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オズのビリーナ

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第十一幕その五

「大きいわね」
「あれ位の大きさでもね」
「それでもなの」
「ドラゴンには一食分かしらね」
「牛一頭分あっても」
「大きいからね」
 ドラゴンの身体がです。
「だからあれ位あってもよ」
「一食なのね」
「そう、私達なら一食でもとてもでしょ」
「皆いてもね、ステーキやシェラスコにしても」
 それでもというのです。
「一日あっても食べられそうもないわ」
「ところがドラゴンは身体が大きいからよ」
「あれだけあってもなのね」
「一食よ」
「そうなのね」
「だからね」
「あれだけ出したの」
 ナターシャも納得しました。
「そうなのね」
「しかもドラゴンの好きな生肉よ」
「生肉は」
「お刺身思い出したわね」
「日本のね、日本には牛や馬のお刺身もあるから」
「あのお肉は牛肉よ」
 トロットが戻って来てお話しました、見ればテーブル掛けはその手にちゃんと持っています。お肉の下から抜いてきたのです。
「そのお肉にしたの」
「牛肉ですか」
「どのお肉でもよかったけれど」
「羊でも豚でも」
「けれどこれがいいかしらって思って」
「牛肉にされたんですね」
「そう、それじゃあね」
 その生に食いを見ながらの言葉です。
「後はドラゴンが起きるだけよ」
「お肉の匂いで」
「それを待つだけよ」
「起きますかね」
「起きるわよ」
 ビリーナは自信に満ちた声で言い切りました。
「絶対にね」
「ドラゴンならですか」
「ええ、生肉の匂いでね」
「大好物の匂いだから」
「それも間近にあるからね」
 それならばというのです。
「絶対に、すぐに起きるわ」
「それじゃあ」
「このまま見ていましょう」
「起きるのを待って」
「それじゃあね」
 こうお話してでした、皆はことの成り行きを見守りました。するとビリーナが言った通り実際にでした。
 ドラゴンはまずはそのお鼻をひくひくとさせました、それを見たガラスの猫が皆に対してこう言いました。
「あら、本当によ」
「お鼻がひくひくしだしたわね」 
 エリカも言います。
「そうなってきたわね」
「そうね、じゃあ」
「このまま起きるわね」
「そうなるわね」
 こうお話するのでした、二匹で。
「じゃあ起きたら」
「お肉食べるわね」
「そうなるわ、絶対にね」
 大好物のそれをというのです、そしてでした。
 実際にです、ドラゴンは目を覚ましてでした。そのお肉を見てです。
 ゆっくりと起き上がったから近付いてその匂いをじっくりと嗅いでから食べはじめました、大きなお肉でしたがあっという間に食べてしまいました。
 そのあっという間に食べるのを見てです、カルロスは驚いて言いました。
「あれだけあったのにね」
「あっという間にだったね」
「全部食べたね」 
 ジョージと神宝も言います。 
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