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機動戦士ガンダム・インフィニットG

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第一話「ガンダム」

 
前書き
一話です。

アンチ・ヘイトなので原作ファンはご了承を…… 

 
三年前の白騎士事件を切掛けに、世界はISインフィニット・ストラトスと共に女尊男卑という性差別が到来した。
男女の社会バランスが崩壊し、各地で反乱やテロ事件が相次ぎ、この世界に反発した科学者たちはISに立ち向かえる力、MSモビルスーツという人体を原子に分解して融合させる``ソリッドアーマー``を開発し、女尊男卑を一転させ、さらにはIS養成機関である「IS学園」と相対するMSの養成機関「MS学園」を建学した……

白騎士事件、それは歴史に名を刻む大きな「テロ事件」だった。
え? どうしてテロ事件だと決めつけるかって? 確かに、当初被害件数0と政府が公表したが、実はそうではない。本当は秘密事項により実際の被害件数を消去して政府が新たに塗り替えたのである。
よって被害者やその遺族たちには大金を支払い、適当に謝罪でも述べたのだろう。あるいは証拠隠滅のために殺されたとかだ……
僕もそんな被害者の一人で、あの事件で母さんを失ったのだ。政府に殺されるようなことはなかったが、だからといって大金も支払われなかった。今では親父と二人で東京の新宿で暮らしている。
親父は、軍の技術者であり近年開発された対IS用兵器になりかねない電子化融合ソリッドアーマー、MS通称「モビルスーツ」の開発に携わっている。近頃では新型の機体を作っているとか?機械にはあまり興味はないが、MSには興味があり、ときおり親父の部屋からデータを盗んでは観覧している。

「ふぅ……」
朝、眠い体をようやく起してベッドから起きた。寝ぐせだらけの髪をかきまわし、あくびをする。
「……?」
すると、一階のキッチンから聞こえるまな板の音が聞こえてきた。
「いい加減うざいな……」
またアイツが来ていると、僕は憂鬱になってランニングとトランクスといういつものパジャマスタイルで一階へと降りて行った。
下へ降りた僕は台所へ顔をのぞかせると、制服越しにエプロンをした同い年の少女が朝食を作っている。
「また来たのか……」
僕の呟いた声に彼女は振り向いて挨拶をするが、
「あ、おはよう! アムロ……って、ちょっと! どうして下着のまま来るの!?」
「は……?」
ランニングとトランクスは僕の寝巻だ。別にいいじゃないか? そう僕が平然としているが、彼女は益々顔を赤くする。ちなみに彼女は、幼馴染の雛巳明沙(ひなみあすな)。陽気でうざいほどの元気娘で、胸は案外でかい幼馴染だ。小さい頃はよくコイツを連れて遊びに出かけたものだが、三年前のあの事件をきっかけに僕は彼女との距離を閉ざしたのだが、相変わらず母親を失った僕を哀れんで親面してくるから腹が立つ。
「ふ、服着てよ……」
「うるさいな……どうして居るんだよ?」
「だって、おじさん居ないんでしょ? それにアムロって不器用だから料理とか苦手だろうし、家事だって不慣れでしょ?」
「余計な御世話だ。とっとと出てけ……」
僕は二階へあがり、学生服に着替えると一階へ戻り、そのまま玄関へ向かった。
「ちょっと待ってよ! 朝ごはん作ったのに……」
「いらないよ……それに作れって言った覚えはない」
「じゃあ、お弁当作ったから持って行って?」
「コンビニに寄るからいい!」
「コンビニのお弁当だと栄養が片寄るよ?」
「うるさいな! 一々指図するな!!」
僕は怒鳴って家を出ていく。
「アムロ……」
後ろには明沙が少し涙ぐんで僕の後姿を見つめていた。
家を出ると、後ろから幼馴染で、数少ない友人の凩隼人が声をかけてきた。
「おはようアムロ」
「ああ、隼人……」
「アムロ、明沙にあんな言い方は無いんじゃないか?」
「聞いていたのかよ……」
「お隣だからね、聞きたくなくたって聞こえるよ?」
「そう……」
「どうしていつも喧嘩ばかりするんだ? もうちょっと優しくしてやれよ?」
「できるわけないだろ……」
「アムロ、女の人全員が女尊男卑に被れているわけじゃないんだよ?」
「どうしてそう言い切れるんだよ?」
「明沙がその一人だからさ?」
「信じられないね」
そう僕は否定して、鞄の中から朝食代わりのチョコバーを取り出してそれを齧った。
「それ、お前の父さんのだろ?」
隼人は鋭い視線でそう当てた。実はこのチョコバーや他の携帯職は全て親父の持ち物。親父は一カ月以上も職場に寝泊まりで仕事を続けているらしく、こうやって大量の携帯職などを買い占めて家に保管してある。それを僕がそのほんの一部を拝借しているのだ。
「そんな物食べ続けていたら体壊すぞ?」
「アイツの作る朝飯や弁当を食うよりかはマシだよ……」
「……!」
そのとき、隼人はチョコバーを持って食べる僕の手を叩きはらってチョコを弾いた。チョコは地面に落ちて、僕がそれを拾おうとすると。
「いい加減にしろよアムロ!!」
隼人の怒号が僕を驚かした。
「幼馴染を信用できないのかよ!? 僕はともかく、明沙はお前と一番仲良しだったじゃないか!? あのときの固い絆はどこに行ったんだよ!?」
「隼人……」
隼人、君は何を言っているんだ? そう尋ねたかったが、豹変した彼が怖くて質問することが出来なかった。
「もういい! 俺はお前を見損なったよ! 当分顔も見たくない!!」
そう叫ぶと、隼人は走り出して、僕よりも先に学校へ行った。一人残された僕は地面に落ちていたチョコバーを拾って食べられるかどうか確認したが、三秒ルールは時間切れ。汚れているので近くのゴミ箱に入れて学校へと向かった。
今日は本当に嫌な日だ。食卓に顔を出せば嫌な奴の顔を見るし、さらに友達の隼人と喧嘩してしまう。今日は待ちに待ったアナハイム社の見学日だっていうのに……
朝からこんな調子じゃあテンションが下がるな。この調子で僕は学校へとついた。
僕の学校は徒歩で十分。何処にでもある普通の中学校だ。今年は受験シーズン。僕を除いて皆決めた進路へ向けて頑張っている。それなのに、将来さえも全く考えが浮かばない僕にとって進路なんかは二の次、三の次だった。
「はぁ……」
今朝の出来事を引きずったまま、僕は席に座ると、すぐに顔を伏せた。
「よぉ?朝っぱらからテンションが悪いな、アムロ」
「該……?」
隼人以外の友人? と呼べる人物。紫電該が僕のもとへ歩み寄ってきた。コイツは捻くれた性格の持ち主で、いろいろと悪戯をして校内を歩きまわっている。僕との関係はそれほど親しくは無いが、強いて言うならば僕の悪友だ。
「何だよ? そんなしけた面しやがって」
「お前には関係ないだろ?」
僕はムッとなってコイツから眼をそらした。時折該はこんな時の僕に嫌味を言ってきたりするので、此処は軽くあしらっておくのが手だ。
「へいへい……そりゃあ悪ぅござんしたね?」
そうヘラヘラ笑って僕から離れて行った。
それから数時間後、担任の先生が教室に現れて、生徒達を連れて三年生は校庭へと集合させた。これからバスに乗ってアナハイム社へ見学しに行くのだ。
列に並ぶ中、僕は今朝喧嘩した隼人と明沙へ目を向けたが、隼人は目をそらし、明沙は僕に気づかなかった。今思うと少し言い過ぎたのかもしれないと思ったからだ。
しかし、思っただけでは何も起こらず、僕ら一行はバスへ乗ってアナハイム社へと向かったのだ。
「凄い……ここがアナハイム社か」
そう僕は呟いた。バスで二時間程度、アナハイム社の試作MSドッグへ見学に来ている。今朝の喧嘩で胸糞悪い思いをしていたが、ドッグの試作機体を見た途端、興奮してつい忘れていた。きっと、隼人だってそうに違いないだろう。だって目の前には今まで見たこともない新型の機体がドッグに整列しているのだ。
「そういえば、アムロの親父さんってこういった新型機を作っているんだよな? 凄いぜ!」
新型機に見とれる僕の隣から、知り合いの織斑一夏がそう尋ねてきた。友人としてはそれほど付き合いは長くないが、悪い奴ではない。
「そんなに凄いのかい?」
自分から見て父親はただの男で、一人の親だからそれほど凄いとか言う思いは感じなかった。ただ、朝から深夜まで仕事を続けるため直接しっかりと話し合ったことは一度も無い。顔を見合わせることといったら月に一度の休暇の日か、一旦自宅へ戻って会社へとんぼ返りするときぐらいしかない。だから、顔もあまり見ないので自分の父親の顔を認識しづらくなってくる。失礼だと思うが、もし見学中に父親と会っても恐らく父だと認識する事はできないだろう。
僕が住んでいる地域ではMS支持派が大半だから、これを聞いて喜ばない奴は居ない。けど、逆にIS支持派という奴がまぎれていたら恐らく、袋にされて半殺しにあうだろう。それが女だろうが年寄りだろうが容赦はない。
今回見学で見せてくれるのはつい最近開発された新型のMSである。確か、「ジェガン」とかいったな?
「これが近年連邦軍へ配備されることになったMSジェガンです。これまで連邦軍の代表的MS、R-GMシリーズと比べてスペックは……」
と、眠くなりそうな長い話を聞かされて、俺はついつい視線を逸らしてドッグに配備されていたジェガンの一体を見つめた。
「……」
しかし、MSとは何度見ても男で言うロマンがありカッコいい存在だ。世論ではISに代わる次期として注目も浴びられている。それに、燃料も「熱核エンジン」といい、今までは潜水艦や空母などにしか搭載できなかったものの、近年MSへの搭載に成功し、ISよりも遥かに稼働時間を上回ることができる。そしてMSは汎用性に最も優れているところが最大の特徴である。
また、MSは装着者の体を分子化して等身大の機体へ融合させるソリッドアーマーだということで、それ自体信じられない技術である。
僕はそう関心を寄せながらジェガンの一体に見惚れていると、
「……?」
見惚れていたジェガンの足元に横たわる見たことも無い機体を目にした。機体はトレーラーに寝かされてシートも被されているので片足以外は見えないが、あの機体は今まで見てきたGMシリーズでも記憶に当てはまらなかった。
「あの……」
本来ならばしないはずの質問の手だが、アレを見てしまえば気になって仕方がないため、僕は珍しく質問を挙げた。
「はい? えぇっと……嶺アムロ君……え!? もしかして、嶺博士の!?」
すると、案内人は仰天して僕を見つめる。僕は一瞬にして目立つ存在になってしまい恥ずかしかったが、それでも質問を尋ねた。
「あの、別にいいんで……あれ、あのジェガンの後ろにあるトレーラーの機体、あれって何ですか? 見た限りGMとは少し違うような気がするんですけど」
「あ……あれね? あれは申し訳ないけど、まだ公表されていない機体なんだ。見せるには上の許可がいるからね?」
「そうですか……」
気になりつつも、僕は案内人の説明に耳を傾けた。見学が終わって昼、午前の見学が終わり、僕たちは昼食を食べようとしたときだった。
「やばっ……!」
ここで最悪のアクシデントが起こった。コンビニに寄って買うはずだった弁当だが、買い忘れてしまったのである。
「あちゃ……」
僕は途方に暮れて近くにある自販機で飲み物でも買い、水で腹を満たそうとしたとき、
「なに落ち込んでいるの?」
「……?」
聞き覚えのある声に振り向くと、そこには重箱を持った明沙がいた。
「明沙……?」
「どうせアムロのことだから、お弁当買うの忘れたんでしょ?」
「……別に、関係ないだろ」
そう僕がぶっきらぼうに答えると、僕の前に重箱を差し出して、
「ほら、お弁当作っておいたから一緒に食べよ? この上に屋上とかあるんでしょ?」
「……」
僕は、断ることが出来ず、そのまま彼女と共に屋上へと上がった。
「どう? 美味しい?」
「うん……」
僕は適当にから揚げにフォークを刺して齧っていた。僕の適当な返事を耳に彼女は喜びながら次々と質問を問い投げてくる。
「ねぇ? どれが一番おいしいの?」
「うん……」
「から揚げ? あ、卵焼き?」
「うん……」
「ちょっと?」
「うん……?」
すると、僕が振り向くとそこには曇った表情の明沙がいた。
「みんな同じ返事だよ? もっと詳しいコメントしてよ」
「じゃあ、ゆで卵」
「ゆで卵なんて入ってないよ!」
「じゃあこのおにぎり、ササニシキのようだから美味しいね」
「お米はコシヒカリ! っていうか作ったおかずを評価してよ!?」
「……」
僕は面倒な顔を彼女に向けて、重箱を目に。
「全部美味しいよ」
そう答えて僕はグッタリと横になった。そんな僕を目に明砂は呆れて。
「もう! アムロったら……」
「……」
僕が彼女をシカトしながら横たわって仮眠をとる。そんな僕の元へ明沙が寄り添い、
「……ねぇ? アムロ、キスしよっか?」
「……!?」
その一言の囁きを聞き、僕は慌てて起き上がったが、起き上がった拍子に彼女の頭とゴッツンコしてしまった。
「いてて……明沙!?」
「痛いなぁ……冗談だよ?」
「……」
頭をなでる彼女を目に僕はムスッとなり、怒って屋上を出て行った。
「ちょっと!アムロ?どうしたの」
「……」
変な冗談を言いやがって! もう知るものか! 僕は何も言い返さず、階段を下りて行った。
「アムロってば……」
明砂が俺の後を付いてくる。俺は彼女の手を振り払おうとした刹那。
「!?」
突如、凄まじい爆発が巻き起こり、屋上から見える目の前の格納庫へミサイルが着弾した。格納庫は半壊し、待機状態のMSが次々に破壊されていく。そのとき、僕は咄嗟に明砂を爆風から庇った。
「キャッ……!」
「な、何だ……!?」
僕は上空を見上げると、そこには数機のIS、恐らくあの機体はフランスのラファールリヴァイヴだ。奴らが奇襲を行っていた。
「IS!?」
「ど、どうして……」
そのとき、僕らの上空へ浮遊していた一機のラファールが僕らを捉え、銃口を向けて来た。
「やば……!?」
僕は無意識に明砂の手を引き、階段を駆け下りて逃げ続ける。何がどうなっている!?先ほどまでの退屈な時間は何処へ行ったのやら、今の僕らは恐らく一瞬の修羅場を見てしまっただろう……
一階では生徒達がパニックに陥って大混乱になっている。皆が悲鳴をあげ、押したりおされたりの混み合いが目に映った。正直、この中を突破することは出来ないだろう。僕は階段の上でそう思った。というよりも、僕でさえもパニックになりそうになっている。
「アムロ……」
恐怖する明砂は僕にしがみつく。僕はそんな彼女の肩に手をまわし、抱き寄せていた。
「隼人は何処だ? 該の奴何処だよ……!」
そんな中、人ごみからもがきながら僕らの元へ階段を上ってくる一人の生徒が居た。隼人である。
「アムロ! 明沙!」
「隼人! 無事か?」
「ああ、何とか……でも、皆一斉にパニックになっている。正直僕も混乱中だよ」
確かに誰もがパニックになっているだろう。すくなとも生徒達は。そんな生徒達を静めるかのように教師や職員の人たちが呼び掛けて支持を仰ぐものの、生徒達は我を忘れて荒波のように暴れ狂うばかりだ。どうにかここを抜け出せないと……
そんなとき隼人が、
「確かこの先に職員の専用通路があったはずだ。ついて来てくれ?」
隼人は僕たちを連れて別の道へと案内する。本来は関係者以外立ち入り禁止であるものの、こういう事態には仕方がない。
「ここはMSの開発施設だ。恐らくシェルターがあるかもしれない!」
隼人がそう叫び、彼を先頭に通路を走る僕と明沙。そんな中、隣の部屋から一人の職員と僕らはぶつかってしまった。
「な、何だね?君達は……」
それほど驚かない職員の男、僕は詫びながらその職員の顔を見上げると、
「と、父さん!?」
「アムロ? お前か……」
眼鏡に癖毛……おそらく父さんだ。父さんは僕を目に鈍い反応を示した。
「父さん! ISの奇襲だよ!? 早く逃げよう!?」
「おじさん! このへんにシェルターはありませんか!?」
隼人がそう父さんへ訪ねるが、
「シェルターはこの先を行けばすぐにある。それと私は地下のMSドッグが気になる。そちらへ行くからお前たちは先にシェルターへ向かいなさい?」
「そんな! 父さんは命とMS、どっちが大切なんですか!?」
僕はそう訴えるように叫ぶと、父さんは負けずに言い返す。
「あのMSはこの世界を変えるやもしれん究極のMSなのだ。奴らに渡しはせんよ!」
そう言って父さんは地下へと向かって走って行った。
「父さん!?」
僕が父さんを追おうとすると、僕の肩を隼人が掴む。
「アムロ! 今はシェルターへ逃げるんだ!?」
「父さん! 父さん!?」
僕は我を忘れて隼人の腕を振り払い、父さんの居る地下へと追いかけて行った。
「アムロ!?」
「よせ! 今は危険だ!?」
明沙は僕の後姿を追いかけるも、隼人に腕を掴まれて彼女は隼人にシェルターへ引きずられていった。
「父さん……!」
僕はあんな親父でも、立った一人の家族ゆえに手放したくなかった。
地下へと向かい、ドッグへと向かう最中、通路で一夏とばったり出会った。
「アムロ?」
「一夏! 父さんを見なかった!?」
「そういえば、職員の一人がドッグへ向かったけど?」
「父さんだ!」
僕はドッグへ再び向かおうとし、一夏も僕の後を付いて走って来た。
「待てよ! アムロ、ドッグが何処にあるか知っているのか!?」
「父さん……父さん!」
僕の頭の中には父さんが無事でいてくれと願うだけであり、長い通路を越えてようやくドッグへとたどり着くと、そこには広々としてドッグ内に、二体のMSが配備されていた。
それは見たことのない期待で、一体は一面純白の一角獣を思わせるような姿で、もう一体は赤と青、白で彩られたもう一体とは違う形のMSであった。
「MS!?」
「これか……!」
一夏は見つけたと言わんばかりに、二体の内純白のMSの方へと駈け寄って行った。僕は、その隣にあるもう一体MSを見ると、そこにはそのMSからカードを抜き取る父さんの姿を見た。
「父さん!?」
「アムロ? どうしてここに……」
「用は済んだ!? なら、早くここから出ようよ!?」
僕は父さんの肩を揺さぶってそう叫ぶが、
「一様事は済ませたが……問題はコイツだ」
そういって父さんは隣にある二体のMSを見てそう呟いた。
「MSなんてまた作ればいいじゃないか!? それ、データだろ!?」
「しかし、コイツと同じ物を作るとなればかなりの年月を要する。誰かがこれに乗って運んでくれれば……」
「そんな!? それよりも命が大事だよ!?」
「……やはりここは私が……ぐぅ!」
「父さん!?」
すると、僕は父さんの脇腹をふと見る。そこに、真っ赤な血が垂れ流れてワイシャツに染み付いていた。
「け、怪我してるの!?」
「なに、傷は浅い……それよりも私がコイツに乗って運ぶ。お前はそこに居る子を連れて逃げるんだ。そこに小型のシェルターがある」
そういって父さんは向こうの壁へと指をさす。しかし僕には出来なかった。
「そんなのできないよ!? 父さんだって怪我しているじゃないか!?」
「……頼む、私の言うことを聞いておくれ?」
そういって父さんは、本当の親らしく、人間臭い笑顔で泣きじゃくる僕を見つめた。
「父さん……」
「私は、今までお前に父親らしいことをしてやれなかった。こんな不幸者の父親を許してくれ……」
「……!」
僕は脇腹を押えて乗り込もうとする親父の肩を掴んで引き留めた。
「アムロ?」
「父さん……僕が、俺が代わりに乗るよ!」
「お前が? しかし……コイツは従来のMSとは勝手が違う。第一大事な一人息子を危険な目に……」
「目の前に居る大切な人を守れずに何が男だよ!」
僕はそう叫んだ。
「アムロ……」
父さんは僕を見つめ、僕は泣くような声で言う。
「父さんは何時だってそうだ……僕に一言も言わないでメールだけ残して直ぐに仕事へ行ってしまう。帰って来たと思ったら黙って自室にこもって仕事をする。このまま僕とまともに会話をしないまま死んだら、僕は本当に一人になっちゃうじゃないか!?」
「……」
すると、父さんは黙りながら、僕の手を掴み、痛みにうめきながら目の前のMSの懐へ僕の手のひらを添えさせた。すると、MSは僕の手に触れるとそれに反応して待機状態のMSが展開しだした。
「これで、コイツはもうお前のものだ……アムロ、たった一人の息子を危険にさらすことは出来ないが、私はお前を信じよう? 無事に戻ってこいよ? あまり交戦は控えろ。万が一になればコイツが何とかしてくれると思うが……死んだら、許さないからな? それと、これを持って行け?」
父さんは僕にこの機体の取扱書を渡した。Vと書かれているマニュアルである。
「父さん……」
父さんは僕に背を向けてドッグの壁に設置されたシェルターへと向かった。
「一夏! コイツに手を添えればいいんだな!?」
すると、僕と父さんの話を聞いていた一夏は僕にそう問う。
「そうかもしれない、けど一夏まで……」
「お前はそのMSで逃げろ!俺はコイツを使って上空を飛びまわるISどもをたたき落としてやる!」
「一夏! 素人一人では危険だ!」
「お前は気にせずに行け!」
そう言うと、一夏はためらいもなくその純白のMSを起動した。
純白の機体のボディーに一夏の体が光の粒子となって機体のボディーへ溶け込んでいった。
「これが、MSか……」
初めて乗るモビルスーツ。そして、目の前に表示されるアイカメラから除く画面から、「Unicorn・Gundam」という本機体の名称が映された。
「ユニコーン……ガンダム?」
その突如、ドッグへ一体の打鉄が侵入し、一夏の乗るユニコーンへ襲いかかって来た。
「……来る!?」
一夏は咄嗟にバーニアを起動させて、ライフルを構えるラファールに突進した。
「このMS動くのか!?」
ユニコーンとの融合を完了した後には自分の手足や体がこのソリッドアーマーと一体化となって、自分の手足のように動かせた。
「出てけよぉ!!」
ユニコーンはラファールと共に天上へと飛び上がって屋根を突き破り、上空へと消えてしまった。
僕もこうしてはいられない。はやくこのMSを起動させないと……
僕は急いでマニュアルをめくりながら起動の順路を覚えるのだが。
「き、来た!?」
バーニアの音が近づき、僕はマニュアルをじっくり読む暇さえなく、咄嗟にMSに融合装着し、起動させようとする。
「動いてくれ! 頼む……!」
マニュアルをパッと見ただけだが、僕は読み返すことなくどうにか起動させることができた。そして、アイカメラの視界映像にはこう映し出される。おそらくこの機体の名前だろう。
「ガン…ダム……?」
「GUNDAM」、そう表示されていた。モニターをかえ、僕はメインカメラへと切り替える。すると、目の前には一体のラファールが現れる。
「き、来た!?」
僕はがむしゃらに体を動かしてMSの歩行移動を行う。しかし、まだ動作がノロノロだった。
「コイツ、初めてなのか?」
そうラファールの操縦者は呟き、好機として僕へ襲いかかってくる。
「ぶ、武器は……武器は無いか!?」
必死で武器を探る僕、ラファールがライフルを発砲した途端、その銃弾は僕の纏うガンダムの装甲に跳ね返されたのだ。
「なに!?」
ラファールは予期せぬ事態を目に、焦りつつグレネードを試みるが、そんなラファールの片腕をガンダムになった僕の片腕が掴んだ、僕はそのすきに手に力を込め、ラファールの片手を握りつぶしたのだ。
「そ、そんな……!?」
一旦僕から距離を置くラファールは予期せぬ事態を予想してか僕から背を向けだす。
「ぶ、武器は……武器は何処だ!?」
そのすきに僕は武器を探る。すると、背のバックパックから棒状の出っ張った取手のパーツを手にした。モニターからはビームサーベルと表示されている。
「ビームサーベル!? くそっ……やってやる!!」
僕はバーニアと共にガンダムは高く飛び上がり、ラファールのアサルトライフルを弾きながらサーベルを振り下ろす。
「!?」
そして、ラファールは悲鳴と共にガンダムのビームサーベルで真二つに引き裂かれてしまった……
ラファールは爆発し、僕は初めての戦果と共に、初めての人殺しをしてしまった。
「や、やったのか!?」
「で、でも……僕は人を……」
人を初めて殺してしまったことに、吐き気と恐怖を覚えてしまった。しかし、こんな所でパニックに陥っている場合ではない。今はどうにかしてこのガンダムというMSを運ばなくてはならない。
「父さん、無事でいてくれ!」
僕はそう願ってバーニアを起動して上空へと飛び立った。

「アムロ! アムロ!?」
一方、戦闘が止み、静まり返ったアナハイム社の敷地内を明沙が必死でアムロを探していた。
「アムロの奴……何処へ行ったんだよ!?」
「そういえば、一夏の奴も居ねぇぞ?」
どさくさにまぎれて該がそう言う。アムロもそうだが一夏もさっきから居ない。教師が生徒の数を数えて居ても、あの二人足りないのである。生徒達はその場へ寄せ集められているが、隼人と明沙だけはどうも気がかりにならず、二人と該も加わってこっそり抜け出して二人を探すことにした。
「おいおい? 何処へ行くンだ?」
そう笑いながら該が言うが。
「俺たちは必死なんだ! 遊び半分のお前と一緒にするな!」
総隼人に怒鳴られて該は舌打ちをして黙った。
「チッ! んだよ……ったく」
そうブツブツ言いながらも該は二人同じようにアムロと一夏の名前を叫んだ。
「アムロは一人で地下に行ったけど……」
しかし、地下への行先は瓦礫に埋もれてどうにもならない。
「アムロ……」
明砂はアムロに何かあったかと思い、涙を流し始めていた時、上空からMSの轟音が聞こえた。
「え、MS……?」
そこには二体のMSが彼女たちの元へ舞い降りて来たのだ。純白のMSともう一体は父親に託されたガンダム。
「明沙、無事か?」
純白のMSの隣に立つもう一体のMSから聞き覚えのある声が聞こえた。そして自分の名を呼んでくれたことから、明砂は。
「あ、アムロ? そのMSを動かしているのはアムロなの!?」
すると、ガンダムの声からおの幼馴染の声が聞こえた。
「ああ、僕だ……」
「あ、アムロ!?」
すると、明砂は涙してガンダムの懐へ飛び込んできた。
「あ、明沙……?」
「心配したんだよ!?」
そういって彼女は号泣する。隼人や該も後から駆け付け、彼らも目の前のMSがアムロと一夏だということを後に知った。
僕と一夏はMSを解除させて興味を沸かせている隼人と該へガンダムを触れさせてやった。
「これすごいよ!? ジオン公国のザクと比べて5倍以上のエネルギーゲインがある!!」
「へぇ? こっちはユニコーンってのか? 本当に頭の上に角があるな?」
そんな僕らの上空を一体のMS小隊が通過した。
「こちら、デルタ1。地上に例のG兵器を確認。これよりパイロットと接触を図る」
(こちら本部、了解)
そのとき、僕らの上空から一体のMSが舞い降りた。あの機体は新型のジェガンとかいう奴だ。飛来したジェガンの一体が僕らの元へ歩み寄ると、ジェガンの頭部のカメラからパイロットの映像が映し出された。
「こ、子供!? ガンダム二機を子供が操縦していたというのか!?」
「あの、あなたは?」
僕はそう尋ねると、パイロットは申し遅れたと名乗った。
「私はデルタ小隊のマット・ヒーリィ中尉だ。まぁ、君らは民間人だから敬礼はいいよ? ところで、どうして君達がガンダムを?」
「そ、それが……」
僕らは長い話をするが、それでもこの軍人さんは真面目に僕らの話を聞いてくれた。
「なるほど……わかった、嶺博士のことは我々が救出に向かおう、君たちは私の部下と一緒にここへ残って待っていてくれ?」
そういってマット中尉は僕らに背を向けて上空へと飛び立った。
後に父さんは大事に至らず、救助されて僕はホッとした。しかしこれからが大変になる。だって僕と一夏は軍の最高機密事項に携わっていた超極秘兵器ガンダム二機のパイロットとなり、それどころか、それと接触し、触れてしまった該と隼人、そして明沙の三名はそう簡単に自宅へ帰してくれなかった。とんでもない物に触れてしまった僕らに軍はある選択を僕らに要請してきたのだった。それは、今後僕らはMSの育成高等学校「MS学園」へ推薦入学して卒業後、軍人へなるという選択だ。もしそれを拒否するというのなら、僕らは牢獄へ放り込まれてしまう。

「どうしよう……?」
「いやぁ、すまんな? アムロ……ガンダムがそこまで最高機密の心臓部だとは思ってもみなかったのだ。しかし、軍人もいいぞ? 給料もいいし誇が持てるしな?」
自宅ではケロッと回復した父さん。彼はそう気軽に僕へ言う。っていうかあの時の息子思いのカッコいい父さんは何処へ行ったんだよ!? いつもの無感情な親父にもどってしまっていた……はぁ、情けない。あのときガンダムを操縦しなければよかった……
トホホ……そう僕はため息とともに涙を流しながら来月の卒業後、明沙達と共にMS学園へ入学する羽目になる……



 
 

 
後書き
とりあえず一話だけ投稿します。今後の状況に応じて次回を更新か否かを検討いたします。 
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