始時間まで後少しとなっていた。
「オーディナルスケール起動!!」
皆がそれぞれオーディナルスケールを起動する。そして時計が九時を指したとき辺りが変化する。一通り変化を終えるとボスが出現する。現れたのはアインクラッド第十層ボス、カガチ・ザ・サムライロードだ。
「やっぱりあの噂は本当だったんだ・・」
プレイヤーがそれぞれ武器を構えるとボスの奥にARアイドルのユナが現れる。
「さぁ皆行くよ戦闘開始」
ユナが歌い始めると皆に特別なバフがかかる。それと同時にボスとプレイヤーが戦闘を始める。剣や斧といった近接武器で攻撃するプレイヤー、銃や弓で攻撃するプレイヤー、それぞれがそれぞれの戦い方でボスを攻撃する。
「風林火山でボーナス頂くぞ!!」
クラインの号令でボスに向かっていく風林火山。ボスの攻撃をタンクが受け止めその脇からクライン達が攻撃する。その攻撃を受けクラインを攻撃しようと追いかけるボス。今度はそのボスに別の風林火山のメンバーがタックルをかまし吹き飛ばす。そこにアンナが刀で追撃する。建て直したボスは遠くで様子を見ていたキリト達に目標を定め突撃する。それをあわせキリトもボスに向かって走り出すが段差につまずいて転ぶ。転んだ先はボスの目の前。なんとか紙一重で攻撃をかわし体制を建て直すため一旦ボスと距離を取ろうとするがボスに追いかけられ思うようにいかない。
「やっぱり体が重いな」
「もうキリトくんのはただの運動不足でしょ!!」
「LA頂き!」
二人とのすれ違い様に一人のプレイヤーが銃を撃つがボスはそれをかわす。
「やっべ」
外れた銃弾は歌い続けるユナに向かって飛んでいった。

リュウヤが着くと既に戦いは始まっていた。
「悪い遅れた・・様子はどうだ?」
「リュウヤさん順調ですよ今回参加しているのは9人、風林火山に黒の剣士にアスナさん。後はアンナって人ですね」
エイジに言われてオーグマーで戦闘を覗くと参加しているプレイヤーの中からSAO生還者の名前がピックアップされる。
「そうだコレ・・独自で調べたオーグマーを使用しているSAO生還者のリストだ。赤い丸でチェックしているのは生還者学校に通う生徒だ」
リュウヤはエイジに資料を渡した瞬間だった。ボスを狙ったはずの銃弾がユナに向かって飛んでいった。それを見た瞬間エイジはユナを守るためにテラスから飛び降りた。その様子を見た後再び戦闘を眺める。その瞬間、一瞬クラインと目があった気がした。
(ヤバイ!!)
キリト達にバレたらまずい。そう考えたリュウヤはスグにその場を後にした。

「・・・例の資料ありがとうございます菊岡さん」
『別に構わないよそれよりユナの方はどうだい?』
「核心につけるようなことはまだなにも・・例の件に関してもまだ詳しいことはわかりません」
『そうか・・では引き続き頼む』
広場を後にしたリュウヤは少し離れた場所の裏路地に入り菊岡に今までのことを報告していた。
「やっぱりスパイだったかリュウヤ」
報告を終えたリュウヤに一人の人物が声をかける。
「ジェネシス・・何時から俺に目をつけてた?」
「最初からだ・・お前は昔からそうだったよなぁ」
「昔・・・ジェネシス・・お前もしかして?!」
「もういいやどうせこうするつもりだったからな」

ALO内
「ユナにあったの?!」
キリトとアスナの家にはリーファ達いつものメンバーが集まって今回のイベントバトルの事について話していた。突然乱入してきたランク2のエイジの事やアスナがMVPとしてユナにキスされた事などを話していた。
「あーユナに会えるなら行きたかったなー」
「仕方ないよリュウヤ君用事で来れなかったんだし」
「リュウヤならいたぞあのエイジってやつが出てきたテラスのとこに」
「ちょっと!!それってほんとなの?!」
クラインの言葉を聞いたリズがクラインに詰めかける。
「ほ、ほんとだ確かにいたぜ。でも俺の顔を見た瞬間スグにどっかにいきやがった」
「アイツ!!用事があるっていって逃げたのね!!とっちめてやる!!」
そういってALOからログアウトするリズ。
「リーファ?」
なぜかそのやり取りを見ていたリーファの顔が少し不安な顔つきになっている。
「・・何か嫌な予感がして・・」

ログアウトしたリズはスマホをとりリュウヤに電話をかける。リュウヤにしては長い呼び出し音のあとリュウヤが電話に出る。
「アンタ!!今日用事があるっていって逃げたでし
ょ!」
『・・リズ・・・SAO生還者は・・』
「リュウヤ?」
何か様子がおかしい。
『・・ランク・・・・』
その言葉を最後に電話は途切れた。

「あんた達なにやってるのよ?」
リズがALOに戻るとリーファがシノンに、クラインがエギルに泣きついていた。話を聞くともうすぐ行われるユナのファーストライブのペアチケットを手に入れた二人に連れていって欲しいと頼んでいた。最も二人とも最初からそのつもりだったようだが。
「そういえばリュウヤさんどうなったんですか?」
「それがよくわからないのよSAO生還者とかランクとか何かよくわからないこといった後電話切れるは繋がらないはで・・」
「リュウヤ・・」

次の日の朝
この日から直葉はしばらく部活の合宿に行くことになっておりしばらくはキリトとリュウヤは二人で過ごすことになるのだが・・
『結局帰ってこなかったんだね』
「ああ、全く連絡もとれない」
結局昨日リュウヤが家に帰ってくることはなかった。それに一切の連絡も繋がらない。そんなことをアスナと電話で話していた。最近こんなことはよくあるがそれも事前に連絡がある。しかし今回は何故か連絡もない。そんなときキリトのオーグマーにメッセージが届く。差出人はY。内容は何処かの位置情報。何かを感じたキリトはその場所に向かった。

「ここか?」
スマホのナビ通りに来るとそこにあったのは病院だ。
「ここに何があるんだ?」
とりあえず病院の中を見て回ろうとして少し進むとある人物が目に入り足を止める。
「とりあえずスマホの充電も終わった頃だと思うし一回御家族の方に連絡をとった方がいいよ」
「ありがとうございます先生」
間違いないリュウヤだ。それに気づいたキリトは急いでリュウヤの元に向かう。
「兄貴!!何してたんだよ連絡も通じないし」
「すみませんあなたは誰ですか?」
リュウヤのその一言にキリトは何が起きているか理解することが出来なかった。

「記憶喪失?!」
先生につれらて医務室にきたキリトはリュウヤのことを聞いていた。早朝、都内の路地で倒れていた所を発見されたリュウヤはスグにこの病院に搬送された。特に外傷はなくスグに意識を取り戻したが名前以外の記憶を全て失っていたらしい。
「先程MRIで脳の方をチェックしてみてわかったんだがどうやら彼の記憶喪失の原因は強い精神的ショックみたいだね」
「強い精神的ショック・・・」
「それも相当強い精神的ショックのようだ・・まぁ原因は何にせよ日常生活に支障はないからねひとまずは自宅で経過を見よう。もし何かあったら連絡をしてくれ」

リュウヤを連れて自宅に戻ってキリト。
「ここが兄貴の部屋だ」
リュウヤの部屋に案内するキリト。
「ここが僕の部屋ですか・・・」
しばらく部屋を見渡すが記憶が戻りそうな様子はない。
「これは・・」
「ナーブギアだ。昔はそれでフルダイブしてたけど最近じゃあ兄貴アミュスフィアでフルダイブしてんだぜ」
その後リーファや、アスナ達の事を話すキリトだったが結局リュウヤの記憶は戻らなかった。


八時五十分頃代々木公園
今日のオーディナルスケールのイベントバトルの場所はアスナの家から近い代々木公園だ。お風呂に入っていたアスナもクラインに誘われて代々木公園に来ていた。
「アスナすまねぇないきなり連絡して」
「構いませんよ。そういえばキリトくん今日は来れないそうです」
「やっぱりか・・あんまり乗り気じゃねぇみたいだしな」
「まぁリュウヤ君のこともありますし・・」
キリトはリュウヤが記憶喪失になったことをまだ誰にも話していない。その為皆リュウヤは行方不明になっていると思っている。
「・・ってもう時間来るじゃねぇか・・アイツなにしてんだ?」
「どうしたんです?」
「あ、ああ実はなメンバの一人と連絡がつかねぇんだ。アスナは先いっててくれ俺達は全員来たら参加するからよ」

クラインと別れ一人公園の中に入るアスナ。公園の広場になっているところには既に多くのプレイヤーが集まっていた。
「オーディナルスケール起動!!」
辺りがあっという間に変化しボスが出現する。
「さーてみんな準備はいい?戦闘開始」
やはりユナも現れ歌い始める。

公園の入り口でメンバーを待つクライン達。入り口まで届く歓声に苛立ちを隠せないでいた。
「おいまじかよ・・早くしねぇと獲物が・・」
「その心配はない。今日の獲物はお前達だ!!」
声のした方に振り返るとエイジが立っていた。
「お前昨日の・・」
突然後ろから怪物の声が聞こえ振り返るとそこにはボスがいた。
「やるしかねぇ・・いくぞ!!戦闘開始だ!!」

「動きがはぇぞ!!」
公園内に現れたボス、ザ・ストームグリフィンに苦戦を強いられていた。素早い動きで空を飛び回りプレイヤー達を翻弄していた。
「そんな戦いかたしか出来ねぇのかよモブどもがよ!!」
そのボスに突然ジェネシスが飛び乗り叩き落とす。
「ランク・・3?!」

「へへ、楽勝楽勝!」
突然現れたボス、ゼーギ・ザ・フレイムコーラと戦うクライン達はその連携でボスを圧倒していた。
「なかなかやりますね・・ならこれはどうでしょう」
その戦いを見ていたエイジが風林火山のメンバーの一人に向かって走り出す。それに気づいたメンバーが振り返った瞬間エイジの拳が腹に突き刺さる。それを皮切りにエイジは次々と風林火山のメンバーを一撃で沈めていく。
「てめぇ!!何しやがるんだ!!」
それに気づいたクラインがオーグマーを外しエイジに殴りかかる。
「かつてSAO攻略組の一角を努めたギルド風林火山のリーダー、クライン。オーディナルスケールだとやはりこの程度か」
クラインの拳を簡単にかわすエイジ。しばらくかわした後突然エイジがクラインの拳を掴む。その瞬間クラインに関節技を決めその勢いのままクラインの右手をへし折る。その場に倒れたクラインにもう一度オーグマーを装着させた後首をつかみなにもない空間に差し出す。
「ちゃんと目を開けて見てくださいよ」
エイジ言われ目を開けるとボスがクラインを間近で睨み付けていた。あまりの恐怖で目をそらそうとするが何故かそらせない。
「クラインを・・離しなさい!!」
倒れていたアンナがエイジに殴りかかる。エイジはクラインを盾にしてアンナを蹴り飛ばす。
「ア、アンナ・・」
そこで二人の意識は途絶えた。

代々木公園広場
「ちっ、以外にしぶてぇな」
ボスと戦闘をしているアスナ達だがボスの素早い動きに翻弄されうまく攻撃を当てられないでいた。そんなときアスナがあることに気付く。今戦闘しているのはかつてアインクラッドで戦ったボス。つまり攻撃やそのモーションもアインクラッドと同じで・・。
「もうすぐ範囲攻撃が来ます!!タンクの皆さんはそれを防いでください!!範囲攻撃のあとボスは空に飛び上がりますので銃使いの人は羽を狙って打ち落としてください!!近接武器の人は打ち緒としたボスを集中攻撃してください!!」
かつての記憶をもとにアスナが皆に指示を飛ばす。
「あなたも集中攻撃に加わってください」
「わーってるよ閃光様」
「来るぞ!!」
ボスが羽を広げ辺りを攻撃するが全てタンクのプレイヤーに防がれる。
「いくぞ!!」
飛び上がったボスを銃で蜂の巣にするプレイヤー。打ち落とされたボスにジェネシスを含めた近接武器を使うプレイヤーが攻撃する。しかしボスを倒しきることはできなかった。再び動き始めたボスの標的はアスナだ。真っ直ぐにアスナに向かっていくボス。それをアスナは迎え撃つ。瞬間アスナのレイピアがボスの体を貫きボスはその体を四散させた。
「おめでとー今日も貴女なのね」
戦闘を終えたアスナの元にユナが近付く。それに気付いたアスナは昨日の事もありスグに距離をとる。
「あら残念・・じゃあ皆またねー」

イベントバトルの帰り道アスナはあることを考えながら帰っていた。クライン達風林火山のことだ。結局今回のイベントバトルに参加しなかったのだか何か嫌な予感がした。クラインに連絡を取ろうとするが繋がらない。嫌な予感を抱えながらアスナは一人家へと帰っていった。
 
 

 
後書き
記憶喪失のリュウヤと暗躍を始めるエイジとジェネシス。そしてキリトの前に突然現れる謎の少女。オーディナルスケールで起き始める異変。それはやがてキリト達にも牙を向き始める

「ごめんキリトくん・・何も思い出せないの」

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