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Fate プリズマクロエ お兄ちゃん強奪計画

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間桐崩壊

 まず臓硯の日常活動用の分体を切り刻んだ桜人形は、上がってきたアンジェリカに、通帳や印鑑を渡して、金目の物や骨董品も集めて、こちらの桜が必要な物、日用品と着替えを纏めて、エインズワースの世界に置換して送った。
「虫はどこだ?」
「地下室よ、まだ消さないで、何か大きな物で家を壊して燃やして見て、臓硯を誘き出すわ」
「分かった」
 アンジェリカは大型の武具で家を破壊して軽く火を放った。
「虫が逃げ出すぞ、奴らの移動速度は?」
「地下のコンクリートからは逃げられないわ、エアでどうにでもなる」
「お前、人格障害が治ってないか?」
「ええ、クロエのお蔭で結構治ってるけど、先輩意外と話したくないし、姉さんと何話していいか分からないわ」
「そうか」
 放火して話している間に臓硯が復活したようで、切り札なのか虫と合体して巨大化した。
 ただ、3,4メートルの大きさなのでバーサーカーの脅威にはなったが、ギルガメッシュのアーチャーの敵ではなかった。
「こんなのすぐ復活するし宝具が汚れるだけよ、宝物庫に虫が湧いても困るでしょ、エアで片付けて」
「もう復讐は果たせたのか?」
 アンジェリカはカードを交換し、桜にエアを抜かせるのを譲っても良かったが、もう背を向けて攻撃範囲から逃れようとしているので始末の準備に入った。
「ええ、存分に」
 桜の背後で竜巻のような轟音が鳴り、長く住んだ間桐の家と同じ物が消えて行くのを感じた。
「グオオオオッ」
 臓硯も人間の脳を持っていない状態では知能が低かったのか、天地開闢の剣の存在にまで気付かず、抵抗もできずにエヌマエリシュされた。

 学校
 士郎と話している間に、間桐の家と住人は異世界の桜人形に復讐のため消されていると聞かされた桜は、部の連中にも別れを告げ、「先輩と一緒に行きます」と言った。
 義父や叔父、慎二、祖父が消えているのに顔色一つ変えなかった。
「え~? 駆け落ち? 衛宮先輩とどっか行くんでしょ?」
「ええ、まあ、だから学校の手続きとか退部とか間に合わないけど、探さないでも大丈夫よ」
 友人にはエメロード姫に呼ばれて異世界セフィーロに行って、マジックナイトになるとか適当に説明して、この世界からも消えるが、心配しないよう伝え、この世界の衛宮先輩にも宜しく伝えるように話した、
「行ってらっしゃ~い、お幸せにね」
 近くで待たせていた士郎と共に、集合場所まで手を繋いで行く二人。桜からは恋人つなぎで強引に結んだ。
 桜の方は、先輩とのめくるめく愛の逃避行に心をときめかせていたが、士郎の方は生きている桜を救えて満足し、姉や母親と一緒に暮らせるように願っていた。
 士郎は選択肢を間違った。

 似たような世界だったので自動販売機や硬貨も使えたが、年号が違ったりしたので、士郎の指紋が付いた「平成」じゃない500円玉で買い物をしてしまった。
「桜っ」
 桜にもジュ-スを手渡し、公園で座ってアンジェリカや桜人形を待つ。クロエとバゼットは警護のために見えない所から同行していた。
 こんな他愛もない、のどかな?休日に桜と二人で話す。冬の世界とは違って暑すぎる夏の日だったが、士郎の瞼からは涙があふれ続けていた。
「先輩、もう泣かないで下さい。私はここにいますから、ね?」
「ああ、でも嬉しいんだ、桜が生きていてくれて、もうそれだけで……」
 目の前で思い人が自分のために泣いてくれるのを見て、また心の奥をベキボキに締め上げられた桜は、ちょっと茂みの奥か、女子トイレの身障者用の広いスペースなら?と思い始めた、かも知れない。
 もう「やったぜ、これで先輩は私の物よっ」と思いながら心の中でガッツポーズを決め、クソ暑いのに士郎に抱き着いて、薄い道着のパイ間に顔を入れてパフパフもしてやる。
「ううんっ」
 近くで誰か咳払いして邪魔をしたかと思うと、姉らしき人物と見知らぬ金髪縦ロールの女が立っていた。
 先輩との愛の一時を邪魔されたが、桜は姉を無視して士郎とイチャコラするのを続けた。
「ちょっと、実の姉との感動の再会でしょ? 無視しないで」
 もしかすると妹から気付いてくれて、ずっと自分の心配をしてくれていた姉に駆け寄って抱きしめてくれるのではないか?など期待して、いろいろとセリフをシュミレーションして来て「ああっ、姉さんっ、ずっと逢いたかった」「良いのよ、もう貴方は自由なのよ、桜」とか言う予定だったが、まさか完全無視のガン無視で邪魔者扱いを食らうとは思っていなかった。
「さ、桜、離してくれ。遠坂、どうだった?」
 桜も、姉を「遠坂」と呼ぶのは聞き逃さず、その程度の関係なのだと悟った。
 そのニヤついた顔が気に食わなかった姉は機嫌を損ね、この後にあるイベントを教えなかった。
「ええ、すごい音聞こえたでしょ? あれがアンジェリカがエアを使った音。桜の私物と着替え、間桐の財産を一寸頂いて来てるわ。後でどっちかの桜と、間桐の爺さんの人形が用意できたら、銀行に行かせて財産も押さえるわ」
「ああ、そうなんだ……」
 金の事とか考えず、間桐の活動資金まで押収した凜や女達に寒気を覚えた士郎。冬の気候に順応していた体に、夏の日差しはキツかったが、一陣の涼風?が通り過ぎた。
「キャッ!」
 そこに物陰からフードを被った人物が走り寄り、桜に向かって何かを突き立てた。
「「「キャアッ!」」」
「桜っ!」
 刺された衝撃で倒れてうずくまる桜、背中にかなりの衝撃を感じたので、刃物なら致命傷だった。
 まだ動く手で背中に手を這わせる桜、これで傷に触れて出血していれば、少数の虫しか入っていない身では助からないかもしれない。
「残念…… ルールブレイカーでした」
 自分と同じ声を聞いた桜と、話を聞いていなかった士郎は、キャスター姿の桜人形を見た。
「私……」
「桜っ、何してるんだっ」
「え? 手筈通り、この女の契約を破壊しただけですよ、セ・ン・パ・イ」
 ルールブレイカーを舐め上げ、生きている自分の血を舐め取る桜人形。
 この手順は決まっていたが、凜もご機嫌を損ねたので桜には伝えず、桜人形もオチャメなジョークで驚かせただけだった。
「くっ」
 驚かされてしまった桜も対抗し、小さな穴が開いた道着の上を脱いで、少し傷が付いてしまった背中を露出して士郎に見せた。
「ああっ、刺されました、先輩、傷口を見てくださいっ」
 もう腹の中の虫が蠢いて、修復を始めているのは気付いていたが、半裸を士郎に見せて興奮させ、ご休憩3500円、宿泊6000円、カラオケ温泉完備朝食付きのホテルに行って処女を捧げようとした魔女。イリヤの友人ななきの姉と同等のクソ女であった。
「大丈夫かっ、桜っ」
「ああっ、毒がっ、吸い出して下さいっ」
 どこかのルーシェ君みたいに、毒剣で傷つけたシーラ姫にフェ*?を要求して、同人誌まで書いた変態みたいに、毒が無いはずのルールブレイカーが毒入りだと申告して先輩に傷口と言うか自分の肌を吸わせようとする魔女。
(チッ、ばれたか)
 桜人形は蛇から取り出した神経毒とかトリカブトから抽出した毒とか、動物の死骸に矢を突き立てておいて腐敗させた、体内に入ると困るブドウ球菌とか色々と循環器に入ると危険な毒を塗っていたのがバレて落胆した。
「今吸い出してやるっ」
 こんな時なので、うつぶせに寝た半裸の桜の柔肌に吸い付く士郎。吸っては吐き、吸っては吐きしたが、その傷はすぐに塞がってしまって、吸えなくなった。
 桜の方も「虫の卵を先輩に入れて、顔の傷とか体の傷も修復させよう」と考えていたのは言うまでもない。
「ああ、もうお別れです、せっかく逢えたのに……」
「桜ぁっ!」
 また自分の目の前で桜を失い、守ってやれなかった自分の不甲斐なさを嘆き、半裸の桜を抱きしめる士郎。
「「いや、そこまでしてないから」」
 凜も桜人形もドン引き、二人だけの愛の空間を作り上げちゃって、固有結界の中でお別れしている二人。
「もう先輩が見えない…… 最期のお別れにキスを……」
「ああっ」
 また泣きながらもうギュウ~~~~っと抱きしめて、お別れのキスもしてやる士郎。
 当然桜の方は、毒消し作用も働いて無傷、それを知っていながら毒で視力も失い、死ぬ間際に先輩に口付けしてもらうのを願っている芝居までして士郎に唇を奪わせた魔女。
(((コイツまさか、ここまで計算して?)))
 士郎狙いの人物に、ここまでひどい魔女が参戦してしまったので驚く凜、ルヴィア、桜人形。
 魔女は士郎が桜の名を呼びながら泣いて、肩に顔を埋めて抱き締めているのを感じて、ニヤニヤと笑って自分が安全なのを知っている表情で姉と桜人形を見て笑った。
「はい、お兄ちゃんそこまで。この桜の中にも虫入ってるからね、この程度では死なないわ。そっちの桜人形もルールブレイカーに毒とか塗らない」
 アーチャー姿のクロエが木の上から降りて来て、桜の安全と、桜人形が生きている桜を闇に葬ろうとしたのを告げた」
「桜っ、大丈夫なのかっ?」
「え? そうなんですか? まだ先輩の姿が見えない」
 女なので、毒入りで視力を失った芝居まで簡単にできた桜は、まだ士郎が見えない芝居を続けて、光彩に光が無いレイプ目で士郎を見た。
「そこ、下手な芝居続けないで」
「ビッケ!」
 夫婦剣の峰打ちで桜を殴ったクロエ、初対面のはずだが、桜人形には毎回ツッコミを入れていたので手加減が無かった。
「ちょっとお、ルールブレイカーに毒って何よっ!」
 桜人形に突っかかる凜だが、昨日は桜も排除対象と言い切ったのは凜本人である。
「え~? 昨日の打ち合わせ通り、みたいな?」
 こっちの魔女もICレコーダーとか出して、凜の言葉を再生しようとしたので、それ以上突っ込めなかった。
「何をしているのだ、お前達は?」
 そこにギルガメッシュの恰好をしたアンジェリカまで参戦した。
 鎧が少なく露出が多い、上半身ブラと肩当だけ、真夏とは言えほぼ半裸コスプレ痴女、冬の世界では人形でなければ凍死しそうな恰好だった。
「あんたその格好でここまで歩いて来たの?」
「それはどうでも良い、まず消えるぞ」
 アンジェリカの置換魔法で、異世界に姿を消して逃げた一同。
 後で人形を持って来て臓硯を置換すると成功したので、再生できる体は失い、魂や霊は入手して、良~~い具合に人格崩壊させたので、銀行に連れて行くボケ爺さんとして都合が良かった。
 慎二人形とルヴィア紹介の弁護士も連れて、臓硯から慎二と桜に生前贈与させたので、姉と違って妹は結構な金持ちになった。
 
 

 
後書き
ルーンじゃなくてルールブレイカーでしたので修正しました 
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