| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

平気な男

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
< 前ページ 目次
 

第一章

                 平気な男
 ヘンリー=ジョンソンは彼を知る者はよくだ、顔を顰めさせてこう言う様な人物だった。
「最低の人間だよ」
「顔も見たくない」
「付き合いたくもない」
「二度と一緒に仕事をしたくない」
「関わりたくない」
「死んだ時のニュースだけ聞かせてくれ」
 こう口々に言う、とかく評判の悪い男だ。
 彼を小学校の時から知るスコットランドヤードの刑事ハリー=キャメロンもだ、ジョンソンのことを聞かれるとその聞いた相手に小声で言った。
「君は彼と付き合いがあるのかい?」
「職場の先輩ですが」
 この時聞いたのは若い女性だった、名前をアリス=メイという。豊かな金髪が風になびきはっきりとした明るい青い目を持っている。面長な顔はソバカスもなく奇麗な肌をしている。小柄であるがスタイルはいい。メイ以上の面長で額が広く茶色い髪の毛の面積が心配になってきているキャメロンとは正反対の感じの顔だ。見ればキャメロンの目は小さく灰色でしかも長身なのでそこもメイとは全く違っている。
「キャメロン警部があの人の同級生と聞いたので」
「刑事である私のところに来たということはだ」
 キャメロンはメイにこのことから応えた。
「あいつの悪事のことか」
「そこからお話をされますか」
「はっきり言う、私はあいつとは同級生だったが友人ではない」
 実に忌々しげにだ、キャメロンはメイにこう言った。署内でありプライベートは関係ない筈だが表情はプライベートなものだった。
「そう聞かれると全力で否定するところだったよ」
「そうですか」
「あいつにはいい思い出がない」
 それも全く、という言葉だった。
「ついでに言うとあいつの話は聞きたくもないがね」
「そうですか」
「プライベートならね」
 そのプライベートの顔で言う。
「そうだった、しかしだ」
「今はお仕事だからですか」
「聞こう、あいつは今度は何をやったんだい?」
「今度は、ですか」
「君も知っている通り私はあいつと長い間一緒だった」
 ミルクティーを飲むが砂糖を入れていても今は甘さを感じなかった。
「最高の腐れ縁だ」
「小学校からですね」
「はじめて制服を着た時からだよ、それからカレッジを卒業するまでだ」
「ご一緒でしたら」
「同じクラスになったのは合わせて四年だな。その四年間は特にあいつを見てきたがね」
「ではよくご存知で」
「強い者には媚び諂う」
 ジョンソンのこの資質から話した。
「そして弱い者をいじめることが大好きだ」
「今と同じですね」
「小学校から大学までそうだったよ」
 ジョンソンの性格はというのだ。
「そしてケチでガメつく図々しい、平気で嘘を言い他人を陥れ馬鹿にすることが大好きだ」
「そこも一緒ですね」
「むしろその頃より悪くなっているだろうね」
 キャメロンは彼が知るジョンソンの資質からこう推察してメイに述べた。
「私が知っている限り」
「私もそうですが」
「職場であいつを好きな人間はいないね」
「一部の幹部の人以外は」
「それはそうだ、あいつを身近に見ていればだ」
 それこそとだ、キャメロンはメイも紅茶を飲むのを見ながら述べた。 
< 前ページ 目次
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧