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ハイスクールD×D~黒衣の神皇帝~ 再編集版

作者:黒鐡
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陽だまりのダークナイト
  魔術結社×朱乃の過去

まあそんな事もあったが、俺達は地下室にあるプール場のプールサイドに設けてるテーブル席で会話を続けていた。昔話をしながらグレモリー眷属らが来たので、折角ならばと思い全員でここを訪れる。

水着はこちらで用意済みとなり、好きなのを選べと言ってある。時期的に冬なので自動的に温水だ。魔法少女のオーディションについてだけど、蒼い翼本社での仕事はいいのか?と心配してくるゼノヴィアだが心配無用。今は副社長がやってるし、現在吸血鬼に関してケリが付いたら仕事をする予定。

「母様経由ですが、蒼い翼本社には優秀な社長秘書が居るので問題ないと」

「朱璃さんも含めてだが、とても優秀な秘書として育てた甲斐があった」

「水着もここにある物ですし、泳ぐも良し話し合うも良い場所ですね」

「一真さんに水着姿を見せるのは初めてとなりますが問題ないでしょう」

俺や男性陣は皆トランクスタイプ、レイヴェルは泳がないので水着の上にTシャツを着ている。スタイルの良い体をしているし、鍛錬の賜物によりスッキリしてる。朱乃と黒歌とジャンヌは相変わらず布面積が少ないセクシーな水着だし、シークヴァイラはビキニタイプで、ソーナとアーシアと白音とルフェイは柄の可愛いワンピースタイプの水着。死神っ娘のベンニーアは水着に着替えずにいた。

「家族以外の男性に水着姿を見せるのは、今回が初です。プール開きの時はまだ一真さんと婚約者ではなかったので」

「同じく私もそうだし、あの時は夏終わってたものね~イリナは?」

「あっちで勝負してるよ。最も日頃の鍛錬による賜物なのか、今まで勝てなかったのに本気で出せるのか何時もより調子良いぞ」

「今までだと力をセーブしてたんだと思います。今でこそ力を発揮できるのは、一真さんが許可有りならば尚更です」

《あっしはここが一番落ち着くんですぜ》

「そうかい。まあ広すぎて落ち着けないと言う気持ちは分かるぜ」

テーブルの下に潜ってたけど、俺らの足元でお茶を飲んでるが変わった子にしか見えんな。でだ、今この百メートルもある地下プールで泳いでいるのは悪魔に転生した元剣士ゼノヴィアと天使に転生してハイブリッドとして黒神入りしたイリナ。

「いくらハイブリッドになったとしてもだ、イリナだけには負けられん!」

「そうかしら。速度が落ちてきているのは私の気の所為?ゼノヴィアには負けられない力を持ってるから本気出して良い?『しょうがないから許可する』やった」

「どちらも負けないで下さーい!」

俺達がテーブル席に居る頃には泳いでいて、二人共競泳水着だけどイリナだけは速度が上がる水着を着ている。レーザー・レーサーと言うのをね、一見どちらも息が上がってないが転生悪魔と転生天使兼ハイブリッドでは勝てないはず。

例え分かってたとしても水音の勢いが変化した事で、段々ゼノヴィアから追い越すイリナ。プールサイドで応援してるアーシア、すぐ近くのプールに入ってるのはヒト化したティアとファーブニルと小型ドラゴンのドライグとアルビオンとサマエル。

「一真の家はとても驚く事が一杯だな」

「そりゃそうよ。人間界本家よりもデカいのは次元の狭間本家にあるプールもここより倍よ」

「風呂もデカいがプールもデカいとは流石は蒼い翼CEOをしている相棒だぜ」

「ここまで内政チートとは。私も肉体を持てたお陰でストレス解消にも繋がる」

俺が驚いたのは原作では変態ドラゴンとしているが、ここでは紳士のような性格をしてヒト化もな。温水プールに浸かってる変態ドラゴンは、アーシアの浸かったプールの水を飲み干したいと戯言を言う程の変態度。話題を戻すが、あの時あった魔法少女姿は今でも保存してある。永久保存版として、人間界本家の端末に保存してあるしあの時居た織斑社長が俺だと言うのは今だと納得している。

「『禍の団』ニルレムだったか、あの時襲ってきた奴らは駒王学園を襲った連中なのか?」

「魔法使いの集まりは結構ありますものね」

「魔法使い協会は確かに他にもあるが、現在悪魔と深く関わり合いを持つのは俺の友であるメフィストが理事してる組織」

「確か『灰色の魔術師(グラウ・ツアオペラー)』と言う正式名称だったかと。グレモリー&シトリーに書類出してきたのが、そことなりますしルシファー眷属の『僧侶』マグレガー・メイザース様が創設メンバーの一人でもある『黄金の夜明け団(ゴールデン・ドーン)』は、近代魔術を扱う組織だとご本人から聞きましたし」

人間から転生悪魔となり、最上級悪魔リュディガー・ローゼンクロイツ。アイツは過去に在籍してた『薔薇十字団(ローゼン・クロイツアー)』と言う組織に居たとか。ルフェイが言った組織も有名魔術結社とも言う。俺らには関係ないが、悪魔と魔法使いの関係は大いにあるので組織の有名処は頭に入ってるらしい。

「白音の水着姿は夏休み最後に行ったプライベート島依頼にゃー」

「恥ずかしいですけど諦めます。どうせ言っても離れないと思いますし、姉様は一真さんから言われない限り」

「全く猫又姉妹は仲良し姉妹へと変貌した。まあいい、黒歌も余り調子に乗るなよ」

「分かったにゃ」

水着姿を見るのは夏休み最後だと言った事により引っ掛かった朱乃らだったが、俺らがプライベート島へ行った話にするとまだ婚約者じゃなかったソーナとシーグヴァイラも興味津々に聞いて来る。

シーグヴァイラ達が来たのは夏休みが終わった頃、遊びまくった話をしてるとスマホにメールが入った事で詳細はノーパソにと。机にノーパソを取り出すが、防水加工してるから水飛沫が来ても無問題。内容を見た俺は、無意識にため息が出た事で黒歌が聞いて来る。

「どうしたにゃ一真?ため息が出てるにゃ」

「俺、無意識にため息出てたか。そりゃね、世界各国に居る国連軍からの定時通信による内容を見れば自然に出るさ。邪龍が暴れ回ってるらしくて、こっちに出た三体も暴れてるらしいがきっちりと遊んでると。暗いニュースだとそればかりだが、明るいニュースだと俺の昇進した事ぐらいだな」

「この前出た邪龍三体は、俺達CBが居なければ一体どうなっていたか想像出来ないな。それよりも昇進したと言うのは初めて聞いたが?」

「ここでは余り活躍していないが、どうやら俺分身体が色々とやってるからなのかもしれん。大佐から少将へと一段階昇進となったが、仕事に関する事は余り変わらん」

「ここに居る一真さんも分身体なのですの?」

と不思議になったレイヴェルの為に説明したが、ここに居る俺が本体なのか俺自身分からない。元が黒鐵改であり、黒鐵神殿に安置されてるから例え消滅されても復活出来る事は知ってる。あちこちに居る俺分身体からの情報の元、技術力を運んで来ては銃火器や兵器に関しての研究に使われる。

例えばISのエヴォルトシステムだって、俺がここに来た時には無かったシステムで月中基地本部へ戻ると技術更新されている。

「なるほど。だから月中基地本部へ戻っては、新たな兵器を取りに行く時があるのですね」

「そう言う事だが、話題を戻すとしてアイツらは面倒な邪龍ばかりだ。特にアジ・ダハーカはな」

「千の魔法を操り、ゾロアスターの善神の軍勢に牙を剥いた邪悪ドラゴン。英雄スラエータオナによって封印に近い形で滅ぼされたと伝えられてますが、アポプスや他の邪龍も聖杯により復活した可能性大です」

「滅んだとされた邪龍が復活し、テロリストの狙いがそれだったとして吸血鬼達は何が目的で聖杯を渡さないのか。グレンデルもだが、頑丈さと耐性が付いたとしても倒せる。俺らにとって最優先する事は、邪龍を封印や倒す事ではなく仲間にする事」

幸い聖杯で蘇った邪龍を仲間として迎えたら、どれだけの戦力増強となるか分からん。だが黒の駒リミッター解除すれば、邪龍と対等に戦える事も分かったから朱乃達も倒せる力を持っている。

グレイフィアの弟は一体何を考えてるか分からんが、分かってる事は邪龍を蘇らせた事だけか。こちら側には最強の龍殺しを持つサマエルが居るし、神器で倍加と譲渡をすれば、高い攻撃力と防御力を持ったとしても。

「ヴァーリチームや英雄チームは強者探しや隠された神秘を求めて世界各地を飛び回っている。ま、俺達が相手をした中だと雑魚よりも楽しめる相手と言う事かな」

「邪龍相手に殴打や斬撃しても笑いながら向かって来るし、全身血を出しながら倒れる気配を持たない。個人で戦っても一真相手なら封印何て簡単だろう」

「英雄達は封印でやって来れたが、俺達英雄チームなら神クラスの殴打と斬撃をして笑えない程のダメージを与える事だろう。それが一真の旦那だと瞬殺ショーとなっちまうが、俺達もヴァーリチームも今後仲間プランに賛成だな」

「破壊衝動と自滅願望を併せ持つ輩相手でも、俺らの仲間になればきっと考え方を変えるよう捕獲システムを構築中さ」

現在捕獲するのに一々マスターボールで捕獲するのも面倒、邪龍専用ボールを開発中だし捕獲後魂のみをボールにて封印と言う形になる。肉体と邪な部分を取っ払った新たな体を構築し、希望により小型ドラゴンかヒト化にする予定。それよりもブラック・シャークでは、グレンデルら三体が来て混迷した様子だがMSとISの連携により撤退させたようだ。

「先程魔術結社について話していましたが、私は元『黄金の夜明け団』所属してました。そこで近代魔術を始め、他の魔術組織で禁止術式も習いました」

「それについては仲間後に聞いた話だ。現在それを越えるぐらいの魔法使いとなったが、ゲオルグも加わったお陰で更なる発展が出来そうだ」

「魔術結社で思い出しましたが、この間攻めてきた『はぐれ魔法使い』集団の『魔女(ヘクセン)(ナハト)』!アイツらも許しませんわ」

「確か神滅具の一つである『紫炎祭主(インシネレート)による磔台(アンセム)』の所有者が居るんだっけか」

荒くれ者の集団トップに神滅具所有者が居て、紫炎のヴァルブルガの異名を持っている。聖遺物である為に悪魔に対して必殺の威力があり、まともにその炎を受けると上級悪魔はそのまま消滅する。聖遺物の一つである聖十字架、紫炎の十字架を放つ事が出来るから対悪魔戦だと最強かもな。

「まあそれが魔術師組織が有名所ですし、私達若手悪魔の主な取引先はメフィスト様の所なのでしょうけど。ハイブリッドな私らだと魔法使いは契約しても宜しいのでしょうか?」

「別に反対とかしてないし、俺らの仲間前だとグレモリー眷属悪魔としているんだ。自由に選べばいいけど、最終的な判断はルフェイとゲオルグによって判断してもらうから安心しろ。介入しないけど一応な」

「その答えが聞けただけでも良くってよ。ハイブリッド以前の私では対応出来ない事もあったけど、今現在では対応外な事も対応できるようなりましたし」

「一悪魔としてなら覚える事も重要だが決して忘れるな。ハイブリッドでありCB側となった今現在では、上級悪魔を目指しても良し知識や実力もリアス達よりもバトルスタイルが変わりました」

その通りだが俺達にはデータ保存されていて、何時何処でも端末により音声入力で呼び出せる。頭の片隅にでも置いておけばいい事、ここに居る朱乃達以外の悪魔は大変そうである。

それに昇格して駒を得られればサポートしてくれる眷属も持てるし、やり方によって今後楽になるが『王』になれば責任も大きくなる。だが俺には既に果たしてるので問題無し。表では学生だけど、最近では学生以外だと織斑一真として接して来る。

「そう言えば前々から疑問だったんだが、ソーナは最初に誰を眷属にしたんだ?」

「私ですか?椿姫です。日本に来てすぐに彼女と出会い、眷属にしました」

「なら私と似ているのかもしれませんね。椿姫も色々と大変でしたが、ソーナと出会ったのが幸いだったし私も一真さんと出会ったのだから」

「朱乃は確か当時一誠さんと奏さんに助けられて、その後に試作品として持ってた駒に反応したんじゃなかったかしら」

シトリー眷属事情は余り知らんが、今の内に聞いておいて損は無いけど似たような出会い方の様子。椿姫の家系は五大宗家の一つ『真羅』で、古くより日本を魑魅魍魎の類から守ってきた五つの異能力集団一族。分かりやすく言うなら由緒正しい退魔師の家系、異形の存在を鏡に通して呼び寄せる体質故に隔離されてた。悪魔になった事で克服し、自らの力として変えて来たのが神器で『追憶の鏡』だ。

「確かにあの時持ってた駒は試作品で、まだリアスの歳では持てなかった。だから試作品の駒を持たせた事で、眷属として一時的にグレモリー家に呼ばれて正式に『女王』へなったんだったか」

「はい。あの後、お母様とお父様に蒼い翼からスカウトされた事を思い出しましたわ。確かあの時には一真さんと名乗っていましたが、どうやら記憶を封印されてたみたいです。襲撃後は余りにも惨劇だったので」

「試作品と言っても俺が開発元ではないし、サーゼクスが魔王だったから持ってたんだと思う。それと記憶封印については申し訳ないと思ってるが、アレに関してはバラキエルも朱璃さんも承認していたんでね。グロイのを目の当たりにした子供の精神状態を考えた上でな」

「良い機会ですのでお話しますわ。私と一真さんとの出会いに関しては知っていると思いますが、その後どうなったかについて」

襲撃後、俺と奏は人間界本家に居たが当時俺は蒼い翼社長兼CEOとして働いていた。姫島家の神社もグレモリーの管轄として、俺らの管轄エリアである事もあるがその時であったな。俺専用の社長秘書が必要だと考えて、三大勢力付近に居て知っている人間を探した。すると条件が合致して報告書として見てた俺。

「・・・・三大勢力付近に居る人間、そして何よりも記憶共有者と言う無理難題な条件だと思ったが居たのか?」

「はい。無理難題な条件を突破した人間は一人だけです。・・・・姫島朱璃、ご存じの通り前回襲撃された神社の巫女で姫島家は五大宗家の一つとされております」

「まさかとは思ったが朱璃さんだとは。確かまた襲撃されるはずだが、すぐにスカウトしに行くか。車を用意しろ」

「畏まりました零社長」

もうすぐ定時で帰る頃だったが、明日だと遅いと思った俺らは急いで姫島神社へと向かった。一方姫島神社に居るのは休みの夕食作りをしていた朱璃さん、雷光を操る力をコントロールしたくてバラキエルと鍛錬していた。襲撃後、あと少しで母親を失い父親を憎むはずだったと聞かされたバラキエル。それを変えた盟友である兵藤一誠によって変えられた事により、襲撃前よりも幸せに暮らしていたようだ。

「貴方と朱乃ーそろそろ夕食が出来ますよ」

「ふむ。腹が減ってきたと思えばもう時間か、朱乃も腹が減ったか?」

「うん!早く手を洗って一緒に食べようよ。お父様!」

「うむ!朱乃ならそう言うと思ったぞ、早く家に入って手を洗って食べようか」

当時バラキエルはアザゼルの命により、しばらく家に居るよう仕向けた。また襲撃してくるかもしれんと、盟友である一誠さんから未来予知を受けたからだ。今日はカレーだと言う事で手を洗い、テーブルに着くと既にカレーライスが置いてあった。朱璃は主に和食が得意だが最近だと洋食も覚えたらしい。カレーを食べていると、外から気配を感じた私は視線を外へ向ける。

「貴方?」

「外から気配を感じるが、これは襲撃者の気配ではなさそうだ」

「貴方が出てもいいかしら?(もしかして私が記憶共有者だと知ったのかしら?)」

「分かった。ちょっと待ってろ。朱乃は朱璃と一緒に」

主人が外に行く頃、俺ら黒塗りの車は姫島神社へ到着して書類が入った鞄を持つ社長秘書である林。母屋前にバラキエルを発見し、俺らが近付くと威嚇なのか雷光を出していた。俺らは蒼い翼から来た者で、ちょいと話があると伝えると素直に入室許可を貰った。

護衛者と林と共に入ると、そこには夕食後だったのかテーブルにはカレーライスが置いてあった。朱璃さんは片付けてテーブルを拭く。そして改めて自己紹介する事にした。

「今の状態だとお初かもしれんが・・・・このオーラを受けてるとどうだ?久し振りだなバラキエル」

「この波動は・・・・まさか一誠さんだと言うのか?」

「ま、そう言う事で。改めて自己紹介をしようか、俺の名は織斑一真でビジネスネームだと零達也として名乗っている。これが名刺であり蒼い翼CEOも兼用してる。そして朱璃さんが我ら次元パトロール隊と同じ仲間だと言う事もな」

「まさかバレるとは思いませんでしたの。同じ朱璃として貴方と一緒に戦った記憶もありますわ」

「蒼い翼CEO零達也様!幻やら伝説と呼ばれた人物が、私達のすぐ近くに居たとは。で、朱璃に用件があるとか」

バラキエルには次元パトロール隊や記憶共有者に関して改めて説明後、俺達が来た用件は朱璃さんを俺ら蒼い翼にスカウトしに来た事。社長秘書として一緒に働いて欲しい事や、未来予知にて今後朱乃に護衛が必要になるからと。鞄から取り出した書類を渡して見ていたけど、破格のタイミングでもあったし今後活躍されるであろう朱乃のバックアップが出来るならと二つ返事を貰った。

「そう言うと思ったさ。今日は二つ返事を貰った所で帰らせてもらう」

「明日からではないんですか?」

「ああ。明日から蒼い翼本社まで来いとも言わんし、まだ小さい娘が居るのなら朱乃ちゃんを育ててからでも良い。研修はもう少し大きくなってからな」

「ありがとうございます。零社長」

と言う事で誓いの酒として飲み干したが、俺らが帰った後からはまた平穏が続く事になる。スカウト後、空間切断により社長秘書に関して学ぶ機会もあるが今は子育てが重要。姫島家には後ろ盾がある事により、堕天使を嫌う教会関係者や修行僧に追われたとしても姫島神社内に入れば狙われないで済む。

夫は娘の力をコントロールして、妻は子育てと社長秘書に関する勉学をしつつ一年半が経過した。朱乃一人で外出した時、錫杖の音が鳴り響く中で特殊な術による網から脱出後に襲撃者が言った。

「・・・・まさかこんな近くにおったとは」

「・・・・我ら姫島の血より出でし呪われた娘よ」

「・・・・あの黒き天使の血を継ぎし子」

低い男性の声音により囲まれたが、すぐに翼を展開させて姫島神社内へと逃げる。奴らも追ってきたのか、神社内に張ってある結界をすり抜けるかのようにして入ってきた事に驚いた朱乃。母屋に入ったら二人が騒然として見つめる先に居る者達を。

「お父様にお母様!何か知らないけど、修行者みたいな格好をした者らが私を見つけたと思えばこっちに来るみたい!」

「どうやらそれは本当のようだな。朱璃、すぐに一真さんを呼べ。私が時間稼ぎをしている間に!」

「分かったわ。でもその者達を確認したいから、連絡しながら私も行くわ」

「ちっ!奴らは一真さんが張った結界を抜けられる程か、これはもしやアイツらかもしれん」

と言いながら俺は仕事中にも関わらずホットラインが来たので出ると、朱璃達の家に不審者が結界を抜けて来ようと通報があった。朱璃本人であって急ぎだなと思いながら、俺はグレモリー家の者を空間切断から呼んできた。

そんで一緒に行く所で、バラキエルが相手をしていたから様子見する事に。菅笠を被り錫杖を持つ修験者達が居て、朱乃と朱璃を見て近付く者にはバラキエルが威嚇と称した雷光を輝かせる。

「久しいな、朱璃に朱乃」

朱乃サイドにすると私とお母様には見覚えのある顔であり、修験者達が道を開けてそこを通ってお父様の前に現れたのは・・・・初老の男性。菅笠を取り、私とお母様に視線を送る。その瞳の色は悲哀に満ちていた。お母様は声を震わせながら言った。

「・・・・大叔父様」

「久し振りとでも言おうか。まさかこの付近に居たとは思わなかったが、この結界内に居た事で我ら達でさえ欺くとは。相当な術者が張ったようだが、朱乃を視認出来たら楽に入れた」

「だがここは死守させてもらうぞ、姫島の者であるならば我が妻と娘を守るのが夫の務め」

初老の男性は姫島家で、修験者らが言った事は事実でありながら私も理解していた。初老の男性はお母様の大叔父に当たる人物で、当時は知らなかったが後々知った事ですけど、姫島は古くより日本の神道に身を置く一族。今いる神社も由緒ある実家として任されておりました。その大元に属するのがこの大叔父。

「姫島の汚点を我々が摘まなければならぬ。黒き天使よ、そこをどけ!さもないと貴様も排除する」

「そんな事はさせぬ。それにこの神社は、グレモリー家の管轄に入っている。我々を排除しようとすれば、グレモリー家の者が来るぞ!」

姫島の汚点。彼らにとって、堕天使に姫島の娘を奪われて手籠めにされた。と言う事になっており、私は産み落とされた忌み子として認知されてた。姫島は由緒正しい神道の一族。それ故、異形の者と種を交える事など在り得ぬ事。もし仕える日本の神にその事を知らると、どのようなペナルティを科せられるか。姫島の誓いと潔癖さは絶対であり、その結果が襲撃だ。

一度目はお父様が居たから何とかなったけど、二度目は危うくお母様を失う所だったのを当時の一誠さんであり織斑一真さんだと知った。ちなみに一誠さんと出会った事と言う記憶は私とリアスが駒王学園に入っても封印が解かれる事はなかった。一誠さんと出会い、リアスは自動的に知り私はここでね。二度と襲撃されないと思ったら、今度は姫島家の者達が現れた。

「ちっ。既にここはグレモリー家の管轄となっていたか。だが黒い翼を持つ者と交わり生まれた子は排除せなねばならぬ!」

「何度も言わせるな!私の家族に触れてみろ、雷光により徹底的に排除してやる!喰らえ!」

「破ッ!」

と言いながらお父様は雷光で修験者達に攻撃をした。姫島の修験者達に当たりそうになった時に大叔父が叫び、強い霊力を出して防いでみせた。お父様の雷光は強力だし、想像以上のパワーだったのか本気を出そうとする大叔父。修験者は構え直した。

「こ、これが雷光バラキエルの力!」

「早めに片付けなければ我々もやられてしまうぞ!」

「待てや!」

修験者の錫杖がお父様に向けられた瞬間に声が聞こえたが、この声はもしかしてとすると修験者達が何時の間にか倒れていた。大叔父が確認しようと進むと剣相手に錫杖で相手してた事により、大叔父よりも強者だと確認して修験者達を集結させる。大叔父とお父様の間に立っていた男性は、一年半前に会った織斑一真さん。

「貴様は何者だ?」

「俺の名は織斑一真。蒼い翼本社社長をしている者だ」

「何だと!蒼い翼と言えば各部門で一位で、政治や経済にも社長一言で変える事が出来ると言われている社長が何故ここにいる!」

「そりゃ決まってるだろ。俺の親友であるバラキエルからの電話で来たのだからな」

「お久しぶりです。織斑社長、間に合ってよかった」

「さてと自己紹介は終えたが、姫島の者達よ。早々に立ち去りな、今なら許してやっても良いぞ」

「そうはさせん!その者達は姫島の汚点だ!だったらお前から排除してやる!」

そう言って俺に向かってきたが、剣で弾き返した後に俺らの護衛者が一緒になって戦うも負けると分かってはいたらしい。そんでしばらく睨み合いになったが、とある人物達の声を聞き落ち着いた。

「大丈夫?朱乃」

「リアスなの?」

「そもそもここはグレモリーの領域であり、お前の管轄場所だから余計だと思ったが呼んで正解だった」

「全くです。いきなり空間切断により手を引っ張られて来ましたが、内容がこう言う事なら一言欲しかったですけどね」

「お前は誰だ?グレモリー家の者か?」

「自己紹介が遅れたので紹介させてもらう。コイツの名はハインリヒ・コルネリウス・アグリッパ、グレモリー現当主の『僧侶』としてこの一帯を一任されてる者だ。俺らはアグリッパと呼んでいる。あちらで少々話をしないか?子供にこれ以上大人の都合を聞かせる訳にはいかんしな」

「・・・・よかろう」

一真さんによって大叔父達修験者達の者達と共に姫島神社の外での話し合いとなり、当時一真さんが襲撃から守ってくれた事は覚えていますが一誠さんだったと言うのは封印を解いてからでした。それに結界内に入れば襲撃者からの襲撃も無くなり、入ろうとしても人除けみたいな感じで入って来れなかったが入って来れる程の力を持ったと言う事でしょう。

「良かった、貴女達が襲われてると聞いてアグリッパと共に来て正解だったわ。もう大丈夫だし、織斑社長の鉄槌だけは怖いと思ったのでしょうね」

「ええ。お父様とお母様に守られましたが、来てくれてありがとう。リアス」

「にしても、アイツらは一真さんが張った結界を通り抜ける程の力を持つ者とは」

「元々姫島家は五大宗家の一つですし、古くより日本を魑魅魍魎の類から守護してきたと聞いております。火之迦具土神とその系統に属する神々を信仰する神道の一族、最も才あるものが神獣『朱雀』の力を受け継ぎます。だから通り抜けたんだと思います」

朱璃が姫島家に関する事を話しているが、蒼い翼によって守られていて姫島家全体を追放する事も可能だし最悪生き残りとして消すかもしれん。私は一応アザゼルに連絡しましたが、一誠さんが織斑一真で幻と言われた零達也だと言う事は伏せて報告を入れました。しばらくすると修験者達と織斑社長とアグリッパ氏が戻ってきた。大叔父は再び私とお母様を見ました。

「もう私達は、二度とお前達を襲撃しないと約束しよう。ただし我らとは縁を切る事。二度と会う気はない。そこにいる織斑社長の一言で、我ら姫島一族を滅亡だけは御免なのでね。姫島と名乗って構わない、さらばだ。娘と孫よ」

それだけを言い残して、大叔父はこの場から去った。取り残された私達とリアスと織斑社長とアグリッパ氏。何か交渉でもしたのだろうか?と思うと、アグリッパ氏が私達の存在と経歴をグレモリー家が譲り受ける事を大叔父に提案したらしい。誓約書にサイン入りで渡して立ち去ったと言うので、もう安心したのかお父様もお母様もホッとしておりました。

「さて、姫君に織斑社長。あとは任せますぞ」

「ま、今回はアグリッパが来なければ話が進まなかったよ。感謝する」

「いえいえ。私の力だけでなく、グレモリー家と蒼い翼によってですよ」

「それもそうか。アザゼルも来るらしいから、俺らも退散するがバラキエルと朱璃よ。俺らの事は決して喋るなよ?」

そう言って撤収した一真さんでしたが、私達は隠匿せねばならなかった存在自体を始めからグレモリーの縁者として動いた事になる。この提案を受けないのなら、蒼い翼によって滅亡させるぞと脅したと言っていました。脅迫であっても私達が何を起こしても、姫島にとって『グレモリーに仕える者達が動いた』との事。他にも提案があり、結果として私達家族はターゲットから外されましたの。

「これでよかったの、アグリッパ?この件で何かあったりしない?」

「大丈夫でございます。またああ言う輩が出た場合、すぐにこちらが対処しますのでご安心下さい。それに私は知り合いを裁く趣味はございませぬ故」

「それに蒼い翼からの者にとって、知り合いを消す事など断じてならん事。グレモリー眷属悪魔が死なれて困るのは、一真さんとサーゼクス様です。私達家族の出生をグレモリーが頂いたのなら安心です」

「だな。もう二度と襲撃されなければ、私達夫婦もこれで楽しい家族生活に戻れる。それとリアスさんと言ったか、確か我が娘に『女王』の駒が入ってると聞いた。ぜひ冥界にて娘と一緒に居てさせてもらえないだろうか」

一真さんが帰った後、私の両親はこのまま冥界へ連れ帰り大きくなった我が子を見せてほしいと。なので私はリアスと一緒に冥界へ足を踏み入れる、煌びやかで豪華絢爛なお城だった。すぐにお会いにしたのは、リアスのお母様であるヴェネラナ様。一応ここまで来てくれた蒼い翼の護衛者さんと共に。

「ごきげんよう。貴女が一誠さんやリアスの言ってた堕天使のお嬢さんね。初めまして、リアスの母でヴェネラナと言います。ここを自分の家だと思って構いません」

「一応私達が護衛してましたが、後の事は頼みましたよ。グレモリー家現当主様にはよろしくとお伝え下さい」

「ええ。それと一誠さんにも言っといて下さいね」

蒼い翼の者らが去った後、その言葉通りの特別待遇としてグレモリー家に迎えられた。ヴェネラナ様は一誠さんと言ってたので、まさか蒼い翼本社社長をしているとは知らない様子だった。レディとしての振る舞いと各種専門的な知識、勉強も教えてくれたが今までの生活から百八十度違う生活から戸惑いもあった。華やかな生活は神社の時に居た頃よりも快適な生活だと思った。

「にしてもまさかの縁によってここに来れたのは今でも不思議だわ」

「まあそうよね。お兄様が持っていた駒は試作品だそうだし、今貴女の中に入ってる駒が試作品から本物を頂いたら即回収するそうよ」

「サーゼクス様には感謝で一杯よ、だけどその辺りの記憶が曖昧なのよね」

「私もそう思うわ。あの辺りの記憶が無くて、今更だけど私達はどう言う風な出会い方なのかも分からないし」

私とリアスが初めて会った事を忘れているが、それが後に知った事により納得しましたわ。グレモリーのお城で生活しながら冥界や悪魔、堕天使の事について知識を蓄えていく。伝説で記されている創造神黒鐵については、余程の事態が起こらない限り教えてくれませんでした。リアスでさえ知らなかった事ですが、存在されている証拠をサーゼクス様から見せてもらった。

「さてリアス、そろそろ『悪魔の駒』を持てる歳になった。これからはグレモリー眷属として活躍してくれたまえ」

「トランクケースに一式ありますが、その中にある『女王』の駒だけを使います」

朱乃に本当の駒が入っていくと同時に試作品の駒が出て来た。そして消えて無くなったが、試作品が外に出ると自動的に消滅されていく。普段はリアスの横に付き、人間界と冥界を行き来して生活を送っている。人間界へ戻ると必ず実家がある姫島神社、それと蒼い翼本社に挨拶するようにしている。たまに母様が実家に居ない時は、必ず蒼い翼本社に居るから。

「お久しぶりでございます、織斑社長」

「久しぶりだな。朱乃、そしてリアスも元気そうで何よりだ」

「もうこんなに大きくなったとは、私にとっては嬉しい事だわ」

「母様もすっかり蒼い翼社長秘書として馴染んでますわね」

少し雑談してからだが、冥界と人間界を移動して不在だったとしても通信で連絡を入れてくれる。織斑社長からの勧めで、世界一周旅行として私とリアスは様々な観光スポットへ行く。知らない世界があるんだと思ってたけど、確かにそこは行って損などなかった。

「見て朱乃!ナイアガラの滝よ!でもこの間見た冥界の大滝の方が凄かったわね!」

「人間界と冥界の滝を比べてはいけませんわ。リアス」

「それもそうね。人間界と冥界を比べちゃうと折角教えてくれた織斑社長に失礼よね」

リアスは私に様々な表情を見せてくれたが、一言で言うなら喜怒哀楽。お母様であるヴェネラナ様に叱られて泣いていたりと感情豊か。常にリアスの横に付いて、時には励まし時には共に笑い時には喧嘩もした。織斑社長もだがサーゼクス様やグレイフィア様、その眷属の方々にも良くして頂いた。ソーナと出会ったのもこの頃で、まだ眷属が居なかった時期。

「小猫ちゃんもだけど祐斗君も何かしらの縁があったのかしら?」

「確か祐斗を見つけた時、織斑社長が隣に居たのは覚えているけど小猫に関しては分からないわ」

駒王学園高等部に進学する頃、部活について話し合っていた。運動系か?それとも文化系か?リアスは楽しそうに駒王学園高等部の入学パンフレットを開いてたが、ソーナは生徒会長になりそうな雰囲気だったしリアスも何らかにより駒王学園を自分の縄張りかにするようだ。不意に私が持っていた本に興味を示した。

「朱乃、その本は何?」

「これは魔物や不思議現象が書かれている人間界の本で、要するにオカルトテイスト系統の本ね」

「オカルトか・・・・じゃあオカルト研究部に入りましょう!」

「オカルト研究部は確かにあったけど、部員が居なくて廃部になったと資料にあるみたいだけど」

「私が蘇らせてみせるわ。お兄様は駒王学園理事長だったはずだから、私はオカルト研究部の部長で朱乃が副部長。部員は祐斗と小猫だけど、まだ見ぬ眷属集めにはピッタシの場所だわ!」

善は急げと言って兄のサーゼクス様に連絡を入れると、面白そうだと言って私とリアスが入学と共にオカルト研究部が復活した。部室をどこにするか迷ってると、丁度悪魔にとって良い場所があると言われて案内されたのが旧校舎。ここなら悪魔稼業をしていても人間に察知されないし、会談する場所には持って来いだと言われた。

「新たな部活になれそうだけど、一緒に高校を卒業して大学部に入るの?」

「ええ。私はそうするつもりよ」

「じゃあそこまではきちんとお付き合いするわ」

「ダメ!朱乃は一生私の『女王』で友達なのだから!」

真正面から言われて素直に頷く事しか出来なかったが、私は貴女の『女王』で常に貴女の隣に立ち続けると誓った。そして私達はSSランクのはぐれ悪魔を追っていると、その悪魔が小猫ちゃんの実姉である黒歌だと判明して追うと路地裏に黒猫として化けた。逃げても無駄だと告げようと近付くと、知らない男性が黒猫を拾って帰ろうとしていた。

「その黒猫を渡してもらえるかしら?」

「私達はその黒猫に用がありますので、大人しく渡してくれないかしら?」

「その声は実に懐かしい、ケルディムの娘とバラキエルの娘か。久しぶりとでも言っておこう」

「私達を知っているのなら尚更だけど、私と朱乃のお父様の名を何故知っているのかしら?」

「古い知り合いに聞いただけだ。で、この黒猫が何か?俺はこの黒猫を家で治療しなければならないんでな」

「その黒猫は、SSランクのはぐれ悪魔なのです。渡さないと容赦はしませんよ」

「尚更渡せねえな。よし逃げよう・・・・さらばだ。グレモリー家と姫島家の娘よ」

煙幕で逃げられたが、魔力反応ない状態で捜索に当たったが結局その男性が黒歌を救ったお陰で解決した事になる。が、その時の私達はまさかあの男性が織斑社長だと知らずに居たが、私はリアスの友達だから言わせるなら礼を言わせて。・・・・ありがとう、リアス。これからもよろしくね。 
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