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IS《インフィニット・ストラトス》~鉄と血と華と~

作者:白さん
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第五話 今を生きる者

「あ」

「む……」


授業が終わり放課後、三日月が寮の自室前までやってくると見慣れた顔と鉢合わせする。


「なんだ、同じ部屋なんだ」

「あ、ああ……」


相手は箒だ。三日月はそのまま部屋へと、彼の後に箒も入る。


「奥のベッド、俺が使ってるけどいいよね」

「構わない」


教科書等が入った鞄を備え付けのテーブルの上に放り投げ、制服の上を椅子に掛けてベッドに寝転がる。


「その……」


何やら箒は口ごもるが、何を言いたいかは理解できた三日月。


「呼びやすい呼び方でいいよ」

「うむ……なら……ミカと呼ばせてもらう」

「うん、前にそう呼ばれたこともあるからそれでいいや」


呼び方は決まった、次に箒は


「ミカ。シャワーの時間を決めたいんだが」

「ああ、そっちに合わせるよ」


会話が終わった、数分の沈黙が訪れる。


「なあ、ミカ」

「なに?」

「……聞きたくないのか?昔の自分の事を」

「……」


彼は身体をおこし天井を見上げる。


「気になるかと言えば気になるけど、いいや。どんなに昔の事を覚えていなくても、今を精一杯生きていけばそれで良いって考えてるから」

「そうか……もし聞きたくなったら何時でも聞いてくれ」

「うん、ありがとう」


僅かにだが、三日月が笑ったような気がした。するとあっと何かを思い出したかのように三日月が立ち上がり


「そうだった、箒ってさ束の妹だよね」

「そうだが……何故そこで姉さんの名が……」


束、その名前が出てきた時、箒の表情が曇ったが気にせず三日月は側に近づき


「ん」


ポケットから取り出されたのは金と銀の鈴がついた赤い紐、それを箒に手渡す。


「何だこれは?」

「IS」

「……は!?」


突拍子もなく言われた事に箒は一瞬反応が遅れた。


「束が渡せってさ、そいつをどう使うかどうかは箒次第だよ」


そう言い残し、ベッドに再び寝転がりに行く三日月。

何故束がこれを渡してきたのか……理解に苦しむ箒は、自分の手の中にある待機形態のISを見つめ


「私の……IS」


そう呟いたのであった。







数日後


「クラス代表?」


授業にも関わらず、聞きなれない言葉に思わず三日月がそう口走る。


「そうだ、再来週にISによるクラス対抗戦を行う。それの代表、つまりクラス代表をこのクラスから選抜しなければならない」


千冬からの説明はこうだ、クラス代表者とはそのままの意味であり、先程千冬が言った対抗戦だけではなく、生徒会の開く会議や委員会への出席等を行う。所謂クラス長のようなものだ。


「クラス対抗戦は、入学時点での各クラスの実力推移を測る。現在は大した差は無いが、競争は向上心を生む。一度決まると一年間変更は無いからそのつもりで。誰か立候補はあるか?推薦でも構わん」


話を一通り聞いた後の三日月は一つの言葉が頭に浮かぶ。

めんどくさい

そういうのは自分には合わないだろうと彼は考えたがそうは問屋がおろさない。


「はい!折角なんでオーガス君を推薦します!」

「……は?」

「私も!オーガス君に一票!」

「……」


まさかの他者からの推薦、恐らく男だからという安直なものであろう。小さくめんどくさ……と言うつもりであったが


「他に居ないか?居ないのであればオーガスで決めるぞ?」

「いや、俺は――」

「納得いきませんわ!!」


机を叩く音と共に怒声が。


「お前は……オルコットか、理由を聞こう」

「男がクラス代表だなんていい恥晒しですわ!実力から行けば遅れた私がクラス代表になるのは必然。それを、物珍しいからという理由で―――」

「じゃああんたがなればいいじゃん」

「!?」


三日月は彼女を見向きもせず、言葉を並べる。


「俺は良いよ、そのクラスなんとかって奴になるの。興味ないし柄じゃないし、なりたいんだったらなればいい」


冷めた物言いの三日月、一方の千冬は腕を組み


「ふむ……だがな、オーガス。私は自薦他薦は問わないと言った。他薦されたものに拒否権などない。そしてここで自薦してきたオルコットが居る。そこでだ、オルコットが口だけではないか、お前がどれだけの実力を秘めているか見てみたい」

「ふーん……んじゃ何?戦えば良いの?」


口角を上げる千冬は頷く。


「そうだ、今日一週間後の月曜。放課後……第三アリーナにて代表を決める勝負してもらう。勝っても負けても恨みっこ無しだ。それで良いだろう?オルコット」


突然話を振られるセシリア。


「え、ええ!それで構いませんわ!勝つのは私であるのは確実ですが!」

「やれっていうならやるけど。所でさ、勝負ってどうすればいいの?どっちかが死ねばいいの?」


クラスは静寂に包まれた、千冬ですら彼の発言に戸惑う。だが我に返り、冷静に言葉を放つ。


「生死に関わる事などしない、勝負の内容はどちらかのシールドエネルギーが0になったら終わりだ、馬鹿な事を言うな」

「そ、わかった」


そうして決まる異様な空気になってしまった代表戦、果たしてどう事が転ぶのかは誰も知るよしもない……。

 
 

 
後書き
あたらしいバルバトスの形態、化け物染みて個人的に好みな姿であります。

少しテンプレ的な動きにはなりますが御了承ください。 
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