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世界をめぐる、銀白の翼

作者:BTOKIJIN
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第一章 WORLD LINK ~Grand Prologue~
  なのはStrikerS ~翼人は静かに世界を去りゆく~



深夜の訓練場

そこに、二人の男が立っている。


一人は蒔風、もう一人は、蒔風が待っていた人物だ。



「よお」

「・・・・おう」

「やっぱきたか。まあ、大体このタイミングだと思ったよ」

「・・・・・・わかるか」

「クソみたいなことだが、わかっちまうんだよ」

「・・・・おい、なんでオレは来ると、いや、なんでオレがまだこの世界にいるとわかった、蒔風」

「その問いはいたって簡単だよ。マイカゼ」







蒔風が、誰もいないことをいいことに相手の名を呼ぶ。






訓練場にやってきたのは「奴」だった。
蒔風が言ったその名前に嫌そうな顔をして、「奴」がなおも聞いた。





「その名でオレを呼ぶな・・・・・で、なんでわかった?」

「簡単なこと。ゆりかごの玉座が残ってた」

「なに?」

「おまえが知ってるかは知らんが、WORLD LINKはな?おまえを倒すと同時に、おまえが取り込んだ物を完全に破壊するんだよ。ま、今回は取り込んだわけじゃないが、おまえの力でゆりかごは膨張してたし、かわらんだろ」

「そういう事か・・・・・それで玉座が残っていれば」

「そう、つまりおまえはあの砲撃でゆりかごが完全崩壊する前に、あれを放棄して脱出した。まあ?力技で、更にあの砲撃じゃあ怪我もしてるだろうからな。それで大体これくらいかな?って」

「そうか」






そう言って「奴」がポリポリと頭をかく。
蒔風もあくびをしながら、それでいて、「奴」から視線を逸らさない。




「どけ」

「断る。世界は壊させない」

「死者を復活させた男に言われたくない」

「アリシアとリィンフォースか?は。ありゃ本人じゃねえよ。言っちまえば超高性能な同じ魂を持ったクローンだ」

「・・・・・・・なに?」



「フェイトの身体にはアリシア・テスタロッサのデータがすべて詰め込まれている。だが、それをそのままクローンにしても、生まれ落ちた瞬間にそれは別もんの魂だ。アリシアにはならない。で、今回やったのがその誤差をなくし、フェイトに埋め込まれていたアリシアのデータがそのまま成長したらどうなるかをシュミレートして誕生させたのが彼女だ。もち、本人じゃない。だが、そうなったら同じ魂を持つのは自然だろ?本人だが、本人じゃない。クローンでありながら、クローンじゃなくて本人。それが、彼女だ」



そう、蒔風の言う通り、彼女が本人かと言われれば、YESとは言えず、そうはいってもNOとも言えない。
世界がシュミレートを行ったと蒔風は言ったが、そのシュミレートには寸分の誤差も無いのだ。それこそ、世界の奇跡。

揚げ足取りのようだが、世界にはこれが精一杯だった。



この世界を三度も救ってくれた、彼に対する、精一杯の恩返しだったのだ。




「なるほどな。そうなるとリィンフォースはもっと簡単だな。夜天の書に残ったデータ。それを元に、穴があいた所を世界が完璧に埋めて再構築したってところか」

「ご明察。だから、あれは同じ魂を持ったクローンだ。まあ、気にすんなよ。本人だと思えばいいさ」

「ふん。確かに完全な死者蘇生、というわけではないようだ」




そう言ってクックと笑う「奴」
それにつられて、蒔風も軽く笑う。



だが、「奴」はそんな話をしに来たわけではない。





「さて、話を戻すぞ」

「なに言われるかわかってるから言っとく。断る」

「・・・・まあ、そう来ることはわかってたけどな」

「そうでもなきゃ、こんなもん用意しないよ」



そう言って、剣を抜く「奴」に合わせて、蒔風も獅子天麟を組み上げて突き立てる。



「やる、か。覚悟は言いか?脇役王。おまえの体力、万全じゃないだろ?」

「ははっ、いいぜ、合わせてやる・・・・・抜かせ雑種。このオレにとってはいいハンデだ。貴様とて万全でないだろう?」

「こんだけあればじゅーぶんだ。さて・・・・WORLD LINKなしでお前とガチでやんのは初めてだからな・・・・」

「なぁに、オレにとっては問題はない。倒してしまっても問題はないだろう?」

「おまえ、それ死亡フラグだぞ?キャラ違うし」

「些細なことだ。そんな運命(フラグ)なんてへし折ってやる。運命は、金魚すくいの網よりも薄く、破りやすいんだからな」

「おいおい・・・・その幻想をぶち殺すってか?」









ヒュォ・・・・・・




静かに風が流れる。

楽しい掛け合いもここまで。
ほんのりとした潮の香りが、二人の間を駆け抜けた。



「脇役を統べる者として、行くぞ」

「銀白の翼、蒔風舜。推して参る」




言って、一瞬の間が開いてから




ドンッ!!という地面を踏みつける音がして、両雄が剣を構えて激突した。












------------------------------------------------------------





ゴォン!!!!ズガッ!!!!ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・・





ビルが崩れ、轟音を鳴らす。
しかし、訓練場から音は一切外には漏れない。



そういう設定にしてあるのだ。







「ダアッ!!!」

「ラアッ!!!!」




蒔風の十五天帝と「奴」の魔導八天がぶつかり合う。



十五天帝は本数こそ魔導八天を超えるが、重さにおいて負けている。
獅子天麟の三本で二本分。残りの十二本で六本分だ。つまるところ、威力は互角。

現に最初は、蒔風の剣と「奴」の剣が、お互いの攻撃に同時に弾かれ、そのまま手から飛んで行って上空で回転しながら飛んで行っている。


しかし、それを取りに行くことなどしない。
二人は次の剣を抜き、蒔風は二本、「奴」は一本で打ち合い、またそれが宙を舞う。


そんなことをしていればあっという間に手持ちがなくなる。
どうやっても八合で剣がすべてなくなってしまうのだから。


だが、その八合目が終わるころは、一本目が落ちてきて、それを掴んでまた打ち合う。



まるで大道芸。ジャグリングだ。
しかも、この状況で律義に自分の剣を選んで取っている暇などない。


蒔風が魔導八天を、「奴」が十五天帝を、ときにはそれらがごっちゃになって、二人が二人の剣を使って切り合っていた。


が、ここでついに均衡が破られる事態が起きた。
剣が上でなく、横に飛び始めたのだ。


飛んで行った剣は、ビルに直撃し、そのビルを根本から破壊して、いとも簡単に瓦礫に変えた。
これが先にあった倒壊音だ。



なんという威力だろうか。



そうしてすべての剣がなくなり、ついに肉弾戦に入る。


「奴」の蹴りに、蒔風が身を返して回避し、相手の胸に拳をぶち当てて「奴」を後退させる。
が、「奴」はそのままのけ反り、返した身体で蒔風に頭突きを放ち、それを両の掌で受け止めた蒔風がビルにまで飛んで突っ込んでいった。



それを追う「奴」
しかし、蒔風が突っ込んだ穴から絶光砲が放たれ、「奴」はそれを緊急回避するが、右腕をかすり、地面に転がる。




ビルから出てくる蒔風、立ち上がる「奴」




ビルは蒔風が抜け出てから崩れ始め、その音がこの戦いのBGMになっていた。





両者とも、一撃ずつ。
まだ、戦いは終わらない。










----------------------------戦闘開始から三十分後--------------------------------







「あっ、が あ あ あ あ あ あ あ あ!!!」

「おおおおおおおおおお!!!!」





空中で蒔風が「奴」の頭を掴み、ビル壁に押し付けて、そのまま削るように真横に飛んで行く。
当然、途中でビル壁が途切れるが、蒔風はそのまま通りを横断して、隣のビルに今度は叩きつけた。


今度は押しつけて、などというものではない。
すでに「奴」の頭はビルの中に入っており、通過した後には横一文字の溝が出来上がっていた。



そしてそうやってビルを二、三ほど通り抜け、最後に四つ目のビルに叩きつけようと振りかぶる。
が、そこで「奴」が身体をグルンと返し、逆にその反動で蒔風をビルの根本に投げ叩きつけて、そのビルを反対側から倒壊させて押しつぶす。



蒔風の声が聞こえた気がするが、倒壊音で掻き消されてしまってよく聞こえない。



砂煙が起こり、それを吹き飛ばすかのように瓦礫の下から翼が生える。
ガラガラという音を立て、蒔風が瓦礫の下から這い出てきた。


それに応じて「奴」の全身から黒い煙がオーラのように噴き出してきた。



「奴」が地面の蒔風に、蒔風が上の「奴」に





一気に飛び出して行って衝突し、周囲のビルが二つほど崩れた。









----------------------------戦闘開始から一時間後--------------------------------







「ああああああああああ!!!!!」

「おおおおおおおおおお!!!!!」





もはやまだ立っているビルは最初の三分の一程度しかない。



そのプレートの上で、「奴」と蒔風が攻防を繰り広げていた。
辺りには剣が突き刺さっているが、それを取りに行く余裕もない。


しかし、「奴」の一撃に蒔風が弾き飛ばされ、その際に剣を一本、引き抜いた。
それを見た「奴」がその剣を振りかぶる蒔風を見て、とっさに横に走り出す。



蒔風が斬撃を次々に飛ばし、「奴」がそれを横に走破して避けていく。
そして前回りに飛び込んで、剣を拾い握ってその斬撃を跳ね返し始めた。




その余波でまたビルは崩れ、飛ばしたり飛んできたりの斬撃に、両者の身体に切り傷が刻まれていく。



しかし、こうしていても埒が明かない。
そう思った二人は、同時に剣を捨て、その手にそれぞれ波動と獄炎を携え、相手に向かって走って行った。



「「ウオァッッ!!!!」」



ドンッッ!!!!




そのエネルギーを持った拳が交叉し、クロスカウンターのように、両者のこめかみに命中した。
二人の身体がまるで反発する磁石のように吹き飛んで、よろりと立ち上がって再び走って行く。





-----------------------------戦闘開始から二時間後-------------------------------



「星!!轟!!噴!!!破ッ!!」


ガ ゴ ゴ ゴ ゴン!!!!



「奴」の拳が、蒔風の急所を的確にとらえていく。
その攻撃一撃ごとに血を噴き出しながらも耐える蒔風だが、その足が段々と折れ曲がっていっていた。



「激!!!」

「ッ!!!サァリャァ!!!!」



連撃最後の一発に、「奴」の力が込められて来たのを見て、蒔風がその腕を、首と肩の間を滑らせてかわす。
そしてそのまま身体を返してからの一本背負い。

しかし、ただの一本背負いではない。
「奴」が落ちる地面には混闇が発動し、その重力に引かれて一気に叩きつけられる。


その衝撃に、「奴」の口から血が噴き出して、その顔面を踏みぬこうとした蒔風の足を、転がって避けた。



それを追ってかかと落としを放つ蒔風、受け止めてその体を押し返す「奴」。
かかと落としを打ち上げられて、一回転してから着地した蒔風が、構えなおして口元を拭う。

「奴」も同様に口を拭って、二人は再び同時に駆けだした。










----------------------------戦闘開始から三時間後--------------------------------





ゴシャッ!!!バキッ!!!!ドゴッ!!!





鈍い音だけが、鳴り響く。



すでに周囲に立っているビルは一つも無く、ただ、瓦礫の山が広がっている。

ここに至るまで、二人は一切の広範囲攻撃を行ってはいない。
すべてが肉弾戦や、剣撃で崩れたものだ。




そしてその瓦礫の上で、二人の男が、無様に殴り合っていた。




一発殴って相手の身体がのけ反って、その相手は仰け反りから身体を戻して相手を殴って。
その繰り返しだ。しかも、一撃一撃の攻撃で、一回一回息切れのように動きが止まっている。



「ッああッ!!!」

「ブぐっ・・・・おァッ!!!!」

「おがッ・・・・ジャアッ!!!」





無様だ。あまりにも無様。
これではただの不良のケンカだ。


ただ広がる瓦礫の海で、殴り合う男二人。
決着はつきそうもない。







---------------------------戦闘開始から四時間後---------------------------------







「ハア゛ッ・・・・ハア゛ッ・・・・お゛わりか?・・・・」

「まだ・・・・に決まっでんだろォが・・・・」



ドゴッ




「ぞんな・・・もんか・・・・・じゃあ・・・今度はこっちだ・・・・ッ!!!」



ゴキッ




「ガッ・・・は!なんだよそれよ゛・・・・・ぞれじゃ俺は死なねえ・・・ぞ!!!」




ガゴッ





「あま゛い・・・・!!!」





バキッ









「奴」が最後に蒔風を殴り、そこで蒔風からの反撃がなくなった。
「奴」が心底きつそうで、それでいてまだ余裕な態度を崩さずに、蒔風に問いかける。



「ハァーー・・・・・ハァーーー・・・・・・どうした・・・・」


息が荒い。
それは蒔風もだ。


おそらく二人は、もはや目の前すらはっきり見えていないだろう。
ただ、そこにあるものを殴る。それだけだったのだ。


「いや・・・・・こいつで終わらせようと・・・・思ってな」

「じゃあこっちも・・・・・そうしようか・・・・・」



そう言って、二人が拳を握りしめる。
全身の力をすべてここに詰め込み、これで相手を終わらせるのだ。





「グウウウウウウ・・・・・・ッ!!!」

「アアアアアアア・・・・・・ッァ!!!」




そして、その拳が放たれる。
しかしそれは













一人分のだけであった。












「あぁ!?」

「バァカ・・・ケンカに・・・・正直もくそもあるか」

「蒔風ェ!!!!」




蒔風は拳を打ち出すことなどせず、背を向けて近くの剣を掴みに行ったのだ。

一方「奴」は、拳を打ち出してそのまま勢いで体勢を崩す。
それはそうだろう、相手がその場にいないのだから。



そうして、蒔風が剣を握ってジャンプし「奴」に向かい、突き立てるように剣の切っ先を下に向けた。



それに対して「奴」は、蒔風が剣を取りに行く事でできた一瞬にて、近くにあった魔導八天の一本を呼び寄せて、飛んできた剣をその手に掴む。




ザクッ!!!!




という音が、二回分、重なって一回分に聞こえた。
そして、二人の剣の切っ先は・・・・・





「奴」の剣は蒔風の腹を貫き、蒔風の剣は「奴」の左肩に突き刺さっている、というものだった。




「これで・・・・・」

「ご・・・フッ・・・・ああ、これで終わり・・・・だ・・・・・集え・・・・十五ッ・・・・・天帝!!!」

「なッ!?」




蒔風が、腹を貫かれながらも、叫んだ。




蒔風が手にしていたのは「天馬」
十五天帝を組み上げるとき、その中心に位置する剣だ。





つまり、この天馬には、他の剣を呼び寄せる、ということも可能になっているということ。






そうして集った蒔風の他の十四本の剣が、「奴」をめった刺しにしていく。
頭、胸、腕、足、すべてをだ。




それを受けて「奴」は怒声すら上げなかった。
貫かれ、その体が消えていく。





「ち・・・・こんな事なら、ゆりかごから吹き飛ばさないであのまま中で殺すんだった」

「そうだな。あの時オレは中身、無かったからな」

「あ?なにがなくなってたって?」

「肝臓の三分の一、血液の十分の三」

「全部戻ってくる器官じゃねェか・・・・・くっそ、ずりぃ」

「ざまーみろだ」






そう言って、「奴」が消える。


二人が話していたこと。
それはあの、蒔風がクアットロを打ち抜いたときのことだ。




あのとき、蒔風はなのはの力を借りた。
あれ自体はなのは一人分だったから複合できたから、という事で問題はない。

問題なのは、その時青龍たち、しいては十五天帝、蒔風の力を使っていたという事だ。



蒔風は力を借りた時、自分の力を使えない。
使えば、身体が崩壊するからだ。

願いに同じものはない。それはその通りだ。
つまり、蒔風に力を貸してくれる願いにも、それぞれの差異はある。

だから違う人物からの願いは一緒に使えないし、自分のも当然無理だ。



が、あの時蒔風は力を借りた。

その代償が、さっき蒔風が言っていたものだ。


つまり本当に、「奴」が蒔風を倒すのは、あの瞬間しかなかったのだ。








「まあ・・・・終わったことだ・・・・諦め・・・・ろ・・・・・」







そう憎らしげに呟きながら、蒔風が倒れる。




しかしそうしながらも、目の前にモニターを出して、訓練場を元のプレートに戻し、使用記録を抹消した。





「ははは・・・・終わった・・・・・・・・ああ・・・・つかれ・・・・・た・・・・・な・・・」





そう一言、一人空を眺めながら。
その空の星を目に写して。









蒔風の意識は途絶えた。















------------------------------------------------------------








翌日
六課メンバーは隊舎内やその周辺を走り回っていた。



蒔風がいなかったからである。




朝起きたらベッドにいない。
通信をしてもつながらない。


それを受けて、なのはの提案で全員で蒔風を探し始めていた。





が、どうしても見つからない。





そうしていると、シャーリーが何かおかしなものを発見した。
蒔風の何か痕跡が見つからないかということでデータを片っ端から漁って、そして何かを見つけよう、と思って見ていなければ、おそらく見逃していただろう、その痕跡。


フェイトが復元できる?ときいて、それでNOという彼女ではない。
さすがというかなんというか、そのデータを復旧させた。



出てきたのは、訓練場の使用記録。
人物の映像までは再現できなかったが、時間と、その時のプレートの状態は再生できるそうだ。



それをシャーリーが再生する。





プレートの上に、廃棄都市のビルが現れた。





そしてそれから十分と少しして、いきなりビルが崩れた。
そこからはまるで何かが戦っていたかのように、次々とビルが崩れていく。



それをみて、一同は何が起きたのか、わからないままだった。



しかし、ひとりだけはわかった。



再生をやめましょうか?と聞くシャーリーに、なのはは最後まで見せてと頼み、ひとりで最後まで、そのプレートを見ていた。






延々と崩れ続けるビル群。



それを見て、なのはの目はせわしなく右へ左へと動いていた。
そこには人は映らない。ただ、ビルが崩れていく現象しかない。

だが、彼女には見えていた。あの人が、どのように戦っていたのかが。




そうして、その倒壊が終わる。
しかし、まだ再生は終わらない。







なのはの目が、一点に止まる。




そして、終わった。



再生時間、四時間と十三分二十秒。



それが終わってから、なのははプレートへと降りていき、最後に見ていた一点に向かった。

そしてそこで膝を曲げ、静かに泣いた。








あの人は、ここで戦ってたんだ。



誰にも知られることなく、どういうことなのかわからないが、生きていた「奴」と戦って、最後にここで私たちを守ってくれた。





そして、「奴」を倒した彼はいなくなってしまった。





おそらく、帰っては来ないのだろう。






なのはは泣きはらした後に、その胸をみんなに伝えた。
彼はもう、次の世界に行ってしまった、と。



また、いきなりいなくなってしまった。
お別れの言葉も言えなかった。





だが、なのはは想い立つ。


そうだ、別れの言葉なんていらない。





絶対に、必ず





また会えると信じているから。







「絶対に、会いに行ってあげるから」




そう言って、魔法少女は決心する。








こうして、この世界での話は、実にあっさりと幕を下ろした。








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学園




そう、学園だ。それも夜の。




そこのグラウンドで、蒔風は目を覚ました。





来ているのは黒い学ラン。




仰向けに寝っ転がって、空を仰いでいる。






「ここ・・・は・・・・・どこだ?」

「目、覚ましたか?」




蒔風が目を覚ましたのを見て、一人の青年が話しかけてくる。
その青年は缶コーヒーを投げ渡し、蒔風の隣に座った。


「ここは・・・・次の世界か・・・・」

「ん?覚えてるか?自分に何があったか」

「えっと・・・・・・ああ、まあな」

「それだったら話は早い。自己紹介、してくれるか?」

「蒔風舜だ」

「そうか、よろしく蒔風。オレは、音無結弦。生徒会長だ」

「生徒会長?」







「ようこそ、死後の世界へ」






蒔風、ついに終着の世界へと降り立つ。








to be continued
 
 

 
後書き

なのはStS、終了です!!!!



【魔法少女リリカルなのは StrikerS】

構成:”ライクル”35%
   ”フォルス”35%
   ”LOND”30%

最主要人物:高町なのは

-WORLD LINK- ~WEPON~:アリシア・リィンフォースの再構築。全員のデバイス出力の激増。

-WORLD LINK- ~FINAL ATTACK~:あらゆる全エネルギーを集束しての「オールスターライトブレイカー」




アリス
「まぁた何ともさびしい終わらせ方しましたねぇ」

はて、なんの事かな?



そして来ました前半の説明部分。
中でも言いましたが、あれはほとんどいいわけです。抜け穴です。

もし、気に食わない方がいらっしゃったら、申し訳ございません。



アリス
「で、次回はあの世界ですか?」

そう、死後の世界。を、舞台にした物語。
先に言っておきます。



次の世界は、本編終了後です。
ですので、原作を見ていないともしかしたらわからない部分があるかも?です。


でも大丈夫!!
アニメは13話!!!あっという間さ!!!

アリス
「CMとか抜いて一本25分くらいだとして、その13だから・・・・325分?」


五時間半かかりますね・・・・・


アリス
「・・・・」

・・・・・



気にしないッ!!!

アリス
「丸投げた!?」





さて、どうぞ

アリス
「次回、久々に・・・説明回だッ!!!」

ではまた次回















――神への復讐。その最前線
 
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