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世界をめぐる、銀白の翼

作者:BTOKIJIN
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第一章 WORLD LINK ~Grand Prologue~
  なのはStrikerS ~これが世界への大 逆 転!!~



銀白の翼が舞い上がる。

その翼長はいつもの二倍ほどもありしかも、今現在も大きくなっていく。



当然だ。
今この瞬間にも、この姿を目の当たりにし、願いは膨れ上がっているのだから。




『蒔風ッ・・・・・・!!!!!』

「よく言葉一つ言っただけとか、新しい味方が来ただけとかで勝ちフラグになる展開あんだろ?そんなんあるわけないじゃん、ってのが現実だが、翼人はそれを現実にするんだ。誰か一人でも諦めない限り、翼人は・・・・決して落ちない」








ゴオオオオオオオッッッ!!!!!!


その言葉に反応してか、ゆりかごが振動し、まるで怒りの咆哮を上げるかのように全身を唸らせる。
そして全砲撃攻撃が、再び蒔風に向かっていった。



「チッ・・・・・!!!!」




それに蒔風は舌打ちをして旋回、攻撃をかわしていく。
ああまでは言ったものの、いまだダメージが完全に抜け切っていないのも事実だし、いまだにAMFは効いていて、蒔風の力は十全では使えない。





「みんな・・・・・行くよ!」

「大丈夫です」

「舜があれだけ言ってくれたのに、立ち上がらないなんて、できないよ!!!」



「さあ、行くよ。みんな!!!!」



「「「「おう!!!!」」」」




そうして、起動六課メンバーも出撃する。
ゆりかごの周囲を飛び回り、砲撃、打撃、剣撃を加えていく。


魔力の切れた者は蒔風とすれ違った際に魔力を分けてもらう。



それでもなお、まだ戦い続ける。
誰一切として、もはや諦めてなどいなかった。


管理局員もすでに数名飛び上がってきている。
その目にあの翼人を写し、それに希望を見出して、彼らもまた、空を翔ける。


また、はやてがはるか上空に停滞しているであろう戦艦アースラに通信を入れた。


「全戦艦を引き連れて、ゆりかごを射程範囲内に入れて砲撃開始!!!ゆりかごからの攻撃はうちらが半分引き受ける!!!!」

『部隊長、遅いですよ!!!もうとっくこっちは降下してます!!!!』




が、どうやらいらぬ指揮だったようだ。
すでにアースラをはじめとする次元航行戦艦は降下し、ゆりかごを射程範囲に収めようとしていた。


もちろん、「奴」がそれに気づいていないわけがない。
当然のように砲撃がそちらに伸びる。


が、それはキャロやシャマルを中心とした局員二十名に張られたバリアで弾かれてしまう。



こうして、ゆりかごと戦艦が同じ高度にそろう。



『全戦艦、攻撃準備完了!!!』

「総攻撃や!!!てェ!!!!!」




合わせて八隻の戦艦から、いくつもの砲撃やレーザーがゆりかごに放たれる。



その攻撃を、「奴」はゆりかごの砲撃で撃ち落とし防衛するが、いくつかはそれをすり抜けてゆりかごに到達していた。
が、その程度でどうこうなるゆりかごではない。まるで損傷といったものを受けていない。



しかし、その抵抗は確実に「奴」のカンに障っていた。





『効かないとわかっていながらも・・・・やはり粘るか、主人公!!!!!』

「効かないなんてことはない・・・・そんなことは、絶対にない!!」

「舜君がやってきたことを、今まで二回も手伝ってきたんだ!!!今回だって、できる!!!!」


『馬鹿やろぉが・・・・・三度目の正直ってのを、しらねぇのかぁ!!!!!』

「てめえが三度目の正直ってんなら、こっちは二度あることは三度ある、だ!!!」




「奴」の言葉に、蒔風たちが返していく。
その言葉はより一層「奴」をイラつかせ、そしてついに、その怒りが頂点に達した。





『うぅっとぉしいやぁ!!!!!!!全砲台、制限解除!!!!聖王のゆりかご、全稼働(フルドライブ)!!!!』



「なっ!?」

「うわぁぁああああああああああ!!!!!!」




「なのは!!フェイト!!!!くっ・・・・・みん・・・・・ごぁあああああああああああ!!!!!!」







ゆりかごのヒビが一斉に輝き、全砲台からオーロラと砲撃とか一気に噴き出してきた。
砲撃、だけではない。電撃や炎、更には衝撃波までもが吹き荒れて、ゆりかご周辺を一気に薙ぎ払った。



円状にソニックブームが広がって、すべての局員が墜ち、戦艦にも命中し、また二隻ほど、落とされていく。



そしてその攻撃は、アースラにも届いていた。






「きゃあっ!!!!」

「うおっ・・・・ッ、損傷は!?」

「アースラ、右舷損傷!!」

「戦闘はできますか!?」

「出来なくはないけど・・・・移動が今までのようにはできない!!!いい的になるだけです!!!」


「くっ・・・・・こんなところでッ・・・・・」


『損傷した戦艦は、その場で地上に降りてそこから砲撃を再開!!!総員、すぐにでも脱出できるようにしとけ!!!』


「了解!!!!」




そのアースラに、蒔風の指示が飛ぶ。
アースラはもともと廃艦予定だったものをメンテナンスしてきたものだ。

ここまで戦況に付いてきただけでも上出来なほど。




だが、そんなゆっくりとしたものを、奴が見逃すはずがない。




『油断はできないな・・・・あの次元砲がある以上、その戦艦どもは落とさせてもらう!!!!』




アースラが地上に降りていくのを見て、「奴」が砲撃の四割をアースラに向けて撃ち放った。
それを見て、蒔風が翔ける。




ゆりかごの全方向一斉放射に、一度は墜ちた蒔風だが、あのような全体攻撃で薄かったからまだ何とか耐えられたのか、多少苦しそうにではあるものの、まだ立ち上がる。
なのは達も同様に立ち上がり、他の局員もまた数名空に戻ってきている。






地上に降りたアースラを、破壊しようとするその砲撃の前に、蒔風が巨大な圧水掌を出現させ、叩きつけて霧散させる。
だが、それは少し照準を逸らしただけで、完全に止まるわけではない。


それを突き抜けてきた砲撃が、今度はアースラの左上方を掠めていった。



「うわぁ!!!!??」

『急げ!!!こっちももう持たない!!!!』

「は、はい!!!!」



そこから蒔風が攻撃に移って行き、ゆりかごがそっちに引きつけたれている間にアースラが地面に着陸、そこからまた砲撃を撃とうとする。
周りにはアースラのように被弾した戦艦が降りてきて、地上からの固定砲台となって砲撃を開始していた。




「よし・・・これなら!!!」

そう言って、まだ自分たちはやれると意気込むロングアーチ。
だがこの状況で、「奴」が狙うのをあきらめたわけではない。



蒔風の攻撃の隙を見て、再び砲撃の嵐が戦艦群に向き、そのいくつかがアースラにも被弾した。





「グああ!?」


《警告。船体の損傷が激しく、これ以上船内にいるのは危険です。ただちに脱出をしてください。繰り返します・・・・》



アースラの中にアラームが鳴る。



グリフィスをはじめとしたメンバーが苦い顔をするが、もはやこれまで。
ここは脱出して、足を引っ張らないようにするだけだ。





そうして全員はすぐに脱出した。
あらかじめ蒔風に言われていた通りにしていたのが功を為す。



「よし、全員いるか?我々ロングアーチはこれから・・・・・」



ゴォン・・・・・



「え?」

「な・・・・・なんで!?」

「アースラが・・・・動いてる!?」


脱出を完了し、点呼をとるグリフィス。

アラームが鳴って、もう動けないはずのアースラが、彼らの前から再び浮上していっていた。
その光景に、ロングアーチスタッフは目を見開き、グリフィスがブリッジに通信を繋げた。



「おい!!誰かいるのか!?勝手な行動は危険だ!!!!戻れ!!操縦しているのは、誰だ!!!!」



だが・・・・・その通信から、返信はない。
そうして、アースラは飛び立って行ってしまった。


他の戦艦の砲撃弾幕を背に受けて、それを援護とするように。







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「混暗を以って混ざりあえ!!!獄炎、土惺・・・・穿て、獄惺竜!!!!!」





ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!





唸り声を上げ、獄炎と土惺を混ぜ合った「獄惺竜」が、砲撃にその身を削られながらもゆりかごの額に向かって突っ込んでいった。
衝突と共にひねり潰してから爆散し、そこに小さな穴をあける。


その穴になのはが砲撃を叩き込んで、更にそこに休みなく蒔風が絶光尖で貫通させる。



「見えた!!!」

「いまだ!!!!雷 旺!!!!」

「ディバイィィィイイン!!!!」


「砲!!!」「バスタァアアアア!!!!!」





二人の息のあった砲撃が、その穴の先に見える「奴」を狙い撃った。
だが、「奴」にしてみればなのはと、弱体化した蒔風の砲撃など脅威ではない。


片手をめんどくさそうに払って、その砲撃を上に弾いた。
ゆりかごの天井に穴があいて、その砲撃が逸れていく。




だが、その砲撃は終わらない。




砲撃に宿った雷旺のエネルギーは電気。
なればこそ、彼女であれば、それを動かしての方向転換も可能である。




《いまです!!!》

「せぇ・・・・のッッ!!!!!!ハァアアアッッッ!!!!!」




フェイトが、その砲撃をバルディッシュザンバーに巻きつけるかのようにまとわせ、己の魔力も上乗せしてから、叩き返す。


しかし、開いた穴はすでに四分の三は塞がっており、たとえ届いても「奴」は難なく弾くであろう。
だがらこそ、フェイトが打ち出したのは、そっちの方向ではなかった。



「ヴィータ!!お願いッッ!!!」

「まっかしとけェ!!!!うをおおおおおおおおおおおおおおオオオオオオッッッ、りゃあァァァ!!!!」




その行き先は、ヴィータ。
彼女のハンマー、グラーフアイゼンを以ってして、彼女も魔力を上乗せしてから飛んできたそれをゆりかごに向かって撃ち返した。





ドグオォグァッッ!!!!!





その衝撃に、ゆりかごが少し揺れ、その船体に傷ができる。
そこに向かって、エリオが電撃槍となって突貫し、一気に貫通しようと試みる。

しかし、電撃のようなレーザーを放つ砲台が振るわれ、まるで鞭のようにしなってエリオを打つ。
それをスバルがガードして、それでも反動で吹き飛ばされてから、ウイングロードに着地する。


「すみません、スバルさん!!!」

「気にしない!!今はあれをぶっ潰すよ!!!ティア!!!」

「わかってる!!でも・・・・あれの行動が・・・・読み切れない!!!だから」

「とにかくぶちのめせばいいんだよね!?」

「その通りよ!!!わかってるじゃない!!!!」






全員が一丸となってゆりかごへと向かう。
だが、いくら意気込んでも、勝っているのは心意気だけ、というのも現実だ。





到底、ゆりかごを落とすには至らない。





『どうする?これはやはり、三度目の正直ってことだろう!?ハァアアアア!!!!』

空にいる攻撃対象が減ってきて、「奴」の砲撃がついに全体からピンポイントへと移って行く。



フォワードを打ち、シグナムを打ち、シャマルを打とうとしてそれを庇ったザフィーラごと撃ち落とし。
ヴィータがバリアと旋回でかわすがオーロラに挟み込まれて撃墜され。


更にそのオーロラがまるでスキャンでもするかのように下から上へとかけて走り、局員たちを落としていく。


その攻撃になのは、フェイト、はやては耐えるが、立ち上がったと言ってもすでに限界な蒔風の身体がグラついて動きが止まる。




そこに奴が砲撃を当て、何とか弾くが、蒔風の身体はその反動で地面に向かって落ちていく。



「舜君!!!」

「あかん・・・・もう限界や!!!」



なのは達の身を案じる声が聞こえる。



だがそれでも、蒔風は地面にまでは落ちなかった。
決して落ちることはない。否、決して落ちてはいけないのだ。






「負けるわけには、いかないんだ」




血を吐きながら、足をぶらつかせながら、蒔風が呟く。





「もう俺は。二回も負けている。ああそうさ・・・・おまえの言う通りだよ。二度あることは三度ある、じゃあ困るんだ」







蒔風は呟いていく。




それは、決意。




もはや決して負けないと。
世界の理不尽には屈しないと。




この世界には二度も負けたんだ、今度は勝つ、と。







『無茶するなよ。おまえ、俺が出ていった時からもう体ボロだったろ?』

「いいや・・・・・勝つ、なんてのじゃダメなんだ・・・・オレが求めてるのはそんなんじゃない・・・・・」

『おい・・・・』



「奴」の言葉を無視して、蒔風が語る。



一体何に?




決まっている。この世界にだ。


蒔風が今勝つべきなのは、「奴」にであり、世界にであり、今までの自分にであった。







「ふんぞり返ってよく見てろ!!!!これが俺の三度目の正直だ・・・・・これが・・・・・ここからが大逆転って奴だからな!!!!」


ゴォウ!!!!








蒔風の翼が唸る。
しかし、今までのキレはもう無い。
身体がクラ突き、意識が一瞬途切れにそうになる。



【Mahoザッ・・・・ Sザザッ・・・・o lyriザl noザザha ザァーーーーーッッkerS】-WOザザザァッ・・・・・NK- ザシッ・・・・・N~




いつもは発動するとすぐに聞こえてくるあの音声も、ノイズだらけでしっかりと出来ていない。
世界に不都合はない。


ただ、蒔風のコンディションの問題だ。




しかし、「奴」はそれで安心することなど、出来ない。





蒔風が実行しようとしているのは、世界の奇跡。
しかし、彼にはそれを一瞬で発動させるだけの体力がもう無いのだ。


と、いってもしっかりと立ち止まって呼吸を整えて行えば、それはおそらく発動できるだろう。




そしてそれだけの隙を、「奴」が見逃すはずがない。





『ジ・エンドだ!!!!蒔風ェ!!!!』






ゆりかごの砲撃に、「奴」の漆黒の波動砲までもが混ざり合って、蒔風に迫る。




「舜君!!!!!」

「舜ッッ!!!!」

「あかん!!!・・・・・え?なんやて?」

「はやてちゃん!?」

「そんなことって・・・・・」





その瞬間、はやてが通信に驚愕する。



そしてその内容が、なのは達の目に飛び込んできた。






ゴォッ!!!!カッ・・・・・・ゴゴォォォォォオオオオッッッ・・・・・!!!!!






アースラだ。




長らく彼女たちと共にあり、その成長を見てきた船が、ここでその先を開くため、蒔風とゆりかごとの間に飛び込み、砲撃をその身に受けて轟沈した。




「ア、アースラが!?」

「な、中の人は!?」




なのはとフェイトがはやてに聞く。
聞かれたはやてのその首は、横に振られてしまう。


しかし、それは決して被害者が出たというわけではない。



「だれも・・・おらんて」

「え?」

「アースラのロングアーチスタッフは、一人残らず脱出しとる。あのアースラには、誰も乗っ取らんのや」








そう、このアースラは無人だった。
誰も乗っていない船。いやむしろ、この船は飛べないと言ってアラームを鳴らしたのではなかったのか?

それにもかかわらず、アースラはアラームを鳴らし、誰もいないその体で、このピンチをチャンスに変えたのだ。





戦艦には基本、そこまで高性能でなくとも、AIが組み込まれている。
だからもしかしたら、アースラはわかっていたのかもしれない。

この戦闘が、自分の最後のものになることが。
そして、その戦闘で、自分の中で暮らし、過ごし、笑っていた彼らが、危機にさらされているのを察知し、彼らのために戦える最後のチャンスだという事が。




無論、普通に考えれば、そんなことはあり得ない。
戦艦が自律行動など、とりはしないのだ。取るはずがないのだ。



おそらく、しっかりと説明するならば、戦闘の際のバグとして処理されるだろう。



しかし、だれひとりとして、そんなことは思えなかった。




アースラは、その最後の瞬間まで、自分達と共に戦ってくれた、仲間だったのだと。

機械のそれに、感じる心はなかった。




しかし、そのAIは、それがそうであるという事だと「考えた」





爆炎を上げて落ちるアースラ。
外壁が崩れ、外からブリッジが見え、それが蒔風の目に止まる。

崩れた壁の隙間から見えたブリッジのモニターには、ただ一文だけ、こう表れていた。












《GOOD LUCK.My Family》














『ッ・・・・この・・・・・・廃艦寸前の鉄くずがァ!!!!!』

「・・・・・ははっ・・・・残念ながら、to be continued.だったみたいだなァ!!!!世界も粋なもんを用意してくれるよな・・・・行くぜ・・・・・大逆転劇ってのを、見せてやる!!!!!」









【Mahou Syoujo lyrical Nanoha---Nanoha A's StrikerS!!ALL SERIES COMPLETE!!!】-WORLD LINK- ~WEPON~!!!








その発動と共に、空に大きく二つ、光が輝く。




その光の元は、フェイトとはやて。





今、蒔風が敗北してきたすべてのものに、逆転勝利を突きつける!!!!!!















フェイトの身体からホログラムのように文字がいくつも浮き出してきて、それがだんだん人の形を取って行く。

同時に、はやての魔導書「夜天の書」のページがものすごい勢いでめくられていき、やはりそこからもホログラム状に文字が浮き出て人の姿を取って行く。






そうして現れたのは、二人の人物。
もはや、会う事などないと思っていた人物だった。




一人は、フェイトと二つ瓜の少女だった。
ただ、フェイトが大人しそうなのに対し、とても元気のありそうな、活発な目をして、リボンの色は緑色だ。


もう一人は、長い銀髪と深紅の瞳が印象的な若い女性の姿をしている。
静かな紅い瞳に、溢れんばかりの優しさを以って、はやての事を見つめていた。






「え?」

「そんな・・・・・ホンマに・・・・?」





「夢じゃ・・・・・ないよ」

「帰ってきました。我が主」




「え?え?も、もしかして・・・・・・」




「どうもです!!フェイトのお姉ちゃん、アリシア・テスタロッサと!!!」

「祝福の風、リィンフォース。お二人とも、お久しぶりです」








その二人が名乗りを上げる。





それはこの世界の理不尽によって奪われた者たちだった。
それは蒔風が助けようとして助けられなかった者たちだった。





しかし、ここに、それは逆転する。








最後に世界は、彼に救いを。








決して取り戻せないはずだったものが、ここに奇跡を以って帰ってきた!!!!





「アリシア・・・・・!?」

「リィン・・・・・リィン!!!!!??」







その突然の出現に、一番面喰っているのはフェイトだ。
なにしろ、彼女のことは知っていても、しっかりと会うのは初めてなのだから。






「大丈夫?フェイト。ほら!!お姉ちゃんだよ?」

「え?え?えっと・・・・うぇ・・・・あれ?な、涙が・・・・・」

「・・・ありがとう。私のせいであなたが酷い目にあったのに、あなたは私のために泣いてくれる。私はね?ずっと見てたよ?フェイトが今まで頑張っていたのを、あなたの中から、ずーーーっと」

「うん・・・うん・・・・・うええええええええ・・・・・・」





そしてフェイトはついに本泣きしてしまう。




しかし、はやてはすでに本泣きだ。
失われた家族が帰って来たのだから。




「リィン・・・・リィン・・・・・・!!!!」

「ご心配をおかけしました。ですがもう、私はあなたの元を離れません」

「うちだってもう放さへん・・・・もうずっと、一緒の家族や!!!!」

「はい」








その光景に、蒔風の目頭は熱くなっていた。





ああ、やっと形になった。
俺がこの世界に残せた物が、やっとあったんだ。






こんなオレでも、何かを残せる。





そう思うだけで、心が満たされた。
そんな思いで、蒔風の心は一気に羽ばたいた。





大丈夫だったんだ。自分が世界をめぐる意味は、確かにこうして存在したのだから!!!!!!









『なにを・・・・・しているんだ・・・・・・』

「・・・・ッ・・・・あん?」


それを見ていた「奴」が、震える声で言う。
それに対して、蒔風が涙に声を少し詰まらせて、反応した。



『そいつらは・・・・・過去に失われたものだぞ!!!!それを復活させることが、どういう事かわかっているのか!!!蒔風!!!!!』

「十分にな、わかっているさ・・・・・だがよ、世界の奇跡が認めちまったんだ。許容するしか、ねえだろうが!!!!!」

『まともでないぞ・・・・まともじゃあない!!!!そんなことは認めない・・・・大切な人がいなくなって、悲しいのはそいつらだけじゃない!!!だと言うのに!!!なぜそいつらのだけが戻ってこられる!?不公平だろうが!!!いいのかよ・・・・・そんな差別が、許されるとでも思っているのか世界がよオオオオオオオオオオオ!!!』




「奴」の叫び。
主要人物だけ、こんな優遇許されていいのか。

なんでお前らだけが許される。
何故世界は等しくないんだ、と。







「ああ・・・・確かに、世界は理不尽だ。こんなこと、許されるべきじゃないだろう。だけどな・・・・もうここにあるのは一つの命だ!!!それを奪うというのなら、それは許されることじゃない」

『いつも通りの言い訳か・・・・開き直りか!!!!!脇役がそれをいえば叱咤され、主人公なら称賛される!!!そんなのが・・・・クソッタレって言うんだよ!!!!』



そんな奴の言葉に、蒔風が、本当に誰にも聞こえない声でボソリと、一言だけ言った。



「ま・・・・こいつら、厳密には本人じゃあないけどな・・・・・」



しかし、その声はだれにも、「奴」にすらも届かない。








そうして蒔風がなのは達の元へと向かって行く。
その周辺に、他の六課メンバーも集まって行く。





「リィン・・・フォース・・・・か?」

「ええ、シグナム。帰ってきましたよ」

「よがっだぁぁぁああああああ・・・・・・」

「ほらほら、ヴィータちゃん・・・・」




「えっと・・・フェイトさん・・・じゃないんですよね?」

「そ!!私は、アリシア・テスタロッサ!!!あ、でもフェイトと同じようになるから、どうなるのかな?」

「わ、私はもう・・・・こうしてるだけで・・・・・」





初対面同士だったり、感動の再会だったりでワイワイしているが、そこに蒔風が手を叩いてやってきた。








「おまえら!!今の状況わかってるか?そこの二人も、いきなりで悪いが力を貸してくれ!!!!行くぞ!!!!」




「「「「「「「「「「「「「おう!!!!」」」」」」」」」」」」」」






そうして、ゆりかごへとすべての者が空をかけていく。





WORLD LINKの力は、まだ消えていない。

そのデバイス、本人たちに全員に、その力が付与される!!!!






『砕け散っちまえよォァ!!!!!!!』


「動け!!!!!!」




ドォウ!!!!!




ゆりかごが、「奴」の怒りに呼応したように暴走を始める。




が、その攻撃の一切は誰ひとりにも当たらない。





「ヴォルケンリッター、烈火の将シグナム、押してまいるッ!!!!レバンティン!!!!!」

《Jawohl!Schlangeform!!!》




その攻撃を、シグナムがレバンティンの連結刃のドームですべて打ち消していったからだ。



いくらまとめれば驚異の砲撃でも、まとまる前の短髪ならば、恐れることはない。
しかもその連結刃のドームは、ゆりかごをすっぽりと覆うまでに巨大なモノ。

撃ち落としそこなうなどという事は、あり得ない!!!!






『なぁッ!?』

「行くよッ!!フェイト!!!」

「うん、アリシア!!!!」

『小娘が・・・・粋がるなぁ!!!!!』






そうしてすべての攻撃を防がれたゆりかごに、アリシアと、目元が赤くなっているフェイトがバルディッシュを一緒に握り、ライオットザンバーの大剣でゆりかごに向かって上方から突撃して打ちおろした。


その刃は強化され、さらに二人の魔力を吸って、ゆりかごを前後半分に切り分ける!!!!




『バカな・・・・このゆりかごがッ・・・・』








「行くわよ!!スバル!!!さっきと同じ要領で!!!」

「オッケーー、ティア、いつでもいけるよ!!!」

「ストラーダ!!スバルさんを、ちゃんと運んでいくんだぞ!!!!」

「ブーストかけます!!!フルドライブ!!!!!」



そこで、フォワードたちの準備が完了する。
やっていることは、最初にゆりかごにぶちかましたものと同じだ。


エリオの電気変換された魔力でスバルの身体能力を底上げし、キャロのブーストで強化されたストラーダのブースターで突っ込んでいく。




ただ違うのが、今度はストラーダを以って突っ込んで、振動拳ならぬ振動槍になるという事。
スタートダッシュに、クロスミラージュの第三段階「ブレイズモード」で、スバルを打ち出していくこと。


そして何より、WORLD LINKが働いている!!!!



「必 中 粉 砕!!!」

「フラストレイトアロー!!!!!」


「「イッケえええええええええええええええ!!!!!!」」




「うをおおおおおおおおおおおおおおオオオオオオッッッ!!!!」







ドッ・・・・パァン!!!!!






スバルが一瞬のうちに音速を超え、その空気との摩擦に炎を纏い、ゆりかごの真っ正面から突入し、そのまま真っ直ぐに後部正面から突き出てきた。




メキメキという音を上げ、ゆりかごが軋んで落ちていく。




しかし





「バラけさせへんよ!!!!行くで!!リィンフォース!!!!」

『はい!!主はやて!!!!!』


「『エアロック・バインド!!!!』」





ゴォン!!!!



空中でバラけ、崩壊し始めるゆりかごを、はやての空間バインドでその場にとどめる。
その空間はまるでモノクロのように色が褪せ、名前の通りに空間ごとその動きを止めていた。

まるで、まとめて吹き飛ばしてやると言わんばかりに。





「これでこちらの攻撃ができるな。我らヴォルケンリッターに、二代目祝福の風が五人!!!!!すべてをかけて、貴様を穿つ!!!!」




シグナムがリィンとユニゾンし、レバンティンを弓状に変形させる。




「フルドライブ!!ボーゲン、行くぞ!!!」

「「「『了解!!!!』」」」




シグナムが弓を引く。
が、まずその大きさがいつのも1.5倍にまで大きくなっている。


そして弓の弦は、クラールヴィントの魔力糸によって紡がれていた。
それだけの巨大な弓を引く弦は、限りなく強力なものでなければならない。


そして矢は、先端にザフィーラの鋼の軛が、尾の方にはアイゼンのブースターがセットされ、その推進力はとうにマックスだ。





「翔けよ!」「「「「隼!!!!!」」」」


「「「「「シュツルムファルケン!!!!!!」」」」」





ヒュン・・・という静かな音を立てて、それでいて火焔を纏って爆進するその矢は、五メートルほど進んだ後に、ブースターによって、本当に爆発したかのような推進力で一気に吹っ飛んで行った。




真横から後部を狙い、反対側まで容易に貫いたそれは、ブースターによってUターンして、今度は別の場所を貫いた。
そしてまたターンして貫き、またターンする、その繰り返し。


まるで紅い糸で裁縫をしているかのように、爆炎を跡に残しながらゆりかごを縫って行くその矢は、ついに真上から奴がいるであろう聖王の間にて、一気に炸裂、爆破した。




その船体の後ろ三分の二はすでに瓦礫となって、ゆりかごの前部上半分が吹き飛んで、その爆煙の中からグラーフアイゼンが回転しながら飛んでくる。
そしてそれをヴィータがキャッチする頃には



管理局最強 砲撃のエキスパート エースオブエース、高町なのはの集束が、すべて完了しきっていた。




「覚悟して・・・これはただの集束じゃないよ・・・・・この場に残った皆の魔力。今倒れてる人たちの、残った魔力。そして、みんなのあなたを倒すという願いが、すべて集まったこの砲撃!!!受けてみて!!!」

『ガッ・・・・くぉ・・・・空間バインドッ・・・・・この・・・・・』



はやての空間バインドに、身動きが制限された「奴が」舌打ちをする。




なのはのこの砲撃は、すべての者の、その想い。
ただの魔力だけじゃない。すべての願いと、可能性が乗っている。



魔力を持たない者の願い(ちから)をも乗せたその砲撃は、まさにこう呼ぶのがふさわしいだろう!!!







【Mahou Syoujo lyrical Nanoha---Nanoha A's StrikerS!!ALL SERIES COMPLETE!!!】-WORLD LINK- ~FINAL ATTACK~!!!






「オール!!!!!」

《《《《スタァァァァアアアアアアアアアアアアア!!!!!!》》》》

『『『『『『『ライトォ!!!!!』』』』』』』

【【【【【【ブレイカァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!】】】】】】










その技名を、すべての管理局員が叫んでいた。




まさしく、オールスター。





誰一人として、この砲撃に、欠けた者などいないのだから。







『クソッ・・・・これはもうダメか・・・・・ッッ!!!!』



桜色の砲撃が、ゆりかごを吹き飛ばす。
その太さは空間バインドでロックされたゆりかごをすべて包み込み、そのすべてを瓦礫に変えて、原型というものをなくしていった。

そうして、世界すべてを振るわせるような轟音と共に、ゆりかごだった残骸が、地表にバラバラと落ちていく。




戦いは終わる。






その残骸跡に、聖王の玉座だけが、まるで墓標のように立って残っていた。













to be continued
 
 

 
後書き

最終決戦
   ここに  
     完   結!!!!!



アリス
「やっと来ましたか!!にしてもまさかあの二人が帰ってくるとは!!!!」


こういう展開は最初から考えてました。
ここにて蒔風はついに世界に勝利する。

それどころか、今までの敗北をチャラにするくらいのものでです!!!!



アリス
「しかし、「奴」のいう通りこれは死者復活。あまり許されることではないのでは?」


そこは次々回に説明しますよ



アリス
「そしてまさかのアースラ活躍」



この戦いの後、ただ廃艦されるなら、こういう散り様がいいかな、と



アリス
「次回、事件アフター」

ではまた次回













やっと長かったこの世界が・・・・・・終わるぞーーーーーーーーーーーー!!!!!! 
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