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提督はBarにいる。

作者:ごません
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缶詰メシを極めろ!・その3

「じゃあねぇ……次は提督のお任せで!」

「缶詰は使って、って事だよな?」

「もっちろん!どんなお料理か楽しみにしてるからね?」

 さてさて、そこまで期待されちゃあそれを裏切る訳にはいかんよな。それならばと俺は幾つかの缶詰を取り出す。

「お、それ『缶つま』シリーズじゃん。結構美味いんだよねぇそれ」

 流石に飲兵衛の隼鷹は知ってたか。缶つまというのは国分という会社が出している缶詰のシリーズ商品の事だ。蓋を開ければ既に食べられる様に調理されているのは勿論の事、それら全てが酒に合うように作られている。正に缶詰のつまみ……缶つまとは上手いネーミングだと思う。更に嬉しいのは、値段はピンからキリまであるが高級な物からリーズナブルな物、洋酒に合うように作られた物や世界の酒肴等々、様々なバリエーションがあるのが嬉しいところ。その日飲む酒や気分に合わせてチョイスして楽しめるのだ。

「このまま食っても美味いんだがな。ちょいと手を加えるとそれだけで店の味にも負けない料理に化けるのさ」

 そんな缶つまアレンジレシピを幾つか紹介してみようと思う。

《焼き鳥缶で!鶏の土手煮風》

・缶つま めいっぱい焼き鳥(たれ味):1缶

・こんにゃく:100g

・大根:1/4本

・水:400cc

・砂糖:大さじ1

・だし醤油:50cc

・味噌:大さじ1

・小口切りネギ:一つまみ



 使うのは『缶つま めいっぱい焼き鳥缶』のたれ味。1缶200円程と少し高めに感じるが、同じく有名な焼き鳥缶詰のホテイの焼き鳥缶の倍近い量が入っているので寧ろお得だったりする。今回はそいつを使って牛スジの土手煮風の煮込みを作ってみようと思う。まずは焼き鳥缶以外の具材の下準備から。

 こんにゃくは一口大の大きさに手でちぎっておく。包丁で切るよりも断面が粗くなるので味が染みやすくなるぞ。大根は皮を剥き、5mm幅の銀杏切りにしておく。

 
 鍋に水、大根、こんにゃく、砂糖を入れて下茹で。大根が柔らかくなるまで煮ておく。

 大根が柔らかくなったら、だし醤油、味噌、焼き鳥缶を汁ごと加えて中火で15分コトコト煮込んで味を染み込ませていく。味が染みたら器に盛り、刻んだネギを散らせば完成。


「ハイよ、『鶏の土手煮風』だ。好みで七味振って食べてくれ」

 焼き鳥のタレの甘辛い煮汁と味噌が合わさって、土手煮に近い味わいに仕上がっている。大根とこんにゃくにもよく味が染みて、酒にも飯にも抜群の相性になっている。

「ん~っ!おいしーっ!」

 身悶えしているニムのそのリアクションで、美味いのが十分に伝わるよ。さて、休まず作るぞ。お次はこれからの寒い時期には嬉しいシチューを作ろう。

《帆立で豪勢に!野菜たっぷりシチュー》

・缶つまプレミアム 帆立薫製油漬け:1缶

・白菜:5枚

・人参:2本

・じゃがいも:2個

・玉ねぎ:1個

・ほうれん草:1/2袋

・水:750ml

・牛乳:250ml

・固形シチューの素:1/2箱

・塩コショウ:少々



 使用するのは『缶つまプレミアム 帆立薫製油漬け』。北海道産の帆立を薫製にして、調味油に漬け込んだ豪勢な1缶だ。値段も430円とお高めだが、それだけの価値のある味だと個人的には思うね。そのままたべてもワインやウィスキー、洋酒との相性は抜群だが今回はその旨味をシチューに活かそうと思う。まずは野菜の下拵えから。

 白菜、玉ねぎ、人参、じゃがいも、ほうれん草を一口大の大きさにカット。特に切り方の指定は無いから、自分の食べやすい形・大きさに切り揃えていいぞ。

 鍋に水を張り、ほうれん草以外の野菜を入れて煮込む。野菜が柔らかくなったら次の行程へ。

 野菜が柔らかくなったのを確認したら、帆立缶を汁ごととほうれん草、固形シチューの素を入れて煮込む。シチューの素が溶けたら、仕上げに牛乳を加えて弱火で5分程度温める。味見をして、塩コショウで調整したら完成。



「お次は汁物だ。『帆立入りクリームシチュー』だぞ」

「シチューかぁ……あんまりツマミ向きじゃないねぇ」

 出された料理に悪態を吐く隼鷹。

「当たり前だろ、お前の注文じゃねぇんだから」

 元々は下戸なニムの注文なんだから、酒よりもご飯に合うように作るのが筋ってモンだ。ついでに出してもらってるんだから、それだけでも感謝して貰いたいんだが。

「じゃあさぁ、アタシにも缶つまで何か作ってよ提督ぅ。そうだな~……日本酒に合うツマミでよろしく!」


 仕方なぇなぁ。ちゃちゃっと作りますか。


《がんもとさんまの味噌カレー煮込み》

・缶つま 味噌カレー味のさんま:1缶

・がんもどき:4個

・水:400cc

・ほんだし:小さじ1

・カイワレ:お好みで


 使うのは『缶つま 味噌カレー味のさんま』。その名の通り、一口大に輪切りにされた秋刀魚を味噌とカレーで味付けして煮込んだ一品。味噌とカレーが合うのか?と食べる前には疑問に思うが意外や意外。味噌のコクがカレーにプラスされて美味しい和風のカレーに仕上がっている。普通のカレーに味噌をちょっと隠し味に入れても美味いからな。これはアリだろう。そして脂の乗った秋刀魚がこの味噌カレーにまた合うんだよ、これが。そんな美味しい缶詰を、一手間加えて簡単アレンジ。

 まずは鍋に水、ほんだしを加えて温める。沸騰して来たらがんもどきを加えて火を中火に落として5分程度コトコト煮込む。がんもどきが十分に温まったら、さんま缶を加えて更に10分煮込む。がんもどきは当然ながら、秋刀魚も骨まで食べられる位柔らかく煮上がっている。具材に火を通すというよりもがんもどきに味を含ませる為に煮詰めている、と考えてもらえれば良いだろう。その為、強火でグツグツと沸騰させずに中火位の火加減でコトコトと煮込んでいく。がんもどきがたっぷりと煮汁を吸ったら皿に盛り付け、お好みでカイワレを散らして完成だ。


「はいお待ち、『秋刀魚とがんもの味噌カレー煮込み』ね」

「お~、美味そうじゃん!いっただっきまーす!」

 早速隼鷹が秋刀魚の切り身にかぶりつく。骨まで柔らかくなる程煮込まれた秋刀魚にも、しっかりと味が染み込んでいる。

「ん~、美味いっ!やっぱ味噌味じゃなくて味噌カレー味ってのがポイントだよなぁ」

 そんな事を言いながら『一ノ蔵』を煽っている。そしてその味噌カレー味の煮汁と秋刀魚の旨味を吸ったがんもがまた絶品なんだよな、これ。そうやって煮込みと冷酒を堪能した隼鷹は、

「はぁ……満足満足。ごちそうさん」

 勘定を早霜に手渡して軽い千鳥足で帰っていった。店に残った客はニム一人。

「う~ん、ニムもそろそろ終わりにしようかなぁ」

「あいよ、勘定するかい?」

「あ!でもその前にパスタとか……出来る?」

「勿論」

 さて、缶つまを使ったアレンジパスタ、早速作っていこう。


《パスタを茹でて和えるだけ!イカ明太マヨパスタ》

・缶つま 九州産いか明太:1缶

・スイートコーン缶詰:1缶

・パスタ:200g

・水菜:1/2株

・塩:適量

・マヨネーズ:適量


 使うのは『缶つま 九州産いか明太』。九州は玄海灘で獲れたヤリイカ(正式名称ケンサキイカ)を、博多名産明太子で和えたという日本酒のアテに最高な一品だ。今回はそいつをパスタに仕上げるぞ。

 まずはパスタソース作りから。……といっても、いか明太を刻んで細かくしてマヨネーズと和えるだけなんだが。仕上げに使う水菜も、適当な長さに刻んでおく。

 お次はパスタ。湯を沸かして塩を入れ、袋の表示時間通りに茹でる。ナポリタンやカルボナーラのように茹でた後に加熱したりしないので、芯が残らないように茹で上げる。

 パスタが茹で上がったら、汁気を切ったスイートコーン缶詰と一緒にいか明太ソースで和える。味見をして、塩気が足りなければ塩で調整。

 皿に盛り付け、水菜を散らせば完成。


「お待ち。『いか明太マヨパスタ』だ」

「うわ~、美味しそう!」

 ニムはそう言うや否や、フォークでパスタを巻き取り、口に運ぶ。イカのコリコリ、明太子のプチプチ、水菜のシャキシャキと食感が楽しい。その上明太マヨの美味しさは折り紙付き。不味いはずが無い。

「ん~っ!おいひいぃ!」

 蕩けているニムもまた愛くるしい姿だと思う。物凄い勢いで完食したニムは、

「ご馳走さま提督、また来るね!」

「おぅ、いつでも来い」

 そう言って立ち上がり、勘定を済ませて去っていった。缶詰アレンジはまだまだあるのだ。あぁいう素直な好意をぶつけてくる娘もたまにはいい。まぁ、じゃじゃ馬が嫌いな訳では無いのだが。
 
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