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真剣で私に恋しなさい!S~それでも世界は回ってる~

作者:navi
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12部分:第十話 解決と笑顔



第十話です
ではどうぞ〜
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第十話 解決と笑顔


葵紋病院の手術室前。
そこには風間ファミリーの面々はいた。救急隊が来てすぐ、悠里は近くの葵紋病院へと搬送された。刺さっていた包丁の傷は深く短時間とはいえ、血を多く流した悠里はすぐに緊急手術を受けることになった。手術室に入って少し経つと、鉄心とルーが到着した。


「ジジイ……」

「遅くなったの。悠里はどうなっておる?」


大和は2人に経緯を説明した。小雪を助けに行き、母親の包丁に悠里が刺されたことを。


「なるほどのう……悠里が刺されたからというから驚いたが、そういうことじゃったか」

「私のせいだ……私が油断しなければ悠里は……」

「モモ先輩のせいじゃねえよ!俺達がちゃんと押さえてれば……」

「2人とも止めなさイ。過ぎた事は仕方ないヨ」

「ルーの言う通りじゃ。過ぎた事は仕方ない。今は悠里を信じて待つ事じゃ」


その後、全員は悠里の無事を祈りながら待った。数時間後、手術室の灯りが消え、中から医師が出てきた。全員は緊張の面持ちで一斉にそちらに向いた。


「先生、悠里ハ……?」

「手術は成功しました。意識が戻るのに時間は掛かりますが、命に別状はありません」

「よっしゃー!」


医師の言葉を聞いて、キャップはガッツポーズを取る。他のメンバーも同じように安心したようだった。遅れて手術室から悠里を載せたベッドが出てくると、


「さて、今日はもう遅い。お主達は家に帰んなさい。あとはワシらが見ておく」


鉄心がそう言うと、ファミリーのみんなは少し渋ったが、ルーがちゃんと納得させて帰らせた。京は目が覚めるまでいると言って聞かなかったが、大和達が無理やり連れて帰らせた。





気付けば、俺は一面白の空間を歩いていた。そこは以前の転生の際に来た。あの部屋に似た場所で、歩いている理由までは出てこなかった。
暫く行くと、後ろから感じた殺気に反応し、俺は背に吊っていたバスターソードを素早く取り、振り向きざまに相手の斬撃を防ぐ。


「お、やるねぇ。良い反応だ」


相手は軽口を叩くが、いきなり襲われたこっちに余裕はなく、相手の剣を流すと俺は連撃を加える。一合、二合、三合……
俺は思いっ切りバスターソードを横に振り、相手を吹き飛ばした。


「……っと、うん。威力も申し分なし。流石は俺の子だな」

「…………は?」


予想外の相手の言葉に、俺は驚きの声を上げてしまう。よく相手を見ると、黒い制服に黒い肩当てを付けており、顔はフルフェイスのヘルメットで隠れていた。相手はヘルメットを外すと、中から黒髪のツンツンヘアと×の傷が付いた頬が現れる。


「久しぶり、悠里」

「……父さん」


相手は紛れもなく俺の父親である天城琉聖だった。それと同時にわかった。ここは死者の来る世界ということが。


「まだお前は死んじゃいねぇよ。……もう少し、お前と戦いたかったけど、ここまでだな」

「え?」

「じゃあな、悠里。お前の居場所、まだここには無いみたいだ」

「ちょっと待っ……!」


て、と言おうとして、俺の足下には黒い穴が出現する。咄嗟の出来事に俺は反応が遅れてしまい、その穴に落ちてしまう。落下の際、父さんが俺を見て呟いてるのが見えた。


「忘れるなよ。お前が……」


俺達の、生きた証だ。





俺は気が付くとベッドに寝かされていた。上に見えるのは白い天井だが、窓から差し込む夕陽が部屋をオレンジに帰る。頭の横からピッ、ピッ、と機械音が聞こえてくる。


「う……っ!?」


身体を起こそうとすると、脇腹に激痛が走る。……そういえば刺されたんだっけ。


「あまり無茶はしない方がいいですよ」

「……冬馬か」


声のした方向には冬馬が立っていた。


「おはようございます、悠里君。気分はどうですか?」

「最悪。身体重い……」

「それはなによりです、健康な証拠ですよ。それはともかく、羨ましい光景ですね」

「は?何言って……」


と言って俺は固まった。俺のベッドの横には……


「むぅ……ん……」


モモが寝ていた。モモは俺の片手を握って、ベッドに身体を預けて寝ていた。


「昨日は違う女性からも心配されたそうじゃないですか。モテモテですね、悠里君は」

「茶化すなよ。そんなんじゃない」

「フフ……では、私は担当に連絡してきますね」


そう言って冬馬は部屋を出るが、「ああ、それと」と言って何かを思い出して戻ってきた。


「悠里君が助けた小雪ちゃんですが、身体に異常はありません。健康そのものですよ」

「そっか……ありがとう」

「いえいえ、それでは」


そう言って冬馬は部屋を出て行った。俺は横で寝るモモの頭を、残った手で優しく撫でる。


「ん……ん……?」


するとモモは目を覚ました。モモは眠むそうな目でこちらを見た。


「悠里……?」

「ああ、おはよ……うおっ!?」


ガシッ!


「悠里!気分は大丈夫か!?変なところないか!?」

「大丈夫だって!てか、揺らさないでくれ!傷が……」

「あ……すまん」


そう言ってモモは掴んだ手を離す。 ややあってモモが聞いてきた。

「悠里……」

「ん?」

「なんであんな無茶したんだ!?」

「えと……」

「あと少し遅かったら危なかったんだぞ!?助かったからいいが、もし間に合わなかったら、私は……!」

「モモ……?」

「私、は……」


よく見ると、モモは今にも泣きそうな顔をしていた。そんなモモを抱き寄せ、頭を撫でる。


「うぅ……」

「ごめんな……心配、掛けたな……」

「悠里……」

「ごめん……」


それから少しの間、モモが落ち着くまで俺はそうしてた。あとから考えたらかなり恥ずかしかったが、別に気にしたものでもなかったしな。


「まあ、とりあえずモモも無事でよかった」

「そうか?」

「美少女が怪我したら一大事だろ?」

「な!?///」


いきなりの事にモモは顔を紅くする。


「いきなり変なこと言うな!///」

ドスッ!

「おまっ……ボディは、ないだろ……」

「う、うるさい!///」


そんなこんなで、俺は一週間の入院の後、無事退院した。
結局、ユキの母親は育児放棄と家庭内暴力、殺人未遂と傷害容疑で逮捕され、親権も剥奪された。
ユキの学校の校長やPTAの会長は事態を知っておきながら放置したとして、取り調べが続いてるらしい。
端から見れば可哀想とか、酷いとか言いそうだが、俺はこの時こう思った。

『よかった』

と。
ユキは病院内の看護士の家に引き取られる事になった。これから色々ゴタゴタするけど、学校では冬馬や準がフォローするだろうし、あの2人ならきっと大丈夫だ。


「ね〜ね〜、悠里〜」

「ん〜?」

「僕、また遊びに行ってもいいかな〜?」

「いいに決まってるだろ?待ってるよ、みんなで」

「うん!」


ユキは嬉しそうに笑った。その顔に影はなくて、太陽のように眩しかった。
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これにて小雪の救出完了!

次回は反響の大きかった京都編です

どうぞお楽しみに!
 
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