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世界をめぐる、銀白の翼

作者:BTOKIJIN
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第一章 WORLD LINK ~Grand Prologue~
  なのはStrikerS ~今こそ六課前線の心を一つにするのだ!!~


聖王教会から帰ってきて、機動六課隊舎内



四人はそのロビーまで一緒に歩いてきて、これから自室に帰ろう、というところだ。




と、そこではやての足が止まる。

それに気づいて三人がはやてに振り返った。



「はやて、どうしたの?」

フェイトの問いに、少し俯くはやて。
しかしすぐに顔を上げてなんでもない、と言う。


「ちょっと疲れてしまったみたいやな。みんな、今日はありがとうな」

「いいんだよ」

「ゆっくり休んでね?」

なのはとフェイトが手を振って自室に戻る。
部屋でヴィヴィオが待っているはずだ。


少し足速になのはとフェイトがいなくなる。

だが、蒔風だけははやてを見つめてずっとその場にいた。



「ん?舜君、どしたん?」


何か話でもあるのかな?とはやてが蒔風に聞く。
そこで蒔風がため息を吐いてはやてに言った。



「ちょっとな・・・はやて、本当は何が言いたかったんだ?」

「え?」

「お前は疲れたぐらいじゃ泣き言は言わんだろが。な~んか思い詰めてるな?」


蒔風がズバズバと聞いてくる。
それにはやてが、あちゃ、という顔をして舌を出した。



「わかる?」

「わかるわ。で?どうした。あいつら巻き込んだのをまだ引きずってんのか?」


その蒔風の問いにコクリと頷いて答えるはやて。
そして、あんな、と前置きをしてから、はやてが話し出した。



「今回の事件はほんまにやばいことになるかもしれん。事件内での危険はもちろん、管理局内での立場的にもや。だからなのはちゃんとフェイトちゃん、さらにはフォワードのみんな、シグナム達にも迷惑かけるかもしれへん」

「んなこと、あいつらはすでに覚悟してのことだろ」

「・・・・・そうやね。でも、だからこそウチは守らなあかん。ウチにとってなのはちゃんもフェイトちゃんも命の恩人やし、大事な親友や。ウチはあの二人を守ったるんや。守るためなら・・・・」

「そりゃ・・・・・壮大な覚悟だな」

「あはは、そうやなぁ。でも、ウチの命はグレアムおじさんに生かされ、なのはちゃんたちに助けられて、ヴォルケンズのみんなに守ってもらった命や。だから、私の命は・・・」

「はやて」

「・・・ん?」


それ以上の言葉を続けようとするはやてを、蒔風がやんわりとさえぎった。
そして、鋭い言葉で言い放つ。


「それ以上いうなら俺は貴様の敵になるぞ。八神はやて」


蒔風の眼光がはやてを射抜いていた。
明らかな敵意を孕んで。



「簡単に命を捨てるような事を言うな。確かに、お前はいろいろと助けられた人間だ。だが、その命を蔑ろに扱ったら、あいつらは何のためにその命を助けた?はやて、お前の命はお前の物だ。だがな、だからといって捨て身など許さない。それじゃぁ・・・・・・・・俺がなんのためにリィンフォースを消したのか、わからないだろ」

「・・・・・・」

「お前は自分の幸せを追求しろ。命を捨てるな。命を生かせ。誰かを助けるお前自身が、まず救われなくちゃ意味がないだろ」

「でも・・・・・・ウチがかけた迷惑は・・・・・罪は・・・・・まだ許されない・・・・」

「馬鹿だなぁ」

「・・・・は?」




「罪は赦されるものじゃない。購うものだ。それにお前、「償う」って行為をするっつーことは、お前さん、赦されたいんだろ?」

「・・・・・!!!」



「罪は背負うしかない。そして、それは生きてなくちゃ出来ないことだ。お前は死に恐怖出来るんだろ?つまりは、きちんと「生きている」って事だ。だから、生きてくれ。俺の前でそんな悲しいこと、言わないでくれよ」



蒔風が寂しそうに、呟くように言う。



「死をしっかりと恐怖しろ。それがお前の生きる証だ。罪のために命をかけるな。命をむやみに消費しないでくれ。消えていった、あいつのためにも」




蒔風がお願いだ、と頭を下げる。
もしここではやてが強い願いで「それでもやる」と決心してしまえば、蒔風は彼女に対し、「リィンの意思を潰す者」としての意識を持つことになる。

そんなのは嫌なのだ。
蒔風はそんなこと望んでない。

だが相手が「願い」で来るならば、蒔風はぶつかるしかない。
だから蒔風も、「お願い」をしたのだ。


決して命を、罪のために投げ出さないでくれ、と。


その蒔風にアワアワと慌ててしまうはやて。
だが、蒔風は本気だし真剣だ。





彼女の残したモノを、こんな形で失う事など、彼の想いが許さなかったのだ。






「はぁ・・・・わかった。だから頭上げてぇな」

「マジか!?」


はやての返答にガバッ、と起き上がって肩を掴む蒔風。
それに困ったような顔をして、はやてがうんうんと頷いた。




「わかったわかったから・・・・・なあ舜君」

「なに?」



「うちは・・・・赦されてもいいんかなぁ?」



そう聞くはやての目は、救いを求めるような、拒むような、どちらとも見えるような光を宿していた。

だから、蒔風はこう言った。
思いっきり嫌がらせをするように。



「そんなことは知らんが、とにかくお前は幸せになれ。罪を償うだ?そんなん、お前の気が晴れるくらいじゃねーか。だからとにかく楽しく生きろ。お前は他人を差し置いて自分が幸せになるのを嫌う。だったらお前は幸せになれ。そうでもなきゃ、罰とは言えんなぁ」



その言葉にポカンとするはやて。
そして、蒔風がさらに言う。


「んで、そこで余裕ができたら助けてやれ。お前の幸せ、分けてやれ。お前にしか伝えられない事が、あるはずだ。たとえつらい事があったとしても、未来は可能性に満ちているってな」

「舜君・・・・・」


「未来の可能性は「人の願い」だ。お前は一人の世界で最も幸福な融合機の命をその身に宿しているようなものなんだ。そいつを不幸にさせんなよ?」

「うん・・・・わかったよ」


その返事に、蒔風ははやての目を見て、うん、とうなづいて踵を返す。


「その眼なら「それでも私は~~」なんてことは言わなそうだな。安心して眠れるよ」

「よぅゆーわ。行きも帰りも、車ん中でしっかり寝てとったくせに」

「俺はいつも眠いの。眠気にはどーにも勝てん。ふぁぁぁ・・・・おやすみ~~~~」



そう言って蒔風が自室に戻る。
そうして、はやては蒔風のその背中に、敬礼を返して送った。


精一杯の尊敬の念と、感謝の気持ちを込めて。





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翌日、蒔風が朝起きると、時間は早朝。
着替えているエリオが目を見開いて信じられない物を見たような顔になっていた。


蒔風が起きている。



朝に弱い蒔風が、早朝訓練なんてものに出られるのは今までだって両手の指の数くらい。
だから蒔風本人も、時計を見て一瞬固まった。

そうして「いやいやまさか」と頭を振ってもう一度時計を見る。
しかしさっき見た時間から十秒たってるだけだった。


そうして蒔風の表情も固まった。



「お、おはようございます」

「お、おう・・・おはよう・・・・」




おかしい

早起きしただけでなんでこんなに緊張してるんだ?こいつら
しかしまあ、このままいても仕方ないので蒔風が立ち上がって朝の仕度をする。


起きてから歯を磨き(クリ○クリーン)、顔を洗い(お湯でヌクヌクと)、着替える(たまに前後間違える)。

そして小さいコップに炭酸ジュースを注いで一気に飲み干した。



そう、この男、朝から炭酸飲む男なのである。
と言っても少量だが。



本人いわく「朝のなまった口ん中が一気に覚醒する」んだそうだ。



そうして訓練場へと赴く二人。
訓練場に着くとスバルやティアナ、キャロは「あ、今日は早起き出来たんですね」と至って自然な感じで接してきたが、蒔風の朝の弱さを知っていいるなのはやフェイト、ヴィータにシグナムは本気でビビっていた。





「きょ、今日は何か起きるの・・・・?」

「みんな、舜の暴走には気をつけよう!!!」

「「おう!!!」」


なんだか不本意な形で一基団結する隊長陣に、蒔風がなんとも言えない苦笑いをして周囲を見渡す。

すると、そこに見慣れない顔を一人見つけた。





「おや、初対面の人・・・・いや、ヘリ襲撃のときにチラッと見たなぁ・・・・たしか・・・・・ギンギラギンにさりげなく?」

「ギンガです!!!ギンガ・ナカジマ一等陸士です!!」



ギンガが蒔風に自己紹介する。
スバルの姉で、格闘技「シューティングアーツ」の師であるそうだ。

「今回の事件で、陸士108部隊から出向してもらうことになったの」

「ほほ~」

とまあそんな感じで訓練開始。



とりあえずギンガの力量と、スバルの成長を見てもらおう、ということで二人で軽い模擬戦をやってもらう。





「おお~~~!ウイングロードが走り回るとかっけぇな!」

「舜・・・・動きも見てやれよ・・・・」



全体的に見て、やはりまだスバルよりギンガの方が上手である。

しかし、だからといってスバルが負けてるわけではない。
実際、ギンガの一撃をシールドで防いだり、痛烈な一撃を入れたりと善戦していた。


だが最後の最後、止めの一撃で、スバルの拳よりもギンガの拳が速さで勝利を収めた。

拳を振りかぶるスバルの目の前に、ギンガの拳がピタリと止まっていて、勝敗ははっきりと決しのだ。






と、いう模擬戦を見ながら蒔風となのは、フェイトはまた別の話をしていた。



「なのはがヴィヴィオの保護責任者?」

「で、私が後見人」


どうやらヴィヴィオを守る立場として、なのはとフェイトが登録されたのだそうだ。
蒔風がそれはいい、とうんうん頷いて賛同する。

「つか、そのまま引き取っちまえばいーじゃん」

「うん・・・・でも、もっといい引き取り先がいるかもだし・・・・」

「もうなのは、ヴィヴィオ泣いちゃうよ?」

「そうだぞ、なのはママ。フェイトママの言う通りだ。泣いちゃうぞ?」


「舜君・・・・・その呼び方は・・・・」

「舜からだとちょっと・・・・」



蒔風の反応に少し大きな汗をたらして困る二人。



とかやっていると模擬戦を終えたスバルとギンガが地面に降り、全体訓練が始まった。



「じゃあ今日はみんなで模擬戦。隊長陣四人対フォワード五人!」

「え?」


そのいきなりの無茶振りにギンガが半笑いで呆気に取られてしまう。


「時間内逃げ切るか、デバイスで決まった一撃が入れば終了です」

「最近はよくやるんですよね」

「いつもこんな感じだよ?ギン姉」



「え?はい!?ま、マジですか・・・・」



「さあ!みんな、所定の位置につくわよ!ギンガさん、よろしくお願いします!」

「・・・・・ふう、わかったわ。全力を尽くしましょう!!」


最初こそ呆気にとられたが、やる気を見せたギンガになのはが頷き、手を挙げた。


「じゃあみんな!スタート地点について・・・」


さらに、蒔風も声を上げた。

「よっしゃ!それならオレもやるぜ!!」


瞬間、声の覇気が二段階は上がった。


「機動六課前線隊員総員、全力全開でやるよ!」


「おめーら油断は死に繋がると思えッ!!」

「「「「Yes I mam!!」」」」

「戦わなければ生き残れんからな!!」

「「「「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッッッ!!」」」」



隊長陳とフォワードメンバー、計九人が肩を担ぎあって円陣を組んで気合いを入れていた。
ギンガはなんだかわからないまま巻き込まれたが、他の八人の顔は戦場に向かうそれに変わっている。



「あれ!?みんな敵!?どうしてこうなった!?」

狼狽する蒔風だが、九人は所定の位置に向かい、完全に蒔風と戦うつもりだ。


「チクショウ!こういうことかよ!!」

「ヴィータ副隊長!私、い、生きて帰れるんでしょうか!?」

「スバル!不安になること言わないでよ!!」


「キャロ!絶対に前には出ないで!!フリード、キャロは任せたよ!」

「エリオ君、死なないでね!?」

「キュクッ!!」


「我々が前に出ねばならん!」

「そうだね。行くよ!フェイトちゃん、シグナムさん!!」



「えっと・・・・・皆さん、必死になりすぎじゃ・・・・」



「「「「「「「「ギンガ(さん/ギン姉)は死にたいのか(ですか/の)!!??」」」」」」」」



ギンガがあまりの必死さに疑問を挟んだが、八人の言葉と形相にビビって、ヤバイのか・・・・と気を引き締めた。



「じゃあゴングを・・・・・」

「待て!鳴らす前にもう来てる!!」

「な、突っ込んできたぁ!?」

「総員戦闘開始!!」




「いい度胸だお前らぁァァァ!!!」



あまりの対処に涙してしまった蒔風が飛んできて、模擬戦は始まった。





-----------------------数十分後--------------------------






「ゼーーゼーーーゼーーーーーーーー・・・・・・・」

「ハァ・・・・・・ハァ・・・・・・・」

「ハア゛ーーーーーーッ・・・・・お、お前ら全員相手とか・・・・・・どんだけオレ頑張ってんだよ・・・・・」

「それでも落とされなかったくせに・・・・・よくいう・・・・・」

「バカですかあなた・・・・最後の一撃入ってたらオレがオチてたよ・・・・・マジあそこで膝がガクンってならなかったら頭ぶん殴られてたわ・・・・・・」




「み、みんないつもこれを・・・・・・?」

「きょ、今日のは・・・・・・・イレギュラーですから・・・・・・」

「舜さん・・・・青龍たち出してくるなんて卑怯です・・・・・・」

「うる・・・・せぇ・・・・・・そっち九人掛かりのくせに・・・・・こっちが・・・・・どんだけ苦労したと・・・・・」






模擬戦を終えた後、訓練場にいた全員が地面に倒れ伏していた。

誰もが息を荒くして、肩を上下させている。
口なんかはだらしなく開きっ放しだし、立ち上がろうなんて気にもならないほど疲労していた。




「これは・・・・午前の訓練は・・・・出来ないか・・・・・?」

「そう・・・・・だね・・・・・・・・はぁ・・・・・・・」



いつもだったらどんな時に出動があっても差し支えないようにギリギリまで訓練をするのだが、今は一人残らず疲弊してしまっていて、そんなどころではない。

だから今日の午前訓練はお流れ、という事になってしまいそうだ。



「まったく・・・・舜君、急に言い出すんだから・・・・・」

「わりぃわりぃ。でもさ、楽しかったな!!またやるか!?」

さっと回復系の剣「山」を取り出す蒔風。

それに対し

「勘弁してください」

「もう許して」

「フリードが死んじゃいます」

「いい加減にしろや寝起き魔人」



蒔風の提案に一斉にダメ出しをしていくフォワード四人。
というか一名、遠慮容赦のないツッコミしたぞ。






そんなこんなで皆が立ち上がって朝御飯に行くか、と食堂に向かおうとする。
そうしていった時、ヴィヴィオが寮母のアイナと共になのはのお迎えに来ていた。



「なのはママ~~~~フェイトママ~~~~」

「あ、ヴィヴィオー。転んじゃうから気をつけてね~~~~?」


ヴィヴィオがトテトテとなのはの元へと走ってくる。
そのヴィヴィオになのはが気をつけるように大きく声を出した。

それにつられたのか、蒔風も一緒になって声を出す。




「コケんなよ!?絶対にコケんなよ!?いいか絶対だぞ!?」

「だいじょうぶあっ・・・・・・」


そこでヴィヴィオがこけた。
コテンとこけた。


蒔風の顔がにやりと笑う


「な、何というテンプレ・・・・・・しゃーないな・・・・ったく」

「舜君待っ・・・ってって言っても聞かないんだからもう・・・・」



転んでしまい、涙ぐんで泣きそうになってしまうヴィヴィオに近づく蒔風。
なのはとしてはあのまま待って、ヴィヴィオが自力で立とうとするのを促そうとしていたのだが。


ちなみにフェイトはすぐに寄って行った蒔風を見て、うんうん、と感心していた。


ヴィヴィオの前に来て、しゃがむ蒔風。
そこでどんな言葉をかけるのか、なのはとフェイトが気にしていると・・・・



「立て!!立つんだヴィヴィオーーーー!!!!ほら!!がんばれよ!!!できる出来るデキル!!諦めんな!諦めんなよ!!もっと熱くなれよ!!!!」




なんか熱血やってた。
しかもそれに合わせてヴィヴィオも立とうとしている。


が、そこは子ども。
すぐに再び地面にペタンと倒れてしまう。

だが、その体を蒔風が両手でヒョイ、と持ち上げてから高い高いみたいにしてよくやったとヴィヴィオを褒めた。




「よく泣かずに立とうとした!!その立ち上がろうとする意思!!それがなくして何が強さか!!よしよし、今は立てなかったが、次は立とうな?頑張れるか?」

「・・・・・うん」

「オッケーだ!!」


グッ、とサムズアップを決まる蒔風に、ヴィヴィオも手をグーにして頑張る、と意思を表す。
そうしてヴィヴィオを降ろし、服をはらってあげてからなのはの方へと行かせてあげた。


「舜君・・・なんでそんなうまくやれるの?」

「簡単な事。オレもまた、ガキだから」



そう言ってシレッと答える蒔風に、フォワード陣はポカーン、とするばかりだ。



「しゅ、舜さんって・・・・」

「案外保育士とかに向いてるのかもしれないわね」

「え?僕はずっとお兄さん的な感じなんですけど・・・・」

「エリオ君、舜さんと同じ部屋だもんね」

「スバル、あの人誰なの?」

「なのはさんのお友達で・・・・えーーーっと・・・・」


スバルがうまく説明しようとする。
舜さんが言い出してないってことは言わない方がいいのかな?とか考えていると、蒔風が行こーーーぜーーー、と皆を呼んで食堂へと行こうとする。



まあ確かに朝っぱらから激しい模擬戦やって、腹もすいているのだろう。



そう言って先に行こうとする蒔風に、ヴィヴィオが待ってーーと声をかけた。






「ヴィヴィオも行くーーーー!!待ってーー翼の人ーーーーー」


その言葉に、蒔風の歩みが止まった。
そして振り返り、ヴィヴィオを見る。

当のヴィヴィオはどーしたの?と蒔風を真っ直ぐに見て、小首を傾げてきている。




「ヴィヴィオ、どうして俺が「翼の人」なんだ?」


蒔風が優しくヴィヴィオに聞く。
それにえへへーと笑いながらヴィヴィオが元気に答えた。


「えっとねーーー、なんとなくそんな感じがしたの!!しゅーは翼の人ーーーー」


その言葉に蒔風の口元がヒクヒクと動く。

(な、なんちゅう子供だよ・・・・感性だけで翼人を当てる?元になった人物・・・興味が出てきたな・・・・)



その後ろではなのはとフェイトも驚いていた。フォワード陣も同様。
シグナムやヴィータなんかも開いた口が塞がらない状態だ。



「え?え?翼の人って、どういう事?スバル?おーーい?」



そんな中ギンガだけは話についていけていなかった。
その現状を見て蒔風が、はぁ、とため息をついて、とりあえず飯にするか!!と皆と共に改めて食堂へと向かった。


その道中、蒔風がスバルに教えていいよと言ったので、スバルがギンガに蒔風の事を話した。
そこからはギンガの質問攻めだ。

しかし蒔風としては何度目になるかわからない話。
もうめんどくさいとすべてスバルに投げ出し、そのスバルも困ってしまう。

まあ何とかティアナやエリオが説明し、ギンガも納得してくれたようだったが。





「スバル、お前本当に苦手なんだな、そういうの」

「そ、そんな目で見ないでください!!わ、私はもっといい取り柄があるんです!!!」

「そうだな。とりあえず闘う時どうするか説明してみようか?」


「バーーッ!!っと行って敵を見つけてドカンです!!!!」

「・・・・・・・」

「な、何か言ってくださいよぅ!!!!!」





「そーいえばなのはママとフェイトママはヴィヴィオのママだけど、しゅーはヴィヴィオのパパなのー?」

「ヴィヴィオ、しゅーじゃない、舜だ。それからオレはパパじゃない。おにーさんと呼べ」

「パパー?」

「違う。おにーさんだ。皆の兄貴だ」

「パパ!!」

「だから・・・・」

「パーパー♪」

「OTL」





「舜君、諦めなよ」

「うるせえ母さん」

「かっ!?」

「そうなっちまうから嫌なんだよ。お前母さん、俺父さんとか、どんな状況だよ」

「しかもこの状況だと二人も侍らせてますもんね・・・・・」

「だから嫌なんだ。そもそも、オレに恋愛対象なんて存在しない」

「好きな人とかいないんですか?」

「いないねぇ・・・そもそも、俺は人からも生物からも外れた身だ。だからこそ人間が大好きだし、人を愛している。誰か一人を特別に愛するなんて、俺にはできないんだよ」


「舜君、それって・・・・・」


「だからヴィヴィオ、俺の事は・・・・・」


「舜パパ?」

「いやだからな・・・・・」



「でもそれだと語呂悪いですよね?」


「おいスバルお前」


「舜お父さん?」

「そっちもどうかしらね」

「でも舜さんって、頼れるお兄さんって感じですよね?」

「でもヴィヴィオからしたらやっぱりお父さんなのかな?・・・・・舜さんの名前って、なんかやりにくいですね」



「お前ら人の名前勝手に持ち出しといてひどいなおい!?あと!!俺はお父さんじゃない!!!おにーさんだ!!!!」







to be continued
 
 

 
後書き

アリス
「次回、蒔風のそんなある日の続き」

ではまた次回













なのはママは厳しすぎです 
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