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聖闘士星矢 黄金の若き戦士達

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790部分:第百二十二話 二つの顔その二


第百二十二話 二つの顔その二

「そこにもう一人の貴様がいるのだ」
「私のそこにか」
「そうだ。貴様はそれに気付いているか」
「いないと考えている」
 これがサガの返答だった。
「全くだ」
「全くか」
「そうだ。私は常に私だ」
 断言だった。そうではないというのだ。
「それ以外の何者でもない」
「言ったな。しかしだ」
「しかし?」
「私が見たことは事実ならばそれは否定できない」
 こう言うのである。
「決してだ」
「それはできないというのか」
「そうだ、できはしない」
「現実は否定できないか」
「それはわかるな」
「わからないと言えば嘘になる」
 サガもそれはよくわかっていた。実にだ。
「このサガもそれは踏まえているつもりだ」
「ではだ。わかっておくことだな」
「私は一人だ」
 サガはここでまた言ってみせた。
「何度も言おう」
「今はそう思っておくといい。だが」
「だが?」
「わかっている者はわかっている筈だ」
 こうも言うのだった。
「既にだ」
「これまで誰にもそうしたことは言われたことはないがな」
「しかし気付く者は気付いている」
 ポポスはそれでも己の言葉を翻させない。それはあくまでだった。
「これも言っておこう」
「話は平行線か」
「そうなるな。ではだ」
「では、か」
「来るのだ」
 ここまで話してだった。
「いいな、それではだ」
「闘いか」
「逃げるわけではあるまい」
 それも問うのだった。
「まさかとは思うがな」
「それはない」
 サガもそれは否定する。
「決してだ。それはしない」
「先の聖戦でも前の聖域での闘いでもだったな」
「私は敵に背を向けたりはしない」
 言葉はさらに強いものになった。
「それも言っておく」
「私もだ。お互いに倒れるまで闘うとしよう」
「この世の人々、そしてアテナの為にだ」
「アーレスの為に」
 ここに二人の考えの違いが完全に出ていた。
「この闘いに勝つ」
「アーレス様の世界を実現させる為にだ」
「アーレスへの忠誠は絶対なのだな」
「如何にも」
 ポポスは即座にサガの今の言葉を肯定してみせた。
「それが変わることはない」
「決してだな」
「それも誰一人としてだ」
 彼だけではないというのである。
「狂闘士ならばだ。インプの一人に至るまでだ」
「インプ、あの者達か」
「我等の兵士達だ」
 その彼等だというのである。
「彼等もまた、だ」
「まさに誰一人としてなのだな」
「アーレス様に二心を抱く者なぞ誰一人としてだ」
「我等もまた同じだな」
「同じか」
「そうだ、同じだ」
 サガの言葉である。
「我等もまた、だ」
「誰一人としてアテナを裏切らないというのか」
「絶対にだ」
 彼は断言していた。
 
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